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ザ・ローリング・ストーンズ『GRRRライヴ!』 結成50周年ツアーと夢の共演を徹底解説

Rolling Stone Japan / 2023年2月14日 12時0分

ザ・ローリング・ストーンズ(Photo by Getty Images)

本日2月14日は「ザ・ローリング・ストーンズの日」(1990年の同日、初来日公演を東京ドームで行ったことから制定)。それに先駆けて、結成50周年ツアーの模様を収めた映像&音源作品『GRRRライヴ!』が先日リリースされた。本作の見どころを荒野政寿(シンコーミュージック)が解説する。

1963年のデビュー・シングル「カム・オン」をリリースしてから、今年で60年の節目を迎えるザ・ローリング・ストーンズ。そんな記念すべき年に、早速強力なライヴ作品『GRRRライヴ!』が発売された。本作はバンド結成50周年を記念して2012年~13年に行なわれた〈50&カウンティング・ツアー〉から、2012年12月15日、ニュージャージー州ニューアークのプルデンシャル・センターでの公演を収録したもの。DVD+2CD、Blu-ray+2CD、2CDのみの3フォーマットで日本発売されたが、本作の魅力は映像抜きには語れない。



2010年代に入ってからのストーンズは、しばらく過去の総決算モードに入っていた。2010年に『メイン・ストリートのならず者』の未発表曲入りリマスター盤をリリースしたほか、1972年のライヴ映像を収めたドキュメンタリー『レディース&ジェントルメン』を初めて公式にソフト化。続いて2011年には1978年のライヴ映像を『サム・ガールズ・ライヴ・イン・テキサス'78』としてお蔵出し。さらにオフィシャル海賊版シリーズのデジタルダウンロード販売も開始した。そして2012年にはブレット・モーゲン監督(3月に『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』公開が控えている)によるドキュメンタリー映画『クロスファイア・ハリケーン』が〈50&カウンティング・ツアー〉開幕前の10月に公開され、注目を集めている。

『ア・ビガー・バン』(2005年)以降、スタジオ録音の”新曲”を渇望していたファンの声に応えるべく、2012年11月に発売された新しいベスト・アルバム『GRRR!』には2つの強力な新曲「ドゥーム・アンド・グルーム」と「ワン・モア・ショット」が収録された。これら2曲も披露して現役バンドとしての最新形を見せつけたツアーの模様を収めたのが、『GRRRライヴ!』というわけだ。

トレードマークの巨大な唇をステージ化したセットも凄いが、さすがアニバーサリー・ツアーとあって、新旧取り混ぜたオールタイムベスト的なセットリストに思わず唸る。いきなり「一人ぼっちの世界」「ラスト・タイム」と60年代のヒット曲をたたみかけるオープニングは、ガレージ・パンク勢にも絶大な影響を与えた”ビート・バンドとしてのストーンズ”の威力を思い出させるもの。独特なリズム感覚や、”抜き”の妙技を指摘される機会が多いチャーリー・ワッツだが、アグレッシブなフィルインでも非凡なひらめきを見せるドラマーだった。




いかにもキース・リチャーズらしいイントロの入りにしびれる「イッツ・オンリー・ロックン・ロール」、ロニー・ウッドのエレクトリック・シタールが大活躍する「黒くぬれ!」に続いて、豪華ゲストのひとり目はレディー・ガガ! 全力で場をかっさらおうとする激烈パフォーマンスで、早くも前半の見せ場を生んでいる。その直後に、「ワイルド・ホース」でクールダウンする技もベテランならでは。チャック・リーヴェルの情感豊かなキーボード、バーナード・ファウラー&リサ・フィッシャーのバック・ヴォーカルのサポートに支えられ、ミック・ジャガーが切々と歌い上げる。

ブルース・スプリングスティーンなど豪華ゲストが次々登場

この後のゲスト陣も強力で、フレディ・キングの「アイム・ゴーイン・ダウン」ではジョン・メイヤーとゲイリー・クラーク・ジュニアを、ボ・ディドリーの「フー・ドゥ・ユー・ラヴ?」ではブラック・キーズのダン・オーバック&パトリック・カーニーを迎えて大熱演。2016年のブルース再訪盤『ブルー&ロンサム』に先駆けた感じもあるセッション・コーナーで、前者は2人とロニーとのリード合戦が楽しめる一方、後者は催眠的なリズムの反復が強調され、こうした単純なリズムの曲ではチャーリー・ワッツのグルーヴ感が如実に効果を発揮してくるから面白い。

そしてこのツアーで見逃せないのが、先述の2つの新曲、「ドゥーム・アンド・グルーム」と「ワン・モア・ショット」。ミック・ジャガーもテレキャスターを抱いてトリプルギターで攻める「ドゥーム・アンド・グルーム」はスタジオ・バージョンとは質感がまるで違い、ステージで楽曲が磨き上げられていたことを伝えてくれる。非ストーンズ・ファンは彼らのことを「どれも似たような曲」と簡単に言いがちだが、日進月歩ライヴで曲が表情を変え続けるバンドだから、熱心なファンは日々のショウから目が離せなくなるのだ。




ファンキーな「ミス・ユー」ではベーシストのダリル・ジョーンズに見せ場が与えられるし、キースのコーナー「ビフォー・ゼイ・メイク・ミー・ラン」「ハッピー」も期待通りのかっこよさで必見なのだが。後半のハイライトが、ミック・テイラーが参加した「ミッドナイト・ランブラー」であることは間違いないと思う。これだけゲストがいろいろ登場する日に、ミック・テイラーが弾き出すや、途端に場の空気がキュッと引き締まるのはさすが。特にスライドギターでの集中力は想像以上で、外見こそ恰幅がよくなったが、ギタリストとしての切れ味がまったく鈍っていないことを確認できる。

そして最後の大物ゲストは、ミック・ジャガーに「彼は歩いて会場まで来た」と紹介されるニュージャージーのレジェンド、ブルース・スプリングスティーン! 大物と共演するときはいつもそうだが、ボスは満面の笑みでとにかく楽しそう。ミックの合図でリードギターを弾き始めるが、途中で音を外してしまうのもご愛嬌。ボスだってストーンズの前ではロック少年に戻ってしまうのだな、とわかって何とも楽しい場面だ。

プレイヤーとしてはロニー・ウッドが抜群に光っていて、特にラップスティールの巧さには唸らされるし。長年ストーンズを支えたサックス奏者、故ボビー・キーズの名演を「ブラウン・シュガー」などでたっぷり味わえる点もうれしい。主役のミック&キースばかりでなく、リズム隊やゲストも含めた相対的な音楽家集団としてのストーンズを、高音質・高画質のBlu-rayで隅々まで堪能して欲しい。

なお、日本盤DVD/Blu-rayにはボーナス映像としてニューアーク初日、12月13日の公演から5曲を収録(そのうち「ラスト・タイム」と「ダイスをころがせ」は日本盤のみのボーナス)。またしてもジョン・メイヤーが登場、冴えたソロを披露する「リスペクタブル」は必見だ。初期の荒々しさが甦るチャック・ベリーのカバー「アラウンド・アンド・アラウンド」もお見逃しなく。



ザ・ローリング・ストーンズ
『GRRRライヴ!』
発売中

Blu-ray+2CD 8,250円税込
日本盤のみ日本語字幕付/英文解説翻訳付/SHM-CD仕様
再生・購入:https://www.universal-music.co.jp/rolling-stones/products/uixy-15050/

DVD+2CD 7,150円税込
日本盤のみ日本語字幕付/英文解説翻訳付/SHM-CD仕様

2CD 3,960円税込
日本盤のみ英文解説翻訳/歌詞対訳付/SHM-CD仕様

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