indigo la Endが語る、「大衆性」と「哀愁性」を備えたバンドの現在地
Rolling Stone Japan / 2023年10月28日 10時0分
indigo la Endがメジャー7作目となるアルバム『哀愁演劇』を完成させた。これまで毎年のようにアルバムを発表してきた彼らにとって、前作『夜行秘密』からの2年8カ月というインターバルは過去最長。その間に配信された楽曲もすべて収録された全15曲には、バイラルヒットを記録した「名前は片想い」や、韓国のラッパー・pH-1とコラボした「ラブ feat. pH-1」などに加え、川谷絵音が原田知世に楽曲提供した「ヴァイオレット」や、FM802のキャンペーンソングとして書き下ろした「春は溶けて」のセルフカバーも含まれ、indigo la Endの持つ「大衆性」と「哀愁性」が存分に発揮されている。インディーズ時代に発表した1stアルバム『夜に魔法をかけられて』からちょうど10年。indigo la Endという稀有なバンドの物語においても重要な意味を持つであろう作品について、4人に話を聞いた。
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左から後鳥亮介(Ba)、佐藤栄太郎(Dr)、川谷絵音(Vo, Gt)、長田カーティス(Gt)
Photo by Mitsuru Nishimura
―「大衆演劇」をもじった『哀愁演劇』というタイトル通り、indigo la End(以下、インディゴ)の持つ大衆性と哀愁性が発揮された素晴らしいアルバムだと思いました。ご自身たちとしてはどんなアルバムになったと感じていますか?
川谷:バンドとしてこの13年ぐらいで、一番いいアルバムだなと思うんですけど、大衆性にちゃんと振り切れたかどうかと言われると疑問もあるというか、「名前は片想い」とかしか知らない人がこのアルバムを聴いてどう思うのかはちょっとわからないですね。いい塩梅が取れてるのか取れてないのかは未だにわかってない感じもあるし、毎回そうなんですけど、作り終えてからいろいろやりたいことが見えてくるっていうのもあるから、自分の中ではまだ覚醒してる感じがあるんですよ。なので、「今の方がもっといい曲作れるのにな」とか思ったりもするんですけど、でもこのアルバムはこのアルバムですごくいいバランスにはなったと思います。
―コンセプトアルバムみたいなイメージもありましたか?
川谷:アルバムタイトルを決めてから作り始めたので、わりとタイトルに引っ張られた部分も多くて、コンセプチュアルと言えばコンセプチュアルですね。
―今回タイアップ曲がないじゃないですか? それもコンセプトを重視して意図的にそうしたのかなって……それは考え過ぎ?
川谷:そんな硬派なバンドじゃないです(笑)。 ただ今回は仮想タイアップが多いんですよ。「忘れっぽいんだ」はとあるドラマ、「ヴァイオレット」は『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』、「プルシュカ」は『メイドインアビス』みたいに作品を想定して歌詞を書いていて、そこもタイトルの「演劇」に引っ張られた部分ではありますね。
ー『哀愁演劇』というタイトルが発表された昨年の日本武道館公演のアンコールラストに初披露されたのが「名前は片想い」で、その曲がそこからインディゴのキャリアの中でも最大級のバイラルヒットを記録したのは今振り返ると出来過ぎたストーリーのように見えますが、あのタイミングで「名前は片想い」をリリースすることを選んだのは、どの程度意識的なものだったのでしょうか?
川谷:キャッチーでいいやと思って作って、メンバー的に「これ大丈夫なのかな?」って思ってる状態なのもわかってましたけど、あのとき何となく「今出すべきだな」と思ったんです。もともと武道館の最後にやるつもりでもなかったんですけど、でもやった方がいいんじゃないかなっていう勘がたまたま……でも雰囲気でわかるじゃないですか? 今の自分たちの雰囲気と、そのときのお客さんの熱量とかも何となくわかるので、それを感じ取って、そのタイミングがたまたま上手く合ったのかなって。
Photo by Mitsuru Nishimura
―長田さんは「名前は片想い」がたくさんの人に聴かれたことをどう受け止めていますか?
長田:すごく意外だったって感じですね。個人的には、完全にアルバム曲のつもりでアレンジをしてたので。
―ギターソロのいなたいアプローチはもともとあまり乗り気じゃなかったそうですね。
長田:そういうのもあったから、「これを先行で出すんだ」と思ったし、「これ意外と聴かれるんだ」っていうのは、結構不思議な感覚ではありましたね。まあ、作ってるときはちょっと疑問もありましたけど、歌が入って、ミックスして、ちゃんと仕上がってしまえば、確かにキャッチーでわかりやすい曲だから、こういう聴かれ方をするのは必然なのかなっていうのもありましたけどね。
後鳥:(インディゴが所属している)ワーナーミュージックさんがTikTokとかでいろいろやってくれたっていうのもあるだろうし。でも武道館の最後でやるって言い出したのは確かにすごいなと思って、武道館の映像を見たらみんな「これ大丈夫なのかな?」って顔して演奏してるんですよ。「最後にこの曲で終わるのってどうなのかな?」っていう、ちょっとフワッとした感じで、今だったらもう少し佇まいとかもちゃんとできるかなと思うんですけど、そういう曲が一つのきっかけになったのはラッキーだなって感じです。
『哀愁演劇』初回生産限定盤には、2022年11月に開催された自身初となる日本武道館公演「藍」ライブ映像/音源を収録
―これまでだともっとシューゲイザーっぽいような曲で終わることが多かったけど、あの場面で新曲を、なおかつパッと聴いた感じ明るくてキャッチーな曲をやるっていうのは、本人たちとしてもやや戸惑いがあったと。栄太郎さんはどうですか?
佐藤:「これぞ」みたいな型を作っていくのも、一つのアーティストのやり方としてすごく正しいと思うんですけど、あの日「名前は片想い」をやったのは、ちょっと型を揺さぶってるとも取れるじゃないですか? それってすごく特殊で、何年もかからないとできないし、ある種の忍耐力と、それでも上手くいかせたいっていう思いのどっちもがないとできないことだと思うから、そういうちょっと型を挑発するような形でヒットになったのは、ものすごくいいことなんじゃないかなと思います。このオールディーズでビンテージなサウンド、10年ぐらい前にメトロノミーがやったようなドラムの音とか、それをエンジニアの高山徹さんも汲み取ってくれて、型が広がる楽しさもありましたね。
―大枠のリファレンスはメトロノミーだった?
佐藤:僕の中ではアバとメトロノミー。ギターソロのときのドラムの、ロールだけど2・4で、みたいなのはそこから出てきたアレンジだったかなと思います。
―バンドで共有してる曲全体のリファレンスと、個人で持ってるリファレンスとが組み合わさることによって、それぞれの曲の個性が生まれていく?
佐藤:バンド全体でこれにしましょうって持つときと、各々の読み取りのままにしておこうっていうのは、結構曲によって違うかもしれないです。「夜風とハヤブサ」とかは、しっかりみんなで1つのリファレンスを追っていこうっていうディレクションがあった状態で始めたものではあって、個人で持ってるリファレンスは、サウンドとか音作りにとどまってることも多いかもしれない。それが組み合わさるのも楽しいですけど。
川谷:「プルシュカ」のリファレンスはDA PUMPだったんですよ。あの年代の平成感というか、その基を辿れば当時のUSのR&B的なものではあるんですけど。でも出来上がったものは全然違うので、あんまり関係はないですね(笑)。
バンド初期のセルフトリビュート感
―「名前は片想い」がバイラルヒットをしたことによって、アルバムとしてのフォーカスが定まったと言えますか?
川谷:もともと「邦画」を作ったときに(2021年11月)、「こういうおしゃれな感覚の大衆的なものを作ろう」みたいな方向性があったんです。でも「名前は片想い」ができたことで、ちょっと方向転換したみたいなところはあったから、そのきっかけにはなったというか。
Photo by Mitsuru Nishimura
―「名前は片想い」の後に出た「瞳のアドリブ」はある種のセルフトリビュート感があって、インディゴは初期から大衆性と哀愁性を併せ持つバンドだったことを改めて思ったりもしました。曲調はもちろん、歌詞にも「瞳」「雨」「花」「はなればなれ」とか、インディゴらしいワードが意図的に使われていたイメージで。
川谷:それはちょっとありますね。「パロディ」って曲もあったり、演劇としてパロディ的な要素があるのがいいかなっていうのもあったし、「アドリブ」も演技で行われることだから、わりとテーマ性を持って作ってます。今までの13年の歴史みたいなものを1回ここでまとめた部分もあったというか。だからこの後はまた全然違うものにしたいなとは思ってます。
―1曲目の「カンナ」も初期っぽいイメージがあって、「カンナ」と「名前は片想い」の冒頭2曲が、このアルバムの持っている「大衆性」を象徴してるように感じたんですけど、「カンナ」はどれくらいのタイミングでできた曲なんですか?
川谷:一番最後です。1曲目がないなっていうので最後に作った感じですね。最近2人のアルペジオで始まる曲ってあんまりなかったんですよ。というか、過去を見ても実はそんなにないんですけど、でも今回若干変わったアルペジオができて、これなら普通にはならないし、1曲目の幕開け感もあったので、やってみようかなって。
―武道館公演の1曲目が『夜に魔法をかけられて』の1曲目の「sweet spider」で、あの曲も2人のアルペジオで始まるから、それを連想したりもしました。
長田:「カンナ」は2000年初期ぐらいの、僕らが一番インディーズのロックバンドみたいなのを聴いてたころの曲っぽくて、作ってるときもそういうイメージで、これをアレンジしてるときはすごい若い気持ちだったんですよ。「瞳のアドリブ」とも違う若さがあって、「カンナ」が1曲目でよかったなっていう気持ちですね。
後鳥:こうやってアルバムで聴くとすごく1曲目らしいというか、今回ほぼバンドだけでやってる曲ばっかりなので、「バンドサウンドでやってるアルバムですよ」っていうのを象徴してる感じがいいなと思います。
佐藤:長田くんが言ってた2000年初頭の青春感みたいなのを僕も感じてて、僕の中のリファレンスはザ・キラーズの「Mr. Brightside」なんですよね。
―今回のアルバムには初期のインディゴ感があると思うし、メトロノミーやザ・キラーズとかは当時聴いてただろうから、そこにリンクを感じるんですけど、それはたまたま?
佐藤:今やるならそのあたりが一番いいのかなって。リファレンスの選択はやっぱりセンスが出るなと思ってて、DJをやってると一番古く感じるのが5年ぐらい前の曲なんですよね。逆に10年経つとめちゃくちゃ新しくなる。そういうのを考えると、取捨選択するのであれば、10年前とか20年前のものが一番楽しいですし、自然に選べるというか。それがメンバーの中でリンクするとより嬉しいですしね。
プレイの裏側とリファレンス
―それぞれのプレイについても聞くと、さっき栄太郎さんがDJの話をしてくれましたけど、DJをやってることとドラマーとしてのプレイにはどんな相互作用があると言えますか?
佐藤:時期によって、どう相互作用するかは変わるんですけど、このアルバムの2年ちょっとの制作期間でいうと、ミニマリズムとの関係ですかね。どんどん削ぎ落として、フックのないドラムを一回完成させてみることが自分のキャリアにおいて必要なんじゃないかと思って、フィルを何度もリピートするとか、そういうことを意識していて、今思い返せばDJの内容も同じような流れになってました。ただアルバム制作が中盤になり、やっぱりロックバンドはフックが多い方が楽しいよね、みたいな感じになって、その谷を抜けた感じを個人的には感じるんです。
―それこそ最後に作った「カンナ」とかは、谷を抜けた先の表現になってるというか。
佐藤:結局谷の一番最後、一番深いところで感じたのって、「ミニマム・イズ・マキシマム」だったんですよ。そういう成長を経てできたのが「カンナ」なので、めっちゃ開けてるんですけど、叩いた回数はそんなに多くなくて、ただ一発のガシャっていうシンバルの音符は非常に長いっていう、そこは成長できてよかったなと思います。
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―長田くんは『夜行秘密』のときにトム・ミッシュの曲を挙げて、「すべてのフレーズをちゃんと分解、理解したうえで意味を持たせてあげたいという気持ちにさせられた」とコメントしていたと思うんですけど、そのことをもうちょっと噛み砕いて話してもらえますか?
長田:普通にアルペジオを弾いてるだけじゃ意味がないから、その中でちゃんとメロディになるように作らなきゃいけないとか、このコードはこのコードと友達だよっていうのを、座学してるような感覚でやったりして、それが僕の中での「意味を持たせる」。「分解する」はこのコードトーンがどうのこうのとか、そういうのを自分の中で理解していくっていうことですかね。
―それを解析していく上でトム・ミッシュが教科書みたいな存在になっていたと。ちなみにそれ以降、この2〜3年でそういう存在はいましたか?
長田:この2〜3年はInstagramをよく見るようになって、全然有名じゃない素人なんだけど、こんな奏法あるんだとか、こんな音の出し方あるんだとか、そういうことをいろいろやってる人が多いから、そういうのを見て刺激を受けたりしました。あと「忘れっぽいんだ」のフレーズはコリー・ウォンになりたいと思って作ってたり、「ヴァイオレット」はネオソウルが流行ってるからやってみようとか、そういうのは反映されてるかもしれない。
―近年ネオソウルっぽいプレイを取り入れてきたことによって、1周回って初期の、ポストロックとかを聴いてやってた頃のフレーズに対しても理解が進んで、アルペジオひとつにしても昔とは違うものになったのかなって。
長田:そうなのかも。いいとこどりができるようになりましたね。
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―後鳥さんは以前ベースのフレーズ考えるときに、「シンプルでいて、口ずさめて、曲に馴染む」ということをポイントに挙げてくれていて、そこがインディゴのポップさをさらに押し上げていると思うんですけど、今回はどんなことを意識していますか?
後鳥:「忘れっぽいんだ」は完全にルートで、どっしり構えるみたいな感じのイメージではいるんですけど、「ヴァイオレット」は映画的というか、イントロでもちょっと明るい面を見せたりとか、そういうストーリー性があった方がいいかなっていうのは考えていて。ただ基本的にはシンプルなところとか、口ずさめたりとか、フックが少しあるようなものっていうのが、引き続きテーマではあります。
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―リファレンス的な話はどうでしょう?
後鳥:「ヴァイオレット」は原田さんのイメージが強かったので、キセルのイメージだったんですよね(キセルも原田に楽曲提供をしている)。だからちょっとキセル的な、打ち込みっぽいんですけど、無機質であり、ちょっとふわっとした感じというか。「名前は片想い」のCメロはもともとピンク・レディーの「ペッパー警部」だったり、あとはロスキャン(ロス・キャンペシーノス!)っぽい、ちょっと明るい、ハッピーな感じも意識しました。
ーロスキャン懐かしい。やっぱり00年代感がひとつのキーになってるのかも。
後鳥:そうかもしれないですね。ロスキャンめっちゃ好きだったんですよ(笑)。
ボーカルの進化、「アルバム」との向き合い方
―川谷さんのボーカルも非常に印象的でした。低い帯域の生かし方とか、ファルセットはファルセットでも初期の頃とは違う帯域が出ているように感じたし、メロディもフローも面白くて、かなり緻密かつ大胆に作られているなと。
川谷:『夜行秘密』のときよりはだいぶいろんなものに手を出しました。「プルシュカ」は全ファルセットみたいなサビで、昔だったら「煙恋」とかもそうですけど、あのときよりもだいぶ声が太くなった感じもあるし、あとは高山さんのミックスでより映えるというか、高山さんのミックスの感じも掴めてきたから、この感じでやるとすごくいい感じにしてくれるだろう、みたいなのもあって。
ー想定して考えられるようになったと。
川谷:「パロディ」でふざけた感じでラップみたいなのをやってたり、「愉楽」は基本全部低くてメロディ的にも派手さはないけど、多分(井上)うにさんだったらこういうのを面白い感じにしてくれるだろう、みたいな、エンジニアさんへの信頼感でいろいろやれたっていうのはありますね。だからトゥーマッチにはしないというか、あえてわりとシンプルにした部分もあれば、「Gross」みたいに変なことをやってるやつもあるし、今回15曲あるので、かなり広がりを持たせたられたかなって。
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―コーラスではDADARYのREISさんや相沢さん、野田愛実さんも参加していて、川谷さんはいろんなボーカリストに楽曲提供もしてるから、そういうシンガーたちから刺激を受ける部分も大きいのかなと。
川谷:やれることを増やしていかないと同じになっちゃうから、いろいろ増やしていかないととは常に考えてるんすけど、でも今だったらもっとできるのにな、みたいなのがちょっとあったりします。みんなそうだと思うんですけど、そうやってまたすぐやりたいことが出てくるのはいいことなのかなって。俺らやりきった感がいつもないんで、いつもやりきってないけどそのままツアーに突入して、その間に新曲作って新曲のほうが好きだなってなるのが毎回の流れなので(笑)。「チューリップ」ができたときもそういう感じだったし、『哀愁演劇』の先にもまた開けるものがあるんだろうなって。毎回アルバムが出るとアルバムの先の話をしたくなっちゃうんですよね。僕らにとってみればもう録って結構経ってるんで。
―2021年に出てる曲とかはもうずっと演奏してるわけだしね。でもこの曲順で聴くとまた聴こえ方が変わったりもするし、そこはアルバムというパッケージングの面白さかなって。
川谷:いいアルバムの定義がもうわからないんですよね。もうアルバムより単曲文化だから、アルバムを何年も出してないのが最近普通になってきたじゃないですか。そもそもアルバムを出さない人も増えたし。そういう中でアルバムを買ってくれるのは顔が見えてるファンの人なので、その人たちに向けてももちろんやらないといけない。逆に「名前は片想い」だけ知ってるような人たちにどう届けていくかみたいなことは、もうちょっと考えないといけないなとは思ってます。
―そういう人たちがこのアルバムを聴いて、「あ、この曲も好き」みたいになる可能性は十分あるし、15曲という曲数がその幅を担保するものになってるような気もします。
川谷:でも曲数が多すぎるのが枷になってる気もするんですよね(笑)。この前対バンしたSaucy Dogとかって、ミニアルバムしか出してないじゃないですか。あれはあれで時代に合ってる気もするし。でも最近出たドージャ・キャットのアルバム(『Scarlet』)は17曲入ってたから、「ドージャ・キャットが17曲ならまあいいか」ってなりました(笑)。
佐藤:(トラヴィス・スコットの)『UTOPIA』も19曲だよね。
―時代によって揺り返しもあるだろうし、1年経ったらまた長さに対する感覚も変わってるのかもしれない。
佐藤:タイラー・ザ・クリエイターの『CALL ME IF YOU GET LOST』はリリースから2年経ちましたけど、ああいうミックステープっぽい進み方が今は一番古い気がするんですよ。そう思うと、3〜4分のしっかりした曲が並んで、曲間の秒数もしっかり川谷さんが考えてくれて、みたいなのは逆に新しいんじゃないかなとも思います。ちょっといいように捉え過ぎかもしれないですけど。
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―アルバムのトータリティで言うと、歌詞の面も大きいと思います。漢字2文字のタイトル、「芝居」「愉楽」「暗愚」は結構ヘヴィなイメージがあって、「Gross」や「プルシュカ」もそう。『哀愁演劇』というタイトルに引っ張られてるところもあると思うけど、アルバムというサイズだからこそ、じっくり聴き込んで、意味を少しずつ咀嚼していくみたいな、そういうタイプの歌詞も今回より多くなってるなと。
川谷:「愉楽」の”死んで欲しいって思った”とか、たしかにアルバムじゃなかったらこういう歌詞は書いてないですね。リード曲として考えるともう少しソフトな歌詞になっちゃうから、アルバムだったから書けた、みたいな歌詞は結果良かったです。個人的には、「プルシュカ」が一番気に入ってます。
―「プルシュカ」をアルバムの最後に置いたのは何か理由がありましたか?
川谷:「ヴァイオレット」と迷ったんですけど、すでにリリースされてる曲を最後にするのもなって。「プルシュカ」は曲の終わり方が結構しっかり終わってて、本当だったら最後の曲はあんまりしっかり終わらない方がいいなと思ってたんです。『夜行秘密』の最後に入ってる「夜の恋は」はドラムがリットして終わってて、ああいうちょっと余韻を残して終わる感じの方がインディゴっぽいのかなっていうのもあって。でも今回は「プルシュカ」以外ないなと思ったし、バンッて終わるのも演劇の終わりみたいでいいかなっていうのもあったから、『哀愁演劇』らしい終わり方になったと思いますね。
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indigo la End
『哀愁演劇』
発売中
配信・購入:https://indigolaend.lnk.to/aishuengeki
TOUR 2023-2024 「藍衆」
2023年12月2日(土) 埼玉 戸田市文化会館
2023年12月3日(日) 東京 東京国際フォーラム・ホールA
2023年12月9日(土) 京都 ロームシアター京都・サウスホール
2023年12月22日(金) 広島 広島市南区民文化センター
2023年12月23日(土) 岡山 岡山市立市民文化ホール
2024年1月7日(日) 大阪 フェスティバルホール
2024年1月8日(月・祝) 静岡 静岡市民文化会館・中ホール
2024年1月14日(日) 群馬 高崎芸術劇場・大劇場
2024年1月21日(日) 愛知 日本特殊陶業市民会館フォレストホール
2024年1月27日(土) 香川 レクザムホール(香川県県民ホール)
2024年2月4日(日) 栃木 栃木県教育会館
2024年2月12日(月・祝) 福島 いわき芸術文化交流館アリオス・中劇場
2024年2月18日(日) 岩手 トーサイクラシックホール岩手(岩手県民会館・中ホール)
2024年2月24日(土) 神奈川 パシフィコ横浜・国立大ホール
2024年3月2日(土) 福岡 福岡市民会館・大ホール
2024年3月3日(日) 熊本 熊本城ホール・シビックホール
2024年3月9日(土) 石川 金沢市文化ホール
2024年3月10日(日) 長野 ホクト文化ホール・中ホール(長野県県民文化会館)
2024年3月16日(土) 北海道 幕別町百年記念ホール
2024年3月17日(日) 北海道 カナモトホール
2024年3月23日(土) 宮城 仙台 GIGS
2024年3月24日(日) 新潟 りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館・劇場
2024年3月30日(土) 山梨 YCC県民文化ホール・小ホール(山梨県立県民文化ホール)
2024年4月3日(水) 東京 NHKホール (東京)
2024年4月13日(土) 長崎 長崎ブリックホール
2024年4月21日(日) 沖縄 ミュージックタウン音市場
indigo la End オフィシャルサイト:https://indigolaend.com/index2.php
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