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ヘイトクライムで起訴された男性、「ガス室の画像」「コロナはユダヤ」陰湿なメールの数々 米

Rolling Stone Japan / 2023年3月3日 6時45分

反ユダヤ主義やヘイトクライムを糾弾する名誉毀損防止同盟ロサンゼルス支部のジェフリー・エイブラハムス支部局長(DAMIAN DOVARGANES/AP)

米カリフォルニア州中央地区連邦検事局は2月17日(金)、ユダヤ人男性2人に発砲した銃撃事件の関与容疑でジェイミー・トラン容疑者(28歳)を2件の連邦憎悪犯罪で起訴。容疑者が以前から暴力的な反ユダヤ的メッセージを送っていたことが、2月17日付の裁判資料で判明した。

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トラン容疑者は礼拝を終えたユダヤ人男性を狙ったと当局は主張している。事件現場はいずれもピコ・ロバートソン周辺で、住民が礼拝のために1日何度も地元のシナゴーグへ徒歩で訪れる、ユダヤ人が多く住むこのエリアだ。

2月15日、トラン容疑者は拳銃で男性1人の背中に、2月16日には2人目の腕に発砲したとみられる。いずれの被害者も命はとりとめた。17日に裁判所に提出されたFBIの供述書によると、トラン容疑者は警察に犯行を認めた。容疑者は事件現場に車で向かう前にYelpで「コーシャー」専用マーケットを検索し、「頭の被り物」を目印にユダヤ人を特定したと供述した。供述書には、いずれの被害者も黒い上着と帽子を身に着けていたとある。

「はっきり申し上げますが、反ユダヤ主義が闇から這い出してきた際には」と、ロサンゼルス市のカレン・バス市長は記者会見でこう述べた。「ロサンゼルス中の市民が団結してこれを排除し、必ず正義を果たします。ロサンゼルスにも、我が国にも、反ユダヤ主義の居場所はありません」。



銃撃はトラン容疑者の反ユダヤ的な言動がエスカレーションしたものとみられる。供述書には、トラン容疑者が2022年末、歯科学校時代のクラスメートに反ユダヤ的なメッセージやメールを何度も送っていたとある。ある元クラスメートの供述によると、トランは2018年に退学になっていた。供述書によると、そのクラスメートは(供述書にはM.N.H.とイニシャルのみ記載)ユダヤ人で、電話やボイスメールや携帯メッセージでトランから何度も脅迫されていたという。携帯メッセージの中には「消え失せろ、ユダヤ人。くそユダヤ人は今夜自殺しろ。お前なんか死んでしまえ、ユダヤ人め。誰かがお前を殺しにいくぞ」「オーブンに焼かれろ、くそユダヤ人」といったメッセージにガス室の画像が添付されていたとみられる。

トラン容疑者は2022年11月と12月にも元クラスメート数十名にメールを送り、ユダヤ人についての憎悪的なコメントや新型コロナウイルスのパンデミックを取り沙汰していた、と供述書には書かれている。そうしたメールの中には、「コロナはどこからどうみてもユダヤの臭いがする」と書かれたチラシの画像が添付されていた。

この週の2件の犯行でに使われたのは拳銃だが、裁判資料にはトラン容疑者が逮捕時にAK式ライフルを携行していたとある。裁判記録によると、16日夜カテドラル市警察署に通報があり、銃声がして銃を持った男を見かけたという目撃情報が入った。事件現場からは1時間ほど離れていたという。

警察が現場に到着すると、車の脇でトラン容疑者を発見し、助手席からは38口径の拳銃とAK式ライフルが見つかった。先の事件現場に落ちていた薬莢から、拳銃は事件で使われたとみられる凶器と同じ型だった。逮捕時にはAK式ライフルから発射された薬莢も発見された。

容疑者が逮捕される前の16日、警察はピコ・ロバートソン周辺のユダヤ人コミュニティで発生した2件の銃撃に関連性があるとみて捜査していることを初めて明らかにした。警察の発表によれば、1件目は15日午前10時ごろシェナンドー通りで発生。それから24時間も経たない16日午前8時30分前後には、わずか1ブロック先のサウスベドフォード通りで2件目が発生した。当時の発表では、容疑者は「口ひげとあごひげを蓄えたアジア系男性で、白のコンパクトカーを運転しているとみられる」と伝えられ、警察は情報提供を呼びかけていた。



逮捕後、ユダヤ教指導者らはソーシャルメディアが反ユダヤ的な憎悪を拡散していると非難した。ロサンゼルス圏ユダヤ人連盟の会長兼CEOのノア・ファルカス師は、ヘイトスピーチの日常化に関するソーシャルメディアの影響力を「ロケット燃料」にたとえた。「Instagramのフォロワー数が世界のユダヤ人人口を上回るような有名人が、反ユダヤ的な物言いでユダヤ人を非難することが可能になっています。ヘイトスピーチの常習化は続くばかりです」と、同師はカニエ・ウェストを引き合いにしてローリングストーン誌に語った。名誉毀損同盟によると、昨年末ウェストが発した反ユダヤ的な暴言から火がついて、ウェストの名を騙る破壊行為や嫌がらせ、恐喝が起きているという。

サイモン・ウィーゼンタール・センターのエイブラハム・クーパ―師も、起訴が発表された17日の会見で同じような意見を述べた。クーパー師いわく、「TikTokやTwitterなど大手ソーシャルメディアはずいぶん長いこと憎悪の課金を止めてこなかった。種類を問わずコミュニティにうがった見方をする人々は、こうした強力なマーケティングツールを活用して憎悪をまき散らしている」。

ロサンゼルスのユダヤ人コミュニティは連邦起訴を歓迎するものの、昨今の反ユダヤ的な事件のせいで人々は恐怖や怒りを感じている、とファルカス師は言う。「堪忍袋の緒が切れています。みな恐怖や不安を抱き、通りを歩いたらいいものかと考えあぐねています」と同師。「今では怒りも(感じています)。こうした新たな感情が沸きあがっている理由は、ヘイトスピーチは憎悪犯罪につながることをユダヤ人コミュニティは以前からずっと継承を鳴らしていたからです」。

トラン容疑者は17日午後に初出廷する予定。そこで起訴内容が通達され、保釈の可否が話し合われる。大陪審の起訴が申し立てられるまで、罪状認否は行われない見込み。有罪になれば、最大で終身刑が求刑される。

記事掲載時点では、トラン容疑者に弁護人がついているかどうかローリングストーン誌は確認できなかった。

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from Rolling Stone US

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