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BABYMETAL、新たな旅の「はじまり」を目撃

Rolling Stone Japan / 2023年4月10日 18時0分

BABYMETAL(Photo by Taku Fujii)

今年1月に開催された『BABYMETAL RETURNS - THE OTHER ONE -』にてライブ活動を再開させたBABYMETALが、『BABYMETAL BEGINS - THE OTHER ONE -』と題したワンマンライブを4月1日、2日にぴあアリーナMMにて開催した。

【写真を見る】『BABYMETAL BEGINS - THE OTHER ONE -』ライブ写真

ライブ直前の3月24日にコンセプトアルバム『THE OTHER ONE』をリリースしたことを受け行われた今回のライブは、1日公演を「BLACK NIGHT」、2日公演を「CLEAR NIGHT」と銘打って実施。中でも4月1日はBABYMETALにとって”FOX DAY”と呼ばれる重要な日でもあるだけに、どんな”お告げ”があるのか早くから注目が寄せられていた。本稿では4月1日の「BLACK NIGHT」公演について記す。

定刻を過ぎた頃に会場が突如暗転すると、オーディエンスの歓声もひときわ大きくなる。レーザーとスモークが幻想的な世界観を作り上げる中、ステージ上に2つの棺が登場。その中からSU-METAL(Vocal, Dance)とMOAMETAL(Scream, Dance)が姿を現し、前回のライブ『BABYMETAL RETURNS - THE OTHER ONE -』のエンディングを飾った「THE LEGEND」からライブはスタートする。この演出含め、どこか前回の公演の続きを見るようでもあり、かつライブに棺が登場する公演はBABYMETALにとって重要なタイミングになることも多いため、この日は我々が想像する以上に特別な1日になることは想像に難しくなかった。ステージ両サイドで神バンドが重厚でドラマチックなサウンドを奏でるのに合わせ、SU-METALとMOAMETALは妖艶さが伝わるダンスとともにエモーショナルな歌声を響かせていく。


Photo by Taku Fujii

荘厳なオープニングに続き、「メギツネ」「ギミチョコ!!」ではアベンジャーズが加わった3人編成でのパフォーマンスに突入。前者では曲中盤にSU-METALが観客にハンドクラップを求め一体感を高め、後者ではSU-METALやMOAMETALの表情から自然と笑みが溢れるなど、さまざまな側面からこのステージを満喫している様子が伺えた。


Photo by Taku Fujii

そして、「MAYA」からはライブ初披露となる新曲ブロックへと移る。ヘヴィなバンドサウンドと機械的なエレクトロサウンドが融合することで生まれるカオティックなアンサンブル、その演奏に合わせて激しく点滅する照明によって生み出されるメンバーのシルエット……楽曲が放つカッコよさも去ることながら、メンバーの佇まいもいつも以上にクールさが際立つもので、改めて『THE OTHER ONE』で紡がれるパラレルワールドの数々にこうした側面が色濃く表れているのだろうかと、想像を巡らせる。プログメタル的複雑かつ難解なアレンジを用いた「Mirror Mirror」ではそのタイトルどおり、背景のLEDスクリーンを通じて左右対称の映像で独特の世界観を作り上げたり、ドラマチックさが濃厚な「Time Wave」ではダンスのシンクロ度の高さやSU-METALの圧倒的なボーカル力を堪能できたりと、音/照明/映像/パフォーマンスが一体となって曲ごとに異なる世界を構築。



ステージから一瞬たりとも目が離せずにいると、続く「KARATE」では前回の『BABYMETAL RETURNS - THE OTHER ONE -』にも登場した、BABYMETALと瓜二つの姿をした3人組が姿を現し、バーチャルワールド「METALVERSE」を通じた特殊な世界が展開されていく。過去のBABYMETAL、パラレルワールドのBABYMETAL、そして今目の前に存在するBABYMETAL……脳内がバグを起こしそうになるが、以降も「Believing」「METALIZM」と『THE OTHER ONE』を軸にしたパラレルワールドが、目の前で次々と繰り広げらていく。


Photo by Takeshi Yao



「全てが終わり、全てが始まる」

脳内が覚醒されるような感覚に陥る中、ライブは「Distortion (feat. Alissa White-Gluz)」で一気に佳境へと突入する。MVの世界観を踏襲し、会場が真っ赤な照明で染め上げられると、SU-METALとMOAMETALのパフォーマンスも一気に熱量が加速。「PA PA YA!! (feat. F.HERO)」ではオーディエンスが手にしたタオルを頭上で回すことで、ステージとの距離もさらに縮まっていく。さらに、「Road of Resistance」ではフロアにウォール・オブ・デスやサークルモッシュが発生するなど、コロナ禍を乗り越えたからこそ再び目撃できる光景が眼前に広がる。まさに最高潮と呼ぶに相応しい熱気で、ライブはクライマックスを迎えた。


Photo by Taku Fujii

その後、スクリーンには「全てが終わり、全てが始まる」「DEATH IS THE ONLY WAY TO LIVE」という意味深なメッセージが表示されると、アバンギャルドなアレンジが施された「BABYMETAL DEATH - Shin ver. -」に合わせて、ステージ上には十字架に磔になったSU-METAL、MOAMETAL、アベンジャーズが姿を現す。今、目の前で繰り広げられるこの儀式は、果たして現実のものなのか、それともパラレルワールドで展開されるものなのか……そんなことを考えていると会場が暗転。再度照明が点くと同時に、「イジメ、ダメ、ゼッタイ」へと雪崩れ込み、フロアの熱量は急加速する。SU-METALやMOAMETALの表情からは笑みを感じとることもできたが、それ以上にどこか覚醒したかのような感覚も伝わるもので、この曲を超えて2人がどこへ向かうのかが気になってしまう瞬間もあった。活動初期からBABYMETALのステージを定期的に目撃してきた筆者にとってこの曲、いやこの日の彼女たちのパフォーマンスや立ち振る舞いはかつてないほど研ぎ澄まされたものだったのだ。


Photo by Takeshi Yao

そんなステージを完遂し、初日公演「BLACK NIGHT」は無事終了したかに見えた。しかし、客席からは拍手やクラップがいつまでも鳴り止まずにいた。すると、スクリーンには「REINCARNATION」「全てが終わり、全てが始まる」のメッセージとともに、過去10年間”道なき道”を歩み続けたBABYMETALの姿が映し出される。そして、BABYMETALが”永遠のLEGEND”になったと同時に、ここから姿形を変えて新たな命を受けるのだと明かされる。「METAL RESISTANCE」を超えた今、彼女たちは新たに「METALVERSE」を通じて現在・過去・未来と、ありとあらゆる時空を超えて”未知なる道”を突き進んでいく……そのために、メタルの神・キツネ様によって新たなBABYMETALが召喚されるのだと告げられると、フロアからはどよめきの声が上がる。

そして、スクリーンに「VOCAL & DANCE SU-METAL」「SCREAM & DANCE MOAMETAL」「SCREAM & DANCE MOMOMETAL」と新たなBABYMETALが召喚されると、会場は大歓声と温かな拍手で包まれる。翌日の「CLEAR NIGHT」へ向けた期待感を高めたところで会場が明るくなり、この日の公演は完結した。

『THE OTHER ONE』を通じて復元されたBABYMETALは、我々の想像を絶する新たな形で帰還した。その姿は、翌日の「CLEAR NIGHT」でも存分に体感できたことだろう。ここから「METALVERSE」を舞台に繰り広げられるBABYMETALの新たな旅がどのようなものになるのか。すでに決定しているワールドツアーを経て、再び我々の前に姿を見せる頃には、その新たな旅の片鱗を感じることができるかもしれない。新章に突入したBABYMETALは、これまで以上に我々を楽しませてくれそうだ。



『BABYMETAL BEGINS - THE OTHER ONE -』”BLACK NIGHT”セットリスト
01. THE LEGEND
02. メギツネ
03. ギミチョコ!!
04. MAYA
05. Mirror Mirror
06. Time Wave
07. KARATE
08. Believing
09. METALIZM
10. Distortion (feat. Alissa White-Gluz)
11. PA PA YA!! (feat. F.HERO)
12. Road of Resistance
13. BABYMETAL DEATH - Shin ver. -
14. イジメ、ダメ、ゼッタイ

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