Novel Coreが語る、 ラップの表現とロックバンドの融合、過去から未来へ
Rolling Stone Japan / 2023年7月20日 12時0分
Novel Coreが自身のハウスバンドを「THE WILL RABBITS」と名付けて、7月19日、Novel Core & THE WILL RABBITS名義で1stシングル『BYE BYE』をリリースした。これは単にサポートメンバーに名を与えたということではなく、Novel Coreがますますロックシーンに足を踏み入れていくことの明確な宣言であり、各地のフェスに集まるリスナーとより深いコミュニケーションを取るための一歩である。
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1stシングル『BYE BYE』には、Chaki Zuluがプロデュースを手がけた3曲を収録。Novel CoreとChaki Zuluのタッグは今回が初で、Novel Coreの中に眠っていたセンスが次々と呼び起こされている。そんな濃厚な3曲には、Yuya Kumagai(Gt)、Yuki Uchimura(Key)、Hibiki Sato(Dr)、DJ KOTA(DJ, Manipulator)の異なるルーツに根差したテクニックと、5人それぞれが経験した過去から這い上がってきたライフストーリーが掛け合わさって、莫大な熱量が宿されている。Novel Coreはその熱量を持って、より多くの人と「1対1」で深く繋がろうとしているのだ。
―まず、自身のハウスバンドに「THE WILL RABBITS」と名前を付けて活動することにした理由から聞かせていただけますか。
Novel Core:そもそも僕は彼らのことを自分のライブを派手にするための、いわゆる「サポートメンバー」とは思ってなくて。一人ひとりが持ってるアーティシズムとか、いい意味でのエゴみたいなものを、ちゃんと取りまとめて昇華して、ライブや楽曲を高い次元に持っていく責任がフロントマンとしても、バンドに誘った側としてもあると思ってて。それにこの1年くらい、いろんなフェスやライブに出たり、自分たちの単独ツアーもやったりする中で、大きい会場でも小さい会場でも(お客さんに)「1対1でやってくれてるんだな」と思ってもらえるライブのスタイルが自分に合っていることを痛感して、それをどこで生かすかを考えたときに、やっぱりロックシーンなんだろうなと思ったんですよね。ロックフェスに来るお客さんたちが自分のファンになってツアーに来てくれる状況を作っていきたいという想いが僕の中に芽生え始めたし、メンバーにもそれぞれ「ロックフェスにどんどん出ていきたい」という気持ちがあったりして。
―ロックフェスに集まるリスナーがバンドや音楽に求めているものを、Novel CoreはNovel Coreなりの方法で体現できるはずだと。
Novel Core:ただ、他のバンドと肩を並べて戦っていこうとしたときに、デビュータイミングからバンドとしてやってきたわけじゃないから絶対に遅れはあって。1からコミュニケーションやグルーヴ感を構築していかないといけないからどうしようと思って、(マネージャーの)圭介さんに相談したんですよ。そしたら、「まずはCoreさんがみんなに目標や課題を手渡すことからスタートするのがいいんじゃないですか」という話をしてくれて、たしかにと思って。コンセプトを決めて、名前を手渡して、課題と目標も明確になれば、今後どういうことをやるともっとバンドとしてよくなるのかが自ずと見えてくる。それでまずは名前を手渡して、作品を作って世に出そうと。ある意味退路を断つことで後戻りできないし、自分たちをより高い次元に持っていけるじゃないかなと思って。
―Coreさんは1本の映画を描くようにNovel Coreとしてのストーリーを構築してきたと思うし、今もその真っ最中だと思うんですけど、「Novel Core & THE WILL RABBITS」としてリリースすることはいつから構想していたのでしょう。
Novel Core:クマさん(Yuya Kumagai/Gt)と響さん(Hibiki Sato/Dr)にジョインしてもらったときから、いずれ名前は付けてやっていきたいなという気持ちはありました。事務所の代表の日高さん(SKY-HI)が「THE SUPER FLYERS」を従えているのを近くで見ていて、コミュニケーションの密度が自分たちにはないものだったので、その次元に持っていきたいという想いがあって。でも然るべきタイミングで名前を手渡さないと、対外的にもそうだし、内側的にもよくなさそうだなとは思っていたので、タイミングはずっと悩んでましたね。
―そうですよね。対外的にも「ただ名前を付けた」みたいな見られ方をされるのは避けたかっただろうし。今だったらできる、今こそやりたい、と思えた決め手はどういうところでした?
Novel Core:今年はいろんなアーティストのライブを積極的に観にいく年にしていて。それは自分がフロントマンとして、ボーカリストとして、もっと成長しなきゃいけないなという感覚があるからで。武道館(2024年1月17日開催)までにもっとレベルを上げないと、正直、まだ武道館に立つにふさわしいレベルではないという感覚があったからこそ、もっといろんな人――特に第一線にいるアーティストたちのライブを観て吸収しようと思って。ONE OK ROCKとか、Mrs. GREEN APPLEとか、もう色々観るわけなんですけど、その過程で気づいていく感じが大きかったかもしれないですね。
―その中でも特に衝撃を受けたライブは?
Novel Core:ONE OK ROCKですね。僕とKOTAくん(DJ KOTA/DJ, Manipulator)は二人で京セラドーム公演を観にいったんですけど、他のメンバーとも配信で見て。すさまじかったですね。パフォーマンスにかける意識の高さというか。それぞれの個人技能がすごく高いのは前提として、意識のところがやっぱり強いし、テンションコントロールがすごい。派手な曲をやってるのにバンドメンバーもTakaさんも意外と落ち着いているというか、ちゃんと冷静さを持っていて、燃えすぎちゃってない。それも含めて、演出はパフォーマンスを補強するためのものでしかないというポーズが、俺にはすごく刺さりました。特に武道館のライブは演出が印象に残るよりかはパフォーマンスがしっかり土台として強くあって、それを手助けする演出が素晴らしい、という方向にしたいなと思いましたね。
なぜロックを選んだのか?
―第一線で活躍するロックバンドから刺激を受けた上で、とはいえ「なぜロックシーンなのか」をもう一歩踏み込んで聞いてみたいなと思うのですが。1stシングルの表題曲「BYE BYE」でロック、ポップパンクをやりたいと思ったのはどういう気持ちがあったからだと言えますか。
Novel Core:これに関しては、思い返せば思い返すほど……僕、インディーズのデビューシングルが「Metafiction」じゃないですか。あれもゴリゴリのロックチューンだったし。Zeebraさんからデビュー曲の候補として、いろんなトラックメーカーさんから合計300トラックくらいもらって、全部聴いた上で「これ」って選んだのがあれだったんですよ。だから多分、根っこではずっとそれが好きで。学生時代にバンドを組みたかった欲とかも絶対どこかにあって、引っかかっていたのはあるんですよね。ただそれはマイナスな意味でなく、今の自分のスタイルで楽しくやってきて、これが俺だと思ってたし、それだけでも十分楽しかったんですけど……ロックフェスでラップをしたときの強さをすごく感じたんですよ。ヒップホップのルートを通ってきている僕たちのラップのスタイルって、たとえばロックバンドのボーカリストのラップのスタイルとは異なるじゃないですか。
―うん、そうですね。
Novel Core:会場でやったときに、それまでは反応が強くなかったお客さんたちの急な振り向き方を感じて、これはもしかすると自分はラップという要素を持ってるからこそ、そっち方面に出ていった方がいいのかもしれないと思って。お客さんがめっちゃ湧くんですよね。だからヒップホップというジャンルやシーンに固執するんじゃなくて、逆に違うところに出ていった方が、むしろ自分らしい戦い方ができるんじゃないかなっていうのをライブに出演するたびに感じてました。お客さんの声出しが可能になったフェスで日高さんのライブを客席側から見る機会も増えたんですけど、ラップに入った瞬間のみんなの食いつき方が尋常じゃないんですよね。それは要素として自分にも絶対あるので、伸ばしたいなというのをすごく感じました。
―それは日高さんやCoreさんのラップスキルの高さと、自分自身をプレゼンする力が圧倒的であるということに加えて、時代的にもジャンルのクロスオーバーが当たり前になっていて、ロックフェスにいるリスナーにとってラップが「ちょっとよくわからないもの」ではなく親しみやすいものになっているという側面もあるのかもしれないですよね。
Novel Core:そんな気もしますね。たとえば(sic)boyくんとか、ロックの血をDNAに流しているアーティストが『POP YOURS』みたいなヒップホップフェスに出たときもお客さんがついてくるじゃないですか。ということは、逆もできると思ってて。それをやってみたくなったのもあります。
―(sic)boyさんは、仲良いですか?
Novel Core:仲良しです、「Sid the Lynch」名義だった頃から。渋谷のCLUB MALCOMとかで同じイベントに出たりして。LEX、Sid the Lynch、YOSHIKI EZAKI、TRASH ODE、俺とかがそのイベントにいたりしてました。(sic)くんは当時から超かっこよかったので、ずっと好きでしたね。
―今も(sic)boyさんとはやりたいことやマインドが共鳴していると思いますか。
Novel Core:そうですね。YUNGBLUDが日本に来たときにパーティーで(sic)くんも一緒で。YUNGBLUDと(sic)くんと俺の3人でいる時間もちょっとあって、「全員絶対似てるわ」みたいな(笑)。
―その3人のトーク、今の音楽シーンの変化を記録する上で絶対に重要だから記事にさせてほしい(笑)。
Novel Core:はははは(笑)。でもやっぱり似たマインドは感じますね。
―昨年もいろんなフェスに出ていたし、ロックフェスで鳴らすために作った「独創ファンタジスタ」の反応も悪くはなかったと思うんですけど、こうやって「Novel Core & THE WILL RABBITS」として活動することを選んだのは、それでもロックシーンに出ていくにはまだ足りないものがあるという実感を持って帰ってきていたということですよね。
Novel Core:そうですね。やっぱりバンドとしての呼吸みたいなのがもっと必要だなって感じたし、メンバーもそれを感じていて。だから日常的にもっとコミュニケーション取ろうとか、ライブ後にフィードバックし合う回数を増やそうとか、そういうことを「THE WILL RABBITS」という名前を手渡してからは考えていました。みんなで根本的な意識を高く持つことが必要なんだろうなとは、他のバンドの人たちを見ていて思ったので。
―ロックシーンに出ていきたい、ロックフェスでみんなを振り向かせたいと思ったときに、演奏が上手くて整った音を出せていたらいい、みたいなものでは実はなくて。
Novel Core:そうなんですよね。リハでやっていたことを完璧に出したらお客さんがぶち上がるかといったら、そうでもないし。その日の会場の空気感に即座にレスポンスして、お客さんと会話しなきゃいけないじゃないですか。フロントマンの僕はマイクを握っているのでわかりやすいですけど、ドラムもギターもキーボードもDJも、それぞれがお客さんと会話できる余裕を持たなきゃいけないし、横で(=メンバー同士で)もっと会話をしながらライブをしなきゃいけないし。それはやっぱり課題として強く感じていました。
―バンドって人と人のエネルギーが掛け合わせることで生まれる何かを表現する集団でもあって、オーディエンスもそれを求めているから、演奏スキル以外の面も大事になってくると思うんですけど、5人はマインドやバックグラウンドでも共鳴するところがありますよね。
Novel Core:そうですね。とにかく音楽に対して真摯であること。あと未来に対して熱い。Novel Coreチーム自体がワクワクを資本に生きていくことをテーマにしている分、バンドメンバーも未来に対して熱さを持つことは大事だと思っていたんですけど、入ってくる段階からみんなそれぞれ未来に対して熱いし希望を持ってるし。……あとは、素通りされた数も似てるんだと思う。
―そう、それですよね。
Novel Core:それ、結構大きいと思ってるんですよね。僕とクマさんと響さんは路上やってたし。KOTAくんは僕が始めたての頃にバックDJに入ってもらって、レギュラーで回してたクラブのDJとかもやりながら、当時まだシーン自体が僕みたいなタイプに対する理解もそんなにない中で、多分「Novel Coreなんかやってんの?」とか言われながらもやってくれて。肩身狭い思いをする瞬間もあったと思うんですよ。うっちーくん(Yuki Uchimura/Key)は俺らがバンドに誘う直前までは、しんどくなっちゃって音楽自体から離れていて。たまたま復帰して1発目に行ったセッションでクマさんと出会って、うちのバンドに入ってくれたんですよね。めちゃくちゃでかい会場でライブをやっても小さい会場でライブやっても、毎回僕含めみんな感動があるのは、もうまるでそこにいない者みたいに素通りされてきた期間があるからだと思う。1人でも自分の音楽を求めている人がいるのを見たときの感動は、ずっと今後も大事にしていきたいです。自分をメンバーそれぞれに投影することで、自分自身の過去が報われていく感覚みたいものもすごくありますね。みんながそれぞれ持ってるトラウマとかネガティブな要素を、このバンドでいろんな景色見ていくたびに、1個ずつ上書きできたら最高だなと思う。
Photo by Kentaro Kambe
プロデューサー、Chaki Zuluの存在
―Novel Core & THE WILL RABBITSの1stシングル『BYE BYE』のプロデュースをChaki Zuluさんにお願いしたのは、彼のどういったテクニックやセンスを求めたからですか?
Novel Core:Novel Coreのフェーズとして、もう少し音楽と深く向き合ってみることが必要だと思って。今まで僕は感覚のみで、理論的なことは一切考えず、ただ思い浮かんだものをそのまま板書するスタイルでやってきていたんですけど、正直、届き方にちょっと限界を感じたところがあって。制作の過程にもっと新しいエッセンスも加えてみるのも勉強のひとつとしてありかなと思って。コードとか、理論的なこととか、トップラインのメロディが1つ鍵盤飛ぶだけでキャッチーになるとか、そういうことに詳しい人とやりながら勉強する時間を作りたかったんですよね。Chakiさんはロジックにもノリの部分にも長けてる方なので、その両軸がある人と制作できれば勉強になるんじゃないかなと。
―より多くの人と音楽で繋がるために楽曲制作自体にも磨きをかけた、そのパートナーがChakiさんだったと。
Novel Core:「シンプルなコードなんだけど、次ここに行ったら王道なんだよね。でもあえて外してこっちに行くと引っかかるのよ。それが日本人好きっぽくて。実際これを使ってるのがこの曲で」みたいな、そういうことを制作過程で教えてくれました。もちろんヒットロジックを意識することがすべてじゃないと思ってるし、感覚でやってた部分も大事にしていきたいし、作りたいものを作ることが大前提ではあるんですけど、知識や経験値が入ってるか入ってないかで出てくるものが全然違うということは実際に作りながら感じて。「サビ前の一言がちょっと変わるだけでサビの入りがめっちゃかっこよくなる」とか、そういうことをChakiさんと言いながら制作したので、成長はデカかかったと思います。
―そういうことができるプロデューサーの中でもChakiさんを選んだ理由は、他にも何かありますか?
Novel Core:大ファンっていう(笑)。Novel Coreの楽曲のイントロにChaki Zuluのネームタグが入ってるのはぶち上がりましたね。今までにない色をChakiさんとだったら出せるだろうなという確信があったのでお願いしたというのもあります。あとは、お話してみたいというのがずっとあって。YENTOWN周りの音楽は身近に感じていたので、その中心にいるChakiさんはどんなことを考えながら音楽作ってるんだろう、最近どんな音楽にハマってるんだろうって気になってて。話せば話すほど(音楽的な)幅が広いなと思いました。
―「バンドでリリースします」「ロックシーンに出ていきます」という宣言を聞いたときに、全部が「BYE BYE」みたいな曲調でくるのかなと想像したんですけど、全然バラバラなのがまた面白くて。
Novel Core:そうなんです。意地でも予想を裏切ってやろうみたいな(笑)。
―それがNovel Coreですよね。
Novel Core:最初に「BYE BYE」を作ったんですけど、アヴリル・ラヴィーンみたいな超青春ど真ん中のどストレートなパンキッシュをやりつつ、あと2曲はちょっと遊びたいよねという話になって。「バンドだからこうだろう」みたいなことをやるのは避けたいというのが自分たちのアイデンティティとしてあるし、バンドメンバーもそれぞれルーツが違うので、それぞれの色を各楽曲に出したいというのもあって。クマさんと響さんはヒップホップを通ってきていて、でもクマさんはロックも通ってるし、うっちーくんはクラシックとかジャズを通ってる。なのでドラムが生きる曲と、ピアノが生きる曲と、ギターが生きる曲、その3曲をやりたいなと思って作りました。
Photo by Kentaro Kambe
―特に2曲目「Green Light」、3曲目「One, Two, Three」は、一聴するとシンプルなんだけど実はトラックで細かいことをやりまくってて、これは5人のルーツが折り重なってるからできるものなのだろうなとは感じてました。
Novel Core:シンプルさとか簡単さみたいなものは、Chakiさんが意識されていた感じがありましたね。ラップの曲を作るときでも、歌モノを作るときでも、普段から意識されているんだなと感じて。歌詞も「ここもっとわかりやすくていい」とか言ってもらって、「こんなにわかりやすくて大丈夫?」みたいに思うくらいのものもあったんですけど、いざライブで披露したときに、初めて聴いたお客さんたちの食いつき方を見て、「あ、これくらいわかりやすくても全然大丈夫なんだな」って肌で感じました。「1回目のサビで覚えて、2回目のサビでみんなが口ずさめるのが一番」みたいなことをおっしゃっていて、それは大事にしていこうと思いましたね。
―3曲ともにNovel Coreの表現として新鮮に感じるものばかりで。「One, Two, Three」とか、今までCoreさんがやってそうでやってないソウル〜R&B寄りなラップですよね。
Novel Core:そう、そうなんですよ。ラップの種類がいつもとちょっと違いますもんね。こういうラップ、結構好きで家とかではやったりしていたんですけど、意外と楽曲でやってこなかったなと自分でも思って。声質的にも合いそうだったので試してみたかったんですよね。唯一、この曲だけクマさんと僕でセッションして原型を作って、それをChakiさんに聴かせて壮大な感じでアレンジしてもらいました。AJRとか、自分が好きなそっち方面のニュアンスを感じるアレンジになったので、結構気に入ってます。
「とことん跨いで横断していきたい」
―歌詞に関して、「Novel Core & THE WILL RABBITS」として出すものと「Novel Core」として出すものとで、何か意識の違いはありますか?
Novel Core:今回はChakiさんから「遠回りせずにわかりやすく」と言われていたのでそれを意識しながら書いたんですけど、でも自分らしく普段通りに書かせてもらいました。Chakiさんはリリックのディレクションもがっつり入られる方なので、「結構赤ペン入る可能性あるよ」という話も聞いていたんですけど、いざ作っていくと3曲とも少なかったんですよね。純粋に作詞をChakiさんから褒めていただけたことは自信になりました。
―バンドとして作品を出すから、というより、Chakiさんとの作業の中で出てくるものが変わった、ということだったんですね。
Novel Core:本当にそうですね。
―特に「Green Light」とか、Novel Coreとしてコンセプチュアルなストーリーやメッセージを紡ごうとする筆致というよりも、どちらかというと「佐竹くん」が出てるような気がして。
Novel Core:はははは、本名!(笑) でもたしかに。それでいうと「Green Light」が一番苦戦して。今まで作ってきた楽曲の中にこういう、「ライブでもゆるく揺られて楽しい」みたいなものが意外となくて。ダンスチューンとかR&Bの血筋を受け継いでいるものをここらへんで作っておくのがいいんじゃないかという話をChakiさんからされて、ジャスティン・ティンバーレイクらへんをリファレンスとして聴きながら作りました。でもやったことないアプローチだったので、メロディラインも思うように出てこなくて。やっとメロディがフィックスしたらしたで、このメロディに日本語をどうやって乗っけてくのが正しいのだろうと思って。だから日本語でそういうことをやっているAyumu(Imazu)くんの曲をいっぱい聴いたり、仲良しなので本人にちょっと聞いてみたりしながら、その素養を高めて歌詞を書きました。音からくる印象で歌詞を書いた感覚が一番強いのは「Green Light」かもしれないです。
―今後リリースするときに、「Novel Core」名義で出すのか、「Novel Core & THE WILL RABBITS」名義で出すのか、その違いの基準は決めているんですか?
Novel Core:今回はTHE WILL RABBITSの門出でもあったので、最初のシングルはこの名義でやりたいなというのがあって。メンバーに「リリース」を体感してほしいというのもあったかもしれないです。自分たちの作品が世に出たときの反応を見たり、メディアで取り扱ってもらってたり、街中でたまたま流れているのを聴いたり、そういうときの感覚ってライブの反応を見るときとはまたちょっと違うので。今後はNovel Core名義のアルバムに、いろんな人にプロデュースしてもらった曲が入ってる中に「Prod. THE WILL RABBITS」が入ってくる可能性とかも視野に入れてやっていきたいとは思ってます。
―今、Coreさんとしてはどこを見ていますか? 武道館のチケットも売り切れたし、今はどこまでを思い描いているのだろうって。
Novel Core:このあいだ、2025年までの中長期ミーティングをチームメンバー全員でやったんですけど、だいぶ明確に決まりましたね。あとは1個1個の地点に向けて、ちゃんと成長しながら、ひたすら積んでいこうかなと思います。改めてゼロイチの感覚で色々やっていきたいです。今、デビュー当初の感覚とすごい似てるんですよ。
―それは「Novel Core & THE WILL RABBITS」を始動したからということですよね。
Novel Core:そう、THE WILL RABBITSと一緒に再度スタートを切ることが。だから今回のリリースとかいつもよりそわそわするんですよね。メジャーデビューのときに「SOBER ROCK」を出したときのそわそわ感とちょっと似てるんです。
―この3曲を生み出して、ますますNovel Coreが作る音楽はルーツに根差しながらもいろんなところに広がっていって、もう何やってもOK、という領域にいってる気がします。
Novel Core:めちゃくちゃやります。とことん跨いで横断していきたいですね。
―そうなると、メディアとかで「ラッパー・Novel Core」と紹介されることに違和感ありますか? それともそこは背負っていこうという気持ち?
Novel Core:どんな肩書きであったとしても全部「Novel Core」に帰着する感覚に、最近はなってきました。ラップやってて、ヒップホップのルーツもあって、ロックもやってて、バンドもいて、ポップスもやって、R&Bもやって、それが「=Novel Core」だなって。自分たちがそうなってきたので、あとは外側の人たちもそう思ってもらえるようにここからやっていきたいなと思います。「これってNovel Coreだよね」と思ってもらえるジャンルを作ることが、今の自分たちの目標かな。肩書きを壊しまくっていくことが大事なテーマになりそうですね。
―また新たな章を開いて、音もパフォーマンスもさらに強くなって、今年来年のフェスで勝ち抜いていくCoreさんの姿が目に浮かびます。
Novel Core:頑張らないと。2024年末には「Novel Coreってよく見るよね」となっていたいので。世間への認知度も底上げしたいし、まだ僕のことを全く知らない人たちにも届けられる方法を意識しながら頑張ってやっていきたいです。
Photo by Kentaro Kambe
<INFORMATION>
『BYE BYE』
Novel Core & THE WILL RABBITS
B-ME
発売中
https://bio.to/NC_TWR_1stSG_BYEBYE
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