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3人の絞殺された少女、死因の公表に8カ月もかかった不可解な理由 米

Rolling Stone Japan / 2023年6月1日 6時45分

シャモニクさんの3人の娘が行方不明になり、翌朝近所の池から遺体で発見された(JESSICA RINALDI/BOSTON GLOBE/GETTY IMAGES)

2022年夏、米テキサス東部を恐ろしい悲劇が襲った。3姉妹の遺体が近所の池から引き揚げられ、死因は溺死と思われていた。ところが今年3月に警察当局が検視結果を公表し、事件は全米レベルで報じられた。検視結果によれば3姉妹は事故死ではなく、何者かに絞殺された後、池に遺棄されていた。

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カス郡地方検事局のコートニー・シェルトン検事はローリングストーン誌の取材に応じ、検視結果は遺体発見から数日後の昨年8月にすでに出ており、単に8カ月が経過するまで公表しなかっただけだと述べた。「8カ月間、検視結果が出ていなかったとの誤った憶測がありましたが」と検事。「3月までメディアに公表しなかっただけです」。

シェルトン検事が「未解決の三重殺人」と呼ぶ事件の公表を当局が差し控えていた間、3人の母親のショモニク・オリバーさんは昨年8月に捜査官から死因を聞かされたものの、今月に入るまで進捗状況は教えてもらえなかったそうだ。本人がローリングストーンに語ったところでは、パトロール隊員は彼女の電話にようやく応じたが、新情報は明らかにしなかったという。検事局はそれ以上、事件について回答を拒んだ。「答えを知りたいだけなのに」とオリバーさんは言う。

3姉妹と同じく黒人のオリバーさんは、事件の行き詰まりを心配している。また公表が遅れたことで、どの犯罪が警察当局やメディアや一般大衆にとって重要なのかという議論も持ち上がっている。当局は捜査を通じて引き続き真相究明にあたると強調している。

オリバーさんが暮らしているのは、アーカンソー州と目と鼻の先にあるテキサス州アトランタ市(人口数千人)の郊外にある小さな町だ。昨年7月29日(金)、オリバーさんはいとこに娘3人を預けて仕事に出かけた。彼女が娘たちの生きた姿を再び目にすることはなかった。

オリバーさんはまず3人の娘――テマリー・ロビンソン・オリバーちゃん(当時5歳)、アミヤ・ヒューズちゃん(当時8歳)、ジアリエル・ロビンソン・オリバーちゃん(当時9歳)――がいなくなったと聞かされた。検事局によると、3人の面倒を見ていた従兄弟が失踪届けを出したという(ローリングストーン誌は従兄弟に接触したが、返答はなかった)。夜には保安官事務所、テキサス州公園狩猟管理局、消防隊員が近辺を捜索した。カス郡保安官事務所のラリー・ロウ保安官は当時、隣人宅の敷地内にある池の近くで1組の靴が見つかったとメディアに語り、ただちに捜索隊が池の捜索を始めた。オリバーさんがローリングストーン誌に語った話では、池の所有者である隣人はその日子どもたちを見ていた従兄弟とは別の親戚だったという。警察により潜水班が招集され、午前3時ごろに遺体が池の中から発見された。

当時の報道記事には、3人の少女が溺死したと示唆されていた。2022年7月30日、地元TV局KTALは「少女たちが池でよく遊んでいたのか……泳ぎができたのか、警察関係者は確認できていません」と報じた後、ジェイソン・ジョーンズ猟区管理次長のコメントを続けた。「3人が泳げたかどうか、その点は不明です」と次長は報道陣に語り、発見された遺体はライフジャケットを着用していなかったと述べた。ロウ保安官も「3人があそこで何をしていたのかわかりません」と地元紙テクサーカナガゼット紙に語り、「今のところ容疑者はいません」と付け加えた。KTALは、テキサスレンジャーが事件を捜査中だと締めくくった。

遺体発見から数カ月が経過し、3月23日になってようやくシェルトン検事が記者会見を開いたことで、テキサス州の小さな町の悲劇は一躍全米の注目を浴びた。プレスリリースには、昨年7月に3姉妹の行方が分からなくなった後、池から遺体で発見されたとまとめている。「検視の結果、3人とも絞殺の跡が見られ、殺人であると断定された」という。「少女たちは顔に切り傷も負っていた。複数の証言を得て、現在DNA鑑定を進めている。捜査は今後も継続する」。プレスリリースの最後は、「逮捕につながる新情報」があればテキサスレンジャーに連絡してほしい、という検察からの要請で締めくくられている。

今週ローリングストーン誌はシェルトン検事に事件の進捗情報を尋ねた。検視結果が8カ月遅れたことで事件の捜査に影響があったかという質問に検事はメールで回答し、時間軸の誤りを指摘した。「検視結果は3人が池から引き揚げられた当日に行われました」と検事は述べ、数日後には検視結果が戻ってきたと指摘した。「2022年8月4日にはテキサスレンジャーのジョシュア・メイソン隊員が母親のショモニク・オリバーさんと祖父のもとを訪れ、3人が事故死ではないと知らせました。また暫定的な検視結果も詳しく説明し、殺人事件であると伝えました」。また検事によると、メイソン隊員は今後の捜査の「流れ」をオリバーさんに説明し、すでに集められた証拠とこれから探す予定の証拠を伝えたそうだ。

昨年8月の時点で検事局が三重殺人だと公表しなかったのはなぜか、また3月に情報を公表したのは事件に進展があったからなのか、という質問には、「今の時点でお伝えできる情報は以上です」という回答だった。具体的に検視を行った部署については明らかにしなかった。



テマリーちゃん、アミヤちゃん、ジアリエルちゃんの死から10カ月近くが経過したが、オリバーさんは絶えず悲しみに暮れている。「少しは良くなりました」と本人。「とにかく1日1日を乗り越えるしかありません」。3人は6人きょうだいの真ん中で、母親によればとくに仲が良かったそうだ。「いつも3人一緒でした」。TikTokをしたり、外で遊んだり、自転車に乗ったりするのが大好きだった。残された3人のきょうだいも心の整理をつけているところだという。「これまでの出来事をふまえれば、今のところ子どもたちも何とかやっています」とオリバーさん。

オリバーさんがローロングストーン誌に語ったところでは、娘たちの遺体が池から回収された数日後に死因について知らされたそうだ。「(警察からは)娘たちが溺死ではなく」と本人。「絞殺されていたと聞きました」 知らせを聞いた途端、オリバーさんは「なぜ? どうやって? 一体誰が子どもにそんなことをするの?」と首をひねったという。警察が当時、死因を伏せていた理由はオリバーさんにもわからない。

オリバーさんによれば、8月に検視結果の報告を受けた後、警察から音沙汰がなくなった。オリバーさんは何十回もテキサスレンジャーに連絡したそうだが、ようやく返事が返ってきたのは先週で、隊員の1人がオリバーさんの電話に折り返してきたという。「ようやくまともに返答してくれました」とオリバーさん。「ですが、証拠を検証しているところだ、としか教えてくれなくて、新しい情報は一切ありませんでした。何か知っていることがあれば警察に連絡してほしい」。ローリングストーン誌はテキサスレンジャーにコメントを求めたが、返答は得られなかった。

3月にプレスリリースが発表されて以来、オリバーさんはヒューストンを拠点に活動する団体New Black Panther Nationの助けを借りて事件の真相究明を求めている。団体のリーダーを務めるQuanell X氏は3人の幼い少女が殺された事件について、情報や対応がなかった理由として唯一考えられるのは黒人だからだ、とローリングストーン誌に語った。「根底には人種差別があると確信しています」とX氏。「もし金髪で、青い目をした白人の幼い3人の子どもがテキサス州カス郡の郊外で殺害されたなら、警察の対応は最初からまるで違っていたでしょう」。

テキサスレンジャーの広報を担当するテキサス州公安局のアダム・アルブリットン巡査部長は今週電話取材に応じ、公安局は今も事件を「積極的に捜査している」が、レンジャーとして公表できる情報は検事局のプレスリリースの内容がすべてだと述べた。その後オリバーさんの主張に対して電話やメールで再三コメントを求めたが、アルブリットン巡査部長からの返答はなかった。

シェルトン検事からのメール回答が途絶える以前、ローリングストーン誌は犯人がカス郡に野放しにされているのかと検事に尋ねた。「質問の意味が分かりません。現時点で分かっているのは未解決の三重殺人だということで、全力で真相究明に取り組んでいます」。当局の返答は、まさにこの10カ月近くオリバーさんが求めているものだ。「区切りをつけるにはあまりにも長すぎます」と本人。「もし警察がちゃんと仕事をしてくれていたら、私も答えや区切りをつけられていたでしょう……ですが警察は事件を気にかけていないのか、のらりくらりと何もしていないようです」。

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from Rolling Stone US

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