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RADWIMPS、ロックバンドとしての本質に立ち返った8年ぶり国内ライブハウスツアー

Rolling Stone Japan / 2023年7月13日 13時45分

RADWIMPS(Photo by Takeshi Yao)

RADWIMPSが、約8年ぶりの国内ライブハウスツアーのファイナルを7月12日(水)福岡・Zepp Fukuoka公演で迎え、全国5箇所10公演が大盛況のうちに終了した。7月5日(水)東京・Zepp Haneda公演のオフィシャルライブレポートを掲載する。

【画像を見る】Zepp Haneda公演の様子(全26枚)

ライブは、文字を入れ替えると”カコノコロナ”となる「ココロノナカ」から幕を開けた。ライブハウスに巻き起こる大歓声に制限は、ない。そう、「とうとう来たなこのとき!」がという高揚感が、ステージとフロアから湧き上がり、行き交っていた。

全会場がソールドアウトを記録した北米、ヨーロッパ、アジアを回る海外ツアーに挟まれる形で実現したRADWIMPSにとって実に8年ぶりとなる国内ライブハウスツアー『BACK TO THE LIVE HOUSE TOUR 2023』。ここでレポートするのは、野田洋次郎が38歳になる誕生日でもあった7月5日のZepp Hanedaの模様だ。

冒頭に記した通り、オーディエンスの熱狂は徹頭徹尾すさまじく、ヴォーカル&ギター&ピアノの洋次郎、ギターの桑原彰、ベースの武田祐介、ツインドラム担う森瑞希とエノマサフミの5人編成によるバンドも、あきらかに海外ツアーからのポジティブなフィードバックを感じさせるエモーショナルなパフォーマンスでそれに応えた。あまつさえ、セットリストの内容も興味深いレアなものだった。日本と海の向こうを行き来するタイトなスケジュールを鑑みれば、海外ツアーのメニューをトレースしてセットリストを組み立てる選択もあっただろう。しかし、RADWIMPSという愚直なまでに音楽制作やライブ、そしてオーディエンス(リスナー)と真摯に向き合ってきたロックバンドはそれをよしとしなかった。そのセットリストは8年ぶりの国内ライブハウスツアーにして、さらにはパンデミックを経て約3年ぶりにオーディエンスの密や声に制限のない状態で迎える生のコミュニケーションを一層引き立て、あるいはロックバンドとして原点回帰するような趣さえあった。



2曲目「なんちって」のイントロのドラムフィルが鳴った瞬間にオーディエンスは驚きと歓喜の声を思いっきり上げた。洋次郎も積極的に最前列にいる人たちが伸ばす手に触れていく。縦横無尽に躍動していくバンドのグルーヴは「ソクラティックラブ」、「ます。」、「ハイパーベンチレーション」と楽曲を重ねていくごとにその強度を増していく。「指切りげんまん」や「me me she」などのミディアムナンバーでもオーディエンスとのシンガロングが実現。それは多幸感に彩られた福音のように会場を包み込んでいた。

「そっけない」におけるピアノの弾き語り部分で洋次郎がミスタッチした際にもフロアは大喜び。「いやぁ誕生日つってもろくなこと起きねぇな(笑)。1分だけ記憶を消してください」という彼の言葉にも優しい拍手が送られる。トライバルやアフロなフィーリングもまぶされたファンクネスが最高に気持ちいい「ヒキコモリロリン」では各パートのソロプレイをフィーチャーしたジャムセッションが展開され、「遠恋」の間奏で繰り広げられた桑原と武田の”竿バトル”も熱かった。

「オーダーメイド」もまた印象深かった。人間の形になる前の主人公が町を、ビル街を走っていく映像が映し出され、緊張感と集中力に富んだバンドアンサンブルと洋次郎のヴォーカルを、オーディエンスは息を呑むようにして聴き入っていた。



この日、最初のMCでは武田は「このライブハウスツアーでは想像の何倍、何十倍もの素晴らしい空間をみんなと作れています。密な空間でみんなの顔が見ることができて、声が聞ける。そんな空間を共有できて幸せです」と語り、桑原は「みなさん、おひさしぶりです。ずっと幸せな気持ちで演奏させてもらってます」と相好を崩した。洋次郎は海外ツアーと国内ライブハウスツアーを並行して展開している今の感慨をこのように言葉にした。

「日本語が通じるというのは最高です(笑)。海外ツアーに出て、肌の色も髪の色も目の色も違う人たちが、ここにいるみんなと同じように全力で、日本語で歌ってくれる姿を見て、俺はすげぇ誇らしい気持ちになる。でも、やっぱり日本に帰ってきたら『ああ、やっぱりここが俺らの国なんだな』って再確認できます。こんな熱量でみんなが迎えてくれるのは、ただひとつこの国だけなんだなって思わせてくれる。ありがとうございます」

あっという間にライブは終盤へ。ポップパンクなサウンドを転がす「05410-(ん)」、やはりオーディエンスの大きなシンガロングが響き渡った「有心論」、まさにそのタイトル通りの盛り上がりを見せた「会心の一撃」で本編が終了した。



アンコールの1曲目には、最新曲「大団円 feat.ZORN」がセットされていた。シークレットゲストとして、ZORNその人がステージに登場。RADWIMPSのロックバンドとしてのダイナミズムが轟くように表出したサウンドと、威風堂々とした猛々しさが宿るZORNのラップが濃密に共振し、会場を揺らした。この曲について、洋次郎はこう語った。

「今回、Jリーグの30周年を記念してこの曲を作って、ZORNにも参加してもらいました。俺はずっと勝負みたいな世界とは違うところで生きたいと思って音楽を始めて。スポーツは好きだったけど、小さいころからがむしゃらに向かってくる相手チームの人がいると、『こんなに勝ちたい人がいるなら、俺は負けていいや』ってひるんじゃっていたんだけど。でも、この曲を作ってるときに吉田麻也選手にインタビューをさせてもらって思ったことでもあるんだけど、基本的に優しさを持って生きていきたい。でも、いざというときは、自分のために、自分の大事な人のために勝たなきゃいけない瞬間もあるんだなって。そういう思いでこの曲を造りました」

その後、「いいんですか?」、「君と羊と青」と続いたアンコール。さらに「どうせなら、もう1曲やるか! 歌えるかわかんねぇから、おまえらも歌えよ。38年も生きてきたと思うと、ゾッとするんだけど(笑)、でも、自分が想像していたどんなパターンの38歳よりも今が一番幸せです! ああ、一瞬ヤバくなりそう(泣きそう)だったから、振り切っていくか!」と、洋次郎が咆哮し、ツインドラムが予定になかった「DADA」のロールを鳴らし始める。そこからはもう、バンドとオーディエンスは全身全霊を尽くすようにして音楽を分かち合い、忘れがたいライブは幕を下ろした。

RADWIMPSは今、とめどなくキャリアハイを更新している。それは自他ともに認めるところだろう。そんな今だからこそ、熱気が充満したライブハウスでロックバンドとしての本質に立ち返る。そういった意思を大いに感じたライブだった。

text by三宅正一


BACK TO THE LIVE HOUSE TOUR 2023
2023年7月5日(水)東京都・Zepp Haneda(TOKYO)

セットリスト
1. ココロノナカ
2. なんちって
3. ソクラティックラブ
4. ます。
5. ハイパーベンチレイション
6. 指切りげんまん
7. me me she
8. かたわれ時
9. そっけない
10. ヒキコモリロリン
11. 俺色スカイ
12. 遠恋
13. Tamaki
14. オーダーメイド
15. 05410-(ん)
16. 有心論
17. 会心の一撃

EN1. 大団円 feat.ZORN
EN2. いいんですか?
EN3. 君と羊と青
EN4. DADA

RADWIMPS Official HP https://radwimps.jp/

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