追悼・高橋幸宏 YMOを支えた音楽家の軌跡を振り返る
Rolling Stone Japan / 2023年1月16日 7時10分
1月11日に亡くなった高橋幸宏の訃報は、海外メディアでも大きく報じられている。米ローリングストーン誌が故人のキャリアを振り返った追悼記事を翻訳した。
【動画を見る】高橋幸宏とYMOの名曲・名演を振り返る
エレクトロニック・ミュージックの先駆者であるイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)のドラマー兼リード・ボーカリスト、高橋幸宏が70歳で亡くなった。高橋の事務所はジャパンタイムズとNHKに声明を発表し、1月11日に誤えん性肺炎で死去したことを認めた。高橋は以前、2020年に脳腫瘍の摘出手術を受けたことを明かしていた。
東京都出身の高橋は、オリジナル・ドラマーである角田ひろ(現:つのだ☆ひろ)の脱退後に加入したグラムロック・グループ「サディスティック・ミカ・バンド」で活動を開始。1975〜76年、ロキシー・ミュージックの『Siren』ツアーでオープニングを務め、BBCのTVやラジオに出演するなど、イギリスで成功を収めた。バンド解散後、高橋はメンバーの一部とサディスティックスとして活動を続け、2枚のスタジオ・アルバムをリリースしたあと、解散した。
1978年、高橋、キーボード/ボーカルの坂本龍一、ベース/キーボード/ボーカルの細野晴臣(エイプリル・フールとはっぴいえんどに在籍)の3人で、スーパーグループ「イエロー・マジック・オーケストラ」を結成。シンセ、シーケンサー、ドラムマシンを駆使し、エレクトロサウンドの先駆者として80年代をリードする。彼らは、クラフトワークやジョルジオ・モロダーなど、この分野の他のパイオニアたちからインスピレーションを得ていた。
同名のデビューアルバムに収録されたシングル「コンピューター・ゲーム」は、英国でトップ20に入り、米国でも話題となるなど、驚きの世界的ヒットとなった。1979年にリリースされたYMOの2作目『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』では、クリス・モスデルが英語詞を担当。同作の成功によってYMOは『ソウル・トレイン』にゲスト出演し、印象的なパフォーマンスと、いまやバイラル化した高橋と司会のドン・コーネリアスのインタビューが放映された。
1980年の『増殖』、1981年の『BGM』と『テクノデリック』、1983年の『浮気なぼくら』と『サーヴィス』など、YMOは80年代に入ってからもリリースを続けたが、大きな人気を獲得しながらも、個々のメンバーがソロ活動を本格化させたことで解散することになった。しかし、細野と坂本は、高橋の最初の4枚のソロアルバムに参加するなど、ソロ活動でも共演を続けていた。
1980年に発表された、シンセポップやシティポップの流れを汲む高橋のソロ第2作『音楽殺人』は、YMOのバンドメンバーが参加し、モスデルの英語詞で構成されている。翌年には、ロキシー・ミュージックのフィル・マンザネラやアンディ・マッケイをフィーチャーした『ニウロマンティック』を発表し、「ドリップ・ドライ・アイズ」をヒットさせる。さらに1982年には、ビー・バップ・デラックスのビル・ネルソンやYMOのバンドメイトとコラボした『WHAT, ME WORRY?』をリリースしている。
1981年、ムーンライダーズの鈴木慶一とTHE BEATNIKSを結成し、最初のアルバム『出口主義』をリリース。その後、数十年にわたるパートナーシップを築く。
多作なアーティストである高橋は、80年代を通じてジャンルを問わずにソロ作品を発表。YMOは活動停止していたが、メンバーは互いのソロプロジェクトでコラボレーションを続けていた。高橋は80年代後半には俳優業、映画のサントラ、ゲーム音楽にも進出した。
2000年代には細野と再タッグを組んでスケッチ・ショウを結成。2004年には坂本が加わってヒューマン・オーディオ・スポンジへと発展した。
2014年、高橋はMETAFIVEと呼ばれるスーパーグループでツアーを行い、2010年代の後半にスタジオ・アルバム、EP、ライブ・アルバムをリリースした。2020年にシングル「環境と心理」をリリース。高橋はこの曲のリリース直後に腫瘍の脳外科手術を受けるため休養に入った。
高橋の訃報を受け、YMOのバンドメイトである坂本がSNSに灰色の四角形をSNSに投稿。ファンが高橋への賛辞を書き残していく器となった。
pic.twitter.com/LjiZy3K4n0 — ryuichi sakamoto (@ryuichisakamoto) January 14, 2023
From Rolling Stone US.
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