追悼デヴィッド・クロスビー 生涯最後のステージを振り返る
Rolling Stone Japan / 2023年1月20日 13時45分
現地時間1月18日に亡くなったデヴィッド・クロスビー(David Crosby)。彼の 生涯最後のライブは、ジェイソン・イズベルとの息の合った「Ohio」だった。そのときの模様を振り返る。
【動画を見る】デヴィッド・クロスビー「生涯最後のステージ」
1月19日に81歳で亡くなったデヴィッド・クロスビーは昨年、お気に入りのソングライターであるジェイソン・イズベルと一緒に、公の場で最後のパフォーマンスを行った。イズベルによれば、フォーク・ロックのアイコンはもともと、カリフォルニア州サンタバーバラの自宅近くのアーリントン・シアターに、単に旧友と付き合うために現れたという。イズベルと妻のアマンダ・シャーズ、彼の率いるバンド「400ユニット」は、2018年にニューポート・フォーク・フェスティバルでクロスビーと親交を深めていた。
「家から出してライブに誘ったのは、彼が仲間たちに会いたかったから。そして、彼が来て歌わないのは馬鹿げているだろう」とイズベルはローリングストーン誌に語っている。昨年2月26日のライブは、クロスビーがイズベルの曲「What’ve I Done to Help」でハーモニーを奏で、ショーン・コルヴィンも参加してクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングの「Ohio」を演奏して終演となった。クロスビーにとっては、2019年以来のコンサート公演となった。
「あれが彼を見た最後の時だった」とイズベルは言う。「あのとき、彼はこれ以上ツアーができるとは思っていなかった。彼は長い間、手にトラブルを抱えていて、演奏するのが難しい状態になっていたんだ。そのせいで、もうライブはできないと諦めていたのだと思うけど、最近は少し楽観的な気持ちになっていたような気がする。彼はまだ作曲やレコーディングをたくさんやっていて、僕が聞いたところではもう一枚アルバムを仕上げていたようだ」
デヴィッド・クロスビーが伝説的存在になった理由とは?
この両者が初めて会ったニューポート・フェスで、クロスビーはイズベル率いるバンドの「Ohio」とCSNの「Wooden Ships」に参加した。ロックの殿堂入りを果たしたクロスビーは、その後も何度かイズベルとギグを行い、イズベルによる2020年のアルバム『Reunions』収録の「What’ve I Done to Help」と「Only Children」に唯一無二のハーモニーを添えている。クロスビーはそのとき、同作のプロデューサーであるデイヴ・コブのミキシングコンソールにも乗り込んできたという。
「デイヴはちょうど新品のAPIコンソールを買ったところで、人生で初めて見た新品のコンソールだったんだけど、(クロスビーが)入ってきて座って、コンソールの上に大きな葉っぱの袋を放って、ジョイントを巻き始めたんだ」アイベルはそう述懐する。「彼はマリファナを吸って、一緒に歌った後、ソファに横たわって眠っていたよ」
このような素直な性格が、クロスビーの持ち味だった。イズベルは、大きな声の持ち主であるクロスビーを「肺活量90パーセント」と表現しつつ、このシンガーソングライターの遺産を定義するのは、正直さと勇気だと語っている。
「デヴィッドのルールその1は、正直であることだった。彼が誰かを褒めたとすれば、それはデタラメではなかった」とイズベルは言う。「彼は、ニール(・ヤング)やジョニ(・ミッチェル)のような偉大な仲間にさえも挑戦する人だった。彼は、音楽的なコンフォートソーンでないところに挑戦する人だった。ギターの音に飽きたら、誰も試したことのないようなチューニングに変えてみたり。ハーモニーのパートに飽きたら、誰も予想しないような音を歌ってみる。歌ってみて、もしチューニングが狂っていたら、できるだけ早く修正する。彼はただ真実を語り、その結果については後で対処するようにしていた」
From Rolling Stone US.
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