『LAPOSTA 2023』考察 チームLAPONEを支える多様な「個性」
Rolling Stone Japan / 2023年6月6日 17時0分
2023年5月30、31日。LAPONEエンタテインメント初となる所属アーティスト合同ライブ『LAPOSTA 2023』が有明アリーナにて開催された。JO1、INI、DXTEENが一同に会するイベントとのことで、チケットは即日完売。各公演1万人ずつ動員すると共に、30日には全国47都道府県の計80館の映画館にてライブビューイングを実施、31日には全世界へ向けてライブストリーミングも配信された。
【写真を見る】当日のステージの様子
2023年現在、日本のボーイズグループシーンは黄金時代を迎えている。SKY-HI率いるBMSGの台頭、LDHやEBiDANといったカラーを持った事務所の成熟、w-inds.やDa-iCEなどキャリアを持つアーティストの再評価。そして、韓国のCJ ENMと日本の吉本興業ホールディングスのリソースを投入したLAPONEの躍進。
――2019年『PRODUCE 101 JAPAN』からを機に始まったLAPONEエンタテインメントは、いよいよひとつのムーブメントを作り上げようとしている。『LAPOSTA 2023』を見ていると、そう感じずにはいられなかった。
思い返してみると、今年の元旦に開設されたYouTubeの公式チャンネルは、その前日譚だったのだろう。JO1とINIのメンバーが集結し「あけましておめでとうございます!」と挨拶する姿に、胸の奥を熱くしたJAM(JO1ファンの呼称)とMINI(INIファンの呼称)も少なくないはずだ。そして、2月13日に突如発表されたDXTEENのデビュー。LAPONEの練習生制度『LAPONE BOYS&LAPONE GIRLS』で自己研鑽の日々を重ねてきた6人がアーティストとして世に放たれたことにより、チームLAPONEの土台ができあがったように思えてならない。いうならば『LAPOSTA 2023』は、”チームLAPONEの存在を時代に刻んだ日”といっても過言ではないのではないだろうか。
ライブ本編は、休む間を与えないほぼぶっ通しともいえる2時間のエンターテイメント。INIの「SPECTRA」を筆頭に、DXTEENの「Brand New Days」、JO1の「SuperCali」と華々しいオープニングを飾ると、個人やグループの唯一無二性でオーディエンスを魅了していく。DXTEENがポップなストリートルックで「Sail Away」や「Come Over」で初々しさを香らせたかと思えば、INIは白を基調とした高貴なスタイリングで「BAD BOYZ」や「FANFARE」を披露し甘く柔らかいだけじゃない一面を魅せる。シースルーを取り入れたオールブラックの衣装を身にまとったJO1は、「Tiger」や「OH-EH-OH」をパフォーマンスし雄々しい色気を放っていた。個々のステージングを切り離して認識していると、それぞれのグループが似通っているイメージを持ちそうにもなるが、3組が一同に集まるとその違いも歴然である。
DXTEEN(Photo by 田中聖太郎)
JO1(Photo by 田中聖太郎)
ユニットタイムで浮かび上がった新たな可能性
続いて設けられた楽曲シャッフルパートは、その事実をより鮮明に描き出していた。「やんちゃBOY やんちゃGIRL」を歌い踊るDXTEENは、自分たちの曲を歌っているのかと錯覚するほどとても自然体で、彼らの持つ”青春”というコンセプトが楽曲と噛み合うと相乗効果を発揮することを示していた。キャッチーで爽やかなナンバーの良さを活かせるのは、DXTEENの強みである。また、「CALL 119」をパフォーマンスする場面では、力強くエネルギッシュな面も覗かせる。本来は11人に割り振られたハードなダンスや歌割りを、自分たちらしく咀嚼しひとつの演目として完成させることのできる胆力も彼らの強みなのだ。
「Shine A Light」をカバーするINIに感じたのは、ブライトなイメージを軽やかに表現するバイタリティである。高音をパワーで押し切ることなく抜いて歌えるスキルを持ち、なおかつ声の質が総じて明るい。また、ダンスは一定のラインまできっちりと揃えるものの、個々の表現の余白をたっぷりと取っているのも特徴のひとつである。
INI(Photo by 田中聖太郎)
また、JO1は力強くハードな楽曲を任せたときの安定感が凄まじい。ダークでタフな「BOMBARDA」を歌い上げる声は密度が高く、曲の持つ妖しさも色濃く表現。統一されたジャンプの高さや手の角度は、彼らがシンクロダンスを突き詰めてきた証といってもいいだろう。三者三様の個性は、それぞれのグループが越えてきた日々が、しっかりとグループのカラーとして定着していることを物語っていた。
折り返し地点では、各々の個性を活かしたユニットタイムが設けられた。Mrs.GREEN APPLE「青と夏」や8LOOM「Melody」のカバーなどが並ぶなか、印象に強く残ったのは以下の3つ。
1つ目は、JO1の大平祥生・川西拓実・INIの田島将吾によるJO1「Born To Be Wild」のビートジャックだ。レトロファンクスタイルのベースラインとリズムが特徴的なナンバーに余裕綽々でオリジナルのフロウをかます姿は、彼らの新たな可能性を感じさせた。
2つ目は、JO1の川尻蓮とINIの木村柾哉によるダンスパフォーマンスの「Remains」。『2021 MAMA』で披露されたダンスコラボが再び実現したという点だけでも興味深いが、今回は尺も長くなり物語要素の強い作品に進化し、ダンスをより芸術として昇華していく流れも期待できそうな構成となっていた。
そして、3つ目はJO1の豆原一成とINIの西洸人による「LAPOSTA 2023 Exclusive DJ Mix」だ。西がDJを務め、豆原はサンプラーを用いたドラミングを披露。「La Pa Pa Pam」や「Dramatic」といった楽曲を繋ぎ、オーディエンスを煽り、会場を盛り上げていった。それぞれがグループ加入前から持っていた特技を活かしながらも、新たなことに挑戦し可能性を広げ続けていることをユニットタイムは物語っていたのである。
世界に打ち出す「LAPONE」のブランド力
DXTEENの「Unlimit」をきっかけに、いよいよライブはラストスパート。INIが「Dramatic」でさらに勢いをつけると、JO1は「Trigger」で堂々たるオーラを放つ。そしてラストは、『PRODUCE 101 JAPAN』と『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』のテーマソングである「Let Me Fly~その未来へ~」と「ツカメ~Its Coming~」を投下。計28人は歌い踊りながら、ステージの隅々まで広がるだけでなく、ある者はトロッコに乗り、ある者は観客席に姿を現し、オーディエンス一人ひとりとコミュニケーションを取っていく。その表情は本当に幸せそうで、目の前にいるファンとの出会いを余すことなく噛みしめているようだった。
INI(Photo by 田中聖太郎)
アンコールでは、JO1・INIのデビュー曲である「無限大」と「Rocketeer」をマッシュアップでパフォーマンス。巧みに繋ぎ合わされた楽曲は、LAPONEソングの新たな可能性を提示しているよう。最後は全員で手を繋ぎながら深々と挨拶をし、大ボリュームの『LAPOSTA 2023』を締めくくった。
Photo by 山内洋枝(田中聖太郎写真事務所)
公演中のMCで佐藤景瑚(JO1)に「こういうライブをやってどうなんですか」と訊かれた田島は、次のように語っていた。「LAPONEの名前が広まるといいですよね。今回のこのイベントを通して、LAPONEが知れ渡るいい機会になればいいなと思います」と。
LAPONEエンタテインメントも、いよいよ設立5年目に突入した。ライブでの声出し解禁、海外アーティストの来日など、音楽シーンがパンデミック前の日常を少しずつ取り戻してきている現在、LAPONEも一つ目の正念場を迎えているのかもしれない。とはいっても、『LAPOSTA 2023』で自分たちのカラーをまざまざと魅せつけていた彼らなら、何も心配することはないだろう。ファンと直接会えぬ時間も腐ることなく、アーティストとして成長してきた面々は、今以上に広い舞台でもきっと素晴らしい大輪を咲かせてくれるに違いない。唯一無二の才能が、世界を笑顔と平和で包みこんでくれる日が、今から楽しみだ。
Photo by 田中聖太郎
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