AIチャットボットに浮気される女たち「生身の人間と浮気された方がまし」 米
Rolling Stone Japan / 2023年11月1日 6時40分
デジタル時代の浮気の定義を巡る議論が起きている。
【写真を見る】隔離中の変態たちに残された唯一の選択肢、バーチャル乱行パーティ
マーケティングマネージャーとして働く22歳のダフネさんは、元カレのデイヴとは絶対に上手くいかないとわかっていた。最初からフラグがいくつも立っていたそうだ。2022年の夏に付き合い初めてからというもの、デイヴはつまらないことでよく嘘をついた。「本人は『本当のことを言わなかった』だけで、嘘をついたわけじゃないと言い張ってましたけど」と彼女はローリングストーン誌に語った(ローリングストーン誌は本人の希望でダフネさんの苗字を伏せている。シロとは言えない元カレの個人情報を守るために、デイヴという名前も仮名だ)。だがさすがのダフネさんも、この世に(ほぼ)存在しない人物のせいでデイヴと別れることになるとは思ってもいなかった。
昨年夏、デイヴがInstagramのメッセージをスクロールしてミームを見せてくれた時、1通のDMがダフネさんの目に留まった。送信者は「Instagramユーザー」というアカウント名で、削除されて久しいことが伺えた。だがこのDMがダフネさんの目に留まったのは、ウィンクをした女性の画像が貼ってあり、「これがリンク。誰にも内緒よ」というメッセージが添えられていたからだ。ダフネさんがリンクをクリックすると、NSFW(職場での閲覧禁止)動画を販売するページにアクセスした。
デイヴを問い詰めると、「ただのアメフト系」という答えだった――「私がアメフトに興味がないのを知ってて、それ以上は質問してこないと思っていたんです」とダフネさん。「でも私にはすべてお見通しでした」。彼女はデイヴをアパートから追い出し、それきり音沙汰はない。
デイヴがメッセージをやりとりしていたのが実在のセックスワーカーだったのか、それともチャットボットだったのか、ダフネさんはデイヴに確認しなかった(メッセージの構文が変だったので、おそらく後者だろうとダフネさんはふんでいる)。だが極論を言えば、実在の人間かどうかは関係なかった。デイヴは相手が生身の人間だと思い込んでいた。ダフネさんにとってはそれが重要なNGポイントだった。「間違いなく、彼はネットでそれ系のもの、ポルノを見るつもりでした。そこは別に気にしていません」と、彼女は当時の心境を語った。「私が気になったのは、むしろ彼の意思です。彼は私との関係などお構いなしに、実在すると思っていた人物と会話をしようとしていたんです」。
ダフネさんはTikTokに動画を投稿した。動画ではオリヴィア・ロドリゴの「Get Him Back!」をバックに、「POV:彼氏が詐欺まがいのInstagramセックスボットと浮気した女の子を必死で慰める友だち」というキャプションと、実際に友人から送られた携帯メール(「うちにはアレクサもいるわよって彼氏に言えば?」)のスクリーンショットが添えられていた。すると動画への反響で、「意思」という問題がたびたび持ち上がった。
この動画は複数のプラットフォームで拡散し、閲覧回数は960万回以上。コメント欄には何が浮気にあたるのかという議論が沸き起こった(驚くことではないかもしれないが、ダフネさんによると、男性は「チャットボットとのメッセージのやり取りは浮気ではない」と考える傾向にあり、女性はえてして正反対の意見が多いという)。だが彼女が驚いたのは、自分と似たような体験をした女性がこれほど大勢いたことだ。そうした女性は交際相手がうっかりチャットボットといかがわしいやり取りをして、場合によっては結果的に脅迫されたのを偶然見てしまった。
「本当に大勢の女性がTikTokやInstagramにコメントやDMで体験談を送ってくれましたが、どれも私よりずっと、ずっと最悪でした」とダフネさんは言う。「男は脳細胞か何かが欠けてるんじゃないかと思います」。
もちろん、男性がパートナー以外の人間と性的なやりとりをしたり、ネットでアダルト系コンテンツを購入すること自体はとくに珍しいことでもなんでもない――そうしたやりとり、例えばOnlyFansのモデルとSnapchatでやりとりするのが浮気に当たるのか、という議論もまたしかりだ。こうした現象はなにも男性に限ったことではなく、ダフネさんもパパ活中の女性を装ったチャットボットから無数のメッセージを受信しているという。もっとも、ランダムに送信された最初の1通以外はスルーしている。「文字通り、男性はあんまり深く考えないんでしょうね」と彼女は言う。「目の前のことしか頭にないんです」。
浮気が専門のカップルセラピーを行う精神科医ウィリアム・J・ライアン氏によれば、こうした特定の状況でカップルがセラピーを受けに来るのは「そう珍しいことではない」そうだ。たいていの場合、浮気に「カウントされる」境界線がカップルにも分からないのが原因だそうだ。「貞操に関しては様々な意見があります」とライアン氏は言う。「携帯メッセージや猥褻な画像のやり取り、ポルノ鑑賞中の自慰行為、売春婦や友人をおかずにした自慰行為など、肉体関係を伴わない性的接触はOKという人もいます」。
だがチャットボットとの性的なメッセージのやりとりは、相手が実存しないために独特の要素が絡んでくる。たしかにそうしたコンテンツ市場は存在し、各種プラットフォームは現実の恋愛を模倣したAIチャットボットの広告であふれ返っている。代表的なところはReplikaやAnimaだが、エロさに関してはアプリによって千差万別だ。こうしたアプリの広告を垂れ流しにする一方、実際の売春婦のコンテンツは検閲しているMetaやTikTokなどのプラットフォームは、批判の矢面に立たされている。だがダフネさんの動画が話題にのぼるごく最近まで、こうした広告が現実生活にどんな影響を及ぼすかといった議論は、あくまでも理屈の上での話だった。
Replikaといったアプリのユーザーの間では、AIチャットボットがある意味セラピー的な機能を果たしているという意見もある。たとえばr/CharacterAi_NSFWなどのサブレディットには、チャットボットとの交流で自分でも知らなかったフェチに目覚めたとか、現実での浮気を食い止めて結婚生活を救うことができたという体験談が寄せられている。その一方、問題をはらんだ力関係がReplikaなどのプログラムで悪化しかねないとか、人間関係の陰湿な問題の応急措置にすぎないという意見もある。
19歳のソフィア・パシュートさんの場合がまさにそうだ。元カレがチャットボットと卑猥なやりとりをしているのが判明し、別れたそうだ。付き合い始めてから数カ月が経ち、「そこまで悪い関係ではなかった」が、彼氏が元カノと密に連絡を取り合ったり、自分と会っていない時に複数の女性と遊んでいたりしたため、「信頼性の問題」を抱えていたという。
こうした信頼性の問題から、パシュートさんは彼氏のアカウントにログインした。「母と弟と3人でPF Changsの店にいた時、彼のアカウントにDMリクエストの通知が来ていたのを知りました」とパシュートさんはローリングストーン誌に語った。「気になってチェックしたら、コメント欄のスパムアカウントの中に半裸の女性のプロフィール画像がありました。コメントには『いやらしい画像が見たかったら、私のバイオのリンクをクリックしてね』とありました」。しかも元カレは「このヤバい詐欺アプリ」をダウンロードし、その女性から「ヌード写真を買っていた」ことが判明した。もっとも、ヌード写真にはアカウントとは別の女性が写っていたという。元カレはその後も携帯メールを送信したが、返信はなかった。
パシュートさんが元カレのDMを調べたところ、Instagramでヌード写真を送るとDMしてきた複数の女性とメッセージをやり取りしていた。そのやり取りのスクリーンショットをパシュートさんはローリングストーン誌に提供してくれた。彼女は元カレを問い詰める代わりに、「金を払った相手がInstagramのセックスボットだった場合」というキャプション付きの動画をSnapshopのストーリーに上げた。その後元カレはパスワードを変更し、それきり2人が二度と顔を合わせることはなかった。
ダフネさん同様、パシュートさんも元カレの行動を浮気に分類し、「意思」という言葉を口にした。「私にとっては、浮気とは結局意思です。彼は画像欲しさに、自らすすんでアカウントにメッセージを送っていました。卑猥なメッセージを送信し、しかも課金までしていたんです」と本人。「生身の人間だと知っていたかどうかは関係ありません。私ではない『それ』とお近づきになろうとしていた。生身の人間との浮気が頭をよぎったなら、相手がシミュレーターだろうとAIだろうとボットだろうと同じことです。しかも、これだけ本物にそっくりなんですから」。
AI技術が進化し、正真正銘のエロ画像と巧妙な加工画像の区別がつきにくくなっている今、自らの意思でボットと浮気するか、あるいは現実世界のアダルト系コンテンツクリエイターの複製に惑わされている人が次第に増えているようだ。実際ダフネさんの動画に体験談を送った人々にしてみれば、そうした区別はさして意味がない。どちらかが傷つくことのないよう、恋人同士でしっかり約束事を決めておくことが重要だとライアン氏は言う。
「カップルははっきり意見のすり合わせをする必要があると思います」と同氏。「はっきりすり合わせるとまでいかなくても、どこまでが浮気にあたるのか相手に伝えておくべきです。どこまでがシロなのか、どこまでなら浮気に当たらないのか? 2人で取り決めたこと以外に、私からは何も言うことはありません。私が上から目線で、浮気の定義とは何ぞやと教えるようなことではないんです」
Replikaでのきわどい会話をおかずにマスターベーションするにせよ、チャットレディとネットでセックスの絡まない親密な会話をするにせよ、どこまでがセーフでどこからがアウトなのかをパートナーと話し合うことは非常に主観的だが、同時に健全な人間関係を維持する上で必要不可欠だとライアン氏は言う。こうした話し合いは気持ちがいいものではないかもしれないが、傷つかずに済むし、気まずい思いもしなくて済む。
「間違いなく、チャットボットよりか生身の人間と浮気された方がましでした」とパシュートさんは言う。「そっちのほうがずっと恥ずかしくないですから」。
関連記事:麻薬中毒、性的暴行、SMプレイ、カニエの元カノが暴露した波乱万丈な日々
from Rolling Stone US
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
“バツイチ”と言っていた彼氏が既婚者だった…2年付き合った41歳女性の後悔「急に奥さんから連絡がきて…」
日刊SPA! / 2024年11月20日 15時51分
-
WWEの元構成作家が語るビンス・マクマホン、言葉の暴力や性差別「生きるか死ぬか」の日常
Rolling Stone Japan / 2024年11月7日 7時35分
-
夫の"AIとのチャットセックス"は裏切りなのか…社会学者・山田昌弘「愛が多様化する時代の"準"浮気最前線」
プレジデントオンライン / 2024年11月3日 8時15分
-
47歳で元カレと不倫した後、「まさかの報道」に呆然!元カレの今をたどってしまった後悔
OTONA SALONE / 2024年10月31日 21時1分
-
47歳で同窓会に行ったら「元カレ巡礼」が流行っていた! 現代の『舞踏会の手帳』状態はあるある?
OTONA SALONE / 2024年10月31日 21時0分
ランキング
-
1【加熱式湯たんぽ】電子レンジ対応なのに温めたら破裂→やけど どうして? 意外とやりがちなNG行為とは?
オトナンサー / 2024年11月25日 22時10分
-
2究極に美味しい「たらこスパゲティ」の作り方。コツは1つだけ:11月に読みたい記事
女子SPA! / 2024年11月26日 8時44分
-
350代おひとりさま、貯蓄が「400万円」は多い? 少ない? しっかり老後資産を増やすためには?
オールアバウト / 2024年11月25日 21時20分
-
4何歳の結婚が多い?結婚年齢ランキングの驚く実態 「晩婚化」という言葉を誤解していませんか
東洋経済オンライン / 2024年11月26日 9時40分
-
538歳“理想の彼氏”の正体が衝撃的すぎた…29歳女性が直面した悪夢
日刊SPA! / 2024年11月25日 15時52分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください