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神はサイコロを振らない・柳田周作が語る、バンド結成秘話と作品作りへのこだわり

Rolling Stone Japan / 2023年7月1日 13時0分

Rolling Stone Japan vol.23掲載/Coffee & Cigarettes 45| 柳田周作(Photo = Mitsuru Nishimura)

音楽、文芸、映画。長年にわたって芸術の分野で表現し続ける者たち。本業も趣味も自分流のスタイルで楽しむ、そんな彼らの「大人のこだわり」にフォーカスしたRolling Stone Japanの連載。神はサイコロを振らないの新たなロックアンセム 「修羅の巷」。唯一無二の歌声と圧倒的熱量を持つ楽曲。中心人物のボーカル柳田周作がソングライティングのこだわり、そしてバンド結成のストーリーを語ってくれた。

2020年に「夜永唄」がバイラルヒットし、同年7月に「泡沫花火」でメジャーデビューしたロックバンド「神はサイコロを振らない(以下、神サイ)」。卓越した演奏能力とポップでキャッチーなメロディにより生み出される彼らの楽曲は、エッジの効いたハードなロックからロマンティックで美しいバラードまで実に幅広く、現在は国内有数のフェスに多数参加するなどライブバンドとしても確実にファンベースを広げている。フロントマン柳田周作による文学的な歌詞世界と、聴く者の心のひだに染み渡るような表現豊かなボーカルもまた、「神サイ」の音楽性の要だ。

柳田が音楽に目覚めたのは中1の時。祖母が入学祝いで買ってくれたアコースティックギターがきっかけだったという。周りに楽器をやっている友人は一人もいなかったが、ヒット曲のコード譜がたくさん掲載された音楽雑誌を購入しては、好きな楽曲を歌いながら弾けるまで練習していた。
「当時add9というコードを使っている楽曲にはまってまして、それを神サイでも手癖のように多用していて。普通のメジャーコードと違う、ちょっと浮遊感のある響きはその時に学んだんですよね。気づけばギターにどっぷりハマり、中2の冬にお年玉でエレキギターを購入しました。ちっちゃい15Wくらいのマーシャルアンプも一緒に」



六畳一間の自分の部屋で、アンプにギターを繋いで初めて鳴らした時の衝撃は、今でも忘れられないという。

「あまりにも興奮してしまい、友人が遊びに来るたびにその音を聴かせていたら、いつの間にかみんな楽器を始めるようになっていました。中3の頃からコピーバンドを結成して、メンバーの家を練習場所に改装して毎日集まっていましたね。真夏は半裸でSIAM SHADEやFACTのカバーに明け暮れる日々(笑)。テクいこと(高度なテクニック)をやったもん勝ちというか(笑)、どれだけ速いソロが弾けるか?とか、どれだけ変わった拍子でリズムが取れるか?とか、そういうことで競い合っていた時代です」


まるで秘密基地のような場所に集まり、とにかく爆音を出し合うことが楽しくて仕方なかったという。映画『ソラニン』に憧れ、「ああいうバンド活動に明け暮れる大学生活を送ってやるんだ」と夢を思い描いて大学の軽音サークルの門を叩くが、初日に部長と大喧嘩をしてしまう。
「エレキギターを背負って部室へ行ったら誰もいなかったんですよ。でもそこにマーシャルのアンプがあるのを見つけて、思わず自分のギターを鳴らしてしまったんですよね(笑)。そこに部長が入ってきて、『お前、何勝手にアンプいじってんだよ?』とすごい剣幕で言われたのでこっちも後に引けなくなってしまい……(笑)。『こんなサークル、絶対に入るものか!』と怒って飛び出したのですが、その時もう一人、見学に来ていた奴と意気投合したんですよ。そいつが後に神サイのドラマーになる黒川だったんです」



意気投合した2人は一緒にバンドを組む約束を交わすが、柳田の知らないうちに黒川亮介は別のバンドのドラマーになっていたという。

「裏切られたような、梯子を外されたような複雑な気持ちでしたね。『もうバンドはやらない』と決めて、一人で音楽活動を始めました。その頃ちょうどツイキャスに、弾き語りの動画を配信するのが流行っていて。僕は当時ギタリスト志望だったのですが、その動画を見ていたら『歌うのも楽しそうだな』って(笑)。そこからツイキャスで歌い始め、徐々に登録者数も増えていったんです」


このままシンガーソングライターでやっていくのもありかも、そう思った矢先に黒川と再会する。

「黒川はバンドを解散したばかりだったのですが、僕の方は弾き語りシンガーソングライターとしてファンもそこそこついていて。それを知った黒川に、『バンド組もうや』って言われたときには開いた口が塞がらなかったですね(笑)。本当に調子の良いやつだなと思ったんですけど、やっぱり僕自身もバンドへの憧れがあったので、そこから二人で曲を作り始めました」

二人が大学2年になった時、黒川の所属する軽音サークルに新しく入ってきたのが吉田喜一。「ギターがめちゃめちゃ上手い」と評判だった彼を、柳田の自宅での鍋パーティで口説き、最初はサポートという形でバンドに招き入れた。同じタイミングで声をかけたのが、桐木岳貢。

「当時の桐木はハードコアバンドをやっていて、ライブを観にいったらベースの弾き方がめちゃくちゃカッコ良かったんです。『絶対にこの人とバンドを組みたい!』と思ったので、やはりサポートから加入してもらうことにしました。実を言うと、吉田にも桐木にも『正式メンバーになってほしい』『このバンドで売れるまで頑張ろうぜ』みたいな話をしたことが一度もなくて。ヌルッと始まって今に至るという感じなんですよね(笑)。だから、吉田と桐木は未だにサポートメンバーと思っている可能性は大いにある……そんなことはないか(笑)」



そんな神サイの新曲「修羅の巷」は、福山雅治と大泉洋が主演するドラマ『ラストマン−全盲の捜査官−』の挿入歌として書き下ろされたもの。歪んだギターリフや疾走感あふれるリズム、そしてボーカル柳田周作による艶やかな歌声が絡み合う楽曲がバンドやドラマのファンに突き刺さり、Billboard Heatseekers Songsで1位を獲得するなど話題沸騰中だ。全盲で壮絶な過去を持つ主人公・皆実広見や護道心太朗の生き方に、柳田自身が感じた気持ちを投影。その上でマイノリティや社会的弱者に対し、「心だけは搾取されてはいけない」というメッセージも込めた壮大かつヘヴィなロックナンバーだ。

「この曲も、過去に作った楽曲も、結局は自分自身のパーソナルなことを歌っていて。誰かのためではなく自分のために書いた曲を、自分以外の人がその人生を重ね合わせて聞いてくれていることに、最近は感動することが多くて。以前はやたら周りくどい言い方や、わざと難解な表現を用いていたのですが、「俺はこう思ってるんだ」ということを分かりやすく赤裸々に表現した方が、面白いことができるんじゃないかと最近は思っています。あと、作品作りはもっと身勝手なエゴの塊だって良いんじゃないか?と思う気持ちもありますね」


そう言いながら、ハイライト メンソールに火を付ける。とにかく曲作りは「産みの苦しみ」によるストレスの連続のため、タバコで一服する時が至福のひとときだ。

「実は禁煙を試みた時期もあったんですけど、その時よりもタバコ吸っている時の方が、ちゃんと声が出るんですよ(笑)。タバコが吸えないストレスを抱えるよりは、吸った方が精神的にもいい気がしていて。もちろん考え方は人それぞれだし、喉が強い人、弱い人がいるので一概には言えません。でも僕にとってハイライトは、音楽活動を続ける上での良き相棒なんですよね」

柳田の自宅にある制作スペースは、現在全てを白で統一しているという。そこに入ったらすぐ作業に集中できる、そんな非日常的空間がコンセプトだ。



「ドラゴンボールに出てくる『精神と時の部屋』みたいな(笑)。床には大理石風のシートを貼ったり、DTM専用のデスクも真っ白いものを注文したりしています。ベランダにはコールマンのインフィニティチェアを置いて、その横に円柱型の灰皿と木製のミニテーブルを設置。制作に煮詰まった時は、サウナの外気浴みたいにチェアに寝そべり、一服しながら夜景を見るのが最高に幸せです。『俺、今東京におるんやな』としみじみ思う時間がとても貴重ですね。そこからきっと、たくさんの名曲が生まれると思います(笑)」

もうすぐ完成予定のニューアルバムをひっさげ、10月には初のホールツアーを予定しているという神サイ。最後に意気込みを聞いた。
「会場の数も今まで以上に多くなり、久しぶりに訪れる場所もあるので楽しみです。大規模なツアーはそのぶんだけドラマもありますから。いいこともあれば大変なこともある、その全てが自分たちの明日への肥やしになるんです」

柳田周作
2015年に吉田喜一(Gt)、桐木岳貢(Ba)、黒川亮介(Dr)とともに「神はサイコロを振らない」を結成。以降ライブハウスシーンのど真ん中で活動を続け、2022年3月にはメジャー1stフルアルバム『事象の地平線』をリリース。今年9月27日には2ndフルアルバムをリリースし、全国8カ所をまわるホールツアーを開催する。


2nd Full Album「心海」9.27 Release
https://kamisai.lnk.to/2nd_alPR

神はサイコロを振らない Extra Live 2023 ”Advance to「心海パラドックス」”
9月23日(土) 香川:festhalle
9月26日(火) 福岡:FUKUOKA BEAT STATION

Official SNS先行受付
受付期間:6/30(金)20:30~7/9(日)23:59
受付詳細:https://kamisai.jp/information/detail/index.php?id=497

神はサイコロを振らない Live Tour 2023「心海パラドックス」
10月28日(土) 大阪:オリックス劇場
11月4日(土) 北海道:札幌道新ホール
11月11日(土) 福岡:福岡市民会館 大ホール
11月18日(土) 宮城:仙台電力ホール
11月23日(木・祝) 岡山:岡山芸術創造劇場ハレノワ 中劇場
11月25日(土) 新潟:新潟市音楽文化会館
12月1日(金) 愛知:日本特殊陶業市民会館フォレストホール
12月17日(日) 東京:東京国際フォーラム ホールA

各プレイガイドでの受付はこちらから ローチケ:https://l-tike.com/kamisai ぴあ:https://w.pia.jp/t/kamisai-tour2023/ イープラス:https://eplus.jp/kamisai/

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