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Balming Tigerが語るオルタナK-POP、NewJeansへの共感、韓国が音楽シーンを制す理由

Rolling Stone Japan / 2023年7月7日 17時0分

Balming Tiger(Photo by Griffin Lotz For Rolling Stone)

7月28日から30日にかけて新潟・苗場スキー場で行われる「FUJI ROCK FESTIVAL '23」。全ラインナップの中でも一際インパクトを放つ「オルタナティブK-POPバンド」、Balming Tiger(バーミング・タイガー)のインタビューをお届けする。

BTSやBLACKPINK等、K-POP界のスーパースターたちがチャートを独占するなか、韓国のアンダーグラウンドシーンは確実に成長を続けている。Balming Tigerは、そのユニークさを象徴するアーティストのひとつだ。

パンクやヒップホップを飲み込んだ型破りなポップ/R&Bを追求する8人組は、K-POPの多様性を体現するような存在だ。去る3月15日、SXSW史上初となるアジアのアーティストに特化したTiger Denでのショーケースの初日に、Balming Tigerは強烈なインパクトを残した。その2日後、Dr. Martensステージに登場した同グループは圧倒的なパフォーマンスを披露し、オーディエンスを熱狂の渦に巻き込んだ(客席にはWarped Tourかと錯覚するようなモッシュピットが発生していた)。

これがオルタナK-POP。彼らはBalming Tigerの音楽をそう形容する。


オースティンのClive Barでオーディエンスを熱狂させたBalming Tiger(Photo by Griffin Lotz For Rolling Stone)

同グループはパフォーマーのOmega Sapien、sogumm、bj wnjn、Mudd the student、プロデューサーのSan YawnとUnsinkable、映像ディレクターのJan QuiとLeesuho、ビジュアルアーティストのChanhee HongとDJ Abyss、ライターのHenson Hwangで構成される。それぞれが単独で活躍するアーティストだが、集団としての彼らはざらついたヒップホップのリリックからパンクのビート、メロウなR&Bまで飲み込んだ、音楽のるつぼというべきボーダレスな表現を追求する。パンクロック譲りのパワフルなライブパフォーマンスで知られる彼らは、R&Bを軸とする典型的なK-POPのアーティストたちとは明らかに一線を画している。

デビューミックステープ『Balming Tiger vol.1: 虎媄304』から、BTSのRMをゲストに迎えたヒットシングル「SEXY NUKIM」まで、Balming Tigerは常に先を見据え、そのプラットフォームを通じて韓国の次の世代のアーティストたちをインスパイアしようとしている。大きな話題を呼んだSXSWでのパフォーマンスの直後、彼らは本誌の取材に応じ、標榜する「オルタナK-POP」のサウンド、そして近い未来に世界中に浸透するであろう韓国のユニークなサブカルチャー・ムーブメントについて語ってくれた。




―あなた方は皆、YouTubeで音楽的センスを養ったそうですね。幼い頃、特に影響を受けたアーティストは?

Omega:ファレル・ウィリアムス、タイラー・ザ・クリエイター、カニエ・ウェスト。他にもたくさんいるけどね。(bj wnjnを指差して)あいつはディアンジェロを観たいがために、飛行機に乗ってサマーソニックに行ったんだ。

俺たちが共有してるのは音楽的な趣味ではなくて、スピリットとエネルギー。あいつ(Mudd the student)は90年代〜2000年代初頭のブリットポップが好きだし、俺のルーツはヒップホップで、彼女(sogumm)はR&B上がりだけど、結局のところ類は友を呼ぶんだよ。そんなふうに多様だからこそ、俺たちのライブと音楽はすごくカラフルなんだ。

結成の経緯、オルタナK-POPの真髄

―バックグラウンドは様々ということですが、各メンバーとはどのように知り合ったのですか?

Omega:韓国のサブカルチャーシーンはすごく盛り上がってきてるんだ。ただ、今はまだ巨大ってわけじゃないから、アーティストどうしがごく自然に繋がるんだよ。ディレクター/CEOのSan Yawnは、Balming Tigerのリーダー的存在。このグループは彼を中心として集まったんだ。

San:元々sogummの曲が好きで、彼女と何か一緒にやりたかった。それからしばらくして、彼(Omega)の音楽に興味を持ったんだ。

Omega:彼(San)はまるでポケモンのコレクターさ!


Clive Barで行われたDr. MartensのショーケースでのBalming Tiger(Photo by Griffin Lotz For Rolling Stone)

―グループの究極の目標があるとすれば何でしょう?

Omega:俺たちは目標を決めないようにしている。自分たちが今この瞬間を思いきり楽しむことで、人々にいい影響を与えられたらと思ってる。俺はアメリカに住んでいたことがあって。2012〜13年の間、ニュージャージーに住んでたんだけど、当時は目標にしたくなるようなアジア人のロールモデルがいなかった。ブルース・リーは例外だけど、60年代の人だからね。この国の社会で、俺は自分の居場所をまるで見つけられなかった。誰を手本にすべきなのか、誰の背中を追いかければいいのか、まるでわからなかったんだ。それで思ったんだよ、俺自身がそういう存在になって、当時の俺のような人々をエンパワーしたいって。俺らを見て「アジア人でもクールな存在になれるんだ」って感じてもらうこと、それが俺の目的なんだ。



―素晴らしいですね、あなた方は皆際立った個性の持ち主だと思うので。次の世代の人々を、どのような形でインスパイアしたいと思っていますか?

Omega:韓国の若い世代の人々に、可愛くなくてもハンサムでなくても、何もかも完璧じゃなくてもいいんだって知ってほしい。自分の信じた道を進めばいいんだって。Balming Tigerを見て「好きなようにやればいいんだ」と思ってほしいんだ。それがきっかけで自分のスタイルを追求する人が増えれば、韓国のサブカルチャーはますます豊かになっていく。それがK-POPをずっと支えていくんだ。

―あなた方は自身の音楽を「オルタナK-POP」と形容していますが、それは何を意味しているのでしょう? K-POPのシーンをどんな風に発展させていきたいと思っていますか?

Omega:その前に「K-POPとは何か」ってことじゃないかな。俺らが思うに、この言葉はジャンルを指してるわけじゃない。K-POPにはR&Bもあればヒップホップもあるし、他にも色々あるわけだから、ジャンルを特定することはできない。あえて言うなら、K-POPは現象なんだよ。何でもありっていうのがK-POPの特徴だけど、俺たちはそれですら窮屈に感じてしまうから「オルタナティブ」っていう冠詞を使ってるんだ。

NewJeansと250への共感

―韓国では今、どのような音楽が人気なのでしょうか?

Omega:NewJeansだね。彼女たちは韓国のサブカルチャーと伝統的なK-POPを見事に融合させている。個人的にもすごくリスペクトしてるし、これからきっとすごいことになると思うよ。

―なるほど。韓国のサブカルチャーとはどういったものなのでしょうか?

すごい勢いで成長してると思う。NewJeansの曲を手がけているのは、250(イオゴン)っていう才能あるプロデューサーだ。5年前の韓国シーンは、海外で流行ってる音楽を取り入れるばかりだった。だから、自分たちの世代はアメリカのヒップホップとポップにどっぷり浸かってきた。でも、俺たちや250は、誰にも似ていない自分たちだけのサウンドを鳴らそうとしてる。それが韓国の新しいムーブメントにつながってるんだ。



―あなた方はSXSWのステージで、凄まじいエネルギーに満ちたパフォーマンスを披露しました。今夜Balming Tigerのことを知ったファンやリスナーに覚えておいてほしいことは?

Omega:これからは韓国が音楽シーンの中心になる(Korea is f**king next)。

From Rolling Stone US.



(ライブinfo)
FUJI ROCK FESTIVAL '23
2023年7月28日(金)29日(土)30日(日):新潟県 湯沢町 苗場スキー場
※Balming Tigerは7月30日(日)出演
公式サイト:https://www.fujirockfestival.com/

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