Black Country, New Roadが語る、「永遠の友情」がバンドにもたらす絶大な力
Rolling Stone Japan / 2023年4月28日 17時30分
2023年4月に行われた初の単独ジャパン・ツアーを大成功に収めた、ブラック・カントリー・ニュー・ロード(Black Country, New Road)。2022年2月にフロント・パーソンだったアイザック・ウッドが脱退して以降、果敢にも残された6人で活動を続けてきたかれらは、3月にツアーやフェス出演の際に演奏してきた新曲群を集めた、ライブ盤『Live at Bush Hall』をリリースした。
前身バンドも含めると約10年以上もの月日を共に過ごしてきた、友人同士であるかれら。数々の逆境に見舞われなながらも”BC, NR friends forever”(BC,NRは永遠の友人同士)(「Up Song」)と今、高らかに歌い上げるブラック・カントリー・ニュー・ロードは「友情」のかけがえのなさとその絆の絶大なパワーを知っている。
今回は6人のメンバーのうち、メイ・カーショウ、チャーリー・ウェイン、ルーク・マークの3人に、バンド結成期の秘話やツアーで経験した奇妙な体験などについて語ってもらいつつ、「友情」がバンドにもたらす音楽的ポジティヴィティについて話を訊いた(編註:撮影は東京公演の当日、リハーサル終了後の渋谷Spotify O-EASTにて実施)。
左からルイス・エヴァンズ、ジョージア・エラリー、チャーリー・ウェイン★、タイラー・ハイド、ルーク・マーク★、メイ・カーショウ★(★:インタビュー参加、Photo by Masato Yokoyama)
「恐怖のバンド」から「永遠の友人」になるまで
ー今日は先日リリースされた『Live At Bush Hall』に関するストレートなインタビューというよりは、みなさんの考える「友情」や「青春」についてのお話が聞きたいんですよ。
チャーリー:へー、面白いね。いいね。
ーそもそもの話なんですけど、ブラック・カントリー・ニュー・ロードってバンドは「青春の産物」だと思います?
ルーク:最初の頃はたぶん、そうだったかもね。若さに満ち満ちていたから、思いつく限り一番過激なアイディアを掴み取って「みんなが話題にするような、ヤバいことやるぞ!」って感じではあった。でも、だんだん大人になってきて、どんどん普通になってきてる……かな(笑)?
メイ:そう?
ルーク:そうでもないか(笑)。でも、確実に大人にはなっていっているとは思うよ。陳腐に聞こえるかもしれないけど、音楽は年月を追うごとに成熟してきている……ってことを言いたかった。
メイ:人間も音楽も一緒に歳を重ねてるよね。
ルーク:そうそう。面白いアイディアを持っている、独創的な大人になりたいな、って最近は特に思う。人の海の中に消えていく没個性的な、つまらない人間ではなくて。そういうヤツになりたくないからこそ、僕らはバンドを続けているんだと思う。
チャーリー:いいね〜。これ以上ない答えじゃない?
Photo by Masato Yokoyama
ー前身バンド(Nervous Conditions)の結成が2015年だから、メンバーごとに差はあるにしても約10年ぐらい一緒にいるわけじゃないですか? 意地悪な質問しますけど、今でも、ちゃんと仲良しですか?
全員:(爆笑)。
チャーリー:毎年ちょっとずつ悪くなってる……(笑)。
メイ:そんなことないでしょ(笑)!
ー仲良いですね(笑)。メンバー同士が友達であることって、音楽にどんな影響を与えていると思いますか?
チャーリー:お互い憎しみ合っている関係性よりは、確実にポジティブだよね(笑)。実際、仲がいいからこそ、違う楽器同士であれこれ会話がしやすいっていうのはあると思う。バンドって役割ごとに色々グループ分けできるじゃん? その中で色々ちょこちょこ話すのが大切なんだよね。例えば、僕はタイラー(・ハイド)とかルークとよく話すし、メイとジョージア(・エラリー)とルイス(・エヴァンズ)は、また違うグループで……。
メイ:ルイスって、私たちのグループなの(笑)?
チャーリー:違うの(笑)?
メイ:まぁ、ルイスも入れとくか(笑)。そういう意味で言うと、私たちはピアノとヴァイオリンとサックスだから……ハーモニー担当だね、「ハーモニー・ギャング」。
ルーク:俺とチャーリーとタイラーは、「ザ・ロック・バンド」だ。
チャーリー:あとは、バンドの中で色々なクラブ活動をやってるから、それでも分けられるよね?
メイ:「Bukatsu(部活)」ね(笑)。
チャーリー:メイと僕はブック・クラブに入ってるし、ルイスとルークはボッカー・ボールのクラブに入ってて……。
ーあぁ、ナード(オタク系)とかジョック(体育会系)みたいなタイプ別でもバンド内で分けられるってことですか?
チャーリー:僕はジョックじゃないよ! やっぱり、ルイスとかじゃない? あと、メイもジョックの一員だと思う(笑)。
メイ:違うよ。ジョックは私じゃなくて、タイラーでしょ!
チャーリー:まぁ、確かにタイラーはそうだね。僕は明らかにナードだよ(笑)。
ルーク:ルイスは確かにジョックだな(笑)。
メイ:ルークは色々被ってる感じがするね。
ルーク:俺は自分ではナードだと思うけどな……。
チャーリー:ルークは、アレかも。みんなから好かれるナード。学校に一人はいるじゃん。
ルーク:でも俺はルイスと一緒の家に住んでたから、名誉ジョックってことでダメかな(笑)?
Photo by Masato Yokoyama
Photo by Masato Yokoyama
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ー(笑)。ルークさんは、他のメンバーと違って、2019年に加入したじゃないですか? 最初に6人と会った時はどう思ったんですか?
ルーク:正直、めちゃくちゃ怖かった。当時、BC,NRは地元で恐れられてる存在だったんだよ。でも、音楽はカッコよかったし、最高のバンドだなとは思ってたから、加入できて嬉しかったのは覚えてるね。アイザックから急に電話がかかってきて「明日、ウチに来い。全部弾き方教えてやるから」って呼び出されて。30分ぐらいリハーサルしたんだけど、終わった後は一言「クールだな、今日はおしまい」って言われただけだった(笑)。
ー「怖い」って何がそんなに怖かったんですか?
ルーク:なんだろうね……。とにかくずっと緊張が解けなかったんだよ。半年ぐらい経って、ようやくリラックスできるようになった。
チャーリー:でも、お互いのこと知らないわけじゃなかったじゃない?
ルーク:それぞれ個別に知り合いだったね。だから余計に……なんていうか、彼氏とか彼女の友達軍団と会ってるみたいな感じで嫌だったんだよなあ。自分と関係がある人たちなのに、その人たちはその人たちで、人間関係が出来上がってる。そういう状況が怖くて安心できなかったから、ずっとイラついてたんだよね。普通に演奏もできなかった。
チャーリー:あぁ、でもそれって……(メイの方を見る)。
メイ:私たちもバンド始めた時は同じように感じてたよね(笑)。全然喋れなかったし。
チャーリー:人生で一番恐ろしかった経験と言っても過言じゃないかも。BC,NRの前身バンドで、僕が初めてドラムを叩いてるライブの動画があるんだけど。「West Winch」って曲で、派手にミスっちゃったんだよ。その時の自分の表情がヤバくて。「うわぁ、僕はクビだ! 追い出される!」って顔してるんだ(笑)。その映像を観れば、僕が当時どれだけこのメンバーと演奏することにビビっていたかがわかると思う。
メイ:噂が一人歩きしてたからじゃない? 「固い友情で結ばれたグループ」みたいな……。私とかチャーリーも本当の初期メンバーではないから、ルークと同じように居心地悪く感じたのかも。
チャーリー:あと「あいつらはマジで変」「狂ってる」みたいな評判もあったじゃん。実際、今よりも確実にハードコアで、タフな空気があったし。
メイ:「これはかっこいい」「これは違う」みたいにやりたいこと・やりたくないことがハッキリしてたよね。
ルーク:傍目から見てても、カッコよかったんだよな。まぁ、俺が加入してからですよ、カッコよくなくなったのは……なんて(笑)。
チャーリー:そんなことないでしょ(笑)。
メイ:お互いのことをよく理解したから、そう思わなくなったんでしょ、きっと。
ルーク:まぁ、それはそうだ。一緒に時間を過ごして、大人になったからだね。
「メリー・クリスマス、ウェルカム・トゥ・アメリカ」
ー人生の最後に死の床で思い出すような、バンド活動に関する思い出ってありますか?
チャーリー:死に際か……(笑)。正直いうと、いまだに自分たちの置かれている状況が信じられない。音楽を演奏するのが自分の仕事で、友達と一緒にそれをやれてるっていうのが。日本にいて、Rolling Stone Japanのインタビューを受けているだなんて……。
メイ:想像もしなかったよね。ちょっと出来過ぎ(笑)。
ルーク:思い出ねぇ。今、日本にいるから思い出しちゃうんだと思うんだけど、やっぱりフジロックでのライブは強烈に記憶に残ってるなあ。ステージ上で感じたあのフィーリングは凄かった。しかもさ、別に最高の演奏だったわけでもなかったじゃん(笑)?
メイ:全然だったね(笑)。あの日、あの場所にいたことが大事だったっていうか……。
ルーク:そうそう、雰囲気が最高だった。後は、2ndアルバム(『Ants From Up There』)をレコーディングした時のことかな。スタジオで「魔法みたいだな」って思ったのを覚えてるね。
チャーリー:「Bread Song」を演奏して、プレイバックを聴き直したときの「ワォ!」って感覚……ヤバい作品を作ったなって思った。
メイ:私はやっぱりルークと同じでフェスに出演した時のことが印象深いかな。フジロックもそうだし、地中海を目の前にしてライブした時もあったよね。大自然の中で友達と一緒に音楽を演奏するのって、すごく美しくてクレイジーな体験だと思うな。
Photo by Masato Yokoyama
ーじゃあ、ライブや楽曲制作以外でのクレイジーな思い出って何かあります?
メイ:めちゃくちゃあるよね。特に去年のアメリカ・ツアーでは色々あった(笑)。
チャーリー:ノース・キャロライナ(笑)。
ルーク:ノース・キャロライナ(爆笑)!
ーノース・キャロライナで一体何があったんですか?
ルーク:2022年の秋にブラック・ミディと一緒にアメリカ・ツアーをしてたんだよね。ノース・キャロライナ、アッシュヴィルにある「The Orange Peel」ってライブハウスで公演をしたんだけど、ライブの後にみんなで飲みに行ったんだ。
チャーリー:そうそう。
ルーク:最初は地元で人気のあるバーに行ったんだけど、待機列があまりにも長すぎて入れなくて。ツアー・マネージャーがドア・マンに「こいつら、バンドマンなんだよ」みたいな適当なことを言って、どうにかして入れてもらおうとしたんだけど、「知らねえよ、ダメなもんはダメだ」って普通に断られて(笑)。仕方ないから、別の「これぞ、アメリカ!」みたいな雰囲気のバーに行くことにしたんだ。
ー雲行きが怪しいですね。それからどうなったんですか?
ルーク:しばらくそこで飲んでたら、ツアー・スタッフの一人が「これからみんなで行けるパーティーを見つけたから、行ってみない?」って言ってきて。なんでパーティーにこれから行かなきゃいけないのか、全然意味はわかんなかったけど「面白そうじゃん!」ってことで、みんなでツアー・バンに乗り込んで、とりあえず行ってみることにしたんだよ。
チャーリー:謎だったよね(笑)。
ルーク:でも着いた場所は、市街地から離れたところにある、ただの一軒家で。周りには他に何もなくて、カバード・ポーチのついたその家だけが建ってるだけ。「は? なんだよ、これ? パーティーじゃないの?」ってなって(笑)。
チャーリー:でもスタッフが「ここで(パーティーを)やってるらしい」っていうから、恐る恐る中に入ってみたんだ。そしたら、外の陰気な感じとは裏腹に室内は異様な雰囲気で。ネオン・サインが家中に飾られてて煌々と光り輝いているし、なぜか箱いっぱいのコスチュームが玄関に置いてあって……。
ルーク:とりあえず、みんなでそのコスチュームを着て(笑)。家の中を見て回ることにしたんだ。いやぁ、変なパーティーだったよ。全然人がいなかったし。参加者の半分以上が俺らだった(笑)。
メイ:他の人たちは10人ぐらい? 私たちは15人で押しかけた(笑)。なんか、パーティーっていうか、展覧会みたいな感じだったよね? おもちゃとかぬいぐるみとかよくわからないアートが至る所に飾り付けてあって。「なんでこんなにお客さんがいないの……?」って思った(笑)。
チャーリーが撮影したパーティー(?)の様子
チャーリー:しかも、朝の5時半ぐらいに土砂降りの雨が降り出したんだよね。アメリカってどこに行くにも車で移動しなきゃいけないから。「どうやってモーテルまで帰ろう?」ってみんなで途方に暮れたの覚えてる。
ーあれ? ツアー・バンで行ったんじゃなかったんですか?
ルーク:途中で帰っちゃったんだよ(笑)。でも、幸運なことにパーティーに参加していた全然知らない女の子が、俺ら全員をモーテルまで送ってくれたんだ! 「うん、いいよ、送っていくよ! 全然大丈夫!」って感じで。すごくいい子だった。
チャーリー:想像してもみなよ。朝の5時ごろに最悪なパーティーと最悪なモーテルの間を3往復もして、訳のわからない奴らを送り届けるんだ(笑)。
メイ:彼女はマジで聖人だと思う(笑)。
ー郊外だとUberとかLiftもなかなか捕まらないですもんね。ちゃんと帰れてよかったですね。
チャーリー:いやあ、アメリカ・ツアーは本当にぶっ飛んでた。キツキツの予算でツアーをやんなきゃいけなかったから……変な奴らに大量に遭遇したんだよね。「ウェルカム・トゥ・アメリカ」おじさん覚えてる?
ルーク:覚えてる(笑)!
チャーリー:僕らが泊まっていたモーテルのプールに、一人でチルしてる中年の男性が居たんだ。髪を後ろになでつけていて、めちゃくちゃ日に焼けた、ちょっとお腹の出たビーチ・スタイルのおじさんで。僕らのツアー・マネージャーに「俺も昔はバンドやってたんだ!」みたいな感じで、ずっと絡んでたんだけど(笑)。
ルーク:そのおじさんがタバコを吸ってたから、ルイスが「一本もらえませんか?」ってタバコをねだったんだよね。そしたらそのおじさん、そこにあるタバコをくれればいいのに「おう、わかった。ちょっと待ってろ」って自分の部屋に戻っちゃったんだよ。
「何が起きたんだ……?」って、俺らが狐に包まれたような顔で待っていたら、しばらくして、おじさんはタバコの箱を持って帰ってきて。箱をルイスにグイッと押し付けて「メリー・クリスマス、ウェルカム・トゥ・アメリカ」って意味ありげに言い放って、またどこかに行っちゃったんだ(笑)。
チャーリー:「メリークリスマス」って二回ぐらい繰り返して言ってたよね(笑)?
ルーク:言ってた(笑)。「意味わかんねえ」と思いながらも、ルイスがタバコの箱を開けたら、中には一本しかタバコは入っていなくって。代わりに、白い粉が包まれたサランラップが入ってたんだ。たぶん、コカインかなんかだと思うんだけど(笑)。わけがわからなかったから、「今、なんか変なおじさんにこんなのもらったんだけど!」って、ツアー・バンの運転手のザックに、そのタバコとコカインらしき物体を見せたら「そんなもんすぐに捨てろ!」って、怒られて(笑)。
チャーリー:「いや、言われなくてもそうしますよ」って感じだったよね(笑)。
ーデヴィッド・リンチの『マルホランド・ドライブ』とか、コーエン兄弟の『ノーカントリー』『ビッグ・リボウスキ』みたいな話ですね……(笑)。
ルーク:まさにそういう映画に出てきそうなモーテルだったよ。ロードサイドにあって、プールが付いてて、ヤバいおじさんがいて……(笑)。
ーそういう奇妙な経験を共有したことが、自分たちの音楽に影響を及ぼしていると思いますか?
全員:全然影響してないね(笑)。
大好きな友人たちと音楽を奏でる、かけがえのない瞬間
ーこの1年はバンドの体制も変わって、激動の日々だった思うんですけど、メンバー同士、お互いの関係に大きな変化はありましたか?
チャーリー:何年もバンドをやってるけど、ちゃんとしたツアーに出たのは去年から今年にかけてが初めてだったんだ。さっきも言ったけど、友人たちと好きなことを仕事にできるっていう点に関しては、素晴らしいことだと思ってる。でも、ツアーってみんなが想像する以上に結構キツイんだよね。アメリカ・ツアーは都合5週間ぐらいかかったんだけど、めちゃくちゃ楽しくて素晴らしい体験だったのと同時に死ぬほど疲れたし、精神的にかなり疲弊した。僕らのバンドはメンバーがたくさんいるから、ツアーをするのに普通のバンドよりも、かなりお金がかかるんだよね。だから、ベッドをシェアしたりとか、耐えたり我慢しなきゃいけない場面も多くて。
あ、でも、別に同情を買いたいからこんな話をしているわけじゃないよ(笑)。つまりは、今まで以上に僕らは精神的に助け合わなきゃいけなかったってことを言いたかった。みんなが互いに思いやり、自分の心のガードを下げて助けを受け入れることをしなければ、ここまで辿り着けなかったと思う。
ー過酷な状況がその理想的な関係性を作っていった、と。つまりは自然とそうなっていったってことなんですね?
チャーリー:そうだね。メンバーはみんなそれぞれ「これはマジでキツいな……」って思う瞬間が、ツアー中に何度かあったと思うんだよ。でもその経験があったからこそ、自分に何ができて、何ができないのかを学べた。
去年から今年にかけて、ありがたいことにすごくたくさんの仕事のオファーをもらったんだよね。で、そういうチャンスは素晴らしいものだから僕らはそれに可能な限り応えてきたわけだけど、その経験を通して「やりたくないことはやらなくてもいいんだな」ってことを学んだんだよ。自分の限界を知って、それに合わせて活動すること、仲間たちに自分の限界を理解してもらうこと、って大切なことだよ。
Photo by Masato Yokoyama
ーメイさんもルークさんも、そう思います? ルークさんはタフそうに見える。あんまり泣き言とか言わなそうですよね。
ルーク:ははは、うるさいよ(笑)!
メイ:浮き沈みは誰にでもあるものだからね(笑)。そうだね、ツアーに出るようになってから、お互いの気持ちを察することが上手くなったって私は思うな。今はひとりにしておいてほしいんだな、とか、相手が困ってる時にどんなふうに手を差し伸べるべきかとか、相手のことを本当の意味で考えるようになった。
チャーリー:あと、メンバーもそうだけど、スタッフには本当に助けられてる! 僕らのツアー・マネージャーは無理に何かをさせたりとか絶対にしないんだよ。彼はただただ僕らの良き友人であろうとしてくれる。彼は何度もバンドとツアーを廻ってるから、その辺、よくわかってくれてるんだよね。いつも「大丈夫、大丈夫、できるって!」って励ましてくれるんだ。
ー友人関係って長い時間を一緒に過ごせば過ごすほど、いろいろなことがあるじゃないですか? 時には喧嘩もしたりするし……。
ルーク:喧嘩は殴り合いに限るね(笑)。
チャーリー:心の「触れ合い」だ(笑)。
ー(笑)。実際、色々なことがこのバンドには過去に起きましたけど。でも、それでもブラック・カントリー・ニュー・ロードは、今「Up Song」で”Look at what we did together, BC, NR friends forever”(ねえ見て、私達が一緒にしたことを/BC,NRは永遠の友達同士)というリリックを声高らかに歌ってるじゃないですか? 本当にこの言葉を信じて歌ってます? 永遠に友情って続くものなんですかね?
メイ:50年後にもう一回聞いてよ(笑)。
チャーリー:そうだよ、僕らがどうなってるか確かめて。〈BC,NR enemies forever〉(BC,NRは永遠の敵同士)になってるかも(笑)。
ー「Up Song」のあの部分を演奏する時は、どんな気持ちになるんですか?
全員:「最高、カッコいい!」って思ってる(笑)。
ー(爆笑)。
ルーク:っていうか、その「最高!」っていう気持ちはこの曲に限らず、このバンドを始めた時からずっとそう思ってるんだよね。俺はライブしている時にステージの上のメンバーの顔を見るのが何より好きなんだよ。すごくいいライブができてる時とか、信じられないぐらい大きなステージで演奏している時とかに、周りを見渡すと、そこには自分の友達がいて一緒に音を奏でている。これを「最高!」って言わずになんと言えばいいのか。
チャーリー:そういうヴァイブスだよね。
ルーク:「Up Song」にはそういうフィーリングを詰め込みたかったんだよ。あのフレーズ自体は最初は、ジョークみたいなものだったんだけどね。
チャーリー:一番最初に新曲を披露したブライトンのショーの時の観客の反応が良かったから、残したんだよね。このリリックを歌った時に「イェーイ!」って感じで、めちゃくちゃ盛り上がったから。
ルーク:ステージに出る前の最後の最後まで、これやるかどうか相談してたよね。だって、めちゃくちゃダサいじゃん(笑)。でも、ここまでダサい言葉を吐けたのは、俺らの本当に素直な気持ちがそこに込められていたからなんだよ。めちゃくちゃ純粋な気持ちが。
チャーリー:正直だよね。
ーその気持ちを疑うことはないんですか?
メイ:たまにはあるかもね(笑)!
ルーク:”BC, NR acquaintance forever”(BC,NRは永遠の知り合い同士)。
メイ:でも、超キュートなフレーズだと思うよ。演奏してて気持ちいいし。本当の気持ちは込められていると思う。
ーYouTubeで公開されている『Live At Bush Hall』の映像には高校の卒業式の後に行われるダンス・パーティーである「プロム」をテーマにした衣装とセットでライブをする姿が収められてますけど、この後のブラック・カントリー・ニュー・ロードの未来はどうなっていくんですかね? 大学進学? それとも就職?
ルーク:高校卒業したばっかりってことだよね(笑)。大学ってことなら、もっと知的な作品を作ることになるのかな……(笑)?
メイ:何にせよ、アルバムはまぁ作ることになるんじゃない? 次の作品に入るかどうかはわからないけれど、新曲も作ってるしね(筆者注:日本公演でもその新曲を何曲か披露した)。
チャーリー:願わくば、自分たちでも「これだ、最高!」って納得できるレベルの曲をもっと作りたいな。そのためにも曲作りのための時間が欲しいんだよね。楽曲を作ることこそが自分たちにとってのバンド活動の醍醐味だし、一番楽しいと思えることだから。
-最後に。50年後も仲の良い友達同士、バンドメイトでいたいと思いますか?
全員:そのつもりだよ。
チャーリー:家賃も払わなきゃいけないしね(笑)。
ルーク:友人関係も大事だけど、お金稼ぎも大事だよ(笑)!
メイ:でも、何が起きるかなんて誰にもわからないからね。あんまり考えすぎても仕方ないんじゃない?
チャーリー:確かに。
メイ:今を楽しまないとね!
Photo by Masato Yokoyama
ブラック・カントリー・ニュー・ロード
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