ネッド・ドヒニー来日記念 盟友ジャクソン・ブラウンが証言する若き日の姿とその才能
Rolling Stone Japan / 2023年11月9日 18時35分
ネッド・ドヒニー(Ned Doheny)の来日公演が今週11月10日(金)・11日(土)に東京、13日(日)に大阪のビルボードライブで開催される。
1948年ロサンゼルス生まれのネッド・ドヒニーは、ジャクソン・ブラウンやJ.D.サウザーと親交を深めながら1973年に『Ned Doheny』でデビュー。1976年の2ndアルバム『Hard Candy』はAOR史上に残る大傑作の誉れ高く、2016年にビルボードライブで開催されたリリース40周年記念の再現ライブも話題となった。今回の来日公演は名曲の数々を披露する特別なステージになるという。
再来日を記念して、ネッド・ドヒニー再評価を決定づけたアンソロジー『Separate Oceans』が発表された2014年に、盟友ジャクソン・ブラウンがドヒニーについて語った米ローリングストーン誌のインタビューを発掘・初翻訳してお届けする。
ローレル・キャニオンの音楽史において、ジョニ・ミッチェル、デヴィッド・クロスビー、イーグルスに比べれば、ネッド・ドヒニーの名前はささいな存在と見なされてきた。様々なアーティスト/音楽シーンを復活させてきたシカゴのリイシュー・レーベル、Numero Groupは『Separate Oceans』によって、その見方を変えようとしている。このキャリア回顧録は、ドヒニーのアルバムから厳選された楽曲と未発表のデモ音源(軽快なフォーク、ポップ、ソウルまで全19曲)に、この異色のシンガーソングライターについての長いエッセイを加えたものだ。
友人であり音楽仲間でもあるジャクソン・ブラウンは、全盛期のほとんどをドヒニーとともに過ごし、このシンガーの見過ごされてきた才能についてローリングストーン誌に語っている。
この投稿をInstagramで見る Joni Mitchell(@jonimitchell)がシェアした投稿 ジョニ・ミッチェル(写真中央)の公式Instagramより。左の口髭を蓄えているのがジャクソン・ブラウン、一番右でギターを演奏しているのがネッド・ドヒニー。1972年撮影(Photo by Henry Diltz)
ネッド・ドヒニーとは1968年にローレル・キャニオンで出会った。お互いにお金も車もアパートもなかった頃で、僕らはすぐに仲良くなった。それぞれ自分のギターを所有していたけど、僕がフィンガーピッキングやフラットピッキングといったフォークスタイルや、曲作りのためのもっともベーシックな伴奏を弾くのに対して、ネッドは本当に演奏がうまかった。アコースティック・ギターをまるでエレキ・ギターのように弾くんだ。彼の流暢さと自信と独創性は、頭の中で他の楽器をたくさん聴いている人ならではのもの。彼は素晴らしいギターを弾くだけでなく、会話も流れるようで想像力に富み、印象的な視覚的言語で満たされていた。
僕ら2人は、彼の紹介でフレイジャー・モホークというプロデューサーの家に居候するようになった。彼は僕のマネージャーの家から坂を5軒ほど登ったところに住んでいて、僕がロサンゼルスにいた頃は、そこのソファに寝泊まりしていた。このモホークというプロデューサーが、ウォーレン・ジヴォンをはじめ、たくさんのソングライターやプレイヤーを紹介してくれたんだ。私たちはエレクトラ・レコードのレコーディング・プロジェクトに参加することになったーーいくつもの名前を掲げ、何度か生まれ変わったのち、最終的には解散し、全員がそれぞれの道を歩むことになった。
ネッドと僕はデュオとしてしばらくクラブで演奏していた。僕の曲における彼の演奏はとても気に入っていたけど、彼の曲に僕が多くを加えられたとは思わない。僕たちは多くの時間を(カリフォルニア州)ハイ・デザートで過ごした。レコーディング中、僕らはレコード会社から共同体のような形で支援を受けていた。LAに戻った僕たちはそれぞれアパートを借りて、彼はローレル・キャニオンに戻り、僕はエコー・パークに移った。僕の部屋の家賃は月70ドルだった。
カルト的人気を集めるようになった理由
僕らの音楽的関係において極めて重要な出来事は、彼が僕から『The Greatest 64 Motown Hits』という4枚組レコードを借りたことだ。彼は自分のもので、僕からもらったわけではないと言うだろうが、ただ返したくなかっただけさ。とにかく、彼はそれを聴き尽くした。ただ聴いていただけじゃない。自分の分子構造と融合させたんだ。
そうして彼は砂漠を旅し、ギターを弾き、サーフィンをするシンガーソングライターでありながら、リズムとハーモニーを深く理解し、過去30年の偉大なレコード・メーカーと肩を並べるプロデューサー/アレンジャーへの道を進むようになった。歌声も着実に、そして素晴らしい形で成長している。彼は誰よりも高く力強く歌う。しかし、彼のソングライティングは語りかけるようなスタイルではない。彼の曲は、彼しか書けなかったとはいえ、どんな偉大なシンガーでも歌えるし、おそらくソウル・シンガーが一番うまく歌えるだろう。
1973年のデビュー作『Ned Doheny』、78年の3作目『Prone』も人気作
その才能が広く認知されなかったのは巡り合わせの妙、運がなかったから、そして彼が自分の音楽的アイデンティティとは対照的な道を歩んできたことに起因している。彼は「ファンキーな音楽を奏でるホワイト・ボーイ」という言葉を体現しているのかもしれないが、その博識さと隠遁的で群れたがらない性格の両方が、ポップスターとなる可能性から彼を引き離している。
でも、彼を求めるオーディエンスがいることはたしかだ。僕は彼の音楽を知り、その類まれな才能に思いを馳せる若いプレイヤーたちに何人も会ってきたよ。
From Rolling Stone US.
ネッド・ドヒニー来日公演
Ned Doheny plays his all time hits - new band new grooves
2023年11月10日(金)
東京・ビルボードライブ東京
1st OPEN 17:00 / START 18:00
2nd OPEN 20:00 / START 21:00
2023年11月11日(土)
東京・ビルボードライブ東京
1st OPEN 15:30 / START 16:30
2nd OPEN 18:30 / START 19:30
>>>詳細・チケット購入はこちら
2023年11月13日(月)
大阪・ビルボードライブ大阪
1st OPEN 17:00 / START 18:00
2nd OPEN 20:00 / START 21:00
>>>詳細・チケット購入はこちら
チケット:
サービスエリア 11,000円
カジュアルエリア 11,000円(1ドリンク付)
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