極悪ポルノ男優、「重度の認知症」と診断される 米
Rolling Stone Japan / 2023年2月1日 6時45分
米・ポルノ俳優のロン・ジェレミー被告が女性21人に性的暴行を働いた罪に問われている裁判で、米・ロサンゼルスの判事は1月17日(火)、被告に訴訟能力がないとの裁定を下した。
この日ハリウッドの精神鑑定裁判所で行われた審理に、69歳のジェレミー被告(本名ロナルド・ジェレミー・ハイアット)の姿はなかった。ロバート・S・ハリソン判事は弁護側が雇った精神科医による2022年7月の診断と、検察側が雇った医師による2022年10月の報告書を精査した上で裁定を下した。
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「ハイアット氏には訴訟能力がないものとします」と、ハリソン判事は述べた。「いずれの診断書からも、ハイアット氏が不治の認知能力低下を患っていると示しています。おそらく回復は望めないでしょう」
ポール・トンプソン地方検事補によれば、2019年に行われた先の神経科評価では、ジェレミー被告が「抱える問題のいくつかは難聴が原因ではないかと思われる」との判断だった。検事補いわく、検察側は被告の症状改善に向けて治療の継続を主張するつもりだそうだ。判事は次の審理を来月に設定し、「次の段階」として再度評価を行って、今後ジェレミーを州の病院に入院させて治療を受けさせるか、あるいは他の環境に置くか進言すると述べた。
昨年には、別の裁判所で行われていた重罪強姦罪の担当判事が、ジェレミー被告が「支離滅裂で」大事な審理の前に自分の弁護士を見分けられなかったとして、公判手続きの停止を命じた。
被告弁護人のスチュアート・ゴールドファーブ氏は昨年3月17日の審理で、「収監されている監房で、依頼人の関心を惹こうとしましたが、だめでした」と法廷で語った。「私が何者か判断できず、私と廷吏が車いすに乗せて出廷させようとしても言うことを聞きませんでした。こうした状況で依頼人を無理に出廷させるべきではないと思います」
ジョージ・ロメリ判事によれば、廷吏もジェレミー被告が「支離滅裂で」「指示に従わなかった」との印象を受けていたそうだ。
その後ロサンゼルスタイムズ紙は検察側のメールを入手。医師がジェレミー被告に「重度の認知症」を診断していたことが判明した。
ジェレミーことロナルド・ジェレミー・ハイアット被告は、2020年に女性8人の強姦容疑で最初に起訴された。さらなる容疑が浮上したことで裁判はたちまち拡大し、2021年8月には未成年者を含む21人の被害者に対する性的暴行罪34件で起訴された。容疑は古くは1996年にまでさかのぼり、被害者も51歳の成人女性から15歳の少女までと幅広く、十数件の強制暴行罪も追加された。被告は無罪を主張していた。
検察によると、ジェレミー被告は有名人という立場を使って「弱い立場にいた」女性たちの警戒を解き、人気のない場所に誘い込んだ。検察の話では、暴行のうち8件はウェストハリウッドのサンセット大通りにあるレストランRainbow Bar & Grillで行われていたとみられる。この店でジェレミー被告はVIPとして、店の裏の従業員エリアに出入りしていた。
昨年3月に刑事裁判が停止される直前に予定されていた審理は、21件の訴因ごとに分割して裁判を行うという被告側の要求が争点だった。「ハイアット氏の陪審が不適切行為の主張を何十回も聞かされれば、陪審員はそれぞれの訴因を公正に判断できず、立証責任を厳格に果たすことができなくなる」と、分割裁判を求める弁護側の申し立てには書かれている。
検察はこの申し立てに反論し、起訴内容に絡む犯罪はどれも同等で「策略が共通している」と述べた。つまり、分割裁判になれば同じ証拠が採用され、証人も重複し、法廷の資源や労力を無駄にすることになる。被害者21人中8人はRainbow Bar & Grillで、「非常に似通った手段で」襲われたとみられている。
ローリングストーン誌が入手した反論状によると、マレーネ・マルティネス検事補はこう主張している。「陪審員や裁判所の時間以上に、関係者にとって重要なことは、性的暴行を受けた被害者に何度も証言させればトラウマを再現させる危険をはらんでいる点だ」
「被告は21件すべてにおいて、弱い立場で抗うことのできない被害者を標的にしていた。トイレ、寝室、友人宅に女性を隔離する、あるいは不意打ちで襲いかかることで、被告は性的暴行を加えている間女性たちに抗う機会を決して与えなかった」と反論状には書かれている。「合同裁判を行うことが、裁判所、陪審員、被害者や証人の時間を無駄にしない唯一の方法だ」
被告弁護士のケイト・ハーディ氏は17日、公判の無期限停止の裁定が考えられる唯一の結末だと述べた。
「(検察側の)医師は、訴訟不能を強く支持しています。我々の証人よりも徹底しています」と、審理後にハーディ氏は語った。「医学的問題がある以上、他に選択肢はなかったと思います」
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