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YOSHIKIが語る、THE LAST ROCKSTARSに込めた「想い」と「願い」

Rolling Stone Japan / 2023年11月20日 22時30分

YOSHIKI Photo by @ogata_photo, Styling by Yasuhiro Watanabe (7B), Hair and Make-up by Takaki Toshihiro (SEED&beauty)

11月21日から東京・有明アリーナで開催される「THE LAST ROCKSTARS The 2nd Tour 2023”PSYCHO LOVE”」。THE LAST ROCKSTARSが表紙を飾った「Rolling Stone Japan vol.22」(2023年3月発売)のカバーストーリーから、YOSHIKIのインタビューを転載する。

【写真まとめ】THE LAST ROCKSTARS on Rolling Stone Japan

4人の輝けるロックスターによるスーパーバンド、THE LAST ROCKSTARS。その中心となるのがYOSHIKIであり、YOSHIKIはこれまでロック界・音楽界の常識をぶち壊してきた人物でもある。そんなYOSHIKIはこのバンドで何を壊し、何を成し遂げようとしているのか?

ーTHE LAST ROCKSTARSの船出となる東京、ニューヨーク、ロサンゼルスの公演が無事に終わりましたが、まずはライブの感想と収穫を聞かせてください。

YOSHIKI そうですね……まだちょっと終わったばかりで意識が朦朧としているというか、何が起こったのかよく分かっていないんですけど(笑)。直前まで自分のやっていたオーディション番組のプロデュースとか他にもいろんなことが入っていて、リハーサルに合流したのが1月の中旬くらいだったんですね。そこからいろんな自分のアイデア、構想というのをメンバーと分かち合って、一気に作り上げたんです。その時点から作った楽曲もあるくらいで。まさに「Shine」という曲がそうなんですけど。

ー有明のライブではアンコール1曲目に披露され、みんなで合唱した素敵なバラード曲ですね。

YOSHIKI はい。リハーサルの前後でミーティングを何度も重ねて、みんなのアドバイスや意見を聞きながらなんとか組み立てることができました。これは自慢でもなんでもないんですけど、当日の朝までオープニングとエンディングSEを作っていたくらいなので。これまでにもかなりの数、修羅場をくぐってきたけど、人生のトップ10に入るくらい忙しかったし、濃かったですね。

ーその大変さが結実した素晴らしいライブで、会場は大盛り上がりでしたし、バンドの船出として、そして”ロックスターズ”という名前を背負ってのスタートとしては大成功だったのではないでしょうか。

YOSHIKI ありがとうございます。そう言ってもらえると救われます。まあ、自分としてもこういった名前を付けてしまった、これだけのメンバーを集めてしまったということで、”もう後に引けないな”という気持ちがあったので、リハに合流する前からですけど、1分1秒でも時間があったら”どうすればこのコンサートをより良くできるんだろう?”ということしか考えていなかったんですね。食事中はもちろん、寝ているときも夢に出てきたくらいで。目覚めたらすぐにスタジオに向かってアイデアを共有したくて、みんなにテキストを送ったり。それは僕だけじゃなくてメンバーもみんなそうだったので、ある種、バンドが一丸になったのかなと思いますね。

ー今回のライブ全体のプロデュースはYOSHIKIさんが担当されたそうですが、ライブの一番大きなコンセプト、YOSHIKIさん的にこだわった点を教えてください。

YOSHIKI まず、自分を含めてそれぞれの個性が強いので、その個性をちゃんと出す。そして、同時に個性を消す。実際、出来ている部分と出来ていない部分があると思うのですが、そのラインがすごく微妙で、どこまで出すべきか、出さないべきかというのが難しかったです。楽曲に関しても、この4人が集まったからといって、X JAPANとL'Arc~en~CielとLUNA SEAとMIYAVIが合体した音になってもしょうがない、誰にどんなテクニックがあっても関係ないと思っていました。例を挙げると、「THE LAST ROCKSTARS(Paris Mix)」という曲ですね。”Paris Mix”となっているのは、僕がパリにいた時にミックスしたからなんですけど。エンジニアはアメリカ人の有名なマーク・ニダムという方で、ミックス前の段階でギターのループとか、テクニカルなものがいろいろ入っていたのをマークが全部取っ払っちゃおうと。なるほど、そういう考え方もあるのかと思って、ストレートに踊れる曲を作りました。



ーなるほど。スーパーギタリストが2人もいるバンドなのに、ギターのループを消したと。

YOSHIKI ええ。ちなみに自分で言うのもヘンですけど、僕はこの楽曲を凄い曲だと思ってるんです。要するに、テクニック志向とか何かを見せるとかというのではなくて、”Bigidin Bigidin Ban Ban Ban”というフレーズが浮かんで、それをそのままメロディにした時に、これは名作だなと。なかなか自分でそう思うことはないんですけどね。その時に僕は周りにいたスタッフやエンジニアに”みんなこの曲の凄さはまだわからないと思う”って宣言したんです。もしかしたらバンド内でもわかってもらえていないかもしれないですし、ファンのなかでもどこまでわかってくれている人がいるのかわからないですけど、僕はこの曲は名作だと思っています(笑)。

ー確かに、つい口ずさみたくなる曲ですよね。すごくシンプルだけど力強い。HYDEさん、SUGIZOさん、MIYAVIさんとあらためて今回一緒にやってみて、YOSHIKIさんは3人をどんなアーティストだと思いましたか?

YOSHIKI やはり、ずっと第一線でやってきているアーティストだなと。10年ちょっと前に僕とSUGIZOが組んだ時(SUGIZOのX JAPAN加入時)も、自分の中では革命的だったんですよ、時代が動いたような感覚というか。彼と組んで、本当に僕はすごく光栄だと思ったし、素敵な仲間と組めるんだと思ったんです。また、HYDEとは「Red Swan」や「ZIPANG」という曲で共演して、やはりその時も時代が動いたと勝手に思っていて。MIYAVIとも、以前S.K.I.N.というバンドを組んでいたんですけど、今回またやろうとなった時、これもまた時代が動くなと。そのくらいの意気込みで僕は一人ひとりに接しているので、それが今まとめて4人でやっているなんて本当に凄いことです。第一線で活躍している、日本を代表するロックスターたちが自分と人生の時間を共有してくれている。その時間を無駄だったと思われたくないんです。楽しんでもらいたいし、”一緒にバンドをやっていてよかった”と思われたいというのはすごくありますね。

ー他のメンバーも同じ想いのようでMIYAVIさんはツアーが一段落して寂しがっていました。

YOSHIKI 刺激が強すぎたからね(笑)。多分みんな振り回されたと思いますよ、僕に。いろんな意味で。台風のごとく毎日突っ走りました。


「Rolling Stone Japan vol.22」表紙



”このステージが最後かもしれない”という気持ちで叩いている

ー結成から嵐のような毎日を過ごし、ライブもみっちり2時間半、ソロ、アンコール含め20曲近く披露されて、YOSHIKIさんも「もう首がこれでダメになるかも」みたいなことをツイートしていましたが、体調面はどうだったんですか?

YOSHIKI 一応、叩き方的には気をつけているんですよ。無謀なヘッドバンギングはしていないです。ただ、これはこのバンドに限らずいつもそうなんですけど、”このステージが最後かもしれない”という気持ちで叩いているんです。それで、ライブ後には”ああ、また生き延びてしまった”と。僕がドラムを叩けるのはあと5回なのか、50回なのか。多分三桁ということはないと思うんです。そんな感じで、どこかで終わるんだろうなとは思っています。

ーそのくらいの覚悟でやっている、と。

YOSHIKI もちろん、すごく鍛えていますし、食事、トレーニング、医者の指導……やれることは全部やっています。身体をむやみに痛めつけているわけではなくて。でも、ステージでは最高のものをファンのみんなに見せたいし、メンバーにも最高のドラミングを見せたいので、本当に、冗談抜きで死ぬ気でやっています。

ーその気合いは見ている側にもビシビシと伝わってきます。今回のライブでは、各メンバーのセルフカバーも何曲か披露されていましたよね。X JAPANからは「Beneath The Skin」と「BORN TO BE FREE」、ピアノソロでは「紅」(LA公演では「ENDLESS RAIN」)が披露されましたが、この選曲の意図は?

YOSHIKI 「Beneath The Skin」は、昔S.K.I.N.で組んだ時にもやっていて、SUGIZOが作曲、僕が作詞で、ある意味このバンドの原型みたいなものなので入れるべきではないかと。「BORN TO BE FREE」に関しては、どの曲をやろうかと考えた時、何となく感覚的にX JAPAN色があまり強くないX JAPANの曲を入れようと思ったんです。それで、いろいろ悩んでこの曲にしました。例えばそこで「Rusty Nail」とかだとちょっと違ったかなと。けっこうバランスを考えました。

ー本当に絶妙なバランスだったと思います。このバンドが始まった時、SNSなどではそれぞれ所属しているバンドがどうなっちゃうんだろう?と心配するファンの声も見られましたし、ファンの心情的には知っている曲をやってくれたらうれしいけど、たくさんやられたら寂しいという気持ちもあるのかなと思ったんです。

YOSHIKI おっしゃる通りですね。何が正しいというのはないと思うのですが、そのなかでも一応いろんなことを考えて作られているセットリストではあったんじゃないかと思います。

ーアメリカではニューヨークとロサンゼルス、3公演ありましたが、バンドへの反応、手応えはいかがでしたか?

YOSHIKI 日本でもアメリカでも、僕らのことを知ってくれていた方たちが多く来てくれていたと思うので、アウェイな感じはまったくなかったですね。温かく見守られているというか。これからもっとキャパシティの大きいところだったり、アウェイなところでやった時にどれだけオーディエンスの心を掴めるかということだと思います。

ーその場合、各メンバーの今までの物語がまったく通用しないオーディエンスもいるわけですからね。

YOSHIKI そういう時こそ爆発するかもしれないですよ、僕らの力が。これまでもメンバー個々が世界という荒波に揉まれてきていますし。逆に楽しみです。


YOSHIKI Photo by @ogata_photo, Styling by Yasuhiro Watanabe (7B), Hair and Make-up by Takaki Toshihiro (SEED&beauty)



ロックスターは未知の存在

ー5年後、アメリカの「ロックの殿堂(Rock and Roll Hall of Fam)」にTHE LAST ROCKSTARSの名前が刻まれたりしたら、すごくうれしいなとロックファンの1人として思います。

YOSHIKI 僕らが今やっているのは、あまり前例のないことだと思うんですよ。日本発ということもそうだし、ロックスターが一堂に会する、団結するということもあまりなかったと思うし。年齢的にも”え、今から世界狙うの?”っていうのもあると思います。そういった要素がいろいろあるというのが、僕は楽しくて。ロックって予定調和をいかにぶち壊すかじゃないですか。たまたま今回(表紙用に)鉄道のレールのようなところで撮影して、おそらく”夢に向かう道”というイメージだったと思うんです。そこで僕が感じたのは”別にレールなんて要らない。俺が勝手につくるから”って(笑)。素晴らしいフォトグラファーの方だったし、そういうことをここで言うのもなと思って控えたんですけど(笑)。別に道なんてなくてもいいんです。崖だろうが何だろうが全部崩して自分で道をつくるから。

ージャンルとかレールとか、最近ではコンプライアンスだとか、いろんなものがタイトになっていくなかで、そういうものからはみ出しているのが、実はロックの一番の本質なのかなと思いますね。

YOSHIKI そうですね。僕がドラムを始めた時、メジャーデビューする時、アメリカに最初に来た時の過程でも”普通はこうしてこうするものだ”ということをさんざん周りから言われたんですね。それに対して、僕はすべてに牙を剥いてきたんです。”別に今までがそうだったからって、これからがこうなるとは限らないんじゃない?”って。生意気なヤツがいるなと思われたかもしれない。でもそれを一つずつ覆してきたので、まだまだ出来るなと思ってます。

ー年齢が上がってくると、レールにちょっとは乗っかりたくなる自分というのがいるんじゃないかと思うんです。YOSHIKIさんはなぜそこまで道なき道を進めるんですか?

YOSHIKI 自分で思っている道のゴールがレールの上にあったなら、それはそれでいいと思うんです。でも、僕らロックスターって未知の存在だと思うんですよ。例えばクラシックだったら200年以上前にベートーヴェンがいたとかありますよね。だけど、僕らの大先輩には今まだ活動している方たちも大勢いる状況で、ロックスターがどういった結末を迎えるのか分からない。一体僕らは何をやり遂げるんだろう?という。そういう分からない未来に向かって飛び立ちたいという想いがあるんです。

ー何十年後かにロックの歴史書を振り返った時、「こんなことをやっているバンドがいて、こんなところまで行ったんだよ」と語り継がれたい?

YOSHIKI そうですね。何かの歴史を変えるかもしれないし、何も変えないまま普通の王道をいくのかもしれないですけどね。

ー最近の音楽シーンで言うと、バンドよりもソロアーティストの方が目立ってきている気がしていて、1人でも活動出来るし、部屋でPCで曲も作れるじゃないですか。そんななかでバンドを続ける意味って何なのでしょうか?

YOSHIKI バンドを続ける意味……何だろうな。やはり、1+1+1+1=4じゃないということですかね。合わさると100にもそれ以上にもなる。それが面白いんでしょうね。それが尊敬し合う仲間であれば、なお面白い。

ーなるほど。

YOSHIKI まあでもバンドって難しいですよね。僕はけっして理想のリーダー像というわけではないと思うけど、じゃあ何をもって理想と言うのか? これはこのメンバーに対してたまに話しているのですが、「順調にすべてが進んだからといって、日本のミュージシャンが本当の意味で世界の壁をぶち破った例ってなくない? 何が正しいのかまだ分からなくない?」って。自分がめちゃくちゃだからそう言っているわけではなく、仮にめちゃくちゃだったとしても、その結果何かを残せたら、それはそれで正しかったのかもしれないと思うんです。例えばみんながこの曲納得だよねと言うものは、逆に良くないかもしれない。賛否両論を巻き起こすのが面白いですよね。

ー本当にそう思います。さて、2023年はここからどんな動きをしていく予定ですか?

YOSHIKI いろんなお話をバンドでも個人でもたくさんもらっているので、自分としては普通に無謀なペースで行こうかな、と(笑)。ここ数カ月は異常に無謀なペースで来ていたので、もうちょっと普通な感じの無謀で(笑)。もし1年後に”頑張ったな、生きていたな”と思えればいいし、生きていないかも……というのはネガティブかな(笑)。でも、僕にとってはそういう言葉ってあまりネガティブなものじゃないんですよ。結局人って、明日のために今の自分を犠牲にしていると思うんです。明日何かがある、1カ月後に何かがあるから今は思いきり生きられないというのは、ちょっと違うんじゃないかなと。1カ月後はないと思って今を生きると、密度が凄いんですよね。そういう言葉でいたずらに周りを不安にさせてはいけないとは思いますけど、そのくらいの気持ちで生きているということです。

ーライブで披露された新曲の音源化、アルバムのリリースも期待してしまうのですが、その辺はメンバーで話し合ったりしているのでしょうか。

YOSHIKI 話し合っていますよ。ただ、今は自分の頭がライブに完全にシフトしてしまっていて、楽曲のプロモーションとかそういったところには正直まだ向いていなくて。だから、これからですね。もちろん、日本だけではなくアメリカや世界に楽曲が浸透してほしいという気持ちは大きいので、おのずと次はそこに向かっていくと思います。



ーTHE LAST ROCKSTARSのアルバムのリリースはいつくらいになりそうですか?

YOSHIKI まあ、僕の言葉は世界一アテにならないと自分でも思っていますが(笑)。遠い将来じゃないと思いますよ……って、俺が言ってもなぁ(笑)。

ー楽しみに待っています(笑)。では最後に、THE LAST ROCKSTARSのライブを支えてくれたファンの皆さんにメッセージをお願いします。

YOSHIKI 本当に、感謝の気持ちしかないです。アメリカ公演でも言いましたが、僕らがこういうふうにやっていられるのは、ファンがそれぞれのメンバーを支えてくれたからです。みんなが今まで応援してくれたその気持ちは無駄にしないぜ、と。賛否はあるけど、僕らが見ている夢というのはみんなの夢の一つであると思いたい。そして、一緒にもっと夢を見たいですね。


YOSHIKI Photo by @ogata_photo, Styling by Yasuhiro Watanabe (7B), Hair and Make-up by Takaki Toshihiro (SEED&beauty)
ジャケット ¥669,900 (Rick Owens/EASTLAND TEL:03-6231-2970)、その他私物




THE LAST ROCKSTARS The 2nd Tour 2023”PSYCHO LOVE”
11月21日(火)、22日(水)、23日(木):東京・有明アリーナ
https://udo.jp/concert/THELASTROCKSTARS23A

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