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モー娘。譜久村聖と井上春華が語る、モーニング娘。として「青春」を過ごす意味

Rolling Stone Japan / 2023年10月30日 17時45分

モーニング娘。’23:左から譜久村聖、井上春華(Photo by Rika Tomomatsu)

モーニング娘。23が通算73作目となるトリプルA面シングル「すっごいFEVER!/Wake-up Call〜目覚めるとき〜/Neverending Shine」をリリースした。リーダーの譜久村聖にとって最後のシングルとなり、新たに加入した17期メンバーにとっては初めての作品となる。1997年から続くモーニング娘。のスピリッツを「継承」するという点でも、2011年からグループを支えてきた譜久村を送り出すという点でも、意義深い3曲が揃った。譜久村と17期の井上春華に話を聞いた。

【写真を見る】譜久村聖・井上春華

—今回のトリプルA面シングルの「すっごいFEVER!」を聴いたとき、つんく♂さんがライナーノーツでも書いていた通り、つんく♂さんの近作の中でもこれは特別な一曲だと直感的に思いました。譜久村さんは最初にこの曲を受け取ったとき、どう感じましたか?

譜久村:愛情の塊だと思いました。ライナーノーツでも「単なる『つんく♂ファンク』だなんて言葉で解決させたくないほどのスマッシュソング」と書かれていて、本当にその通りです。私がモーニング娘。の曲の中で特に大事に歌ってる歌詞が、「What is LOVE?」(2014年)の”たった一人を納得させられないで/世界中/口説けるの”って歌詞なんですが、「すっごいFEVER!」のAメロに出てくる”そのたった一人の意思で時代変える”でも、”たった一人”に着目して歌っています。一聴すると”みんなで歌って踊れる、ハロー!プロジェクトっぽい楽しい曲”みたいな感想が浮かぶと思うんですが、歌詞とのギャップも含めて、フツフツと湧き上がるような楽曲だと思います。



—なるほど。

譜久村:男性の声が入ってるじゃないですか(笑)。ああいうので盛り上げたり、一聴しただけでは歌詞の深さに気づけないところが「モーニング娘。っぽいな」って思いました。ファンの皆さんを幸せにするのが私たちだとして、”今夜君は天使さ”という歌詞は、私たちがステージに上がる瞬間をーーあと”誰より真剣”とか”とにかく輝け”は、メンバー同士で高め合ったり、励まし合ったりしてるところを表現してる気がします。

—歌詞を見てみると、言葉の数はそんなに多くないんですね。

譜久村:そうですよね。すごくスッキリしてるなって思いました。

—シンプルで言葉の数も多くないのに、音楽としては密度が濃い。つんく♂さんもライナーノーツに「新しいのに懐かしい。よくよく聴くと奥深い」って書いてますけど、そういう奥深さって、歌詞のシンプルさにも表れてるのかもしれないですね。

譜久村:歌う人によって伝わり方って変わると思っていて、グサッと刺さる歌詞を後輩メンバーの子たちが歌ってるのもしっくりきます。間奏明けの”とことん楽しめ””なにより輝け”って歌詞は私と17期メンバー2人のパートになってるので、ここの歌詞を与えられた意味も感じられます。

—17期の井上さん、どうですか?

井上:最初は正直、どういう曲なのかを考えすぎてしまって難しく感じていたんですが、”とことん楽しめ””なにより輝け”を譜久村さんと歌わせてもらって、それが譜久村さんからのメッセージみたいに感じられて、歌が完成してからの方が曲の意味を考えやすかったです。

—「すっごいFEVER!」は、つんく♂さん印のJ-POPが2023年にアップデートされたような一曲ですよね。でもライナーノーツでは「この曲(歌詞も)を作ったのは数年前」とも「歌うのってタイミングがあるんです」と書いていて、それが譜久村さんの卒業のタイミングで出てきたんだ、と思って。譜久村さんにとっては最後のシングルになりますが、結果的につんく♂カラー全開な曲になっていますよね。

譜久村:すごくうれしかったです。いつもそのときのモーニング娘。にしっかりと向き合ってメッセージを届けてくださるんですけど、この曲も私たちに「これからフィーバーしてけよ、モーニング娘。」っていうメッセージとして聞き取れるなって思いました。私は卒業してしまうんですけど、これからもモーニング娘。にはフィーバーした姿を届けてほしいし、ふつふつとさせるワクワク感を、この曲を通して伝えてほしいなと思います。

—ライナーノーツに、「落ちサビの『Uh』で伸ばした2小節は、一回仕上げたあとで、どうしても足したくなって足したので、譜久村に最後の最後に歌い直してもらってます」と書いてありますが、どんなリクエストがあったんですか?

譜久村:コーラスのレコーディングをこの歌入れと同じ日にしたんですけど、そのときに、ローとハイの両方を録ったんです。そこで録ったハイのパートを重ね合わせたときに、「この音がいい!」ってピンときたらしく、ちょっと変えるかもという話だったんです。その後、変更後の音源がミュージックビデオの撮影の当日に届いて、ちょうど私は撮影スタジオに向かっているときに聴いたんですけど、「そんなに変わらないだろう」って思って聴いたらめちゃくちゃ変わってて、すごくびっくりしました(笑)。コーラス用に録ったものだから心配だったんですけど、録り直しをさせていただいて、より良くなったと思います。あとこの曲は17期にとって初めてのシングルですし、そういった急な変更に追いつけるかなって心配もあったんですが、2人とも全然焦ることなくできましたし、3曲の中でも最後にミュージックビデオ撮影をしたので、最後の最後に面白いことが起きたなって感じで楽しく終われた感じです(笑)。

井上:私も「変わる」といっても、そんなに大きな違いはないだろうと思っていたら、男性の声が聞こえてきて……。

譜久村:(笑)”すごい”っていう男性の声、最初は入ってなかったんです。

井上:びっくりして「あれ!?」ってなりました。でも、びっくりしすぎて焦ることはなくて、逆に面白かったです。「すっごいFEVER!」は踊るところが多い曲なので、振り付けも変わって大変でしたけど、何テイクも撮ることができたのでいっぱい踊れてよかったなって思います。

譜久村:全員にソロパートがある楽曲なんですけど、男性の声が入ったことにより「ソロパートめっちゃ取られた」みたいな気分になって。男性の笑い声がどうしても印象に残っちゃうから、そこに負けないモーニング娘。にしようっていうのは、それぞれがミュージックビデオ撮影のときに思ったんじゃないかな。


「結局は譜久村聖として歌うんじゃなくて、モーニング娘。として歌う自分が一番しっくりくる」

—つんく♂さんが書くメンバーの卒業曲といえば、優しいトーンでエモーショナルな曲が多い印象ですが、「Neverending Shine/モーニング娘。23 feat. 譜久村聖」も同じように繊細で美しい曲ですよね。

譜久村:モーニング娘。で出してる楽曲でフィーチャリングのパターンって、今まであまりなくて。私も初めて経験したんですけど、最初は一人で歌うことに不安があったんです。1年前にKANさんの「エキストラ」という楽曲をカバーさせていただいたとき、レコーディングで苦戦して、一人で歌う表現力をもっとつけないといけないなって、そのときに思って。この楽曲に関しても、一曲を通してこれまでとは異なる表情をたくさん引き出さないと、と思ってレコーディングに挑んだんですけど、最初はうまく歌えなかったんです。メンバーと歌うパートは”NANANA”と”この想いは”という部分なんですけど、レコーディングがほとんど終わって”NANANA”のパートを録るときに、みんなと一緒に歌ってるところを想像しながら歌ったら、「それだよ」って言われて。一人で歌うことを考えすぎて迷っていたけど、みんなと歌ってるところを想像しただけで変われた自分がいて、そこから全部録り直したんですね。結局は譜久村聖として歌うんじゃなくて、モーニング娘。として歌う自分が一番しっくりくるんだなって、そこからは迷いなく歌えたことがうれしかったです。



—フィーチャリングっていうくらいだから、「私」を歌で表現しなくちゃ!って気持ちが強く出てしまったんですかね。

譜久村:飽きられないようにしなきゃと思って、AメロとBメロで声質を変えてみたり、Bメロではメンバーのことを考えながら歌ってみたんですけど、そしたら寂しい感じになってしまったり……迷いながら最初はいろいろやってたんです。でもそこまで難しく考えずに、パン!って声を張った届け方の方がこの曲にはしっくりきたなって思いました。つんく♂さんの言葉もうれしかったですし、私はモーニング娘。のことが大好きなので、いろんな「好きだよ」が溢れてる歌詞も素敵だなって思いました。ただ、一つ迷ったのが、”僕がもう一人いたら/その分もっと守れるのにな”って歌詞で、つんく♂さんに「どうして『僕』って表現なんですか?」って聞いたら、「ストレートにその気持ちを譜久村が歌ったら、歌いづらいと思ったから」と言われて、その通りです!と思いました。ライナーノーツに「俺が譜久村なら、自分が歌ってるモーニング娘。を最前席で見たいって思うだろう」って書いてあって、こういう意味だったのかって。私は、卒業した後にファン目線でモーニング娘。の姿を見れるのが、ずっと楽しみだったんです。17期がロッキン(「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」)のステージを観に来てくれたとき、「私も客席で観たい! でもステージにも立ちたい!」って思った気持ちをこの歌詞で噛み砕くことができましたし、とにかくすごくしっくりきました。人間の話をしてるので壮大なテーマではあるんですけど、歌ってて身近なものに感じられる歌詞です。

—確かに「私」じゃなくて「僕」っていう表現は譜久村さんのボーカルに合ってる気がします。

譜久村:私は誰かになりきって歌うことの方が得意だから、もともと「僕」って歌詞が好きだったんです。表現としてこういう歌い方ができることもうれしかったです。

—ライナーノーツに、「Neverending Shine」の歌詞は「ポエム」だって書かれていましたけど、「僕」っていう主語の一見ポエムっぽい歌詞がハマるのは、譜久村さんだからなんですね。そういう意味では、つんく♂さんが用意してくれた、譜久村さんのボーカルの集大成って感じがします。

譜久村:そうですね、本当に。やっぱりつんく♂さんは凄いです。モーニング娘。は太陽みたいだなって思うし、ファンの皆さんは私たちのことを照らしてくれる星みたいだって、今まで言ってきたんですけど、そういう想いも”太陽より熱く/星より綺麗に/もっと君を愛してみたい”って歌詞に入ってる。メンバーへ向けての愛情とファンの皆さんへ向けての愛情どちらも表現できるので、口で伝えるのが下手な分、こうやって歌詞で届けられることがうれしいです。


譜久村聖(Photo by Rika Tomomatsu)

—これまでの卒業曲でも、メンバーのパーソナリティーをうまく捉えていましたけど、この曲はもちろん譜久村さんの曲でありながら、モーニング娘。に対しての特別な想いも入ってる感じがして、スケール感が大きい気がしました。

譜久村:できることならこの曲はみんなに歌い継いで欲しいなって思います。

—井上さんはロッキンのステージをお客さんの立場で観たわけですよね。先輩たちのステージはどうでしたか?

井上:観られたことがうれしかったし、もともとフェスに出ることに憧れがあったので、自分がステージに立つ前に生でモーニング娘。を観られたことに感動しました。そのときに客席から見た景色は今も頭に残っているんですけど、最近、加入後初めてフェスに出させてもらって、ステージから見た景色も鮮明に残ってます。


ロックフェスへの出演をきっかけに変わったこと

—ロッキンに出たのは、2018年が最初じゃないですか。それまでモーニング娘。って音楽フェスに出るイメージがなかったけど、ロッキンの出演をきっかけにフェスやイベントに積極的に出るようになりましたよね。ロックフェスで、これまでと違うお客さんを前にパフォーマンスした経験はどうでしたか?

譜久村:外に出て歌う機会がなかなかなかったので、外に勝負しに行ける環境がとにかくうれしかったです。私たちがファンの皆さんを楽しませたくて普通にやってたことが、例えば”体力おばけ”と評価していただけたこともうれしかったですし、その結果、みんなで目標を持って、達成感を感じながら毎年頑張れたので、フェスに出られた経験は大きかったなって思います。モーニング娘。って、ライブのセットの関係で階段の登り降りが多かったりするから、ふくらはぎと太ももにめちゃくちゃ筋肉が付くんですよ。普通の女性よりも足が太くなるからみんな気にするんですけど、逆にそういうところにもちょっとずつ誇りを持てました。ロッキンがきっかけで、コンプレックスを武器に変えることができたなって思いますし、ツアーに遊びに来てくれる人をもっと増やしたいなって頑張ることができました。

@morningmusume_uf #ロッキン のモーニング娘。'23 皆さんの声援、最高でした #rijf2023 #モーニング娘23 #morningmusume23 ♬ オリジナル楽曲 - モーニング娘。'23

—そこまでアウェイな感じもなかったんですね。

譜久村:「LOVEマシーン」とか「恋愛レボリューション21」をやったときに、今日初めてモーニングを見たんだろうなとか、他の出演者さん目当てだったんだろうなって方が一緒になって踊ってくれたり、こっちに走ってきたりする姿が目に入って、先輩方に感謝だなと思いました。この間、イナズマロックフェスに出たのが私にとって最後のフェス出演だったんですけど、そこでは先輩方の楽曲はあまりやらずに今のモーニング娘。の楽曲で勝負したんです。皆さんにとっては初めて聴く楽曲が多かったかもしれないですが、そうやって勝負に出ようと一歩踏み出せたことがすごく大事だなって思いました。最後に「まじですかスカ!」をフルサイズでできたことも私的にはうれしかったですし、モーニング娘。でフェスに初めて出た頃は、私のデビュー・シングルをフルでやるなんて想像もしてなかったので(笑)。そういうステージの様子を可愛かったとか楽しかったとか、いろんな形で褒めてくださったことがうれしかったですね。毎回見つけてくださる方がいてくれることが糧になりました。

—2021年にはモーニング娘。でTikTokも始めましたが、それもグループを知ってもらうきっかけになりましたよね。TikTokをはじめとしたSNSの影響力についてはどう感じてますか?

譜久村:モーニング娘。はSNSをあまりやらないグループなので、当時はみんなびっくりしたんじゃないかなと思います。ファンの方が一番驚いたと思うんですけど、実際モーニング娘。を知らなかったけど新たにフォローしてくれたって方にも出会えましたし、コロナ禍にファンになってくれた方もたくさんいらして、SNSがきっかけで個別トーク会とかライブに来てくださる方もいました。何を発信できたかはわからないんですけど、好きになってくださった方がいたことがうれしかったです。

@morningmusume_uf 15期で踊ってみました #推しの子 #サインはb #15期 #北川莉央#おんちゃん #岡村ほまれ#ほまたん#山崎愛生 #パンダさんパワー #モーニング娘 #モーニング娘23 ♬ サインはB アイSolo Ver - TVアニメ【推しの子】公式

—井上さんは子供の頃からSNSが身近にあった世代だと思いますが、モーニング娘。でSNSをやるならこういうのがいいとか思うこともありますか?

井上:私もSNSを使ってこないで生きてきたので、モーニング娘。がSNS使ってないなとかはあまり思ったことがなくて。なんならいっぱい使ってるなと思ったぐらいです。まだ私はモーニング娘。のSNSを使って発信したことはあまりないんですけど、メンバー含めいろんなアカウントがあって発信してることが新鮮だなって思います。

—特にTikTokはいろんな投稿がありますよね。

譜久村:今まではFacebookとTwitterしかやってなかったのが、ハロプロの中にも「TikTokやりたいです」とか「Instagramやりたいです」って思ってる子がたくさん出てきて、でも私は「モーニング娘。はTikTokできないだろうな」って思ってたんです。それでもちょっとずつ解禁し始めて、私も最初にInstagramやるって言われたときは、全然わからない!って焦ったんですけど(笑)、前から続けているブログのアメブロは普段から応援してくださるファンの方へ向けてのメッセージで、Instagramはリーダーとして伝えなきゃいけないことから離れたところで発信できる場所だと思っています。そういう違いを出せたことで、私のことを知ってもらえるきっかけにもなったんじゃないかなと思いますし、取り入れてよかったです。私はTikTokはあまりできてないんですけど、全部をまんべんなくやる必要もないと思ってて、これからも得意な子が伝えたいことを自由に発信するような使い方ができたらいいなって思います。

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リーダーとして在籍中に考えたこと

—SNS含めて、各メンバーが自分の得意なところでアピールしていく中で、譜久村さんはモーニング娘。のリーダーとして、みんなそれぞれ好きことをやったらいいよって温かい目で見守るタイプなのかなと思うんですけど、ときには手綱をギュっと締めるところもあるんでしょうか。

譜久村:Twitterはマネージャーさんがやってくれてるんですけど、前まではそんなに積極的に更新してなかったんです。でもモーニング娘。が知れ渡るきっかけを作るために、もっと更新してほしいってお願いはずっと前からしていて、最近になってSNSも活発になったなと思います。あと、何でもかんでも好きなものを発信しまくるのは違うと思っていて、良い悪いの境界線は私の中にもしっかりあるので、自分の身の安全は自分で守らなきゃいけないからねって、そういうことを言ったりはしました。でもみんな自分なりの伝え方をしてて、石田亜佑美ちゃんや羽賀朱音ちゃんは文章で伝えることが得意だし、野中美希ちゃんや北川莉央ちゃんはブログで毎日皆さんに質問を問いかけてて素敵だなって思います。ファンの方の一日の楽しみであってほしいので、そういうところでやり方ができるのはいいことですよね。はるさん(井上)がたくさんミントのお菓子を紹介してくれるのも可愛いなって思いますし、それぞれの個性が出てていいなって思います。

—そう考えると、譜久村さんがモーニング娘。で活動していた期間、急激に時代が変わっていったんだなと思って。

譜久村:そうですね。私がハロー!プロジェクトに入ったときって、ハロメン30人以下だったんですよ。それが今は70人くらいいて。そういう変化についていけなくなることもありましたし、仕事に対してもっと厳しかった上の世代と、今みたいに怒ることが少なくなった世代の狭間にいたので、その流れを飲み込むのが難しかったです。以前、和田彩花さんとよくお話ししてたんですけど、一緒に育った人たちとグループの垣根を乗り越えた上で、どのように後輩に伝えていくのかはすごく悩んだなぁと思います。

ーじっくり考えようとしても、それ以上に変化のスピードが速かったりしますよね。

譜久村:私は、モーニング娘。にいる期間で、歴史の重圧を背負いきれなくなったときと、それを乗り越えて「自分も歴史を作ってきたひとりなんだ」って思えたときと、両方あるんです。私はどちらかというと考えすぎちゃうタイプだったと思うんですけど、それをどちらも経験できたことは大きなことだなって思います。ただ楽しくやってる自分よりも、どうやって今のモーニング娘。を伝えたらいいか、もがいて考えた自分でよかったなって今は思えます。グループにいたら楽しいのは当たり前で、何もしなければそのまま時が流れていってしまうけど、そうではなく、自分がモーニング娘。にいた意味を残したいって私は思いましたし、私がどういう目標を持ってモーニング娘。として活動してたのかってことも、うざがられない程度に後輩にも伝えていきたいです。ハロプロ時代から数えて13年間っていう長い期間、モーニング娘。として活動してきたから、そこまでいろいろ考えたと思うんですけど、それでもモーニング娘。として過ごせる青春はこの期間しかないものだから、それをより濃いものにしてほしいと思うし、目まぐるしく過ぎてしまうけど、一つひとつ考えたり、自分磨きしながら生活したり、趣味をお仕事にできる瞬間があったり、やりがいを持ちながらやるほうが絶対楽しいから、モーニング娘。はずっとそういう子たちであってほしいなって思います。個性があって、目的がしっかりある子たちであってほしいです。


井上春華(Photo by Rika Tomomatsu)



はるさんへの言葉

—井上さんは入ったばかりですが、そういう信念を譜久村さんから感じ取ったり、自分なりに解釈して受け取ったりすることもありますか?

井上:加入してからいろんなことがありすぎて、一個一個を終えるので精一杯だったところがあって……。自分にまだ余裕がなかったので、これから譜久村さんの卒業までの期間に、今まで吸収しきれなかった部分を吸収していきたいなって思います。

—譜久村さんから見て、井上さんのパフォーマーとしての強さはどこだと思いますか?

譜久村:はるさんは最初に会ったとき、モーニング娘。の目まぐるしさについていけるかなってすごく心配でした。あっという間に過ぎていくし、毎日忙しいから大丈夫かなって、未経験な分、大変そうにしてる姿もたくさん見てたので、軽々しく「大丈夫だよ」って声をかけてあげられなかったんです。立場的にどうしても厳しく見なきゃいけないときもあるんですけど、一個人として見たときに、1回ずつのレッスンでしっかり成長してるし、頑張りを見せてくれてるなって毎日感じてて、はるさんなりに真剣に向き合ってる姿を見られたことがすごくうれしかったです。そんな中で17期初めての秋ツアーの公演を迎えて、私も緊張しちゃうぐらい不安だったんですけど、私たちが思ってる以上に2人ともキラキラしてて。ステージに立つと顔が変わるんですよね。それが17期の魅力だなって思います。裏で不安そうな表情をしてる姿はたくさん見るんですけど、ステージに立ったときの笑顔とか、ファンの方を見ているときのうれしそうな顔を見て、私も「良かった」って思いますし、それができるのは2人とも芯のある子だからなんじゃないかなって思います。今は不安なこととか、できないことにたくさんぶつかると思うんですけど、すぐ貫禄が出てきて、かっこよくステージをこなせる子たちになるんじゃないかなって私は思ってます。

井上:まだまだ苦手意識がありながらやってるので、早く苦手意識をなくしたいなと思いながら練習してるんですけど……。でも本番は楽しいです。

譜久村:本番が終わったときに、弓桁朱琴ちゃんがすごい汗かいてて、はるさんはそんなにかいてなくて、「暑くなかった?」って聞いたら、なんて言ったんだっけ。

井上:体温が低いので……。

譜久村:適温でした、って(笑)。

井上:言いました(笑)。

譜久村:ライブ後に適温でしたって言ってる人、初めて見たと思って、めっちゃ面白かったです(笑)。はるさんがこのままのペースで行くのか、それともどんどんモーニング娘。のペースに追いついていって、高温になるのか(笑)。どっちになっても楽しみだなって思います。

—最後に「Wake-up Call〜目覚めるとき〜」について聞かせてください。この曲は譜久村さんから17期生へ繋いだバトンを象徴するような曲になっていますよね。大久保薫さん、星部ショウさんが書かれた曲で、新しいモーニング娘。の魅力が凝縮されてると思いました。

譜久村:まさにその通りだなって思います。「すっごいFEVER!」とは違う感じでワクワクさせてくれる楽曲だし、モーニング娘。の歴史がいっぱいつまってる中で、今のモーニング娘。には「Wake-up Call」って言葉がしっくりくるのと、14人全員の個性がちゃんと表現されてるところにも感動しました。ラップがあって、”可愛く/カッコよく/あざとく”ってところで個性も出せて、みんなで可愛く踊れるサビがあって、かっこいいモーニング娘。もかわいいモーニング娘。も両方表現できるし、ライブでは盛り上がる神曲だなって思います。

—井上さんはこの曲をライブでやってみてどうでしたか?

井上:楽しかったです。自分はラップの部分は歌ってないんですけど、それでもラップのところは楽しいですし、あとは歌い出しの部分を、17期の2人で歌わせてもらってるんですけど、その部分は2人でいっぱい練習したので、思い入れの深い曲です。



<INFORAMTION>

モーニング娘。'23 コンサートツアー秋「Neverending Shine Show 〜聖域〜」譜久村聖 卒業スペシャル
11月29日(水)神奈川・横浜アリーナ
http://www.helloproject.com/morningmusume/event/detail/eca9274aa6b65c282f756c08f0b711bf630a0b43/



【初回生産限定盤A】

「すっごいFEVER!/Wake-up Call~目覚めるとき~/Neverending Shine」
モーニング娘。23
zetima
発売中
1. すっごいFEVER!
2. Wake-up Call~目覚めるとき~
3. Neverending Shine/モーニング娘。23 feat. 譜久村聖
4. すっごいFEVER!(Instrumental)
5. Wake-up Call~目覚めるとき~(Instrumental)
6.Neverending Shine(Instrumental)

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