U2最新インタビュー 「再解釈」アルバムの内幕、ウクライナでの経験、次回作のプラン
Rolling Stone Japan / 2023年4月4日 18時30分
U2のギタリスト、ジ・エッジの最新インタビュー。過去の作品を再構築したニューアルバム、ラスベガスでのショー、ギターを中心とした次回作のプラン、ラリー・マレン・ジュニアの代理ドラマーなどについて、米ローリングストーン誌に語った。
U2のニューアルバム『Songs of Surrender』の終盤、1980年の大ヒットシングル「I Will Follow」の聴き慣れたコード進行のイントロが流れる。しかしそこにはドラムもベースもエレキギターもない。そして22歳の若者ではなく、62歳の目線で焼き直した新たな歌詞でボノが歌い出す。
”僕は外側にいた/あなたが僕を必要だと言った時”とボノは歌う。”鏡に映るのは僕が決してなれなかった少年/少年は大人になろうともがく/母親はそんな彼の手を離す/悲しみという贈り物が声に命を吹き込む/あなたが去ってしまうなら/僕はついて行こう”
U2は、「With or Without You」や「Pride (In the Name of Love)」等のメガヒット作品だけでなく、「Stories for Boys」「Red Hill Mining Town」「If God Will Send His Angels」といった隠れ名曲を含む過去の40曲を大胆に再アレンジし、時には装飾を削ぎ落として『Songs of Surrender』に収録した。ボノの回想録『Surrender: 40 Songs, One Stor』と緩やかにつながっている本作は、ギタリストのジ・エッジによる発案で、コロナのパンデミック中に、ブライアン・イーノ、ダニエル・ラノワ、ボブ・エズリンといった従来のコラボレーターやバンドのメンバーと、密かに作業を進めていた。
ジ・エッジは、カリフォルニア州マリブにある自宅で、ローリングストーン誌とのオンライン・インタビューに応じた。ニューアルバム『Songs of Surrender』の制作状況、ラスベガスのMSGスフィアで予定されている長期間のレジデンシーコンサート、背中を痛めているラリー・マレン・ジュニアの代役を務めるオランダ人ドラマーのブラム・ファン・デン・ベルフ、ギターを中心とした次のアルバム、2022年にウクライナの首都キーウで行ったアコースティック・ライブ、コンサートチケットのプライスポイントや入手性に関する厄介な問題、アルバム『Pop』のボックスセット、U2の伝記映画の将来的な可能性などについて語ってくれた。
ジ・エッジ、2017年撮影(Photo by TAYLOR HILL/FILMMAGIC/GETTY IMAGES)
―ニューアルバム『Songs of Surrender』を制作するきっかけは何だったでしょうか?
ジ・エッジ:ひとつのアイディアとして、しばらく前から考えていた。ロックダウンがきっかけになったと思う。それにボノが、各章に僕らの曲のタイトルを付けた本の出版を企画していたのも知っていたしね。「今しかない」という感じだった。上手く行かなければリリースしなければいいだけだし、誰もプロジェクトの存在を知らなかったからね。レコードレーベルに急かされていた訳でもないし、自分のため、ファンのために進めたプロジェクトだった。
それから、初期の作品を作った頃の僕たちはまだ未熟だった、ということも実感できた。ボノもシンガーとして、地に足が着いていなかった。クラブでは盛り上がったかもしれないが、どうせ客の半分はステージに注目していなかったし、当時の僕らのレベルからすると、少々分不相応な会場で演奏していたかもしれない。ボノが歌うメロディも、彼の声域の一番高いところ、つまり最も力の入る音域を懸命に使おうとしていた。
「歳を重ねたことでボノの声も成熟したし、シンガーとしての声の出し方や表現力も、当時より格段に改善されている。だから昔の曲を焼き直してみる価値はあるんじゃないか?」と考えたのさ。
これまでに何曲か試してみて、「Staring at the Sun」や最近の「Every Breaking Wave」のように、余分なものを削ぎ落として上手くいったパターンもあった。「埋もれた作品やヒット曲をさらに多く織り交ぜて、当時とは違った形で作り直したらどうだろう?」と検討してみた。
ピアノやアコースティックギターでじっくり時間をかけて検討しているうちに、それぞれの曲の雰囲気が固まっていった。僕もボノと声域は似通っているから、まずは自分で歌ったバージョンをボノに聴かせた。最初のセッションでボノが歌ってみると、「いい感じじゃないか。何だか行けそうだ」となった。
ボノも僕らも、カジュアルな感じのレコーディング方法が好みだ。僕らは普通の家の一室に、レコーディングできる環境を作った。正式なスタジオ設備ではない。「ここなら何かが生まれそうだ」という感じで、新鮮で説得力のあるボーカル・パフォーマンスのアイディアがいろいろ出てきた。僕もどんどんのめり込んでいって、気づいたらアレンジが50種類もできていた(笑)。だから、少々こだわった仕上がりになっている。
『Songs of Surrender』制作背景
―実際にアルバムの制作作業を始めた時期はいつ頃ですか?
ジ・エッジ:新型コロナのロックダウンの真っ最中だったから、2021年の初めかな。その年の作業は断続的だった。
―ボーカルのレコーディング時は、あなたもボノと一緒に作業しましたか? それともリモートで進めたのでしょうか。
ジ・エッジ:ほとんど全ての作業を、同じ場所で一緒にこなした。ちょうど2人共フランスにいたので、僕らの友人でありエンジニアとして長い付き合いのあるデクラン・ギャフニーを呼び、さらにチェリストのステファン・ハウザーにも参加してもらった。彼らとは4日か5日間一緒に作業した。おかげで、僕のアコースティックギター1本だけだった「Vertigo」が、アコースティックギターとチェロの見事な競演に進化した。「Dirty Day」もアコースティックギターで作っていたが、最終的にギターの大部分をボツにして、ハウザーのチェロ中心の楽曲に仕上がった。
レコーディングは数日単位で区切られて進んだが、ボノと僕はほとんど一緒にいた。ジュニア・エンジニアとでも言うべきダンカン・スチュワートとも、長い時間一緒に作業した。彼は本来、アーティストだ。僕らはロンドンとロサンゼルスのちゃんとしたスタジオでも、レコーディング・セッションをした。ロンドンでの最初のセッションで、本当にいい感じのスタートを切れた。アダム(・クレイトン)が合流して素晴らしいベースを弾いたし、ブライアン・イーノはバッキング・ボーカルで参加している。
ロサンゼルスではダニエル・ラノワと、ポール・マッカートニーのドラマーとして有名なエイブ・ラボリエルが参加した。2人は、「I Still Havent Found What Im Looking For」で素晴らしいコーラスを聴かせてくれている。この時点で、ボブ・エズリンもいた。ロンドンとロスでのセッションのおかげで、プロジェクトがかなり前進した。レコーディングの山場を越えて、アレンジも具体化できた。
―アルバムのプロデューサーは誰になるのでしょうか?
ジ・エッジ:僕がメインで、ボブ(・エズリン)もプロデューサーの一員だ。それからダンカン(・スチュワート)とデクラン(・ギャフニー)もクレジットされている。僕がリードしたが、苦労したのはボブの方だ。
―ほとんどの楽器をあなたが担当したようですね。
ジ・エッジ:その通り。アダムとラリーの2人もほとんどの曲に参加しているが、全てではない。ラリーのパーカッションは最高だった。ラリーはフルセットのドラムで参加する気がなかったか、準備ができていなかったのだと思う。僕の役割は、ラリーが過去にレコーディングしたドラムから、使えそうなループを探し出すことだった。「Get Out of Your Own Way」にマッチしたドラムループは、少し前のレコーディングの時に、彼が面白半分に叩いたパターンを使った。僕がこのドラムループを発掘した時は「出だしからこの曲にピッタリ合うじゃないか!」と感動した。
「The Fly」では、2本のベースを重ねてみた。最初はノーマルなギター・バージョンを試してみたが、オリジナル・バージョンと似通ってしまい、いまいちだった。エキサイティングでもなかったし、一からやり直すことにした。僕がベースの高いパートを弾き、アダムの低いベースラインと合わせてみると、今まで試したことのない面白い仕上がりになった。
―アルバムは4つのセクションに分かれていて、それぞれにメンバーの名前が付いています。セクション毎に分けた意図は何でしょうか?
ジ・エッジ:正直に言って、直感的な成り行きだった。あまりよく考えずに「この10曲のかたまりのリーダーは誰だと思う?」といった感じで出たアイディアだ。とにかく、よく練ったアイディアではない。僕自身、どうやって決定したのかよく思い出せない。メールのやり取りの中で決められたと思う。「これでいいかい?」と問われて、皆が「いいね。自分のコレクションらしくまとまっている」と返信して決まった感じさ(笑)。
聖域なき「再解釈」、ウクライナでの経験
―ビッグヒットと並行して、隠れた作品も取り上げている点が素敵です。
ジ・エッジ:実は、『Zooropa』の「Dirty Day」のような、これまで日の目を見なかったディープな作品を掘り起こしたかったのさ。普通はベストコレクションに選ばれないような曲だ。でも、曲の持つポテンシャルには確信があった。今回の出来映えに関しては、とても満足している。
「If God Will Send His Angels」は、『Pop』からのシングル曲だ。でも、僕らのライブ向きの作品ではなかった。だからシングルとはいえ、ほとんど無名に近い作品だった。僕は常々、この曲のポテンシャルをフルに引き出せていないと感じていた。だから今回ピアノの前に座って、以前とは違った形でメロディに合うコード進行を見出す作業は、楽しかった。全く違った曲になったが、しっかりと対になっている。このやり方が、ひとつのスタンダードになると思う。特にピアノで焼き直すやり方は、いい感じだ。
―どの作品に対しても、触れてはならない聖域を設けていない点が素晴らしいと思います。単にメロディやアレンジを変えただけではなく、時には歌詞も変更しています。極端に変わった曲もあります。
ジ・エッジ:そう。「Stories for Boys」が典型的な例だ。今回は最終的に、僕がデモで吹き込んだボーカルを採用した。完全なる書き換えだ。オリジナルは知っての通り、僕らの1stアルバム用にレコーディングされた曲だ。まだ18か19歳の子どもだった。正に「少年(Boy)」だった僕らが「少年たちのストーリー」を書いたのさ。
しかし当時からは時間も経過しているし、僕らもいろいろな経験を積んで大人になった。だから当時書いた言葉をそのまま今の僕らが発しても、しっくり来ない。そこで、今の僕らが当時を振り返る形で歌詞を書き直した。当時の身の回りで起きていたことや自分自身を、違った視点から振り返って見ているのさ。すると、まるで新しくモダンな味わい深い作品に生まれ変わった。もしもオリジナルの歌詞にこだわってしまっていたら、決して実現しなかっただろう。
―今の自分と少年時代の自分との会話のようですね。とても画期的だと思います。
ジ・エッジ:その通り。今回のプロジェクト全体を通じて僕らがこだわったポイントだ。僕らのように実現できるバンドは、他には滅多にないと思う。僕らは変わることなく長い時間を一緒に過ごし、引っ張り出せる作品もたくさんあるからね。とても興味深い、クリエイティブな新境地だと思う。
―例えば「Where the Streets Have No Name」などは、これまでに数え切れないほど演奏してきたと思います。今回はそんな曲であってもコンテクストを再構成し、”この水もない場所では日を避けるシェルターが必要だ/雨を祈る砂漠の薔薇”と歌詞の一部も変えています。
ジ・エッジ:しかも、ギターも入っていない。素晴らしい仕上がりだと思う。僕らの楽曲がそれぞれ強力なアイデンティティを持ち、今回のような大胆な解釈の変更にも耐えられるということが、証明された。オリジナル曲の持つフィーリングや込められた思いはそのままに、ひとつの作品として成り立っている。
曲は、ハウザーによる情緒的なチェロで始まり、僕のエレクトリック・ピアノに展開する。今回のプロジェクトの中でも、最もドラマチックに構成や色彩を変えた作品だと思う。それから「City of Blinding Lights」もまた、オリジナルとは楽器を変えて、全く別の表現ができた。
―初志貫徹できなかったアウンサンスーチーをテーマに、2000年にリリースされた「Walk On」を、今回はウクライナ向けに焼き直しています。
ジ・エッジ:セッションを進める中で、我々を取り巻く世の中の出来事が、自然と僕らの意識の中に取り込まれた一つの例だ。「Walk On」を含む数曲をボノと共同で仕上げている最中に、ウクライナで戦争が起きた。正に現在進行中のウクライナの状況は、「Walk On」が伝えようとしているテーマにふさわしかった。
悪の親玉であるロシアのプーチン大統領に、国を挙げて立ち向かおうと呼びかけたウクライナのゼレンスキー大統領が、かつては俳優やスタンドアップ・コメディアンだったことに、強烈な衝撃を受けた。新しく書き換えた歌詞は、彼のバックグラウンドにインスパイアされている。
この世界、何がどう展開するか分からないものだ。「Walk On」を仕上げてしばらく経った頃に、ゼレンスキー大統領の首席補佐官から、キーウでコンサートをしてくれないかと依頼を受けた。ボノと僕のスケジュールの都合が辛うじてついたので、依頼からわずか1週間後に、2人はポーランドから夜行列車に乗ってウクライナを目指した。翌朝キーウに着くと、空襲警報が鳴り響いていて、少々不安を感じた。地下鉄の駅の構内に小さなステージが用意されていて、僕らは7曲か8曲演奏した。
僕らは、地元のミュージシャンとの共演を望んだ。ある友人を通じて、ウクライナの人気シンガー、タラス・トポリアの電話番号を入手した。僕らが出発する前日に、ボノが直接彼に電話した。電話の向こうの彼は、息を切らせて走っていた。「タラス、こちらはボノだ」と言うと彼は、「OK、ちょっと待ってくれ」と答えた。多くのウクライナの若者と同様、彼もまた軍隊に志願して、正に前線で戦っている最中だった。
電話でタラスには、僕らがキーウで演奏するので一緒に歌って欲しい、とだけ端的に伝えた。彼が来られるかどうかは定かでなかった。彼曰く、部隊長の許可が下りれば行く、とのことだった。その後、彼もキーウへ向かっているという連絡を受けた。
ボノと僕による地下鉄ライブの最後に、タラスと「Stand By Me」を共演した。彼は、軍服を着たままステージに上がった。彼は文字通り、戦闘の最前線から駆けつけたんだ。
非常に意義深い旅だった。ロシアに破壊されたキーウの街並みを見るのは、とても辛い経験だ。戦争を生き延びた地元の人と話したり、残念ながらなくなってしまった多くの人々の墓を目にした。大きく心を揺さぶられた。そしてここでも、芸術と現実が衝突する。しかし自分が気持ちを込めれば、たとえ少しでも、音楽に命を吹き込めることを証明できた。
ラスベガス長期公演「Achtung Baby Live」の展望
―壮大なアルバムのラストは「40」で締めていますね。
ジ・エッジ:今回のプロジェクトは、明らかに、新型コロナウイルスによるロックダウンがきっかけになっている。音楽やバンド自身の装飾を剥ぎ取って基本に立ち返り、僕らが過去に残した作品がどう聴こえるかを確認できる音楽的なチャンスだと捉えたのさ。ロックダウン中の我々も、自分自身の本質を見極める生活だった。
ボノの本の制作も、ちょうど進行していた。彼は各章のタイトルに、僕らの作った楽曲のタイトルを付けることにした。40章に40曲のタイトルという形になるまでに、さまざまな検討がなされた。それに僕らには、「One」という曲と「40」という曲があるからね。
―数カ月前、本の宣伝も兼ねて行われたボノのソロコンサートを、観客として観た感想はいかがでしたか? 過去には決してあり得なかったシチュエーションだと思います。
ジ・エッジ:僕はコンサートの初日に行った。U2でいつもしてきたように、前日に行われた最後のリハーサルの場にも顔を出した。初日はいつだって、緊張する。でも今回は僕には何のプレッシャーもなく、ただの友人の一人として、客観的に観て聴いて楽しめた。最後のリハーサルは本当に感動した。彼は何かを掴んだかのようだった。そして初日は、素晴らしい形でスタートした。
僕はたぶん、最終リハーサルに最も自信があるんだと思う(笑)。リハーサルでのボノの姿を見て、「彼は完璧に決めた。素晴らしいコンサートになるだろう」と確信した。僕は細かい人間でもある。小さなことが気になるんだ。でも今回は、全く気になる点がなかった。完全に客観的な立場でいられたので、楽だった。
―ラスベガスのMSGスフィアで予定されている長期間のレジデンシーコンサートには、「Achtung Baby Live」というタイトルが付けられています。『Achtung Baby』を全曲演奏する予定ですか?
ジ・エッジ:どうすべきか、どうしたいかを決めるのは時期尚早だと思う。自分たちがしっくり来るセットリストを、我々自身で決めたいと思う。今回の会場が素晴らしいのは、音とビジュアルを連動できる点だ。いろいろ取り組まねばならないことが多い。とにかく、コンサートの直前になるまで最終決定はできないだろうね。
―それでも、『Achtung Baby』の楽曲が中心になるのは間違いないでしょうか?
ジ・エッジ:そうだな。『Achtung Baby』を中心に据えて、全曲やると思う。
―Zoo TVツアーのようなビジュアルになるのでしょうか?
ジ・エッジ:これも現時点では何とも言えない。今回のプロジェクトには、当時のコンテンツは通用しないだろう、と僕らは考えている。いろいろな面で違うからね。Zoo TVで使ったスクリーンは割と小さかったし。でも今回は、いろいろやってみる余地も自由もある。Zoo TVを参考にするかもしれないが、再現する訳ではない。
―ブラム・ファン・デン・ベルフが、ラリーの代役を努めます。彼とはどのように知り合ったのでしょうか?
ジ・エッジ:ブラムは、共通の友人であるマーティン・ギャリックスに紹介された。彼のプレイは素晴らしいし、人柄もよい。彼は本当にエネルギッシュな人間だが、同時に付き合いやすい人間でもある(笑)。U2は深い友情と固い結束力で続けて来られたバンドなので、一緒に過ごして素晴らしい人間であることは、もちろん重要な判断基準になる。彼と上手くやって行くために、既にいろいろ調整してきた。素晴らしいコンサートになると思うよ。
もちろん、ラリーがいないのは寂しい。彼がドラムをプレイできる状態でないと知った時は、落ち込んだ。病気を治すのが優先だ。40年間一緒にやってきて、初めての経験だ。こんなに長く誰も欠けることなく続けて来られたのは、驚異的なことだと思う。
―コンサートは、2023年9月にスタートするのでしょうか?
ジ・エッジ:スケジュールは未定だ。まだ施設が建設中だしな。2023年の秋ということで、9月よりも前ということはない。それよりも後になることも考えられる。施設の完成がいつになるか、僕らも待っているところだ。
―MSGスフィアでは、どの程度の期間レジデンシーコンサートを行うのでしょうか?
ジ・エッジ:正確には分からない。クリスマス前には終了したいと思っている。そこは重要なポイントだ。広い会場であることは、念頭に置いている。レイアウトにもよるが、2万人近いキャパシティがあるという。いわゆる従来のラスベガスのレジデンシーコンサートとは違うと思う。短期間になるかもしれないし、まだ分からない。規模については検討中だ。間もなく発表できると思う。
―「Love Is Blindness」を久しぶりにライブで聴けるのが楽しみです。
ジ・エッジ:僕のお気に入りの1曲だ。
―最近では、チケット販売に関するさまざまな論争が持ち上がっています。特に、チケット料金とサービス料の高騰や、ダイナミックプライシングや、良席を独占してしまうbotの存在などが問題になっていますが、この状況をどう考えますか?
ジ・エッジ:僕らはファンのために尽くしたい。その考えが基本にある。U2は、ファンとの関係を最優先に考えている。チケット問題に我々がどう取り組むかは、多方面にわたる複雑な問題だ。とにかくU2は、ファン第一主義ということだ。
次回作の「ギターアルバム」について
―ボノは先日、「ノイジーで妥協のない、とてつもないギターアルバム」を作っている、と発言しています。現在の進行状況はいかがでしょうか?
ジ・エッジ:『Songs of Surrender』のプロジェクトと並行して、新曲もたくさん作っていた。ロックダウン直前にも、多くの良い曲ができた。何曲かは間もなく完成するだろう。選ぶのにひと苦労だ。新たな素材がたくさんあり過ぎて、困っている状況だ。とりあえず『Songs of Surrender』とMSGスフィアの準備を優先しているが、新作も進めてきた。
―ボノの言う「ギターアルバム」とは、どのような作品を期待できるでしょうか?
ジ・エッジ:楽器としてのギターは、プロからアマチュアまで世界中のミュージシャンに愛されてきた。ただ、ストリーミング音楽のチャートにおける存在感という意味では、ここしばらくの間は主役の座から外れていた、と個人的に感じる。しかし何となく、ギターへの関心が再び高まっているように思う。ギター人気が、また広がりだしたようだ。僕らにとって、ギター中心の音楽を作るのに絶好のタイミングだと思う。こういう成り行きだ。何もAC/DCになろうという訳ではない。できるだけフレッシュな方法で、ギターをフィーチャーしてみたいと思っているんだ。僕にとってギターは、初めて愛した楽器だ。
―新曲はいつ頃解禁されるでしょうか? 来年あたりでしょうか?
ジ・エッジ:できるだけ早く、といったところだ。もちろん、僕の希望だがね。ボノも同じ考えだと思う。早く出したいとは思うが、リリース前にすべきことが山ほどある。ただ言えるのは、僕らは楽しみながら集中して新曲を作ったということだ。
―来年になればラリーは復帰できるでしょうか?
ジ・エッジ:もちろん、復帰できる状態になればすぐに、ステージのドラムセットに座って欲しいと思っている。僕らは彼からの知らせを待つしかない。今は、彼の回復状況を早く知りたいと思っている。
―これまでに『The Unforgettable Fire』『The Joshua Tree』『Achtung Baby』『All That You Cant Leave Behind』のボックスセットがリリースされました。多くのファンが『Pop』のボックスセットを待ち望んでいます。いつの日か、当時を思い返させてくれるボックスセットがリリースされるでしょうか?
ジ・エッジ:昔のアルバムでも、人々に新鮮な感覚で聴いてもらえる作品もある。『Pop』もそういうアルバムの1枚だ。当時は、アルバムをリリースして大規模ツアーをすることに集中し、注力していた。しかし今になって少し距離を置いてみると、『Pop』も本当に新鮮に聴こえる。何か記念になるようなものが作れたらいいと思う。U2のプロジェクトに取り組むのは楽しい。リパッケージにしろ再リリースにしろ、未発表のまま眠っている素材はたくさんある。だから機が熟したら、きっと実現すると思う。
―そろそろお時間ですが、ボノのように、あなたも自叙伝を出版する予定はありませんか?
ジ・エッジ:これまでを振り返るには、まだ若すぎると思っている。もっと歳を取ったら考えるかもしれない。この先どうしようか、まだよく分かっていない感じだ。
―最後になりますが、将来的にU2の伝記映画が実現すると思いますか?
ジ・エッジ:いつかきっと、実現すると思う。作らない理由はないだろう。これまでに、他のミュージシャンの素晴らしい伝記映画がいくつも作られている。これも時期を見て、素晴らしいスタッフが集まったらきっと実現する、と僕は思うよ。
【関連記事】U2の名曲ベスト50選
From Rolling Stone US.
U2
『Songs Of Surrender』
発売中
日本盤のみSHM-CD仕様
再生・購入:https://umj.lnk.to/U2_sos_
① 4CDスーパー・デラックス・コレクターズ・エディション
40曲収録/輸入国内盤仕様/完全生産限定盤
② 1CD初回限定デラックス盤 20曲収録
③ 1CD通常盤 17曲収録
〈収録曲〉
① 4CDボックスセット
CD1 – THE EDGE
1. One
2. Where The Streets Have No Name
3. Stories For Boys
4. 11 OClock Tick Tock
5. Out Of Control
6. Beautiful Day
7. Bad
8. Every Breaking Wave
9. Walk On (Ukraine)
10. Pride (In The Name Of Love)
CD2 – LARRY
1. Whos Gonna Ride Your Wild Horses
2. Get Out Of Your Own Way
3. Stuck In A Moment You Cant Get Out Of
4. Red Hill Mining Town
5. Ordinary Love
6. Sometimes You Cant Make It On Your Own
7. Invisible
8. Dirty Day
9. The Miracle (Of Joey Ramone)
10. City Of Blinding Lights
CD3 – ADAM
1. Vertigo
2. I Still Havent Found What Im Looking For
3. Electrical Storm
4. The Fly
5. If God Will Send His Angels
6. Desire
7. Until The End Of The World
8. Song For Someone
9. All I Want Is You
10. Peace On Earth
CD4 – BONO
1. With Or Without You
2. Stay (Faraway, So Close!)
3. Sunday Bloody Sunday
4. Lights Of Home
5. Cedarwood Road
6. I Will Follow
7. Two Hearts Beat As One
8. Miracle Drug
9. The Little Things That Give You Away
10. 40
② 1CD初回限定デラックス盤
1. One
2. Where The Streets Have No Name
3. Stories For Boys
4. Beautiful Day
5. Walk On (Ukraine)
6. Pride (In The Name Of Love)
7. City Of Blinding Lights
8. Red Hill Mining Town
9. Ordinary Love
10. Invisible
11. Vertigo
12. I Still Havent Found What Im Looking For
13. The Fly
14. If God Will Send His Angels
15. Until The End Of The World
16. With Or Without You
17. Stay (Faraway, So Close!)
18. Sunday Bloody Sunday
19. I Will Follow
20. 40
③1CD通常盤
1. One
2. Where The Streets Have No Name
3. Stories For Boys
4. Walk On (Ukraine)
5. Pride (In The Name Of Love)
6. City Of Blinding Lights
7. Ordinary Love
8. Invisible
9. Vertigo
10. I Still Havent Found What Im Looking For
11. The Fly
12. If God Will Send His Angels
13. Stay (Faraway, So Close!)
14. Sunday Bloody Sunday
15. I Will Follow
16. 40
17. With Or Without You(日本盤ボーナストラック)
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