「ツタロックDIG LIVE Vol.12-EXTRA-」、6組のバンドがWWWに刻んだ圧倒的熱量
Rolling Stone Japan / 2023年7月21日 17時59分
2023年6月17日(土)、東京・Shibuya WWWにて「ツタロックDIG LIVE Vol.12-EXTRA-」が開催された。今チェックしておきたい次世代のシーンの主役を集結させるという目的で2014年から継続してきた同企画。本公演では、音楽シーンにおいて注目の若手バンド総勢6組が出演した。
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606号室
本ライブのオープニングアクトとしてトップバッターを務めたのは、大阪発のピアノロックバンド・606号室。結成からわずか1年という中、すでにインディーシーンにおいて注目を集めている男女混合の若手バンドだ。軽快なシンセに心踊らされるポップなナンバー「スーパーヒーロー」でスタートし、観客の視線を一点に集中させる。パワフルなロックサウンドに円花(key)が奏でるリードピアノの美しい旋律が加わることで、606号室にしか出せない唯一無二のバンドアンサンブルが生み出されていた。そして、昇栄(Vo/Gt)の混じり気のないピュアな歌声は聴く者に親近感とぬくもりを与えてくれる。そのおかげで日常生活や恋愛模様を描いた歌詞が自分ごととして自然と体に馴染み、心に沁みていく。女々しい内面をリアルに描いた失恋ソング「未恋」を歌い上げ、早くも次で最後の曲「君のことは」。爽やかでメロディアスなサウンドに昇栄の柔らかい歌声が切なく響き、観客を魅了した。「こんな大きい会場初めてで緊張します笑」と言いながらもそんなことを全く感じさせない堂々としたパフォーマンスで会場に強いインパクトを残し、ステージを去っていった。
Lym
続いては、温かいメロディ、寄り添ってくれる歌詞を王道ロックサウンドに乗せて歌うロックバンド・Lym。メンバー1人ずつステージに姿を現し、客席に向かって深々とお辞儀。高木レオ(Vo)の声とギター一本で静かに始まったのは「花と舞う」。切なさを孕んだメロディと情緒的な歌声で一瞬にして会場の空気を自分たちのものにする。次の楽曲「フライト」では、爽やかなイントロのギターリフから始まり最後まで疾走感と勢いで駆け抜けていった。「今から可愛い曲をやろうと思います!」と言い、軽快なリズムと丸い歌声で始まった楽曲は「見つめあって、そばにいて」。雰囲気の違った楽曲を立て続けに披露し、観客の心を鷲掴みにしていく。夏の情緒漂わせながら淡い恋心を歌う「ランドリー」では、高木の優しさと力強さを併せ持った歌声にオーディエンスの心は激しく揺さぶられる。悠理(Gt)の空間系エフェクトを効果的にかけた煌びやかな音色のリードギターが幻想的に鳴り響き、美しいサウンドスケープを演出していた。ラストの曲は、開放感あふれるサビが最高に気持ち良い「March」。「幸福な毎日ではないけど」というリフレインとともに思わず湧き出る感情が刺激される。フロア全体を温かさと切なさで包み込み、圧巻のパフォーマンスを締めくくった。
ペルシカリア
3組目は埼玉発の4ピースロックバンド・ペルシカリア。リハーサルから演奏に合わせて観客の大合唱が響き、矢口(Vo)は思わず笑みを浮かべる。「俺らのこと知っている人、頼んだ! じゃあね」とファンへの信頼の言葉を口にしてステージを一旦あとにした。そして会場の歓声と共に再びステージに登場し本番へ。1曲目の「タイムオーバー」から矢口が魂の叫びを響かせて空気をビリビリ震わせる、その熱量はすぐに客席の後ろまで伝播し、のっけから手が上がる。矢口のギターの弦が切れるというハプニングがあったが「このままやっちゃいます! ピンチをチャンスに変えてこそがロックバンドだと思っていますから笑」とそのまま次の曲「ビビって」へ。真っ直ぐなロックサウンドと全力フルスイングな矢口の歌声にオーディエンスはみるみる吸い寄せられていく。その後も怒涛の勢いで、「死ぬほどどうでもいい」、「恋心納品日」、アップテンポなロックチューンの新曲と右肩上がりで盛り上がるナンバーを次々と披露していった。「東京」では矢口の「歌って!」という声に応えて観客が大合唱するシーンも見られた。ペルシカリアのライブでは、バンドだけでなくお客さんも一緒になって音を奏でて全身でロックを楽しんでいる。「ショートカット」でフロアのボルテージは最高潮に。曲の中盤ではフルギヤ(Gt)のエモーショナルなギターソロが炸裂。観客は拳を高く掲げ、体を揺らしながら聴き入った。最後の楽曲「歓声の先」では、激しい演奏から一変して静寂に包まれたかと思えば、観客がアカペラで大合唱。フロア全体を一体感と多幸感で満たし、再び4人の演奏でサビへ入りラストまで駆け抜けた。すさまじい余韻を残してステージを去ったペルシカリア。いつまでも鳴り止まない拍手が何よりそれを証明していた。
アルステイク
ライブも中盤戦に差し掛かるところで登場したのは、岡山からやってきた3ピースロックバンド・アルステイク。1曲目はミドルテンポでメロウなナンバー「5F」。シンプルなロックサウンドがメロディの強靭さを際立たせる。ひだかよしあき(Vo/Gt)の切なく叙情的なヴォーカルが観客の心にじんわりと染み渡っていく。続いて、アップテンポで軽やかなリズム感が気持ち良い「未完成なまま」を披露し、会場の空気を完全に自分たちのものにする。ひだかはMCで何度も「岡山」と口にしていて、「俺らは地元を背負って音楽をやっている」というような強い覚悟を感じた。切なさ溢れるロックバラード「ワガママ」では、誰しもが共感できる恋愛のささくれ立った感覚をリアルに歌っていて、ふと記憶や感情が込み上げてくる。「裸足と裸足」「chisa」「チェリーメリー」と立て続けにポップで爽快感溢れる楽曲を投下し、フロアの熱はますます高まっていく。「止まらない、止まれない、走れ!」というひだかの雄叫びとともに始まったのは、「走れ」。スピード感あふれるキャッチーなサウンドが、3ピースによるタイトな演奏で疾駆する。「今日出ているバンドで5年後10年後もこうやってライブをやっているバンドって何組いるんだろう?お客さんの中で5年後10年後もライブに来ている人って何人いるんだろう? だからいつ終わってもいいように今日を過ごしたいと思っている」。ひだかが語る言葉の一つ一つに心を強く震わされる。アルステイクは演奏だけでなくMCでも感動を与えてくれる存在なのだと実感した。「バズるもいい、流行るもいい、売れるもいい、でも”一生心に残る”をやりたいんですよね。」と客席に優しく語りかけ、始まった曲は「心」。力強くて、どこか泥臭い彼の歌声は、人間の心の歪みまで美しく表現してくれる。ラストナンバーは「光れ」。圧倒的な表現力と存在感で客席を魅了した素晴らしいライブだった。
bokula.
ライブは怒涛の後半戦へ突入し続いてのステージには、広島発の等身大ロックをかき鳴らす4人組ロックバンド・bokula.。1曲目「愛してやまない一生を.」で骨太なロックサウンドと伸びやかで心に刺さる歌声をフロアに響かせると、のっけから観客は拳を突き上げて歌う。イントロから思わず踊りたくなる衝動に駆られるポップなナンバー「足りない二人」では、観客はサビでジャンプをして、中盤にはクラップで一体感をみせていた。「ライブハウスで夏感じてください。暴れる準備できていますか?」とえい(Vo)が熱くフロアを煽り、スタートした楽曲は「夏の迷惑」。キャッチーな歌メロと語感の良さに観客は自然と体を動かし、フロアは激しく上下に波打っている。その光景を見て、やっとコロナ以前のライブハウス本来の空気が帰ってきたのだと改めて実感した。そんなライブハウスにbokula.が捧げる歌「この場所で.」、4人が鳴らす音圧に圧倒された「ハグルマ」と盛り上がる楽曲を続け様に披露し、客席の興奮はピークに到達する。雰囲気は変わって、えいの弾き語りで始まったのは、ゆったりとしたテンポのバラード「まみれて」。人懐っこいメロディとエモーショルなリードギターにオーディエンスはうっとりと聴き惚れている。「バイマイフレンド」では、軽快なリズムに合わせて客席の全員で手拍子をして、フロアいっぱいにハッピーなバイブスが溢れていく。ラストの「満月じゃん。」を歌い上げて、客席からの鳴り止まない拍手を背にbokula.はステージを去っていった。彼らの観客の心を握りしめて離さないようなパフォーマンスに、観客は心を踊らせながら全力で音楽を楽しんでいるように見えた。
シンガーズハイ
本ライブのトリを飾ったのは今最も勢いに乗る4人組ロックバンド・シンガーズハイ。1曲目の「我儘」から全身に電流が走る様な衝撃をフロアに発し、それに共鳴するようにフロアのボルテージが一気に上がり、のっけから空気を完全に掌握した。ほりたいが(Gt)がイントロのギターフレーズを高らかに響かせて始まった「グッドバイ」。内山ショート(Vo)のボーカルからは、命を削りながら歌っているような鬼気迫る迫力を感じる。激しい演奏でギターの弦が切れた内山に、代わりのギターを届けにステージに上がって来てくれたのはbokula.のボーカル・えい。「ありがとう、やっぱ友達って大事だ」という内山のコメントに客席からは笑い声が。ほのぼのとした雰囲気の中、次の曲はミドルテンポのメロウなナンバー「フリーター」。切ないメロディを歌う内山のハイトーンボイスが、オーディエンスの琴線を激しく揺さぶる。「日記」では4人のアグレッシブなプレイが冴え渡り、客席の興奮に拍車がかかる。その後も「僕だけの為の歌」「エリザベス」「すべて」と勢いを落とすことなくアップテンポで激しい楽曲を次々と投下していった。白熱のライブは終盤に入り、ここで代表曲「ノールス」。愛やら恋に皮肉を込めた刺々しい歌詞、エッジが効いたオルタネティブなサウンドが観客のアドレナリンの分泌をますます加速させていく。「誰かを傷つける為じゃなく、嫌なことも受け入れていく為の歌、俺たちクソガキの曲です」と観客に語りかけ、「Kid」へ。ノリの良いビート感とグルーブに刺激され、オーディエンスは拳を振り上げて昂る感情を露わにする。そのままラストナンバー「daybreak」を披露し、圧巻のパフォーマンスを締めくくった。興奮が冷め止まない中、拍手喝采とともにアンコールを求める声が上がる。その声に応えて再び4人がステージに戻り、1曲目の「我儘」をもう一度披露。観客とともに最後のエネルギーを爆発させステージを去っていった。シンガーズハイの記憶に残る強烈なパフォーマンスは、これからも続くであろう彼らの勢いをまさに体現しているようだった。
<イベント情報>
「ツタロックDIG LIVE Vol.12-EXTRA-」
2023年6月17日(土)Shibuya WWW
主催:CCCミュージックラボ(株)/ライブマスターズ(株)
公式HP:https://cccmusiclab.com/tsutarockdigex
公式SNS
Twitter:https://twitter.com/tsutarocklive
Instagram:https://www.instagram.com/tsuta_rock_live_official/
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