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コロナ給付金詐欺、美人不動産ブローカーが起訴された理由 米

Rolling Stone Japan / 2023年3月2日 6時45分

ベントレーの購入などにコロナ支援金を充てた疑いのあるダニエラ・レンドン(Instagramより)

米フロリダの高級物件専門不動産業者のダニエラ・レンドンが、コロナ支援金38万1000ドルを騙し取ったとして起訴された。友人は、彼女は十分裕福なので政府から金を盗む必要はなかったと語り、匿名希望の別の不動産業者も「彼女は本当に誠実で、信頼できる人です。プロの鏡ですよ」と話す。一体彼女に何があったのか?

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ダニエラ・レンドンがInstagramのアカウントを削除する以前、3万3000人のフォロワーは彼女が夢のような暮らしを送るのを眺めていた。彼女はヨットで寛ぐ姿、乗馬、イビザ島でのパーティ、外食先での豪華ディナーの写真を投稿していた。時には、高級不動産業者として販売する海に面したマイアミの物件も投稿していた。「商品を売り込むには、自分の見た目にも気を使わないと」と言うアナ・ウリベさんはレンドンとは同業者で、5年以上も親しくしている。「初めて会った時、ダニエラはメルセデスのトラックを所有して、素敵なドレスを身にまとい、バレンティノの靴を履いていました。マイアミという派手な街に暮らしているんですから、着飾るのは当然です」。

ウリベさんだけでなくレンドンと組んでいたもう1人の不動産業者も、レンドンが弱肉強食の業界でとりわけ誠実だったと語っている。「みな競争心が高く、中にはずるがしこい人もいます」とウリベさん。「気を付けないと彼女にお客を取られるわよ、なんていうようなことを彼女がしたのは一度も見たことがありません。そんなことは一度もありませんでした」。むしろレンドンはチームで仕事をして、互いに助け合おうとしていたとウリベさんは続けた。「彼女は本当に誠実で、信頼できる人です。プロの鏡ですよ」と、匿名希望の別の不動産業者も言う。つい最近も、レンドンと組んで1700万ドルの物件をまとめたばかりだそうだ。

レンドンが新型コロナウイルス支援金を違法に手にした罪で連邦起訴されたと聞き、2人はショックを受けた。フロリダ州南地区連邦検事局は2月2日の発表で、31歳のレンドンが違法に手に入れた38万1000ドルを自分や友人、家族の懐に収めていたと主張。その金をベントレーの2021年型ベンテイガ、ビスケーン湾の高級マンション、美肌施術、ブランド靴の修理に充てていた疑いがもたれている。「政府が描くダニエラ像は、私の知っているダニエラじゃありません」と、匿名の不動産業者は言う。「今回のことでは心底驚きましたし、傷つきました。彼女には子どもが2人いるんですよ」。



2月2日、レンドンは連邦下位裁判所に出廷した。起訴内容は電信詐欺罪7件、資金洗浄罪2件、加重身分詐称罪1件だった。この中でももっとも重い電信詐欺罪は、最長で禁固20年が言い渡される可能性がある。レンドンは保釈金15万ドルの10%を支払って保釈されたが、判事が署名した裁判所命令を見ると、保釈金を支払ったのは婚約者のエリアス・レイズだった。弁護人を務めるロバート・マンデル氏によれば、レンドンは無罪を主張するつもりだという。

政府は8日、20件の証拠を裁判所に提出。そのうちのひとつは、Daniela Rendon PAという会社の2020年の給与支払いで、11人の従業員に12万1480ドルを支払っていたとある。そのうち9000ドルはレンドン本人に、1万3500ドルはRendon Holdings名義の従業員に、3万ドルはエリアス・レイズに支払われていた。他には、新型コロナ陰性を証明する2021年のバハマの渡航ビザ、プライベート機に搭乗する姿を収めたソーシャルメディアの投稿のスクリーンショット、レイズが所有するデラウェア州の企業Reyes Aviation社が申請した給与保護プログラム(PPP)融資の書類など。またBraman Motors社が2021年に発行したベントレー・ベンテイガのリース証書もある。Braman社のwebサイトによると、レイズは同社の財務部帳を務めており、証書の署名もレイズのものだった。レイズにコメントを求めたが、返答はなかった。

1月26日付の大陪審起訴状には、レンドンが2020年から2022年にかけて「意図的に、かつ詐欺目的で、内容が事実とは異なる虚偽の請求、申請、証明をして、金や資産を手に入れる策略を立てた」とある。大陪審によると、レンドンと共犯者(起訴状には氏名の記載なし)はフロリダ州の有限会社Rendon PAとワイオミングに登記されているRendon Holdingsの2社名義でPPPと経済損害救済金を申請した。申請手続きの一環で、レンドンは偽造した国税庁の書類を提出した他、従業員数、総収入、月額給与、会社の販売商品の原価をごまかしたとみられる。起訴状によれば、その後彼女は給与サービスアプリのADPに登録し、自分や友人、家族に給与を支払っていたという。

マンデル氏はレンドンの企業や政府の提出した証拠について、情報の入手や検証がまだだとしてコメントを控えた。「一般論を申し上げますと、こうです」と同氏は述べた。「政府が被告に有利な情報や事実を提供するケースにはお目にかかったことがありません。このような早い段階ではなおさらです。それにお話にあった証拠ですが、陪審員が合理的疑いの域を越えてレンドンさんを有罪だと判断する前に、政府が証明しなければならない事柄と関連性があるとは限りません」。マンデル氏はレンドンが司法省から目をつけられたと考えている。「私には、レンドンさんがいわゆる”有名人”であるがゆえに、政府が見せしめにしようと躍起になっている見えます」と同氏。「ですが事実は事実です。水に流すわけにはいきません」。



レンドンは政府から金を騙し取らなくても十分裕福だった、というのがウルベさんの考えだ。ウルベさんによれば、レンドンは汗水流して働いて金で豪華な暮らしを手に入れたそうだ。「彼女は仕事熱心で、数百ドル相当のマンションを成約していました。海岸沿いの高級開発地アクアリーナの物件です。彼女はそこのペントハウスを売りさばきました。3000万ドルのペントハウスですよ。手数料がどのぐらいかわかりますか? 彼女は手数料で6ケタ以上稼いでいました」

レンドンの知人2人の話では、彼女は不動産業の他に複数のサイドビジネスを掛け持ちしていた。洋服を販売したり、ウルベさんの話ではAmazonでサプリメントも販売していたという。またマーケティング会社Monatで女性チームを率い、シャンプーの販売もしていた。レンドンのInstagramには「Monat」というハイライトがあり、2021年にはPinterestでも商品について投稿していた。「彼女はインフルエンサーですから、他のインフルエンサーがやるような副業をいくつも抱えていました」とウルベさんは言う。

美容施術に支払った金に関しては、レンドンは美容整形にはあまり入れ込んでいなかったとウルベさんは言う。少なくとも、友人ほど乗り気ではなかったそうだ。「ダニエラは美人です。いつもジムに通っています」とウルベさん。「みんな豊胸はやってますよ、多分20年ぐらい前にね。20回以上手術した女性もいます。(ダニエラが)やっていたのは、他の子がやるような些細なこと、ちょっとした豊胸ぐらいです。歳を取ればシリコン注入やボトックスもあるかもですが、それが普通でしょう」。

新型コロナ救済プログラムは、経済的損失をもたらしたパンデミック中のロックダウンを乗り切るために中小企業向け融資として設立されたが、驚異的な件数の詐欺に見舞われた。専門家の推計では、PPPで給付された融資の10%――800億ドル相当――が詐欺だったという。大勢の詐欺師がすでに罪に問われており、会計検査院によると1000人以上が新型コロナ救済プログラム詐欺で連邦起訴され、有罪判決を受けたそうだ。現在も数百件が捜査中で、毎日のように新たなコロナ救済金詐欺が起訴されているとみられる。

コロナ救済金詐欺の裁判を何度も担当しているマンデル氏は、連邦政府はこうした犯罪に対する訴追をもっと整備すべきだと言う。「この手の取り締まりは恣意的で、行き当たりばったりだと思います」と同氏。「多くの場合、政府は被告の”ライフスタイル”を取り沙汰しますが、勘違いの場合がほとんどです。救済金をもらう前と後で被告のライフスタイルに変化がなく、救済金が合法に入手され、正当な費用に充てられているのなら、そうしたライフスタイルやInstagramの画像は関係ないでしょう」。

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from Rolling Stone US

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