3Houseが語る、心地よさを追求するための「フロウ」の技術、海外アーティストとの初コラボ曲
Rolling Stone Japan / 2023年9月19日 18時0分
アンダーソン・パークやサンダーキャットに始まり、2020年代に入ってからは特にK-POPアーティストも積極的に取り入れ、さらに盛り上がりを見せる「ネオソウル」。そんなネオソウルの新星として日本で注目されているのが、シンガーの3Houseだ。メロウな歌声と心地よいフロウが特徴の彼は、ヒップホップやR&Bを自由に行き来するフットワークの軽さと、柔軟性を持ち合わせ、楽曲「FEELINGS」がバイラルヒットしたことにより、さらに幅広い層に日本のネオソウルを届けた。2023年にはアルバム『SWING A SOUL』をリリース。注目レーベル「YUPP!」に所属する、タイ出身のシンガーFlower.farとのコラボレーションも果たした彼に、自身の音楽のルーツや、楽曲制作について聞いた。なおFlower.farからのコメントも別途もらうことができたので、インタビューの最後に掲載している。
ーまずは3Houseさんのルーツ的なところを伺いたいと思うんですけども、元々音楽は好きだったんですか?
3House:好きになったきっかけは母親の影響があって。小さい頃からずっと音楽が流れてて、そこから多分染み込んでいったというか。車の中でR&Bとか聴いてて。あとはダンスも元々やってたので、そういうきっかけもありました。
ーどんなスタイルのダンスをされてたんですか?
3House:スタイルはヒップホップって言えばいいんですかね。中2ぐらいから始めて、そこから自分でも音楽を聴くようになって、より音楽に対する気持ちが強くなっていきました。
ーダンスを始めたきっかけはなんだったんですか?
3House:きっかけは、それこそちょうどマイケル・ジャクソンが亡くなった時期で、ニュースがすごい流れてて。それを見て、どういう人なんだろうって自分で調べて。元々母親が聴いてたので知ってる人だったけど、自分で改めて調べて衝撃を受けました。
ーちなみに人生で初めて、自分で行きたくて行ったライブってなにか覚えてますか?
3House:それこそラスベガスでマイケル・ジャクソンを追悼する、シルクドソレイユのショーがあって。親が元々ロサンゼルスに住んでたっていうのがあるんですけど、僕が20歳くらいのときに改めて行く機会があって、それを見たのが一番の衝撃だったかな。そのときダンスは既に始めていて、まだ音楽活動はしてなかったですね。
ー音楽を作り始めてから聴く音楽に違いって生まれましたか?
3House:洋楽とかが今まで多かったんですけど、アジアの音楽、特に韓国の音楽を聴き始めて、衝撃でした。主に韓国のR&Bとかヒップホップですね。
ー好きなアーティストはいらっしゃいますか?
3House:DPRとかoffonoffとか好きですね。韓国の方のサウンドにはすごいインスピレーションを受けます。またちょっと日本と違った空気感を持ってるというか、世界でアジア人として出すサウンドが魅力的で。ちょっと新しい感覚でしたね。
ー音楽活動についても伺いたいのですが、いつぐらいに本格的に始められたんですか?
3House:2018年ぐらいなんで、約5年前です。当時、周りで結構ラップとかが流行ってて。僕の友達は沖縄にいるんですけど、みんなで遊びながらその周りで作るのが流行っていて、それがすごい楽しそうだったから、僕も一緒にやり始めたって感じです。
ーサイファーとかもしてたんですか?
3House:サイファーはなかったんですけど、ピアノを弾ける友達がいて。その子がちょっとビートを作ってみたいってことで、僕の仲のいい友達みんなでその子の家に行きました。レコーディング機材とかも家に揃っていたので、そこで遊びで声を入れて、何かみんなで始めようぜみたいな感じ。
ーそれはめちゃくちゃ楽しそうですね。
3House:そうですね。みんなで遊びで作ってたんですけど、結構それが自分的に楽しくて。クリエイティブをするっていうか、昔から絵を描いたり物を作ったりするのが好きだったんで、多分その感覚で音楽を作って、すごく楽しくなってきて。
ー今は東京に住まわれてるんですよね。
3House:はい。4年前ぐらいから。
ー東京に引っ越してて、音楽制作になにか影響ってありましたか?
3House:そうですね、やっぱり沖縄にない物が東京にはあるので、どっちも良さがあると思ってます。沖縄のゆったりした雰囲気と、東京も東京でぜんぜん違う都会の雰囲気があって。そういう、どっちのいい部分も知ってるので、楽曲にも落とし込みやすいというか。東京に来て、その違いが知れたっていうのもすごく大きいと思います。東京で行き詰まったときとかは、地元の沖縄に帰ってインプットして、また東京に戻ってくることもあります。
ー東京に来てからは特にライブの数も増えたり、活動している期間も長くなって来ましたが、デビュー当時と比べて変わったことはありますか?
3House:特には変わったことはないんですけど、ライブをするっていう想定で考えてつくる曲だったりとか、あとはもう完全に聴いてもらう用に音楽を作ったりするようになりました。あと、始めたての頃よりは、音楽も聴くときにより敏感に感じるようになったと思います。でも根本的なところは変わってないです。
3House
抽象的な感じに捉えてほしい
ーあと、3HouseさんのアートワークやMVの雰囲気がすごく好きなんですが、作るときに意識していることってありますか?
3House:なんかあんまり出過ぎないというか。そもそも僕がそんなに前に出るタイプじゃないし、あんまり好きじゃないのもあるんですけど。抽象的な感じに捉えてほしいっていうのもあります。そこは意識して、チームで話してます。
ー抽象的に捉えてほしいっていうのは……。
3House:正解はなくて。リスナーが聴いてどう感じるかっていうのは自由なので、委ねたい。
ー今年の6月にはアルバム『SWING A SOUL』をリリースされましたが、先にテーマは決めて作っていったんですか?
3House:テーマは正直最初は決めてなかったです。このアルバムを作るにあたって、一緒に作ってくれたプロデューサーのGooDeeに出会って、アルバムを作ることになったので。タイトルから決めるっていうよりは、とりあえず好きなものを自分たちで作っていって、その中で、アルバムにある「SWING A SOUL」って曲ができて、タイトルが決まったって感じです。
ー曲からインスパイアされて決まったんですね。プロデューサーのGooDeeさんは常に一緒に制作されているんですか?
3House:そうですね。今もGooDeeのスタジオにいます。週一で入ってますね。
ーアルバムの制作は具体的にはどうやって進めていったんですか?
3House:最初に彼と出会ったときに作った曲がアルバムにも収録されてる”MIRROR”っていう曲なんですけど。この曲は僕がその2年前ぐらいに作ってた曲で、なかなか進んでない状況で。そんなときに彼と出会って、その曲がきっかけで一緒にアルバムを作ることになりました。GooDeeと新しく一緒に作った曲もあるんですけど、東京に来てから僕が元々作ってた曲とかも、今回のアルバムに向けて新しくブラッシュアップして。
ー制作は順調に進みましたか?
3House:作るって決めてからは早かったですね。半年ぐらいでできました。
ー3Houseさんは歌詞を書くときに何を一番意識してるんですか? 言葉の意味だったり、音の心地よさだったり。
3House:どっちもって言えばどっちもなんですけど、先にメロディ出てきて、そこに言葉をはめていくパターンもありますし、言葉が出てきて、そこにメロディも付けるっていうパターンもあります。でもやっぱり、日本語っていうのがすごく難しいですね。日本語でどう伝えるかとか、母音もはまったりはまらなかったりするので、そこも意識して。1文字違っただけでも意味がすごい変わってくるんで、そこは意識してます。
ー英語の方が書きやすいとかあるんですか?
3House:グルーヴ感をすごい出すために使うことが多いです。英語のフレーズで終わった方が気持ちよかったりするので。
ー3Houseさんは聴いていて心地が良い曲が多いと思うのですが、そのフロウはどうやって思いつくんですか? 海外の曲を聴いて参考にすることとかもあるんですかね。
3House:直感をすごい大事にしたいなって思ってて。楽曲を最初に聞いてファーストインパクトで出てくるメロディを広げていきます。そこから広げて何回かトライして、自分がしっくり来るメロディラインを模索します。
ーでは結構直感を大切にして作られてるんですね。
3House:でも最近は、楽曲のコードだったり、そういうものも意識するようになって。どこに落とした方が気持ちいいのか、一緒に制作してるプロデューサーと相談しながら作ってます。でも、最初のインパクトは大事にしてますね。
ーこのアルバムはスピードアップバージョンも作られてると思うんですけど、これはTikTokとかの影響とかはあるんですか。
3House:元々アルバム自体、スローテンポな曲がすごい多かったんで、結構遊びでGooDeeと一緒に早めてみたらどうなるかっていうのを試してみたら結構新しく聴けたので、出してみようみたいな感じでした。
コラボレーションの裏側
ー新しくリリースされるタイのシンガー・Flower.farさんとのコラボシングルについても伺いたいのですが、先程韓国の音楽は聴かれるとおっしゃってましたが、タイなど、他のアジアの音楽も聴きますか?
3House:初めはあまり知らなかったです。インドネシアとかタイの音楽が盛り上がってるっていうのは、今回のコラボレーションで改めて知りました。
3House & Flower.far「U&I」
ーそうだったんですね。Flower.farさんとの出会いはなんだったんですか?
3House:所属しているレーベルのAOTLとYUPP!(Flower.farが所属する注目のレーベル)でコミュニケーションがあって、一緒にやることになりました。
ーレーベル同士の繋がりからだったんですね。制作はどうやって進めていったんですか?
3House:基本的に僕とGooDeeが作って、向こうにお渡しして、返ってきてって感じでした。遠隔で進めましたね。制作はスムーズに進んだんですけど、タイと日本でちょっと距離があったので、連絡を取るのが少し大変でした。
ー実際にお会いになりましたか?
3House:MVを新宿で撮ったんですけど、その撮影のときにお会いしました。僕の周りのチームもみんなで一緒にご飯にも行きました。
ーコミュニケーションは英語で取られてたんですか?
3House:今回のMV撮影ではタイ語、日本語、英語を喋れる通訳さんが入ってくれて、基本的にはその方を通して、スムーズに会話できました。
ー撮影はどうでしたか?
3House:そうですね。楽しくみんなで撮影できました。でもやっぱり、夏だったんですごい暑かったです。長袖を着てたのでなおさら。
ーFlower.farさんにはどんな魅力を感じましたか?
3House:そうですね。一番最初思ったのは、やっぱり歌がうまいなってことでしたね。あとは、一見クールな感じだったんですけど、実際話してみるとすごく親しみやすかったです。
ー海外の方と一緒に制作されるのは初めてだと思うのですが、なにか学びになったことはありましたか?
3House:海外の方のグルーヴだなっていうのはすごい感じました。乗せ方の感覚がすごく違って、そこは学びになりました。自分ではあまりやらない乗せ方で。
ー「U&I」という、タイトルになっていて、曲中にも何度も登場する言葉ですが、どういうところからこの言葉を思いつきましたか?
3House:女性アーティストとのコラボレーション楽曲っていうのもありますし、海外の方が聴いてもこのフレーズは分かるので、分かりやすい言葉で女性と一緒に歌うっていうのを意識して、その言葉が出てきました。”U&I”の”U”の部分も、人のことだけじゃなくて、夢だったり希望だったり、聞き手によって自由な意味に捉えられると思ってます。
ーYOUではなくて”U”になっていたのも……?
3House:そうですね。あなたという意味だけでなく、いろんなものに置き換えられることを意識しました。
ー確かにそう聞くとすごいしっくりきますね。「U&I」が出来上がってから聴いてみていかがでしたか?
3House:サウンドもそうなんですけど、今回のアルバム(『SWING A SOUL』)とは違ったような曲調とか、アップテンポぎみの曲調だったんで、そこは自分の中ですごい新鮮に感じました。あと女性アーティストとコラボすることも珍しいし、アルバムでフィーチャリングがいなかったっていうこともあって、そこも新鮮でした。
ーどんな曲に育ってほしいですか?
3House:初めて海外の方と一緒に作ったので、海を超えて届いてほしいなっていうのは思います。
ー3Houseさんの直近の目標はありますか?
3House:今回アルバムがリリースされてツアーがもう始まったので、そこに向けて、みなさんに届けれるようにっていうのが、今年の目標ですね。
ー11月26日(日)にはBillboard Live TOKYOでの初のワンマンライブがあるんですね。
3House:そうですね。ツアーファイナルになります。初めてのビルボード、初めてのバンドセットと初めてのことが多いんですけど、集中して頑張りたいです。バンドセットは昔からやってみたかったんですけど念願叶って、みんなのおかげで実現できそうです。
ーどんなライブにしたいか、意気込みがあれば教えてください。
3House:生バンドは自分がずっとやってみたかった目標の一つだったんで、また新しいものをみんなに届けられるのがすごい楽しみですね。
◆Flower.farからのコメント
3Houseさんと一緒にコラボ出来てとても光栄です。私にとって、海外のアーティストさんとのコラボはほぼ初めてでした。お話を頂いてから彼の楽曲をたくさん聞いたのですが、どれも本当に素晴らしく魅力的で彼のファンになりました。
私が上手く出来るか少し心配もありましたが最善を尽くしました。日本の音楽シーンに私の名前「Flower.far」が登場すると思うと、とてもワクワクドキドキです。
今回のMVを撮影する為に初めて日本に訪れましたが、レーベルの皆さんが暖かく迎えてくれましたし、彼らが本当にプロフェショナルだったので、楽しく仕事をする事が出来ました。また、美味しい日本の料理を食べるなど、日本の文化にも触れることができました。
そして、皆が私の事を親しみを込めて「ファーちゃん」と呼んでくれていたのですが、それが本当に可愛かったんです。私にとって本当に貴重な経験になりました。
Flower.farの声を選んでくれて、3Houseさんの作品の一部に取り入れてくれて、感謝しかないです。ありがとうね! 今度タイに来たら、ちゃんとお礼しますね!
Flower.far
<INFORMATION>
「U&I」
3House & Flower.far
FUTILUS / AOTL
配信中
配信リンク :
https://linkco.re/A8GvQzSH
『SWING A SOUL』
3House
https://aotl.lnk.to/3House_SAS
「SWING A SOUL TOUR FINAL」
11月26日(日)
ビルボードライブ東京
1stステージ 開場16:00 開演17:00
2ndステージ 開場19:00 開演20:00
チケット:
サービスDX_Duo:¥7,600
サービスDuoシート:¥7,050
サービスDXカウンタ:¥7,600
サービスエリアS指定:¥6,500
サービスエリアR指定:¥5,400
カジュアルエリア指定:¥4,900
チケット発売日
最速先行(特典付き):9月14日(木) 18:00~9月24日(日)23:59|抽選(https://eplus.jp/3house-bbl/)
Club BBL会員先行=10月06日(金) 正午12:00~|先着(BBL)
一般予約受付開始=10月20日(金) 正午12:00~|先着(BBL/ぴあ/e+)
お問い合せ:ビルボードライブ東京 03-3405-1133
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