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土岐麻子×TENDRE対談 お互いのシンパシーとビルボードライブへの想い

Rolling Stone Japan / 2023年4月6日 18時30分

土岐麻子、TENDRE(Photo by Kazushi Toyota)

⼟岐⿇⼦が4月25日に横浜、27日に大阪、5月3日に東京でビルボードライブ公演「Toki Asako Special Live ”Break Out, Sing Out!”」を開催。横浜公演にはTENDREがゲストとして出演する。洗練された音楽センスをもつ2人に、出会いから意気投合までのエピソード、公演の展望とヴェニューへの思い入れを語ってもらった。


2人の出会いと「不思議な縁」

―そもそもお二人の交流は、どんなきっかけで始まったのですか?

土岐:最初は坂本真綾さんの現場でしたよね?

TENDRE:はい。真綾さんに作曲と編曲のオファーをいただいて。それが「ひとくちいかが?」という楽曲なのですが(2021年のアルバム『Duets』収録)、土岐さんは作詞だけでなく、真綾さんとのデュエットもされていましたよね。



土岐:友人同士の他愛もないお喋りをテーマにした楽曲で。コロナ禍のためTENDREさんとはZoomとメールのやり取りだけだったけど、すごくいい曲に仕上がって。とてもいいムードで制作ができたので、ぜひ私の楽曲でもお願いしたいなと思ったんです。

TENDRE:土岐さんのアルバム『Twilight』(2021年)に入っている「眠れぬ羊」という曲でコラボレーションさせていただきました。僕は土岐さんのボーカルを、それこそCymbalsの時から愛聴していましたから、憧れの存在というか。でも実際にお会いしたら、すごく気さくに接してくださって。歌の柔らかさから伝わる人柄そのままの人なんだなと思いました。

土岐:嬉しい! 実は「眠れぬ羊」のレコーディングをする前にも一度イベントで会っているんですよね。そのときに初めてTENDREさんのステージを見たんです。もともと音源は好きで聴いていたんですけど、ライブとすごくいい形で連動しているというか、TENDREさんの緻密な頭の中を、そのままステージでも再現しているなって。

TENDRE:あははは。

土岐:ライブになると、歌い方が結構変わる人っているじゃないですか。私はどちらかというとそっちのタイプなんですけど、TENDREさんはあえて熱くなり過ぎないよう理性的に歌っている気がしました。そういうシンガーが好きだというのもあるし、もともとプレイヤーだったということを後から知って「なるほど」と思いましたね。



―コラボをしていて印象に残っているエピソードはありますか?

土岐:そういえば「眠れぬ羊」のレコーディングの時にお聞きしたかったんですけど、私のメインの歌を録った後に、たくさんコーラスを重ねてくれたじゃないですか。「僕、自分でディレクションします!」と言ってブースに入って、エンジニアと一緒にものすごく手際良く声を重ねていっている様子に驚いたんですよ。あらかじめどんなハーモニーにしようとか、声色はこんな感じにしようとか、ある程度決めてあるんですか?

TENDRE:その場でパッと浮かんだアイデアをそのまま試してみることが多い気がしますね。確かその時は「毛布みたいなコーラスを入れます」みたいなことを、土岐さんに言ったのを覚えています。

土岐:そうそう、言ってた!(笑)

TENDRE:土岐さんの歌が入ったトラックをスタジオで聴いたときに、「この曲は、温かくて柔らかい男声コーラスでメロディを包み込もう」と閃いたんです。温かくて柔らかく、包み込むものといえば「毛布」だなと(笑)。自分の楽曲でも、思いつきでどんどんコーラスを重ねることが多いんですが、他の人の曲で自分の思いつきを試すなんて、そんな贅沢な機会はまずないから張り切ってしまいましたね。心の中でニヤニヤしながら重ねた記憶があります。

土岐:あのときTENDREさんは、全ての作業に確信を持って、全く迷わずにどんどん進めている気がして。その集中力もすごいと思ったし、そういう人だからこそライブでもあんなに落ち着いているというか、自分の音に「迷い」がないのだなと、今お話を聞いて納得しましたね。あと、曲のイメージについてやりとりをしているときに、抽象的な表現を使っていたじゃないですか。それもすごく印象に残っています。私はどちらかといえば、専門的な音楽用語より抽象的な表現を使うことが多いので、すごくやりやすかった。

―それは、例えばどんな表現ですか?

土岐:アルバムのタイトルに付けた「トワイライト」は、夕方と朝の両方に訪れますが、この曲は「ひとしきり賑やかな夜を友人たちと過ごした後の帰り道をイメージしよう」と。寂しくもあるような、ちょっとホッとする気持ちもあるような、体は疲れているけど、どこか心地よい感覚。「そういう幸せな帰り道みたいな曲がいいですよね」って話し合ったんです。それがすごく印象に残っているし、イメージも共有しやすく楽しかったんですよ。特に歌詞についてはまずイメージがあって、それを言葉に置き換えてからロジカルに詰めていく方がうまくいく気がしますね。

TENDRE:自分がどういうシチュエーションで聴きたいかをイメージしたかったのもあるし、聴き手に対しても「こういう気分になりたいときに聴いてもらいたいな」という提案でもあって。いずれにせよ、土岐さんとのコラボの時は「日常のなかのどの瞬間を切り取るか?」みたいな話を具体的にできたからこそ、情景が浮かびやすい楽曲になったのかなと思っています。


Photo by Kazushi Toyota

―土岐さんは最近のインタビューで、「年下の世代の方とのコラボから学ぶ機会が増えている」とお話されていましたが、TENDREさんとのコラボを通じて得たものは?

土岐:うーん、どうだろう。若い人とコラボをすると、「あ、こういうやり方をするんだ」とルールの違いに驚くことがあるんですけど、TENDREさんはそういうのがなかったかも。世代間の違いを感じるよりも、シンパシーを覚える部分も多くて。ミュージシャンシップの感覚が近い方なのだなと思いましたね。

TENDRE:きっとそれは、僕の両親が音楽をやっていたのも大きいかもしれないです。新しいことを取り入れていくのも好きなんですけど、自分のルーツみたいなところも大切にしてきているので、これまでにも世代が上のミュージシャンとコラボをしてきたことは何度かありますが、その時もあまり世代間ギャップみたいなものは感じなかった気がします。

土岐:知り合ってから知ったことなんですけど、私の父(サックス奏者の土岐英史)とTENDREさんのお父さま(ベーシストの河原秀夫)も、ミュージシャンとして交流があったみたいなんですよね。父は一昨年他界したのですが、去年追悼ライブで、TENDREさんのお父さまがベースを弾いてくださって、それを母親が教えてくれたんですよ。

TENDRE:なんだか不思議な縁ですよね。

ビルボードライブは「特別な空間」

―4、5月に東京・大阪・横浜で開催されるビルボードライブ公演では、音楽監督の小西遼さん(CRCK/LCKS、象眠舎)と、西原史織さん(Violin, Gt, Cho)、山本拓真さん(Key, Synth Bass, Cho)、原元由紀さん(Ba, Bassoon)、大井一彌さん(Dr)から成るスペシャルバンドがサポートし、横浜公演のゲストとしてTENDREさんが出演します。

土岐:思えば小西さんとの出会いも、TENDREさんとのライブだったんですよね。それが縁で、小西さん率いる象眠舎のライブにゲスト参加させていただきました。そのときのアレンジや演奏もすごく良かったんです。もうびっくりして。20人近いミュージシャンがアンサンブルを奏でているのに、音がきれいに整備されているから歌も乗せやすいし、そして歌っているとどんどん自分の中でエモーショナルに盛り上がってくるんです(笑)。

TENDRE:わかります。

土岐:私以外のゲストボーカルの方も、皆さんそんな感じで楽しんで歌っていましたよね。ボーカリストをノセるアレンジを考えてくださる方というのが小西さんの印象です。今回のビルボードライブは、いわゆるリリースツアーではないし、これまでのレパートリーから新旧取り混ぜたセットリストを組むならアレンジで遊んでみようかな、と。そう思ったときに真っ先に思い浮かんだのが小西さんで、ゲストを呼ぶならやはりTENDREさんしかいないなって。

TENDRE:とても光栄です。ここまででご一緒してきたゆかりの曲はもちろん、土岐さんのこれまでのレパートリーの中から、もし私がお力添えできるような場面があればとも思っています。まさに「毛布」のような気持ちで。

―あははは。東京・大阪公演では堀込泰行さんがゲスト出演されますが、TENDREさんも交流があるそうですね。

TENDRE:そうなんです。一度、泰行さんの楽曲をアレンジさせていただいて(2020年のEP『GOOD VIBRATIONS 2』収録曲「強く優しく」)。

土岐:泰行くんは昔から知っている同世代の一人ですけど、割と早い段階でTENDREさんとコラボしたり、下の世代ともフラットに交流していますよね。いろんな人と交流しながらアップデートしているのでリスペクトしています。


Photo by Kazushi Toyota

―ちなみに、ビルボードライブにはどんなイメージがありますか?

土岐:やっぱり特別な空間だなと思います。ラグジュアリーだけど、緊張感がありすぎるわけでもない。日常の延長線上にありつつ、普段よりおしゃれして美味しいものを食べて、いい音楽を聴くちょっと特別な場所。自分がお客さんとして見に行くときは、いつもワクワクしています。もちろんお目当てはアーティストなんだけど、会場に足を運ぶ段階でワクワクするじゃないですか。決して狭いわけでも小さいわけでもないのに、どの席から見てもアーティストとの距離が近く感じるのも嬉しい。私は1階席でも2階席でも見たことがあるのですが、どの席にも楽しみ方があるのもお気に入りである理由の一つです。

TENDRE:観る側もやる側も、一体となるようなライブハウスとはまた一味違う楽しみ方がビルボードライブにはありますよね。テーブル席があって、食事を楽しむ人もいれば、お酒を楽しむ人もいるし、もちろん音楽を噛み締めている人もいて。それぞれがそれぞれの楽しみ方を、お互い尊重しながら満喫している。

土岐:そういう場所だから、ライブが始まる前からお客さんのムードが出来上がってくれているのは、出演する側としても嬉しいんですよ。

TENDRE:確かに!

土岐:私もそのムードの中に混ぜてもらっているような、そんな気持ちで歌える唯一の場所がビルボードライブです。私、来年でソロ20周年なのですが、そのときにも何かいろいろやりたいと思いつつ、今年はその前に企画で遊んでおこうという気持ちでいて(笑)。去年、事務所を独立して今回が初のワンマンツアーでもあるし、自分でこうやって企画をしてライブをやるのも久しぶりなんです。いろんな方が快く手伝ってくださっていますし、TENDREさんも一緒に歌ってくれるということで、今から本当にワクワクしています。

TENDRE:横浜は地元ですからね。終わった後に、土岐さんがおいしいお酒を飲めるよう尽力させていただきます!(笑)




土岐麻子 Toki Asako Special Live ”Break Out, Sing Out!”

2023年4月25日(火)Billboard Live YOKOHAMA
Guest:TENDRE
1stステージ 開場16:30 開演17:30
2ndステージ 開場19:30 開演20:30
詳細・チケット購入はこちら

2023年4月27日(木)Billboard Live OSAKA
Guest:堀込泰行
1stステージ 開場16:30 開演17:30
2ndステージ 開場19:30 開演20:30
詳細・チケット購入はこちら

2023年5月3日(水・祝)Billboard Live TOKYO
Guest:堀込泰行
1stステージ 開場15:30 開演16:30 
2ndステージ 開場18:30 開演19:30
*1stのみソールドアウト
詳細・チケット購入はこちら

メンバー(全公演共通)
土岐麻子
⼩⻄遼(Director / Sax / Synth)
⻄原史織(Violin / Guitar / Chorus)
⼭本拓真(Keyboard / Synth bass / Chorus)
原元由紀(Bass / Bassoon)
⼤井⼀彌(Drums)

料金:サービスエリア(横浜・大阪 ¥6,500- / (東京) ¥6,800-
カジュアルエリア (全公演共通) ¥6,300-(1ドリンク付)




象眠舎 Billboard Live Tour 2023 ”New Arrivals”

CRCK/LCKSのリーダーであり、Charaやmillennium paradeの作品にも参加している小西遼のソロ・プロジェクト「象眠舎」がビルボードライブ初登場。TENDREなど多数の個性派ボーカリストを迎え、総勢15名を超える管弦を含んだ大所帯バンドによる唯一無二のパフォーマンスは必見。

2023年5月19日(金)Billboard Live OSAKA
1stステージ 開場 17:00 開演 18:00
2ndステージ 開場 20:00 開演 21:00
詳細・チケット購入はこちら

2023年5月26日(金)Billboard Live YOKOHAMA
1stステージ 開場 17:00 開演 18:00
2ndステージ 開場 20:00 開演 21:00
詳細・チケット購入はこちら

ゲストボーカル:
TENDRE
AAAMYYY ※横浜のみ
吉田沙良 from モノンクル
映秀。 ※横浜のみ
Ema
Sarah Furukawa
るーか
……and more!

料金:サービスエリア¥9,000、カジュアルエリア ¥8,500 (1ドリンク付)

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