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グリーン・デイ、ブリンク182が「あの頃」の衝動を呼び起こす「When We Were Young Festival」レポ

Rolling Stone Japan / 2023年11月6日 17時15分

グリーン・デイ(Photo by Erina Uemura)

昨年、初開催されたエモとポップパンクの音楽フェス「When We Were Young Festival」が、今年も米ラスベガスで10月21日と22日におこなわれた。2023年のテーマは「パンク」。ヘッドライナーにグリーン・デイ、ブリンク182を迎え、計55組のアーティストが出演し2日間で1万8000人を動員した。

【写真まとめ】「When We Were Young Festival」ライブ写真

会場となるフェスティバル・グランドは老舗サハラホテルの真裏に位置し、ラスベガス観光メイン通りのストリップからすぐという好アクセスの場所である。会場は大小4つのステージがあり、ステージ以外にはブリンク182の壁画アート、グリーン・デイのミニギャラリー、タトゥーショップ、ミニスケートボードランプなどが併設され、初日はスケーター界のレジェンドのトニー・ホークが登場しランプで見事なトゥイークを決め観客のボルテージを加速した。


Photo by Erina Uemura


Photo by Erina Uemura

・New Found Glory/ニュー・ファウンド・グローリー

40度を超える灼熱の中、彼らのビッグヒットアルバムからの「Dress to Kill」のイントロが流れるとフロアにサークルモッシュが起こる。観客の頭の引き出しの奥に眠っていたリリックが一瞬で舞い戻ってくる。ヒットチューンの連発で期待を裏切らない。ディズニーチューンの「Let It Go」のカバーでブレイクアウトした後、ラスト曲で彼らの最大のヒット曲「My Friends Over You」をドロップし、ベテランの底力を見せつけた。




Photo by Erina Uemura

・All Time Low/オール・タイム・ロウ

昨年の同フェスの出演者だったアヴリル・ラヴィーンが登場.。予想外のサプライズに観客が湧きに沸く。彼らのコラボレーション曲「fake as Hell」を披露した後、パンクチューンにアレンジされた彼女の代表曲「Sk8er Boi」を共演し観客を沸かせた。




Photo by Erina Uemura

・Pierce The Veil/ピアス・ザ・ヴェイル

軽快なポップパンク・サウンドとは相対的なヘヴィでダークな旋律が鳴り響くと、隣のステージにいた観客までが彼らのステージ駆け寄ってくる。フロントマン、ヴィックのカリスマティックなデスボイスとシャウトの応酬は、ハードコア全開で度肝を抜かれる。なおかつバンドの超絶なグルーヴ感で唯一無二のエモな空間を作り出す。観客は爆音と共にシンガロングし、ブレイクダウンのモッシュへと傾れ込む。6曲という短いステージだったが強力なインパクトを叩きつけ、間違いなくこの日のゲームチェンジャーになった。




Photo by Erina Uemura

・SUM 41/サム41

フェスの前夜にラスベガスのブルックリンボウルにてチャリティ・ボムという名のチャリティ公演を行った彼ら。フェス本番のモチベーションはバンドとファンともに万全だ。初っ端からステージ上に火柱が何本も上がり、割れんばかりの歓声で迎え入れられたメンバー。デリックはステージ上を走り回り、「お前らのガッツを見せてくれ!」と観客を煽りまくる。「Hell Song」のワンフレーズを聞いた瞬間、オーディエンスは狂乱の渦に。ギタリストのデイブとトム、そしてベーシストのコーンのスイングプレイに、ブランドンのパワードラムがパフォーマンスの観客のボルテージを加速する。バンドと共に瞬発力も持久力も求められる超ハードなステージだ。そんな光景をステージから見つめているメンバーは何ともうれしそうな表情を覗かせている。

紆余曲折を得て成長した彼らの作り出す音は、シンプルでイージーなパンクサウンドではなく、切実なエモーショナルを迸らせる。解散を発表しラストツアー中とは思えないほどバンドのケミストリーが最高に感じられる。ラストソングの「Still Waiting」演奏中、誰もがこの瞬間がもっと続いてほしいと思ってたに違いない。最後にデリックは「来年のツアーで会おう」とうれしいプレゼントをファンにくれたのだった。




Photo by Erina Uemura



ブリンク182の熱演、エネルギッシュな瞬間

・Thirty Seconds to Mars/サーティー・セカンズ・トゥ・マーズ

フロントマンのジャレット・レトの美しい長い髪が、衣装のケープと共に風になびく。眩いバックライトに照らされ登場した姿は、映画のワンシーンのようだ。ドラマーのシャノンが「Up in the Air」でビートを走らせると観客は拳を突き上げる。陽が落ちた後のラスベガスの美しい光景をバックに演奏された「Kings & Queens」では最前列にいた観客をステージに上げ一緒に歌う。その光景は観客をカタルシスに誘った。誰もがその美しい光景に浸ってる余韻のままジャレットが「素晴らしい友人」と言ってライズ・アゲインストのティム・マキルラスをステージに招き、「This Is War」を共演。ステージがいよいよ終盤になるとジャレットは観客の何人かをステージに上げ彼らと一緒に「The Kill (Bury Me)」を熱唱。この日、彼らは1時間に満たないステージでいくつものハイライトシーンを生み出したのだった。




Photo by Erina Uemura

・Good Charlotte/グッド・シャーロット

パンテオン神殿を思わせる美しい映像がステージセットに映し出される。「The Anthem」でポップパンクのハイエナジーアワーが始まった。彼らとファンの間に長いブランクがあったとは思えないほどの息の合ったコール&レスポンス。スマッシュヒットの一つ「I Just Wanna Live」 サビの高音パートもパワフルに歌い上げ観客の期待を裏切らない。ジョエルとベンジーの強靱なシンクロはまさに彼らのスキルがアップグレードされていたことを物語っていた。2日目のセットにはリル・ウェインが登場し「A Willi」とラストソング「Lifestylef of the Rich & Famouse」を共演し、最高の盛り上がりを見せた後、幕を閉じた。1時間に満たない短いセットだったが、彼らのスケール感と凄みを体験した全ての人の脳裏に鮮烈に刻み込んでいった。




Photo by Erina Uemura


Photo by Erina Uemura

・Blink-182/ブリンク182

今年のコーチェラフェスでの最高のカムバックを果たしたのが記憶に新しい彼ら。バンドを脱退していたトムの復帰、癌の闘病からサヴァイブしたマーク、飛行機事故のトラウマを克服したドラマーのトラヴィス、そんな彼らの登場を多くの観客が待ち望んでいただけあって、ステージが始まる前から割れんばかりの歓声だ。カリスマ的な人気のトラヴィスのパワフルで超絶テクニカルなドラムは、ビートの掴みと絶妙なブレイクがポイント、そこにトムのエッジの効いたギタープレイににマークのソリッドなベースラインで、異次元のサウンドスケープを描き出す。ステージ上にそれを煽るように火柱が上がりまくる。
今宵の最初のエネルギッシュな瞬間の一つが「Rock Show」。彼らの過去を知らないZ世代のパンクキッズもシンガロングとモッシュに参加する。そして往年のファンに応えるかの如く、トムのダーティな下ネタジョークは20年経った今でも健在だ。彼のジョークにマークが参加しお互いに笑い合う姿を見て、最前列には感涙する観客もいた。



「I Miss You」ではソウルフルな演奏と群衆のシンガロングに、スマホのライトとラスベガスのネオンがさっきまでのリアリスティックなロックステージを異次元の世界へと変貌させる。「Whats My Age Again」「First Date」「Dammit」などキラーチューンなど計23曲を演奏し単独公演さながらのステージで瞬く間に過ぎていった約2時間のステージは、彼らの音とステージパフォーマンスがネクストレベルにアップデートされていたことを実感した。2024年にはオーストラリアを皮切りにワールドツアーが決定している。日本のファンもこのロックショウを体験できることを期待したい。




©When We Were Young


©When We Were Young



グリーン・デイ、不変のポップパンク

・Green Day/グリーン・デイ

歴史的名盤『Dookie』のリリース30周年を記念して4枚組のスペシャルCDをリリースしたばかりの彼ら。世界中のファンがラスベガスに集結し、今宵はまさにセレブレーションナイトだ。フェスの直前にはラスベガスのダウンタウンの小さな会場でのサプライズショウを発表し、ビリー・ジョー・アームストロングの次男がフロントマンを務めるバンドUltra Qを前座に従えショウを行いウォームアップは万全である。



ヘッドライナーの彼らのステージには会場の後方まで身動きが取れないほどの人が集まり、バンドの登場を待ち構える。彼らのツアーお馴染みであるラビットが登場し観客を煽り会場をヒートアップさせる。 クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」が爆音でかかり観客が壮大なシンガロングの後、ステージが暗転しメンバー登場。フロントマンのビリー・ジョー・アームストロングが「べガース!!!」と叫び「American Idiot」でスタート。ビリーはステージ上を駆け抜けながらギターを激しく掻き鳴らす。ベースのマイクはベースを高く掲げた後、何度もジャンプし観客を煽りまくる。それらに合わせるかの如く火柱とキャノンが上がりまくる。観客は、灼熱の中待っていた疲れをぶっ飛ばすほどの勢いで、モッシュにダイブを繰り広げる。そこへ2曲目に「Jesus of Suburbia」だ。このうれしいサプライズに観客は拳を突き上げ応える。



ビリーの唯一無二のカリスマ性とダイナミックなギタープレイスタイル、ドラムのトレの強靭でスタイリッシュなビート、そしてマイクの骨太なベースラインが体の奥まで響いてくる。代表曲の一つ「Hitchin a Ride」では、ビリーが「(お前たちの本気を)見せてくれ」と言い, 観客とのコール&レスポンスを求める。「まだまだ足りない」と彼が言うとトレもドラムスティックでもっともっとというジェスチャーをする。マイクはステージ端まで走り後方やVIPの客も煽る。続いて新曲「The American Dream Is Killing Me」を披露。得意のアップテンポでポップな曲は一瞬で観客の心を掴む。サビの部分ではすでにシンガロングがされるほど。この曲のリリックは現代の社会に意を唱える、パンクロック界の哲学のようだ。


Photo by Erina Uemura


Photo by Erina Uemura


Photo by Erina Uemura



昔と変わらないエネルギッシュでアンセムなステージを繰り広げる彼ら。バンドは本能のまま歌い演奏していた若い頃と比べ、洗練され、さらにダイナミックでパワフルな進化を遂げていた。そして世の中の不条理なプレッシャーに闘う姿勢は今でも健在だ。そして想像を超えるノスタルジアに満ちた空間に胸が熱くなった。この場にいる多くのファンが若かった頃、彼らのすべてのリリックが体中に染みつくまで幾度となく聴いた証だ。ラストソングの「Good Riddance (Time of Your Life)」でビリーが一人ステージでアコースティック・ギターで演奏を終え、マイクとトレが戻ってきて互いにハグをしあった後、観客に拍手をし賛辞を表した。



これぞまさにパンクロックの集大成とも言える躍動と、疾走感で最高に多幸感溢れるステージ。彼らはラスベガスの夜に新たな歴史を刻んだのであった。


Photo by Erina Uemura


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