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中島みゆき『世界が違って見える日』、プロデューサー瀬尾一三と紐解く

Rolling Stone Japan / 2023年5月13日 6時45分

中島みゆき

日本の音楽の礎となったアーティストに毎月1組ずつスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出していく。2023年3月は中島みゆき・瀬尾一三特集。ゲストに瀬尾一三を迎え、1カ月間に渡り特集していく。今週はPART2。中島みゆき44枚目のオリジナルアルバム『世界が違って見える日』の後半を紐解いていく。

田家:FM COCOLO J-POP LEGEND FORUM案内人田家秀樹です。いま流れているのは中島みゆきさんの「童話」。今月2023年3月の特集は、中島みゆきと瀬尾一三、2023。前半2週がみゆきさんのアルバム『世界が違って見える日』、そして後半2週が『時代を創った名曲たち ~瀬尾一三作品集 SUPER digest~』全曲のご紹介。瀬尾さんが4週間、全曲について語ってくださいます。こんばんは。よろしくお願いします。

関連記事:中島みゆきは「戦友」 プロデューサー/アレンジャーの瀬尾一三が語る

瀬尾:こちらこそ。

田家:今日はアルバムの6曲目からということになりますが、アルバムの全曲いつもちゃんと揃った形で瀬尾さんのところにくる?

瀬尾:デモテープを1日か2日間に分けて全部録って、それをまた僕が持ち帰ってレコーディングまでに1~2週間くらいもらって、それから録り始めるんです。考える時間は2週間くらいもらいますけど、10日か2週間くらい。

田家:2週間しかない?

瀬尾:うーん、まあだいたいそのぐらいでやります。

田家:今日はこの曲をやろう、この曲をやろう、と決めていくんですか?

瀬尾:自分で録る順番を決めていったり、1日に2曲とか録る時もあるので、あまり声を張り上げる曲を2曲続けると良くないかなと思うので、テンポの早い曲とゆっくりの曲で2曲を録ったりとかしますね。

田家:その時に、レコーディングの日にちとミュージャンとかも決めたたり。

瀬尾:そうです。それを決めて決まった上で、このミュージャンの時にこれをやってとかっていうのもあるので。

田家:そういうやりとりは今までと変わらない。でも、この『世界が違って見える日』っていうタイトルは、今までと違う何かがあるような気がする。

瀬尾:先週も言いましたように、(中島さんが)最後まで教えてくれなかったので、何を出し惜しみしているんだと思いながら、出てきたら、あれぇっていう感じで(笑)。

田家:でも世界が違って見えたって人は世界中にたくさんいらっしゃるでしょうからね。

瀬尾:それが能動的だろうが受動的だろうが、やっぱり変わっていくのは個々というか、感じ方とか変わって見えるのは個人によって全然違うわけじゃないですか。能動的だったら楽しいことがあって、気分がよいし、受動的だったら世の中的なことで気が落ち込んでいくとかもあるだろうし。それは個人個人によって違うと思うので。

田家:今まで曇ってたのが晴れて見える人もいるわけですよね。



童話 / 中島みゆき

田家:始まり方がオルゴールのようでしたが、骨本なロックでありました。

瀬尾:このリズムが初めから入ってきちゃうと、タイトルとの乖離があるなと思って。内容はそれでいいんですけど、童話という世界観でちょっと油断させておいて(笑)、なるほどねと思っている途中からガガガガと入ってくるタームをちょっと考えたりして。

田家:内容は突き放してますもんね。

瀬尾:童話という子どもたちに読み聞かせていくものと、現実との乖離が激しいじゃないですか? だって、めでたしめでたしちゃんちゃんで終わる話が、現実では全くそうではないじゃないですか。じゃあ童話は何なの?っていう。子供からしてみればハッピーエンドで終わらないよって。それがつきつけられるわけじゃないですか。

田家:なんで人が戦争するのか?聞かれた時に親はどうことやればいいんだって。

瀬尾:まあ、童話でも悪者とヒーローが戦ってるんですけどね。その戦いは何も言わないのかなっていうのはありますよね(笑)。

田家:童話の中では、ちゃんと正義が勝つわけですけど。

瀬尾:そこでヒーローとヴィランの戦いっていうのは認められるんだって。世の中的にはどっちも正義だから戦ってるんでしょうけど、単一ではないってことですよね。一つではない。正義がたくさんあって、自分たちの正義を貫くために相手を滅ばさなきゃダメってなってしまうので。逆に言えばそっちの方が童話っぽいんですけどね。いわゆるおとぎ話っぽいんですけどね。

田家:現実の方がね。

瀬尾:ハッピーエンドがどこになるかという終着駅が見えてないので、それは別に中東でも東南アジアでも、南アフリカでも起きていることだし。

田家:2002年に『おとぎばなし-Fairy Ring-』というアルバムがありましたけど、2023年の「童話」は突き放していると言いますか、「世界は世界」と歌いました。

瀬尾:割り切らないとダメよ、そうしないと生きていけないので、皆さん「頑張りましょう」という歌です。



噤 / 中島みゆき

田家:アルバムの7曲目 「噤」です。つぐみっていう字が、鳥のつぐみじゃないんですよね。

瀬尾:口をつぐむっていうやつですよね。

田家:で、大空を鳥が飛んでるような始まりになってます。「童話」のあとに「噤 」、「十年」「乱世」「体温」とメリハリっていうんですかね。曲によって世界が変わりますもんね。

瀬尾:中島さんがこの曲を「童話」と続けたのは、これもちょっとファンタジーの世界で、僕はそれを後押しするためにイングランドというかアイリッシュのイギリスの昔の中世風の音楽っぽくしようと、ダークファンタジー的な感じにしようと思って。

田家:みゆきさんの曲の中で「鳥」っていうのはどういうモチーフなんですか?

瀬尾:やっぱり鳥って自由じゃないですか? 空を飛べるし、国も関係ない。その象徴じゃないですか。どこでも自分の力だけで飛んでいけるっていう。あと俯瞰でものを見てる、そういう象徴で使ってると思うんですけれどもね。

田家:「この空を飛べたら」って曲がありましたけど、具体的な鳥の種類はあまり多くないんだなと思ったんですね。アホウドリ、カモメ、すずめ、白鳥、鷹、ガン。もっといっぱい出てきそうな感じがするんですけどね。

瀬尾:中島さんの中でそのぐらいが鳥なんですよね(笑)。

田家:やっぱり渡り鳥?

瀬尾:そうですね。基本的に、ある意味空には国境がないというか。今はありますけど、それが自由に行き来できるという自由さがあるんじゃないですか。

田家:今上げたのはタイトルになっているものだけで、歌詞の中で出てくるのはもっとたくさんあるんでしょうが、その辺ファンの方の方が詳しいでしょうから、ここでボロを出さないようにしないと(笑)。達観みたいなものが「噤」なんだろうと思ったんですね。

瀬尾:ある意味、外から見れるのは彼女の得意なところなんですけど、それ以上に高みみたいなところがあって。自分が見ている世界より、もう一つ上の世界からの話みたいな感じでどんどん高いところ行ってるなと思って。

田家:「噤に世界はどう見えてるのか」って歌でもあります。これを聞きながら「ヘッドライト・テールライト」の「旅はまだ終わらない」っていう歌が浮かんできたんですが。

瀬尾:「ヘッドライト・テールライト」は人生に対して、これは悲しみに対して終わりがあるかっていうことを言っている。

田家:それが「噤」なんですね。

瀬尾:口をつぐむというか。

田家:そういうことを歌詞を見て文字を確かめて聴くというのは、アルバムの正しい聴き方のあるかもしれません。

瀬尾:特に中島さんは必ず歌詞を見てください。



心月 / 中島みゆき

田家:アルバムの8曲目「心月」。心の月と書いて「つき」。

瀬尾:実は「噤」と「心月」は、音楽が続いてるんですよ。切れないように作ってくれて言われたので。この2曲は必ずつけるので「噤」が先で、その後に「心月」が来るって言われて。キーも一緒になってるので、この辺のところはある意味、三部作的になっている。ファンタジー系というか、ファンタジーという名を借りた現実ですけど。

田家:「心月」はそういう意味ではある種、起承転結でいう「結」のような曲って言ったらいいですね。

瀬尾:これは本人からもいろいろと注文があったので、すごく作るのに苦労しました。ギリまで、じゃあこれ加えてみようとかあれ加えてみようとか、最後に本当に「これならいい」って言われたときは本当にホッとしましたけどね。

田家:何が足りないと言われたんですか?

瀬尾:それを言っちゃったら身も蓋ももないんで(笑)。彼女の場合は、具体的に何が欲しいとか言わない。あくまで抽象的なことで、心情的なことを言葉に出しているので、音の後ろにこういう感じが欲しいとか。それは、ただここを上げてとか大きくしてとかなら楽なんですよね。この気持ちの裏に、こういう感じがあると言うのが、こちらは本当に雲を掴むような感じで。

田家:夜と昼で雲を感じ方も違うでしょうから。月も夜があって昼日中があるっていう。

瀬尾:これは満月の月明かりの曲で、人工の明かりがないところって月ってめちゃくちゃ明るいじゃないですか? でもその明るさと中での、特に蠢めているいろいろなもの、夜が明けるのをみんなで待つという今の気持ちなんでしょうね。ある意味、明るいんだけれども、もののけの、わけの分かりないものが蠢いている世界。それがいつ晴れるか明けるかって、そこまで頑張って待とうっていう。

田家:最後はみんなでコーラスになって。

瀬尾:みんなで気を確かに持ってないと、魑魅魍魎が具体的なものになってくる。いろんなものが生理的、自然的、主義的にも見えないところであったんだけども、見えていくっていうのがだんだん大きくなってきたので。それに対して頑張って対抗していかないっていうか、そういう時に負けちゃったら終わりだよって。だから頑張りましょうっていう。

田家:そういう曲です。

瀬尾:そうやって言うと後で怒られるから、このへんで勘弁して(笑)。

田家:「夜会」の舞台を見てるみたいですね。

瀬尾:ちょっとドラマチックと言うか、これはわざとシアトリカルにしてますね。群衆を入れているので。

田家:どういうレコーディングだったんですか?

瀬尾:普通に小さな形でやってます。バラで録っているので。今は本当に最小人数でやって、それでどんどん重ねていく方法でしかできないんで。

田家:でも、こういう重厚感はあるわけですもんね。

瀬尾:それは私の腕と言ってます(笑)。自画自賛。誰も褒めてくれないので(笑)。

田家:このラジオを聴いている皆さん、そう思ってますよ。

瀬尾:大げさアレンジャーで通ってますので(笑)。

天女の話 / 中島みゆき

田家:お聞いただきたいのは9曲目「天女の話」。関西弁ですね。

瀬尾:関西弁ですね(笑)。僕、関西人だから。

田家:関西弁で歌いたかった?

瀬尾:登場人物のえみちゃんが関西の人だから、そうなんですよね。

田家:デモテープを聞いただきどう思われました?

瀬尾:これは向こうにいる友達の中の一人かなと思いながら、彼女は作家なので、彼女の創作が当たり前で入っている。そこに行く過程とか、電車に乗っていく過程とか、そういうのを出したかったので電車感を出そうと思って。だからガタゴトガタゴトと(笑)。JRかな南海かな近鉄かなとか「何電車かな?」とか余計なくだらないこと考えていて。まあ、それは良いとして、電車の感じを出したかった。

田家:えみちゃんは天女という存在ですね。関西の話は来週もです出てくると思うんですが、世話好きな大阪人の人の良さみたいなものもよく出てる。

瀬尾:よく出てる。おせっかいで、人情深くてね。なんだかんだ言っておいて「知らんけど」って言うけど(笑)。

田家:で、ラストツアーが大阪で終わったこともあって、それに乗じて聞いてしまうんですが、次のライブっていうのはもう見えてるんですか?

瀬尾:まだ今のところは発表するようなところはないですね。本人がやる気はあるんでしょうけど、タイミングを探してるんだと思いますね。こちらも100%収まらないとやらないとは言ってるわけじゃないんでしょうけども、タイミング的に一番いいのはいつだろうなというのはあって。でも、やらないことはないと思います。ある意味、溜まってると思うんで。本人が一番エネルギーが、マグマが溜まっちゃってるかもしれないんで。

田家:それが爆発する日を待ちましょう。



夢の京 / 中島みゆき

田家:アルバム『世界が違って見える日』の最後の曲「夢の京」。「京」と書いて「みやこ」と呼びます。まさにアルバムの着地の曲。

瀬尾:デモテープのときから曲順はもう決まってたので、これが最後というのははなからわかっていて。このアルバムの中での要になるのはもうわかってたことなんで、どうやって表現しようかいろいろと考えましたけど、やっぱりいつもの直球投げたほうがいいなと思って。まあそれしかできなかったけど、直球でいいやと思って直球にしてます。

田家:かなりこれは時間がかかった?

瀬尾:そうですね。ある意味僕も好きな積み上がっていく感じ。歌も内容も好きなのなので苦労はしましたけども、加減みたいなのがどこまで行っていいのかというのがあるし、本当に「夢の京」が現実なのかうつつの京なのか。夢だからうつつの感じも出さなきゃだめっていう。オアシスみたいに現実にあるわけじゃなくて蜃気楼的な感じ。そこを目指すしかないよねって。もしかしたらついたらそこはただの荒地かも幻かもしれないけど、そこには向かっていかなきゃだめだって。

田家:一番はどこか非現実的な感じもありますよね。2番は風格と格調と、まさに大地と樹木が見える。

瀬尾:それは母なる大地の神様が中島さんなので。で、それが広がっていく。

田家:ゆったりしたテンポ感が。

瀬尾:こういう感じに持っていくのは、いろんな今まで舞台でやっているので、もうちょっと曲として独立して聴いてもらえるようにするのが舞台とちょっと違う感じですね。

田家:この「なのに人は」っていうことでところで言葉を飲んでしまう感じがわかりますもんね。人間の愚かさみたいなものもわかりながらね。

瀬尾:まあ性というか業というか。

田家:で、鳥も人もいなくなってしまった。大地の木の会話っていうのは『ウインターガーデン』でありましたもんね。

瀬尾:あれはコミュニケーションツールを持ってない世界の話なので。

田家:「夢の京」の木は希望の木ですもんね。

瀬尾:木がちゃんと根を張っててくれればいいんですけどね。上に高く高く盛り上がっていて、でも触ったら崩れてくるガラスみたいなんだったら。その辺のこともいろいろと考えてるってやろうとしたんですけどね。

田家:「夢の京」に帰ろうと言っても、でももうないって言ったりもしている。アルバム最後の曲「夢の京」でした。瀬尾さんにとってこのアルバムはどういうアルバムになりましたか?

瀬尾:これは久々のスタジオ録音だったので、初めはちょっとペースがよくわかってなくて。最近出したのはいわゆるコンピとライブ作品なので編集作業をずっとやっていて。人と一緒にやるっていうのがもう久々だったのでちょっと戸惑いました。あと自分のエネルギー的にも体力的にも2年間ミュージシャンとスタジオでやることができなかったので、いろんなところでとまどっちゃって、ちょっと時間がかかっちゃいましたけど。

田家:でも出し切った感がありそうですね。

瀬尾:そうですね。僕自体どのぐらい現役でいられるか分からないので、あまり晩節を濁さないようにと思いながら(笑)。書き混ぜてもいいんですけどね、別に(笑)。頑張ってやっていました。

田家:このアルバムを聞いて世界が違って見えるといいなという、アルバムですね。

瀬尾:違って見える日が来るか、来ているか、それは皆さん自分で決めてください。

田家:来週と再来週は瀬尾さんのコンピレーションアルバムの全曲紹介をお願いしたいと思います。来週もよろしくお願いします。

瀬尾:よろしくお願いします。





流れているのは、この番組の後テーマ、竹内まりやさんの「静かな伝説」です。

「なのに人は」っていう歌詞が最後の「夢の京」にありました。人間はこんなに愚かなのか?って思い知らされている3年間だったなと改めて思ったりもしました。アルバムの中にコロナのコの字もなければ、ウクライナのウの文字もないんです。でもこの3年間、特に去年今年と起きている世界中の出来事というのは、もっと濾過されて俯瞰されて抽象化されてドラマ化されて詞になっている。そういうアルバムでもありますね。音楽っていうのは、世の中で目の前に起きていることを歌うんではなくて、その奥にあるもの、その向こうにあるもの、そこからどこに向かっていくのかを聴いている人に教えてくれたり、燈のように明かりを伴してくれたり、希望を持たせてくれる。その答えなようなアルバムでしょうね。

「童話」の中にも、「子供たちに何んと言えばいいのだろうか」って歌詞があったり、最後の「夢の京」では「もう夢の京に帰ろう」って言ってはいるんですけど、もうない国へ帰ろうって言ってるんですね。もうその国はないかもしれない、その京はないかもしれない、でも夢は戻ることができるんだよ、恐れることはないと歌っている。力強いじゃありませんか。いつ終わってもいい。そこまで走り続けるっていうみゆきさんの最出発宣言でもあるんだろうなと思いました。歌詞を見ながら、何度も何度も聞いて、何を歌っているのかをじっくりと味わってみてください。


左から、瀬尾一三、田家秀樹


<INFORMATION>

田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
https://takehideki.exblog.jp
「J-POP LEGEND CAFE」
月 21:00-22:00
音楽評論家・田家秀樹が日本の音楽の礎となったアーティストにスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出す1時間。
https://cocolo.jp/service/homepage/index/1210

OFFICIAL WEBSITE : https://cocolo.jp/
OFFICIAL Twitter :@fmcocolo765
OFFICIAL Facebook : @FMCOCOLO
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cocolo.jp/i/radiko

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