1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 音楽

カバー動画で総再生回数37億回を誇るJ.Fla、オリジナル曲で語った激動の半生

Rolling Stone Japan / 2023年7月14日 17時45分

J.Fla(©GOODSEN ENTRTTAINMENT)

韓国のYouTuber/シンガーソングライターのJ.Fla(ジェイフラ)が、10年ぶりのオリジナル・アルバム『Burn The Flower』をリリースした。2011年、歌を届ける場所としてYouTubeチャンネルを開設。現在は登録者数1760万人、動画総再生回数37億回を誇るまでになった。約10年間、洋楽/K-POPを中心に多数のカバー動画を投稿してきたが、今回のアルバム『Burn The Flower』は、彼女自身が経験してきたパーソナルなトピックがインスピレーション源となっている。

【写真を見る】J.Fla

—10年ぶりのアルバムで、作詞、作曲、編曲、プロデュースも一人で担当している。なおかつJ.Flaさんの半生が凝縮された内容ということで、最初は「気合を入れて聴かなくては!」と思っていたんですが、実際にはとても晴れやかな気持ちで全10曲を楽しみました。こういったパーソナルな作品は、捉え方によっては重たくなってしまいがちですが、いい意味でコンパクトにまとまっているなと思いました。この作品の全体像は、最初から考えていたものなんでしょうか?

J.Fla:はい。今回は自分の過去を元に曲を作っていったのですが、これまでの歩みを振り返ったときにあらためて、私はとても困難な道のりを歩んできたんだなと感じました。それでも自分の人生をフレッシュに表現したいという気持ちが、今言っていただいたような作品にしたんだと思います。

—とにかく音色が多彩ですよね。カラフルなサウンドで、すごくポジティヴな気持ちになりました。サウンドプロダクションで気をつけたことはありますか?

J.Fla:私よりも編曲が上手い方はもちろんたくさんいらっしゃいますが、私が体験してきた苦しみやムードは、私自身が誰よりもよく知っている。リスナーの方が、私の人生を目の前で見ているかのような世界観を届けられるように、挑戦するスタンスで編曲しました。

—具体的にどんなことに挑戦しましたか?

J.Fla:私は先に歌詞を書いてから作曲をして、最後に編曲するスタイルなんです。今回に関しては一つのジャンルにとらわれず、その時の感覚をいろんなジャンルに乗せていくことが、すごく挑戦でした。特に「Telecaster」が難しかったです。



—僕も「Telecaster」のアレンジは冒険してるなと思いました。EDMっぽい展開も想像していなかったし、サウンドもユニークですよね。「こういうジャンルにしよう」とはあまり考えずに、直感的に作られたアルバムなんでしょうか?

J.Fla:音楽活動を始めたばかりの頃、お金がなくて自分のテレキャスターを売ったことがあって、その状況を愛している人との別れとして表現しているんです。楽しい音楽のジャンルであるEDMのアプローチを取りつつ、私のアイロニーな気持ちを反映させました。

—じゃあ最初からジャンルを決めていたというより、語るべきことがあって、そこに合わせてスタイルを乗せていったんですね。

J.Fla:そうですね。

—「A Four Leaf Clover」という曲は、途中でポエトリーリーディングっぽいボーカルになって、楽器の響きも豊かで、軽やかに駆け抜けていくポップ曲だと思いました。この曲ではどんなことを語りたかったんでしょうか?

J.Fla:とても素敵な出来事について語っています。ある方が四ツ葉のクローバーをくださったことがあって、当時の情景が忘れられなかったんです。その感動した気持ちを音楽で表現することはすごく難しかったんですが、正直に伝えようとしてああいうスタイルになったのかなと思っています。先ほど「軽やかに駆け抜けていく」と表現してくださったんですが、本当にそういう気持ちだったんですね。だけど、その時の私は寂しくもあって。そんな時に、その方が四ツ葉のクローバーをくださった。光と闇のような感情が混在していたので、その気持ちが多彩に表れているのかもしれません。



—昔感じた情景って、J.Flaさんは今でも鮮明に覚えている方ですか?

J.Fla:私の大好きな、音楽という仕事を諦めなければならないかもしれないという壁が、人生に何度かあって。その状況を鮮明に覚えているからこそ私は努力してきたし、それによって不屈の精神が生まれてきたんです。当時はすごくつらかったけど、今こうやってお話ができるようになっていることは、一つ私がそこを乗り越えて強くなれた証拠なんじゃないかなと感じています。


「自分の話を表現するからといって、簡単なわけではない」

—1曲目の「My Childhood Dream」では、文字通りJ.Flaさんが子どもの頃に思い描いていた夢を歌っていますよね。この曲のボーカルではラップも出てきますが、どういったアプローチで作ったんでしょうか?

J.Fla:この曲は子ども時代の曲ということで、ヴィンテージスタイルやレトロな雰囲気にしたいなと思っていました。ラップの部分については、ラップとして聴いてくださって本当にありがたいと思っていて(笑)。実は正直に話してしまうと、歌詞を書いた後に、文字数が多い箇所があって、どうしてもメロディを作れなかったんですね。かといって言葉を抜こうとは絶対に思わないし、そうなった時に「喋っちゃえばいいんだ」って思ったんです。それがラップみたいなスタイルになったという背景があります。



—ボーカル面に関して他にチャレンジしたことはありますか?

J.Fla:この作品では私自身について語っていますが、レコーディングでは、感情をコントロールして気持ちを表現するのがすごく難しかったです。あまりにも深く入り込んでしまって、その時の感情がフラッシュバックして泣いてしまったり、私が伝えたいのはこんな話じゃない、と思ってしまったり。かといって、第三者っぽく落ち着いて語ろうとすると、何の魅力もなくなってしまう。自分の話を表現するからといって簡単なわけではないんだな、ということを、今回強く感じました。特に「Invisible Me」を書いた時は、すごくつらい状況だったんです。レコーディングでその気持ちを表現するのが難しくて。3回レコーディングをしたんですが、3テイク全然違うものになりました。



—ボーカルを録るのは魂を削るような作業でもあったんですね。

J.Fla:私の細胞をのせました(笑)。

—あと、ギターやピアノといった楽器の存在がポイントになっている曲が多いと感じました。今回のアルバムでは、それらの楽器がきっかけで生み出された曲も多いのでしょうか?

J.Fla:私にとってテレキャスターは愛すべき存在で、イントロは必ずテレキャスターでかっこよく始めるのが、私のこだわりなんです。だけど私がいくらかっこよくイントロを弾こうと頑張っても、微妙な時もあります。その場合は、1000以上のテレキャスターのサンプルを聴きまくって、そこで見つけた音を使ってイントロを作ることにしました。このこだわりは、私のテレキャスターへの愛だと言っていいくらいです。また、おっしゃる通りギターとピアノは私にとって、楽器として一番大きな存在なんです。メロディを作る時は必ずギターを使いますし、ピアノはコードだけ弾いてもつまらないので、プログラムを使って音色を変えました。ピアノとギターという2本の柱があって、そのしっかりした基礎の上に他の楽器を乗せていくように音を作っていくことが、私の楽器に対してのこだわりです。

—アルバム6曲目の「Bedroom Singer」から8曲目の「Before I Met You」までは、先にシングルで出していた曲の並びだと思いますが、後半ではシングル曲が並んでいますよね。それは偶然なんでしょうか?

J.Fla:このアルバムの曲順は私の人生の時間軸になっていて、意図的に並べてあります。6曲目の「Bedroom Singer」が、YouTubeで私が皆さんに出会った分岐点になっていて、最後の「Sorry I Made You Wait」は、ファンの方に向けての曲にしているんです。







—9曲目の「Nineteen」という曲はチルなムードもあって、R&Bテイストな響きもありますが、この曲にはどんな想いを込めたのでしょうか?

J.Fla:この曲はコロナ禍に作ったもので、人と直接会えないという当時の状況が、
私の中でR&Bのようなグルーヴ感のある音の表現に繋がっています。もちろん会えなくて残念な気持ちはありましたが、世界を憎むようなことはしたくなくて、ただこの状況を、大きな気持ちで受け入れていこうと表現したかったんです。だけどこのアルバムが出る時にはコロナが少し落ち着いてきていて、混乱の状況ではなくなっていた。だからわざわざもう一度この曲を入れるかどうかすごく迷ったんです。でもこれ以上時間が過ぎてしまうともう絶対にこの曲をアルバムで発表することはできないだろうし、私自身がすごく気に入っていた曲でもあったので、アルバムに収録しました。





「私にとっての序章のような10曲をアルバムに収録した」

—「Sorry I Made You Wait」はアルバムの最後に収録されていますし、ファンに向けて歌った曲でもあるということで、J.Flaさんにとっても大事な曲だと思います。

J.Fla:私にとってはファンの方たちの存在が何よりの原動力になっているんです。だから「私の気持ちがみんなに届いてほしい」という想いが強くて、何度でも書き直したいと思うくらい、強い気持ちが込められています。私がこのアルバムを届けるまで、Gardeners(J.Flaのファンダム名)のみんなをすごく長い時間待たせてしまったので、「ありがとう」という気持ちは当然あるんですが、「ごめんね」という気持ちもあって。普段みんなは私に「ごめんね」という言葉を絶対に使わせてくれないから、その気持ちを曲の中に入れてしまおうと思ってこの曲を書きました。ファンの方達はそれを、「普段言えないから曲の中で言ってくれるんだ」って面白がってくれたというエピソードがあります。もともと私は自分の状況を、YouTubeを通してファンの方達に共有してこなかったんです。例えば「こういうことで今すごくつらいんだよ」というようなことは決して話してこなかったのですが、このアルバムでは皆さんにそれを伝えることになった。この曲は私のアルバムの中で、一番果敢に自分の気持ちを表現した曲なのかなと思っています。



—今回のアルバムのソングライティングはJ.Flaさんにとって、自分という人間を捉え直す機会でもあったと思いますが、こうして10曲を作り終えた今の心境は?

J.Fla:このアルバムは、ここまでついてきてくれたファンの方へプレゼントするような気持ちで作りました。振り返ってみると、もともとは自分のオリジナル・アルバムを作りながら、空いた時間で何かやってみようというところからYouTubeでの活動が始まって。でもあまりにもYouTubeがうまくいきすぎて、どちらかというとYouTuberが本業みたいになって活動のバランスが逆になってしまったんです。それでも私のアルバムをずっと期待して待っていてくださっていた方たちに、一体どんな話をしたら喜ぶんだろうと考えた結果、私自身の話をしてみようと思いました。なので私のアイデンティティを全て詰め込んだ、これだけ聴けばJ.Flaという人間が何を考えてどう生きてきたのかが分かる、というような作品ができたんじゃないかなと思っています。

—今は「出し切った」という感じですか?

J.Fla:全て出し切ったという感じは全くありません。なぜなら私はこのアルバムを作るのに21曲作って、その中から私にとっての序章のような10曲をアルバムに収録したんです。残りの11曲はすでに編曲してボーカルのレコーディングだけしていない状況ですが、私が想像していることや、私の世界観についての内容になっています。なので、今発表している10曲からすると未来の話になるんです。あと実はハロウィンやクリスマスのシーズンソングも作っていて。私はカバー曲で「YouTubeの娘」と言われるくらい有名になりましたが、世界一になったからといって、正直満足するというよりは、どちらかというと新人歌手のJ.Flaとして、これからが本番なんだという感覚で、一つひとつのことに挑戦している現状です。

—先ほどGardenersというファンダムの存在が出てきましたが、J.Flaさんのファンの方たちは年齢層や性別はどんな感じなんですか?

J.Fla:10代から70代ぐらいの方までいて驚きなんですが、ヨーロッパでは50代から70代の方たちが非常に多くのファン層を占めているんです。私の曲のリプ欄に自分の経験談を書いてくださることがあるんですが、すごく興味深い経験談ばかりで。音楽を前にすると年齢は関係なく、音楽を通して友達になれるんだなと感じましたし、それがすごくいいなと思いました。「韓国にはK-POPだけではなく、こういう音楽もあったんだ」というような感想もいただきました。

—ライブの予定はあるんでしょうか?

J.Fla:秋に韓国でライブを行う予定です。最初にスタッフの方が、「5000席ぐらいの会場でも十分だと思いますよ」という提案をしてくださったんですが、私はとっても怖がりでビビリな性格なんです。そしてライブの経験がないということもあって、一番初めは小規模の劇場でやりたいと言わせていただきました。私は人生において経験がとても大事だと思っていて、そして失敗をすることがとっても嫌いなんです。なのでまずは小さいステージで成功させることができたら、次はもう少し大きいステージ、というふうに経験を踏んで成長していきたいと思っています。”YouTubeのレコーディング歌手”という立ち位置ではなく、ライブでも歌が上手いんだというところを、皆さんにお見せできるようなライブができたらいいなと思っています。

—バンド編成のライブになりますか?

J.Fla:今、ドラム抜きのバンドを作っていて、これから練習する段階まできています。そして今回の会場にはめちゃめちゃ大きなLEDがあるので、そこにプログラミングさせるものも考えていて。感覚的にももちろん楽しめるし、視覚も合わさって楽しめるものを作っていきたいです。私は家族全員で来て楽しんでもらえるようなライブが理想だと考えているので、そこを目標に頑張っています。

—今はコロナも落ち着いてきて、韓国のアーティストの方たちも来日しているし、J.Flaさんのライブもいつか日本で見てみたいなと思います。

J.Fla:来年はサマーソニックに出るんだという、よくわからない自信があります(笑)。なので今はそれに向けた土台をを作っていこうと考えてます。

【関連記事】YouTuber/シンガーが語る「注目される歌」の極意、韓国発カバー動画の先駆者J.Fla

<INFORMATION>


J.Fla『Burn The Flower』
配信URL : https://orcd.co/jfla_burntheflower

■「A Four Leaf Clover」Music Video
J.Fla YouTubeチャンネルにて7月14日(金)21時公開
https://www.youtube.com/@JFlaMusic

■J.Fla Official SNS
YouTube: https://www.youtube.com/@JFlaMusic
Instagram: https://www.instagram.com/jfla/
Instagram(Official): https://www.instagram.com/jfla.goodsen/
Instagram(Japan): https://www.instagram.com/jfla_japan_official/
Twitter: https://twitter.com/Jfla
Twitter(Official): https://twitter.com/jfla_goodsen
Twitter(Japan): https://twitter.com/Jfla_japan
TikTok: https://www.tiktok.com/@jfla_officlal

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください