ジョージ・ハリスンに捧げる『コンサート・フォー・ジョージ』本編の楽曲解説を読む
Rolling Stone Japan / 2023年7月11日 19時25分
7月28日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほかで公開される『コンサート・フォー・ジョージ』。ムビチケ前売券(オンライン)の購入特典が決定したほか、ビートルズ研究家・藤本国彦から本編の曲解説が到着。演奏曲目も公開された。
ムビチケ前売り券(オンライン)の購入特典は「メモリアル・チケット」壁紙データ。2002年11月29日、英ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで開催された当時のコンサート・チケット画像と、映画のアートワークをデザインしたスペシャルな「メモリアル・チケット」壁紙で、ロイヤル・アルバート・ホールから特別に使用許諾を得て実現した。
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ムビチケ特典画像
また、藤本国彦(ビートルズ研究家)から、本編で歌われる楽曲の解説テキストが到着。全20曲の演奏曲目も公開された。なお、今回ジョージ・ハリスンの生誕80年を記念して上映される『コンサート・フォー・ジョージ』は、昨年、開催20周年を記念し、海外で上映された高音質リマスター版。劇場でしか観ることができない妻オリヴィアと息子ダニーからのメッセージも新しく寄せられている。
藤本国彦氏 曲解説全文
◎「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」ポール・マッカートニー&エリック・クラプトン
ポールの登場後、コンサート終盤のハイライトの1曲として演奏された、ビートルズ時代のジョージの代表曲。もともとは68年に発売された2枚組のアルバム『ザ・ビートルズ』(通称;ホワイト・アルバム)制作時に、ジョージがまず68年7月にアコースティック・ギターの弾き語りでレコーディングし、続いて8月に4人で演奏し直し、さらに9月にジョージの誘いからクラプトンが参加した最終ヴァージョンがレコーディングされる、という経緯をたどっている。
ステージでは、ビートルズのそのセッションと同じく、ポールがピアノとハーモニー・ヴォーカルを加え、リンゴがドラムを叩き、そしてクラプトンがリード・ヴォーカルとリード・ギターという、感涙の演奏を観ることができる。オリジナルに忠実に弾こうとしているクラプトンに泣ける。
◎「オール・シングス・マスト・パス」ポール・マッカートニー
69年1月の「ゲット・バック・セッション」用にジョージが書いた新曲だったが、ビートルズとしては取り上げられず、解散後の最初のソロ・アルバム『オール・シングス・マスト・パス』(70年)のタイトル曲になった。
「ゲット・バック・セッション」ではポールがハーモニー・ヴォーカルを受け持つ演奏もあったが、このコンサートでは、やはり大きな聴きどころとなった「サムシング」に続いてポールが、ジョージの思いを伝えるかのように歌心たっぷりに披露。クラウス・フォアマンがベースを弾いている場面が映るのも見逃せない。エンディング前に一度ブレイクする場面でポールがダニーにギターを向けてちょっとした合図を送るも、弾くのに一生懸命で無反応なダニーの様子が、父親譲りの健気な表情に重なって、何とも微笑ましい。
◎「ハンドル・ウィズ・ケア」トム・ペティ&ハートブレイカーズ w/ジェフ・リン&ダニー・ハリスン
”覆面バンド”としては過去最大・最強と言えるトラヴェリング・ウィルベリーズ(メンバーはジョージ、ロイ・オービソン、ボブ・ディラン、ジェフ・リン、トム・ぺティ)のヒット曲。もともとはジョージの『クラウド・ナイン』(87年)の好セールスを受け、同アルバムからのヨーロッパでのサード・シングル「ディス・イズ・ラヴ」のB面収録曲としてジェフと用意した新曲だった。
ウィルベリーズのライヴは一度も行われなかったので、この曲がこうして演奏されたのが何よりうれしい。トム・ぺティ&ザ・ハートブレイカーズにジェフ・リン、ダニー、ジム・ケルトナーなどが加わり、ロイ・オービソンのパートはジェフが歌っている。マイク・キャンベルのスライド・ギターとスコット・サーストンのハーモニカの熱演も素晴らしい。
◎「想い出のフォトグラフ」リンゴ・スター
リンゴのソロ時代の代表作『リンゴ』(73年)からの最初のシングルとして発売され、アメリカ1位、イギリス8位を記録したリンゴの代表曲。ビートルズ時代の自作曲「オクトパス・ガーデン」は、実質ジョージとリンゴの共作曲と言えるものだったが、71年春にジョージと2人で船旅に出た時に一緒に書いたというこの曲は、しっかり2人の名前がクレジットされている。
クラプトン、ジェフ・リン、ダニー、ビリー・プレストンらをバックに、中央で歌う楽しそうに歌うリンゴ。ジム・ホーンのサックス・ソロがさらに見せ場を作っている。
◎「マイ・スウィート・ロード」ビリー・プレストン
ビートルズ解散後のジョージの最初のソロ・アルバム『オール・シングス・マスト・パス』(70年)からシングル・カットされ、英米1位を記録する大ヒットとなったジョージの70年代の代表曲。シングルに推したのは、アルバムの共同プロデューサーのフィル・スペクターだった。
この曲は、ジョージよりもビリー・プレストンのヴァージョンが先にレコード化されていて、ここでもゴスペル色のやや強いビリーの歌声がいい味わいだ。ダニー、クラプトン、ジェフ・リンが揃ってアコースティック・ギターを弾く様子も見映えがいい。他の見どころは、ジョージ愛用のサイケデリックなストラトキャスターでスライド・ギターを弾くアンディ・フェアウェザー・ロウと、珍しくも完璧に脇役に徹してピアノを弾くポール、である。
◎「フォー・ユー・ブルー」ポール・マッカートニー
69年1月の「ゲット・バック・セッション」では、ジョージの新曲が、むしろジョンよりもたくさん演奏された。その中でジョンとポールが最も関心を示したのが、それ以前の”ジョージ節”とは異なるカントリー・ブルース調のこの曲だった。
このコンサートでは、リンゴの紹介でステージに登場したポールが、最も大きな歓声を浴びながら最初に演奏した曲である。アコースティック・ギターを弾きながら一声歌っただけで、安心感が強いのに、いきなり引き込まれてしまう空気を即座に生み出すのだから、やっぱりポールはすごい。マーク・マンのスライド・ギター・ソロやゲイリー・ブルッカーのピアノ・ソロも含め、まさに絢爛豪華。
『コンサート・フォー・ジョージ』演奏曲目
オープニング 「サーブ・シャーム」
「アイ・ウォント・トゥ・テル・ユー」ジェフ・リン
「恋をするなら」エリック・クラプトン
「タックスマン」トム・ペティ&ハートブレイカーズ
「ハンドル・ウィズ・ケア」トム・ペティ&ハートブレイカーズ w/ジェフ・リン&ダニー・ハリスン
「想い出のフォトグラフ」リンゴ・スター
「ハニー・ドンド」リンゴ・スター
「シット・オン・マイ・フェイス〜ランバージャック・ソング」モンティ・パイソン with トム・ハンクス
「ヒア・カムズ・ザ・サン」ジョー・ブラウン
「ホース・トゥ・ザ・ウォーター」ジュールス・ホランド&サム・ブラウン
「ビウェア・オブ・ダークネス」エリック・クラプトン
「イズンド・イット・ア・ピティ」エリック・クラプトン&ビリー・プレストン
「フォー・ユー・ブルー」ポール・マッカートニー
「サムシング」ポール・マッカートニー&エリック・クラプトン
「アルバン」 指揮:アヌーシュカ・シャンカール
「ジ・インナー・ライト」ジェフ・リン&アニューシュカ・シャンカール
「マイ・スウィート・ロード」ビリー・プレストン
「オール・シングス・マスト・パス」ポール・マッカートニー
「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」ポール・マッカートニー&エリック・クラプトン
「夢で逢いましょう」ジョー・ブラウン
『コンサート・フォー・ジョージ』
7月28日(金)〜 TOHOシネマズ シャンテほか公開
収録:2002年11月29日 ロンドン ロイヤル・アルバート・ホール
上映時間: 約102分
© 2018 Oops Publishing, Limited Under exclusive license to Craft Recordings
オフィシャル・サイト:https://www.culture-ville.jp/concertforgeorge
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