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BTSのJIMINが語る、ソロアルバム『FACE』制作秘話とメンバーの支え

Rolling Stone Japan / 2023年4月3日 11時0分

JIMIN(Courtesy of BIGHIT MUSIC)

BTSのJIMINがソロアルバム『FACE』について語った、米ローリングストーン誌の最新インタビュー。制作過程で他のメンバーがどれだけ支えになったかも明らかに。

当の本人が決意する前から、BTSのメンバーはJIMINがソロデビューアルバム一番乗りだろうと確信していた。

去年の春、BTSはラスベガスでスタジアムツアー『Permission to Dance on Stage』の最終公演を行っていた。公演の合間、JIMINは兄弟同然のメンバーと飲みながら、パンデミック中に自信を喪失していたことを打ち明けた。彼はこの時、この夏に結成10周年を迎える仲間から必要としていた勇気をもらい、ソロプロジェクトに踏み出す準備が整ったと感じた。

「『なぜ自分はこんな生活をしているのか? 自分は今、何をしているのか?』とずっと考えていました」 早春の朝、ソウル市内にあるHYBEの事務所で、JIMINは通訳を介してローリングストーン誌に語った。メンバーは、自分たちも同じような悩みを募らせていたと言って彼を元気づけた。音楽で自分を表現すれば前に一歩踏み出せるかもしれないと、メンバーは提案した。

そして今、釜山出身の27歳は全6曲のアルバム『FACE』をひっさげて、ソロとしてポップスター街道を歩み始めた。激しくハードな曲から甘く洗練された曲まで、多種多様なサウンドが詰まったソロプロジェクトで、JIMINはアーティストとしての自分や人生に抱いてきた矛盾する感情を描き出す。16歳でBig Hit Entertainmentに加入した当初は歌が専門ではなかったが、すっかりK-POPを代表するシンガーへと成長した。甘く、かすかにエッジを効かせながら、ふわりと漂う煙のごとく母音を響かせる。このように微妙にメリハリをつけながら、メランコリックなR&Bソング「Alone」では寂寥とした孤独感を歌いあげ、かと思えば「Set Me Free Pt.2」では打って変わって激しい怒りをぶちまける。ホーンが炸裂する荒々しいこのヒップホップ・ソングで、彼は歯を食いしばるかのように歌いながら、”どんなに傷つこうとも、逃げたりしない”と新たな時代の到来を告げている。

ソロプロジェクトはBTS時代のJIMINから大きく進化している。BTSでは、2016年の「Lie」やラテンポップに触発された官能的な「Filter」のように、情感たっぷりのR&Bに傾倒していた。2018年にはソロデビューシングル「Promise」で、アコースティック・シンガーソングライターとしての一面ものぞかせた(この曲は長らくSoundCloudでしか聞けなかったが、最近になってようやく正式にリリースされた)。最新作『FACE』の楽曲では、モダンダンスと武道で培った力強くも流れるようなスタイルで、ダンスに長けた彼らしい入念に仕込んだパフォーマンスを用意している(彼の才能を存分に堪能したければ、2019年のメロンミュージックアワードで話題になった「I Need U」のコンテンポラリーダンスをご覧あれ。風に息が吹き込まれたかのように、さりげなくターンやスピンを決めている。2020年の「Black Swan」で観客の目を釘付けにしたパフォーマンスも必見)。憧れの存在だったBIG BANG・テヤンの官能的なスタイルを模倣していた少年時代から長い道のりを経て、今年1月にはK-POP大先輩の待望のソロトラック「Vibe」にゲスト出演し、JIMINはひとつの区切りを迎えた。



英語と韓国語で同時リリースされたアルバムのリードシングル「Like Crazy」で、JIMINは複雑に折り重なる感情を深く掘り下げている。ヒントになったのは、ドレイク・ドレマス監督が手がけた2011年の同名映画(邦題『今日、キミに会えたら』)だった。作中で描かれる、ビザの問題で一筋縄ではいかない英国人女性とアメリカ人男性の情熱的なロマンスをベースに、JIMINはとらえどころのない感情をダンスで表現しようとした。パフォーマンスを楽しみにしていると告げると、根っからの完璧主義な彼はたった一言、「がんばります」と答えた。

「FACE」=自分を見つめ直す旅

―アルバムのタイトルは『FACE』ですが、あなたにとってどんな意味があるのでしょう?

JIMIN:このアルバムでは、自分を見つめ直しています。「Face」という単語には様々な意味があると教えてもらいました。もちろん名詞としては「顔」ですが、動詞としては「向き合う、対峙する」という意味もあります。新しいスタート地点に立ち、新しい旅を始める上で、自分を振り返ってあらためて向き合う必要があるだろうなと思ったんです。

―自分自身を見つめ直してみて、新しい発見はありましたか?

JIMIN:新しいという感じではなかったですね。でも、パンデミック中の自分や当時の胸の内を振り返ってみると、あの時は自分の感情がよく分かっていませんでした。自分は大丈夫。ハッピーだ。物事を楽しめている(と思っていました)。でも振り返ってみて、(当時の)気持ちはそれだけじゃなかったことに気づいたんです。気づいてからは、とにかく(そうした気持ちを)克服しなくちゃと思いました。ある意味、大人になる術を学んだんだと思います。パンデミック中、様々な感情を抱いていたことに気づいたんです。

―アルバムの歌詞を見ると、孤独や葛藤、自由の探索といったテーマが浮かび上がります。歌詞を書いていた時はどんなことを考え、どんな心境だったんですか?

JIMIN:僕は遠回しに言うというか、間接的な表現があまり得意ではありません。それは歌詞でも一緒です。2年前に自分が感じていた気持ち、(当時)様々な場面で感じていた感情を、とにかくありのままに表現しました。作品を聴いてもらえれば、すぐに歌詞が理解できると思います。

―今回のソロプロジェクトでは音楽面、制作面で自分をどう表現しようとしたんでしょうか?

JIMIN:楽曲ごとにそれぞれ感情が違うので、(制作の)過程でもそうした感情をそのまま表現しようとしました。(アルバムの)前半は怒りです。メイントラック(「Like Crazy」)はハッピーな雰囲気ですが、その裏には孤独があります。振り付けも、メイントラックと先行シングル「Set Me Free Pt.2」では全然違います。



―「Interlude: Set Me Free」は、SUGAがAgust D名義で書いた2020年のミックステープ「D-2」の収録曲ですが、この曲と「Set Me Free Pt.2」にはどんなつながりがあるのでしょう?

JIMIN:実際につながってるとは言えないかもしれません。ただ、この曲を制作していた時にふと、「set me free(僕を自由にして)」というフレーズがタイトルにピッタリだと思いました。その後、同じタイトルの曲がSUGAのミックステープに入っていることに気づいて、実際に聴いてみたら、同じように成熟や大人になることの葛藤が歌われていたんです。だから、僕の曲を「パート2」にするのは理に適っていると思いました。もし何かのチャンスや機会に、この曲で彼をフィーチャリングしたら面白そうですね(笑)。

収録曲のエピソード、自身のダンススタイル

―1曲目の「Face-Off」は、カーニバルの音楽のようなメロディで幕を開けます。これは何を表しているんでしょう?

JIMIN:とくに深い意味はありません。この曲に取り掛かった時、まず始めにプロデューサーといろんなピアノや楽器をいじってみました。この曲には激しさや反逆心、たくさんの怒りが込められていることに気づくでしょう。でもこんな風に(カーニバルの音で)始めることで、そうした雰囲気とはっきりコントラストを付けられたと思います。「こういう出だしにすれば、どこか逆説的で皮肉めいた感じになるし、かなり面白くなりそうだ」という話になったんです。

―「Interlude: Dive」では水の音の後、ステージ上であなたが語る声が続きます。この曲ではどんなストーリーを伝えているのでしょう?

JIMIN:最初のアイデアでは、ものすごく激しくて反逆的な「Face-Off」を1曲目にして、うっとり夢見心地なメイントラックの「Like Crazy」を2曲目にする予定でした。2つをつなぐものを間に挟んだら面白いだろうと思って、それで「Dive」を入れました。曲を聴いてもらえば、息切れの音や走る音が聞こえると思います。僕が道に迷い、さまよっている感じを出したかったんです。それで(この曲では)様々なことに挑戦しました。実際に携帯を使って、走り回りながら録音したりもしました。楽しかったです。

―「Like Crazy」は映画『今日、キミに会えたら』から着想を得たそうですが、この映画のどこが気に入ったんでしょうか。曲にはどんな風に反映されているんでしょう?

JIMIN:JIMIN:実はYouTubeを見ていて、偶然目にした動画があったんです。ブレイクボットの「In Return」と、この映画のシーンをマッシュアップした動画でした。「これは何だろう?」と思って、その流れで映画を観ました。甘々なロマンチックな作品かと思っていたんですが、ふたを開けたら、別れがものすごく現実的に生々しく描かれていました。メイントラックについて話し合っていた時、この映画がふと頭に浮かんで、(自分たちが作ろうとしている)曲にぴったりだと思いました。それでもう1度映画を見て、そこで得たヒントを様々な形で(曲に)盛り込みました。(曲の)出だしと終わりに差し込んだ興味深い会話の抜粋は、まさに僕が言いたかったことを表現しています。




―「Like Crazy」の振り付けやパフォーマンスはどんな風になるのか、教えていただけますか?

JIMIN:あの映画に出てくる感情を表現しようとしました……どこか込み入っていて、なんとなく孤独で、なんとなくハッピー。そうした曖昧で微妙な感情を、少しセクシーな感じで表現しようとしました。最終的に、皆さんからどう受け止められるかはわかりませんが(笑)

―あなたはモダンダンスの経歴に加え、テコンドーや剣道など様々な武道もたしなんでいます。こうした多種多様な動きは、今のダンススタイルにどんな影響を及ぼしているんでしょうか?

JIMIN:正直ダンスを習い始めた時は、モダンダンスの経歴や様々な動きが妨げになるんじゃないかと思っていました。でもデビューの後、自分らしい振り付けを確立してからは、実際こうした動きが大いに役に立ったと思っています。悪い癖だと思っていたことも、結局いい形で作用しました。他の人とは違う視点でダンスを見たり、モダンダンスのスタイルや力強いアクロバティックな動きを振り付けに盛り込むこともできました。そういう基本的な型が今の僕の土台になったんだと思います。

BTSメンバーの支え、テヤンとの共演

―今回のアルバムの準備をする上で、他のメンバーからはどんなサポートがあったんでしょう? あるいは制作中、メンバーからはどんな影響を受けましたか?

JIMIN:実際のところ、僕はメンバーのおかげでこのアルバムの準備に取り掛かることができたんです。きっかけは、昨年ラスベガスで行った(『Permission to Dance on Stage』ツアーの)コンサートでした。あの時の僕は、(「Like Crazy」で)表現されている感情に苦しんでいました……みんなでお酒を飲みながら話していた時、「自分が上手くやれている自信がない。自分が何をしているのかもよく分からない」と言いました。でもメンバーは、そういう風に感じるのは全然普通だ、時には途方に暮れても構わない、と言ってくれました。「そういう気持ちを音楽で表現してみたらどう?」とも提案してくれました。

それでアメリカから韓国に帰国すると、すぐにプロデューサーと会って曲作りに取り掛かりました。このアルバムに取り掛かるきっかけを与えてくれたメンバーには、本当に感謝しています。この作品に対して皆さんがどうリアクションするのかわかりませんが、僕自身は完全に吹っ切れて、迷いから前に進むことができました。今はすっかり大丈夫です。メンバーには本当に感謝しています。

―ラスベガス公演の何が原因で、あなたにそうした気持ちを抱かせたんでしょう?

JIMIN:ご存じの通り、パンデミック期間中はファンの皆さんと会うことができませんでした。あの時僕は、自分を顧みる余裕や時間が足りないと感じていたんです。自分が何をしているのか、なぜここまで頑張っているのか、何のために頑張っているのか分からない状態(で過ごしていました)。毎日こうした考えや感情を抱いていました。でもラスベガス公演中にメンバーと話をする機会があって、みんなもこの時期に必死だということが分かりました。それまでは、おかしな考えや行動をしているのは自分だけだと思っていて、他のみんなは前と同じように頑張っていて、前と同じように平然としていて、実力を発揮していると思っていたんです。自分だけ浮いていると思っていたので、メンバーと話せたおかげで立ち直れました。

―話は変わりますが、「Vibe」でテヤンと共演した時はどんな気分でしたか?

JIMIN:僕にとっては至福のひとときでした。ご存じのように、小さいころから彼を目標にしてきましたから。彼に会うことができる、隣で彼が歌っているのを聴ける、間近で制作を見て、一緒にダンスをして、一緒にミュージックビデオを撮影してパフォーマンスする……それだけでものすごく嬉しかったです。



―SUGAのインタビューシリーズ『Suchwita』にテヤンが出演した時、あなたのことをものすごい努力家だと言っていました。これを聞いてどう思いますか?

JIMIN:「Vibe」の収録や練習では、ずっと彼と頻繁に連絡を取っていました。実際決して楽な曲ではないので、僕のパートの収録ではかなり時間を割きました。毎回収録の度に、「今日の収録パートです、聴いてもらえますか?」と彼に送り、翌日にはまた「細かい部分を直しました、今日のバージョンはどうでしょう?」と、新しく収録した部分を送っていました。おそらくそういうのを見ていたからああいう風に言ったんでしょうね。ポジティブにとらえてくれたんだと思います。

―ニューアルバムのリリースにむけて、どんな練習をしていたのか教えてもらえますか?

JIMIN:一緒に仕事をするプロデューサーには、いつも必ず「練習すれば答えが出る」と言っています。夜に仕事を終えた後、時間があったら、プロデューサーと一緒に歌の練習をします。ダンスの練習もします。そうやってできる限り、練習の時間を割くように努力しています。ひたすら延々と練習を繰り返すだけです。

【関連記事】JIMINが語る完璧主義とダンスに捧げる情熱、ARMYへの愛と感謝、BTSの未来


From Rolling Stone US.

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