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アーロ・パークスが語る渾身の2作目、彼女の目に映る「喜びと痛みと迷い」の世界

Rolling Stone Japan / 2023年5月25日 17時30分

Photo by Vince Mayo M. Aung

前作が大いに絶賛されたシンガーソングライター、アーロ・パークス(Arlo Parks)が5月26日にリリースされる2ndアルバム『My Soft Machine』について語る。7月には東京/大阪でジャパン・ツアーを開催(東京公演はソールドアウト)。「他の誰でもない、自分の経験について歌っていることを前提として知っていてほしい」。

「1stアルバムは、私を取り巻く人たちや出来事の影響がたくさん入っていた」。曲中の登場人物に生命を吹き込み、あたかも小説を読んでいるかのようなソングライティングで称賛を得ている、22歳のイギリス人ミュージシャンは話しはじめる。「私というフィルターを通して見える世界ーー喜びや痛み、迷い、言葉では区別できない様々な感情ーーを歪めることなく伝えたいと思った」

パークスは、2021年にマーキュリー・プライズを受賞したデビューアルバム『Collapsed in Sunbeams』のリリース以前から、5月26日に発表される最新アルバム『My Soft Machine』の制作を始めていたという。クレイロ、ハリー・スタイルズ、ビリー・アイリッシュのツアーのオープニングアクトを務める合間を縫って、集中的に制作を進めていった新しいアルバムのレコーディングには18カ月を費やした。その間にも、彼女はアリエル・レヒトシェイド(ヴァンパイア・ウィークエンド、ハイム)、バディー・ロス(フランク・オーシャン)、ブロックハンプトンのロミル・ヘンナーニといった名だたるアーティストとコラボレーションを果たしている。




「最初のレコードはパンデミック中に制作したこともあって、(今回は)スタジオでジャムをしたり、とにかくみんなと自由にやりたいっていう欲求に駆られていた」と彼女は話す。

このアルバムに付随する出来事の数々は、まさに目まぐるしい。むしろこの2年間は、彼女を讃えるための盛大なパーティーだったのかもしれない。マーキュリー・プライズ受賞、グラミー賞、ブリット・アワードのノミネーション(ブリット・アワードでは最優秀新人賞を受賞)を収めた『Collapsed in Sunbeams』は彼女の人生を成功の道へと導き、突如、世界最高のソングライターの一人として喝采を浴びることになった。地元ロンドンのO2アリーナで、ビリー・アイリッシュのオープニングアクトを務め、ダブリンのスタジアムを埋め尽くすハリー・スタイルズのファンの前でパフォーマンスをするなど、彼女はツアーで世界を飛び回った。

自身の功績についての質問には「もうすっかり忘れてしまった」と答える。「ただ、ミュージシャンたちやファンのみんなと一緒に祝えたことが嬉しかった。過酷だった2年間を共に乗り越えてきた曲を披露できて、やっとみんなと一体感を感じられた瞬間だった」。

人生を共有できるパートナーとの出会い

この2年を「最高に楽しかった」と語る一方で、数々のツアーをこなすことや自身の気持ちの整理には難しさもあったという。2022年9月に『My Soft Machine』の制作と一連のフェスを終えた直後、精神的な疲労により、彼女は予定していたアメリカツアーをキャンセルした。「心がとても暗い状態で、疲れ果てて、本当にどうしようもできない」と綴り、休息をとるためにロンドンへと戻った。

「仕事にすべてを注ぎすぎて、自分の面倒をみる余裕がまったくなかったんだと思う」と、当時を振り返る。事実、彼女は去年のうちに、ほぼ休む暇もなく125のショーをこなしていたのだ。「一つのことに集中しすぎていたみたい。体と心の声を聞いて、バランスをとるべきだって実感した。チームや周りのみんなはその状況をよく理解してくれて。だから、大事な人との時間を作ろうって、一旦休憩をすることにした」

彼女にとって、現在のホームはロサンゼルスだという。砂漠と海のそばで過ごせる時間、築き上げてきたコミュニティ、さらに新世代ポップアーティストでガールフレンドのアシュニコ(Ashnikko)との時間を過ごせるのが大きな理由だ。昨年12月に彼女たちは1周年記念を祝福し、ファンに向けてソーシャルメディアでプライベートを共有した。

「彼女と共有したいことがたくさんあった」とパークスは言う。「目に見えない尊いものが私たちの間にある。このアルバムには、彼女についての曲がたくさん入っている」

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パークスが歌うのは、突然スターへの階段を駆け上がるという経験を共有できる相手と出会えたことに対する、運命への感謝だ。「理解してもらえるのは、本当にありがたい」と彼女は言う。「私たちの境遇はかなり特殊。お互いが自分の道を進みながら、共感の域を超えて信頼できる人と生きていく世界は美しい」

映画とミッシー・エリオットの教え

ニューアルバムに収録されている「Weightless」では、愛に対する渇望が歌われている(去年リリースした「Softly」は今回のアルバムには未収録、その時(去年)がリリースすべきタイミングだったとのこと)。この曲の制作においては、LCDサウンドシステム、UKエレクトロニック・ミュージシャンのロレイン・ジェームズ(Loraine James)、ラッパーのジョン・グレイシア(John Glacier)といった、”パワフルでシンセドリブン”なアーティストたちの影響が大きかったと話す。みんなに驚きを与えることを大事にする彼女は、ラッパーであるミッシー・エリオットが、自身のスキルをみんなに披露したいと語った2ndアルバムのインタビューを引き合いに出し、「このトラックはかなり強さがある」と言う。「一方で、歌詞にはある種の脆さがあって、私が求めていた世界がうまく表現できてると思う」




デビューアルバムと2019年リリースのEPで、影響を受けたアーティスト/作品のリストを見たことがある人はご存知のとおり、彼女はアートとその文化に強い関心を持つ学生でもあり、「何でも吸収したい」と意欲的な姿をみせる。ニューアルバムでは、写真家のハーリー・ウィアー、タイラー・ミッチェル、ヴォルフガング・ティルマンス、フランス人映画監督クレール・ドニによる『35 Shots of Rum』からインスピレーションを受けている。「世界観を作り上げるために、数カ月のあいだ毎日1本映画を観ていた」と彼女は話す。

ニューアルバムのタイトルは、80年代のロンドンを舞台にした映画学校に通う主人公を描いたストーリーで人気を博し、2019年に上映された映画『ザ・スーベニア~魅せられて~』に由来している。映画の中で、登場人物たちは映画を作る理由についてこのように語る:「ただのパフォーマンスとしての人生はいらない。このソフト・マシーン(soft machine)を通過した人生が見たいんだ」自身の気持ちを歌詞に綴ることの意味について考えてきた彼女に、このアイディアが心に響いた。彼女にとって、ソフト・マシーンとは自身の身体、目、そして心のことだ。




音楽活動以外について、彼女は新しいことを学び続けたいと話す。最近はDJをしたり、ガーデニングを楽しんでいるようだ。アシュニコとフォレージ・ウォークに参加したりと探究心は底知れない。また、ブリティッシュ・ファッション・アワードのセレモニーに参加した際に、多くのデザイナーたちから刺激を受け、いつか服作りを学びたいとも語ってくれた。

探究心は自分自身に近づくことだと彼女は話す。文化的創造物や趣味からは、彼女が尊敬するアーティストのエリオット・スミス、友人であるフィービー・ブリジャーズ、クレイロとの関連性をよりクリアに際立たせる。彼女が求めた勇気とは、ミッシー・エリオットが見せてきた、探究し続けること、自身の感情を偽らないことーーその勇気を手にした彼女は柔軟で、そして自由だ。

「『揺るぎない存在になるには?』って、いつも考えている」と彼女は言う。「私が尊敬するアーティストたちのような、確固たる存在にね」

From Rolling Stone US.



アーロ・パークス
『My Soft Machine』
2023年5月26日リリース
日本盤ボーナス・トラック3曲収録
詳細:http://bignothing.net/arloparks.html

アーロ・パークス MY SOFT MACHINE TOUR 2023 JAPAN
2023年7月5日(水)東京・恵比寿ガーデンホール *SOLD OUT
2023年7月6日(木)大阪・梅田クラブクアトロ
詳細:https://www.creativeman.co.jp/event/arlo-parks_2023/

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