オスカー・ジェロームとは何者なのか? UKジャズの逸材が音楽遍歴を大いに語る
Rolling Stone Japan / 2023年7月21日 17時30分
オスカー・ジェローム(Oscar Jerome)といえば、UKのジャズ・シーンでジョー・アーモン・ジョーンズやココロコの作品に貢献しつつ、自身のソロ作品ではジャズを軸に様々な要素を巧みに融合させた歌もので高い評価を得てきた。
最初期のEP『Oscar Jerome』(2016年)や『Where Are Your Branches?』(2018年)は、そのハイブリッドなサウンドがトム・ミッシュと比較されりしていた。2020年の1stアルバム『Breathe Deep』ではスピリチュアルジャズやアフロビートなども織り交ぜた即興性の高い楽曲でギタリストとしての実力をいかんなく発揮。2022年にはUKジャズ・アーティストが多数参加した『Blue Note Re:imagined II』に抜擢され、「(Why You So)Green With Envy」での空間的なエフェクトを駆使したパフォーマンスで異彩を放っていたし、同年にリリースした2ndアルバム『The Spoon』ではシンガーソングライターとしてのベクトルで新境地を開拓していた。作品ごとに新たなチャレンジをしながら、自身の個性を確立している。
そんなオスカー・ジェロームが5月に来日したので単独公演を観に行ったのだが、これが予想をはるかに超えて素晴らしかった。ギタリストとしての実力もシンガーとしての個性もずば抜けていたし、音源で聴いていたのとは異なるムードやエモーションを持っていた。古典的なジャズから現代ジャズまで、更にはネオソウルもアフロビートも含まれていたし、意外にもUKのギターポップやネオアコにも通じるフォークやロックの感覚もあった。この人はこれまでにどんな音楽を吸収してこんな音楽を作り上げたのか、ますます知りたくなった。
というわけで今回はオスカー・ジェロームとは何者なのかをひたすら掘り下げた。その音楽遍歴はかなり深くて、かなり広い。今、UKから出てきているアーティストが歴史を大事にしながらも自身の感性も信じながら、新たな音楽を作り出していることがわかるだろう。ちなみに彼は最新シングル「Far Too Much」を7月21日にリリース。すでに新たなモードへと動き出している。
ギタリストとしてのルーツ
―イギリスのノリッジ出身とのことですが、ロンドンから離れた場所の出身ということは自身の音楽性に関係していると思いますか?
オスカー・ジェローム(以下、OJ):ああ、自然との距離が近い環境で育ったんだ。自然との関わりは自分の音楽にかなり影響を与えていると思うよ。
―10代の頃からソロでライブをやっていたんですよね。当時はどのような音楽を演奏していたのでしょうか?
OJ:クラシックギターを練習したのが初めだったかな。ロックやヒップホップ、ファンクにハマってた。当時好きだったバンドはレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、ジミ・ヘンドリックス、ニルヴァーナ。ティーンの頃にはロック・ミュージックをたくさん演奏していた。それから15歳の頃にジャズを学び始めて、作曲をするうえで重要なことをたくさん学んだよ。
2023年5月26日、渋谷duo MUSIC EXCHANGEで行われた来日公演にて(Photo by Yosuke Torii)
―ジャズをやろうと思ったきっかけは?
OJ:父の影響かな。ジャズが好きで、ビリー・コブハム、ジョージ・デュークといったフュージョンをよく聴いていたんだ。あとフランク・ザッパも。父はフランク・ザッパの大ファンだったからね。
ある日、学校のピアノでブルースを弾いて遊んでいたら、先生に「ピアノ奏者が学校に来るから、もしブルースが好きならレッスンを受けたらどう?」って言われたんだ。彼の名前はジョシュ・ダニエルといって、ラスベガスでカジノをしていたり、ビッグバンドのジャズのアレンジメントをしたり……そんな人。彼にピアノを習い始めることになったのはいいものの、僕は本当にピアノが下手で、それも音符から教えてもらうレベルだった。ある時、たまたま僕のギター演奏を聴いていた彼が「ギターは上手じゃないか! レッスンにギターを持ってきなよ」って言ったんだ。それから、彼にギターを学ぶことになって、ジャズやハーモニーを教えてもらった。そして、彼は僕の人生を変えることになったジョージ・ベンソンの音楽を教えてくれたんだ。ジョージ・ベンソンの演奏は、僕にとって衝撃的だった。
―これまでも、ジョージ・ベンソンのファンであることを何度も言及されていますが、どこが好きなんですか?
OJ:ファンクミュージックの要素が感じられる初期の頃かな。馴染みのあるサウンドだって感じたし、彼のパーカッシブで激しいストリングスが好きだった。心に響いたんだ。50〜60年代の彼の初期の作品がお気に入りだよ。そして、ジョージ・ベンソンは、僕にとってジャズギターの世界の入り口なんだ。
―ジョージ・ベンソンの初期の頃は、ウェス・モンゴメリーの要素が強く感じられると思います。あなたはウェスにもたびたび言及していますよね。
OJ:ジャズギターを学ぶ上で、ウェス・モンゴメリーは避けて通れないと思うな(笑)。彼はジャズギターの神様だからね。今までにないサウンドを生み出したんだ。
学生時代の学び、アフリカ音楽からの影響
―その後トリニティ・ラバンに進学し、より深くジャズを学んだんですよね。
OJ:4年間でジャズの全体像を勉強したんだ。20〜30代初期のジャズ、スウィング、 ビバップ、ハード・バップ、フリージャズからモダン・ジャズまで。もし当時に戻れるなら、もっと集中して勉強するだろうね。というのも大学は「ジャズこそが芸術」という色合いが強くて、ジャズと同じくらいレゲエ、ヒップホップ、パンクに興味があった僕にとっては、他のジャンルを見下すような大学の考え方にうんざりすることもあったんだ。今思えば、ジャズに集中する時間を持てたことに感謝している。あともう一つ、大学に行って良かったことは人との出会いだね。大学で出会った仲間を通じて、ロンドンでもたくさんの知り合いができた。あとは練習の時間を持てたこと。4〜6時間くらい、毎日練習に集中していた。まさに修行僧のようにね(笑)。
―大学時代はどんな練習をしていたんですか?
OJ:誰かが何かを提供してくれるわけではなく、自分で練習方法を見つけなきゃいけなかった。スケールやハーモニー、他の人のソロをトランスクライブしたり、たくさんのジャズ・スタンダードを演奏したり、異なるコンポジションを練習した。あとは、バンドでいろんなことを試してみたりしたかな。
―あなたの音楽を聴いているとコンテンポラリージャズのギタリストを研究してきたように感じるのですが、大学時代にはどのようなアーティストを研究していたのでしょうか?
OJ:名前を挙げるならジョン・スコフィールドやパット・メセニー、西アフリカ出身のギタリストのアリ・ファルカ・トゥーレ、あとはガーナやナイジェリア出身のハイライフ・ギタリストたちかな。以前ココロコというバンドにいた時、アフリカのサウンドを繰り返して練習するうちに、そのグルーヴにのめり込んでいった。あとはフォークミュージックも。ジョン・マーティンを知ってる?
―もちろん。
OJ:彼からは多大な影響を受けたよ。彼のコードやフィンガーピッキングのスタイルが好きなんだ。あとはジョニ・ミッチェル。一方で、トム・モレロといったロックのギタリストも好きだよ。彼のエフェクトの使い方はとてもクリエイティブで面白いと思う。彼からも影響を受けているね。
―あなたの世代的にはカート・ローゼンウィンケルなど、もう少し新しいアーティストを研究している人も多かったと思うんですよね。それよりは昔のギタリストのほうが好みなんですかね?
OJ:ジャズに関していうならそうだね。最近のアーティストを挙げるなら、ロンドン出身のアーティー・ザイツ。彼は友達でもあり素晴らしいギタリストだ。フィル・ロブソンは僕の先生だったし、シャーリー・テテも素晴らしいよね。それから、デイヴ・オクムのプレイはエフェクトとスタイルがとてもユニークで好きだな。
―先ほど西アフリカのギタリストについて語っていましたが、彼らの音楽のどんな要素が自分の音楽に反映されていると思いますか?
OJ:僕の音楽を聴いてもらえれば気づくと思うけど、パーカッション、ドラムが大好きで、バンドもギター、ベース、パーカッション、ドラムという構成になっている。アフリカンミュージックは特にギターがパーカッションのような役割を担っている。ギタリストでありながら音楽のリズミックな部分に魅了されている僕にとって、アフリカンミュージックのスタイルはまさに理想的だといえるね。
―歴史的にロンドンは、アフリカからの移民が多い街だと思います。西アフリカのギタリストにのめり込んだ理由として、ロンドンの環境も関係があると思いますか?
OJ:うん、そう思うよ。世界中の異なるバックグラウンドを持つアーティストたちと一緒に演奏する経験ができたのはとてもラッキーだと思う。ロンドンにはナイジェリア、ガーナ、コンゴ人がたくさんいる。以前、コンゴ人シンガーのアフラ・サッキーがリードしていたバンド、アフリック・バワントゥで演奏していた時は、毎週土曜日に西ロンドンにある彼のスタジオに行って、6時間くらい練習していた。僕は楽譜をなかなか覚えられなかったのに、彼はすべて記憶していて、まるで完璧だった。彼から学んだことはたくさんある。ココロコにいた時もメンバーの多くはイギリスで育ちだけど、バックグラウンドはアフリカやカリビアンとさまざまだった。彼らからも多くの音楽を学んだよ。
ネオアコ的(?)感性とリズム面のルーツ
―次は先ほどおっしゃったジョン・マーティンについて聞かせてください。彼はとてもユニークなシンガーソングライター、ギタリストで、日本でも一部でかなり人気があります。彼のどこが好きなんですか?
OJ:彼の曲からはとても深い感情を感じる。彼が歌う時、演奏する時、彼の心の奥深くからやってきた感情に触れているような気がするんだ。しかも、彼はフォークだけじゃなくソウル、ジャズ、ロックなど様々なジャンルを掛け合わせてオリジナルな音楽を作っている。僕自身、80年代の音楽はあまり好きじゃなかったけど、彼をきっかけに聴き始めるようになったんだ。彼は問題児として知られている一面もあるけど、彼の音楽にはメランコリックな情景が見える。ジェフ・バックリィの音楽にもダークな部分と美しさが共存しているように感じるね。悲しみを含んだ強い感情はすばらしく美しい作品を生み出すことがある一方で、精神面に大きな負担を強いる。実際、トラブルを抱えながら活動しているアーティストも多くいるんだ。
―ジョン・マーティンで特に好きなアルバムはありますか?
OJ:『Solid Air』だね。彼のフォークがジャズと出会った瞬間だったと思う。このアルバムから彼の音楽にハマったんだ。
―ジョン・マーティンってずいぶんマニアックでもあると思います。あなたの同世代の友達でジョン・マーティンを好きな人います?
OJ:ああ、何人かはいるよ。最初に彼の音楽を教えてくれたのは僕より2つ年上の友達だった。カルト的なフォロワーがいるし、彼の代わりになるようなアーティストは未だにいないと思う。
―80年代にはエヴリシング・バット・ザ・ガール、アズテック・カメラやプリファブ・スプラウトのような、ジョン・マーティンにも通じるアーティストがUKにはいたと思います。彼らの音楽は聴いたことあります?
OJ:いや。プリファブ・スプラウトは好きだけど、その他のアーティストはチェックしていなかった。絶対に好きだと思うから、もっと教えて(笑)!
―ははは、実は先日のあなたのライブを観ながら「プリファブ・スプラウトみたいだよね」って友人と話してとても興奮していたんですよ。
OJ:そっか。きっと、同じアーティストから影響を受けているからだね。
―サウンドのリズム面についても聞かせてください。ドラムやベースにはネオソウルやヒップホップの影響があるかと思うのですが。
OJ:ヒップホップにハマったのはスケボーがきっかけだった。スケボーとヒップホップは切り離せないからね。あとはヒップホップ好きの年上の姉の影響かな。彼女が部屋で、大音量でKRS・ワンや2パックのレコードやテープのミックスしているのをずっと聴いていた。それからもう一つ、面白いのは「トニー・ホーク プロスケーター2」っていうゲームにとても影響を受けたこと。そのゲームでパブリック・エナミー、KRS・ワン、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンを初めて知ったんだ!
―「トニー・ホーク プロスケーター2」が影響源っていうのはWu-Luと同じですね。もしかしてパンクミュージックも、スケートカルチャーをきっかけに好きになったんですか?
OJ:いや、パンクは父からの影響だと思う。セックス・ピストルズやザ・クラッシュのレコードを持っていて、特にザ・クラッシュにはかなり影響を受けたね。13歳くらいの時に初めて『London Calling』を聴いて、どハマりしたんだ。彼らのサウンドにはレゲエやジャズ、ブルースも混じっていた。
―あなたはビートも作っていますが、影響を受けたビートメイカーはいますか?
OJ:そうだね、フライング・ロータス、J・ディラ、あとはビョークの作品も大好きだよ。彼女はとてもクリエイティブだからね。あと、ブロークンビーツのカイディ・テイタム、ドラムンベースとジャングルのゴールディー。僕が育った郊外の小さい街、ノリッジではレイヴカルチャーがずっと続いていて、レイヴがよく行われていた。地元でジャングルやドラムンベース、ブロークンビーツのサウンドを聴いて育った影響が大きいんだと思う。
―話を伺っていると、上の世代の音楽にもすごく興味があって、その部分があなたの音楽をよりユニークにしている部分があるのかもしれないですね。
OJ:そうかもしれないね。音楽を作る時に、「〜っぽく作ろう」というスタイルを決めたりはしない。ただ音楽を作るんだ。スタイルを決めてしまうと多くの可能性を潰してしまうことになるし、フローに制限をかけるようなことはしたくない……とはいうものの、頭で考えずにただ好きなようにやっているだけなんだけどね。
ブラジル音楽の影響、政治的アティテュード、表現の哲学
―ブラジル音楽にも興味があるのかなと思いました。特に、ギターにはブラジル音楽由来の演奏を感じるんですが、どうですか?
OJ:バーデン・パウエルのギタープレイが大好きで、かなり影響を受けた。あとはジョアン・ボスコ。サンバ、ボサノヴァのいろんなアーティストを聴いていた。日本でもブラジル音楽は人気があるんだよね?
―もちろん。
OJ:やっぱり、そうだと思った!
―(笑)バーデン・パウエルの名前が出てくるのは珍しいと思うのですが、彼のどんなところが好きなのでしょうか?
OJ:彼のクラシックギターとサンバがフューズしたサウンドが好きで、さっきのパーカッションの話にも通じるけど、彼はパーカッシブなスタイルを持っている。あとジョン・マーティンと同じような、強くてディープなエモーションを彼のギターからも感じる。嘘偽りのない美しさを感じるんだ。
―ブラジル音楽の中のアフリカの伝統的な部分が濃厚にでているボサノヴァがバーデン・パウエルの魅力だと思うのですが、彼を好きな理由にはそれもあるんですかね?
OJ:それについてはあまり考えたことがなかったけど、ブラジル音楽のリズミックなパートはアフリカの影響を受けているから、そうかもしれないね。
―ジョアン・ボスコはどこに魅力を感じているのでしょうか?
OJ:「A Nivel De…」っていう曲を知ってる?
―はいはい。
OJ:(曲を口ずさむ)うーん、そうだな……純粋に彼の曲、スタイルが大好きなんだ! 70年代のレコードからわかるように、彼もジャズファンクやサンバをフュージョンさせたアーティストだった。それに、彼の音楽にはノスタルジーを感じる。音楽を聴いた時に過去の時間や場所、愛しい人、父親との会話、そういった記憶のかけらが思い起こされるんだ。最近になってポルトガル語の歌詞の意味を知ったんだけど、登場人物の二人の愛人を交換するみたいな内容で、僕が想像していたのとは違ったみたいだけど(笑)。そのことは聞かなかったことにしておいて。
―ジョアン・ボスコには「O Bebado e A Equilibrista(酔っ払いと綱渡り芸人)」という軍事政権批判をした有名な曲があります。先ほどもザ・クラッシュやレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンなど、社会的なメッセージを込めた曲を作っているアーティストの名前を挙げていましたが、あなたの曲もそこに並べられるようなメッセージが含まれていると思うんですよね。
OJ:僕はレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの影響を受けたと思う。アートをツールにして社会を変えることができるというアイディアを彼らから学んだんだ。子供の頃、チェ・ゲバラのことを歌った曲を聴いて、音楽はメッセージを届けるのに有効で影響力の強いツールになりうるんだと思った。インターネット上や新聞に記事を書いたり、路上で叫んだり、メッセージを伝える方法はたくさんあるけど、音楽は心で感じることができる。音楽があることで感情を呼び起こすことができる。僕は、自分が考えていることや強く感じていることを曲にすることもあれば、パーソナルな曲を書いたりもする。最近は、音楽が誰かにとって、悲惨な出来事からの逃げ場になる重要性についても考えたりしている。たとえば、ジョン・コルトレーンやソニー・ロリンズといった偉大なジャズミュージシャンの音楽は、アフリカ系アメリカ人のルーツゆえに本質的に政治的な意味を含んでいたけど、彼らの音楽はそういった人間の問題なんかを超越して、別の次元に存在しているように思えるんだ。僕たちを別の次元へと導くことができる、音楽にはそういうパワーがあることもわかってきたんだ。
―マルクス主義に関する本を読んでいたって話を読んだことがあるんですが、それもあなたの音楽に反映されていますか?
OJ:そうだね、僕の父は社会主義者で、相互扶助や資本主義が持つ破壊的な力についてをよく語っていた。その影響はもちろんあると思う。どう生きていくべきかを学びながら、自分の思想を形づくってきたんじゃないかな。音楽面でも思想面でも、父親の影響は大きいんだ。
―これまで2枚のアルバムでは、それぞれどのようなものを作ろうとしてきたんですか。
OJ:アーティストとしての自分、オスカー・ジェロームが今までやってきたことのすべてが『Breathe Deep』に込められている。僕のスナップショットといえばいいかな。『The Spoon』はコンセプトアルバムになっている。約1年くらいかけて制作して、僕が感じてきたムード、歩んできた道のりが凝縮されている。ビジュアル面でも工夫したよ。
―最後にひとつ。ライブを観て、あなたのギターソロに魅了されました。コンテンポラリー・ジャズにも通じる繊細かつ複雑なハーモニーがありつつ、ロック的なシンプルさや明確さも持ち合わせている。あなたのソロには難解と簡潔が共存していて、すごくかっこよかった。あなたがどんなことを考えてギターソロをやっているのか知りたいんです。
OJ:正直にいうと、特に何も考えてない(笑)。そうだな……ただ、音楽を相手に届けることについてはよく考えている。それこそが自分の音楽でやりたいと思っていること。作曲と即興のエレメント次第では、一見難しそうな音楽でも多くの人に聴いてもらうことができる。音楽との出会いを提供することが僕からみんなに贈りたいギフトなんだ。ギターソロについて言葉で説明するのはとても難しいな……自分が好きで自然とやっていることだから。偉大なアーティストのピカソと自分を並べるわけじゃないけど、彼の話を例にとると、彼はあるインタビュー中に、たしか牛の絵を30秒で描いたんだ。インタビュアーは「どうやったらそんなにも美しい絵を30秒で描けるのですか?」と尋ねた。すると彼は「30秒と50年の私の人生だ」って言ったんだ。つまり、今まで長い時間をかけて取り組んできたことが数秒に凝縮されて現れてくるんだと思う。彼の言葉を借りて、今の僕が言えるのはこれくらいかな。
オスカー・ジェローム
「Far Too Much」
配信リンク: https://ditto.fm/fartoomuch-edit
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