マネスキン旋風再び 相思相愛の日本で見せた「進化」と「飛躍」のロックンロール・ショウ
Rolling Stone Japan / 2023年12月4日 17時0分
マネスキン(MÅNESKIN)の来日ツアーがついに開幕。昨年8月のサマーソニック/豊洲PIT単独公演で鮮烈な日本デビューを飾った彼らは、飛躍の一年を経てさらなる進化を遂げていた。12月2日・有明アリーナで開催された公演初日のライブレポートをお届けする。
【写真ギャラリー】マネスキン来日公演初日・ライブ写真(全23点)
※以下、セットリスト等ネタバレあり
東京・豊洲PITでの初来日公演から16カ月、初めてのジャパン・ツアーにして4夜のアリーナ公演――東京3公演と神戸1公演――をソールドアウトにする快挙を成し遂げたマネスキン。この間に3rdアルバム『RUSH!』を発表して世界中で大ヒットさせ、グラミー賞の新人賞候補に挙がり、グラストンベリー・フェスティバルなどの大舞台を踏んで、9月にアリーナ級の会場を周る『RUSH! World Tour』をスタート。その一環でこうして2度目の来日が実現したわけだが、初日の12月2日に東京・有明アリーナで目にした、今宵も各自スタイリッシュに装ったバンド(男性陣はふと気付くと途中で全員半裸になっていたが……)は、大幅にアップした会場のサイズとオーディエンスの数に動じることなく、引き続き4人のメンバーが鳴らす音だけで勝負。広いスペースを効果的かつ有効に使うという課題においてはまだ伸びしろがあるものの、軽々とステップアップを遂げていた。そして、本人たちが”ロックの救世主”と呼ばれることを好むと好まざるとにかかわらず、時にグランジに、時にインダストリアルに、時にミクスチュア・ロックに、時にガレージに接近して歴史をピック&ミックスする彼らの2時間にわたるショウはまぎれもなく、ラウドでダーティーでグラマラスな最高級のロックンロール・ショウだったことをまずは述べておきたい。
Photo by Fabio Germinario
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気になるセットは言うまでもなく『RUSH!』の収録曲を中心に、前作『Teatro d'ira - Vol. I』(2021年)からの「ZITTI E BUONI」や「CORALINE」、大ヒット・カバー曲「Beggin」を織り交ぜて構成。さらに、11月に登場したばかりのデラックス・バージョン『RUSH!(Are U Coming?)』に収められていた5つの新曲も網羅する21曲で、飛躍の一年の終わりに最新形のマネスキンを確認する機会にもなった。
そんな本公演は開演時間の18時を少し過ぎた頃、トーマスがかき鳴らす、宙をつんざくギターの音と共に「DON'T WANNA SLEEP」で幕を開ける。ステージの演出は潔くライティングだけ。4人のパフォーマーとしてのスキルと存在感を前面に押し出してショウを進行させ、3曲目には早くも出世曲「ZITTI E BUONI」が登場。沸き立つオーディエンスに向かってダミアーノは、「コンバンワ、僕らが大好きな場所に帰ってきたよ! 会場に椅子があるのを見て少し不安に感じたけど、最初からみんなが立ってくれていてうれしかった。君らは世界で最高のオーディエンスだ」と、喜びを露わにする。
アコースティックを挟んで、怒涛のクライマックスへ
以後前半はアップビートな曲をずらりと揃え、そこからハイライトを選ぶとしたら、「トーマスのお気に入りの曲」と紹介された「FOR YOUR LOVE」から「VALENTINE」「GASOLINE」に至る3曲だろうか。どれもそのトーマスのますますワイルドなギター・プレイに彩られ、ボーカルと競うようにして曲のドラマを引き出す。次世代のギター・ヒーローがローマから現れるなんて、いったい誰が想像したろう? また、スピード・メタルに近いハード&ファーストなイントロを与えられた「GASOLINE」はご存知の通り、ウクライナ侵攻を受けて生まれたプロテスト・ソングだが、目下中東で新たに起きている紛争に重ねて聞いた人も少なくなかったに違いない。
Photo by Fabio Germinario
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その後ステージからメンバーが姿を消したかと思うと、今度はアリーナ後方に用意されていた第2ステージで、オーディエンスが揺らすケータイのライトが瞬く中、「TRASTEVERE」と「TIMEZONE」から成るアコースティック・セクションがスタート。「TRASTEVERE」はミュージック・ビデオを再現するようにしてイーサンとトーマスがアコギで伴奏を提供し、長距離恋愛をテーマにした「TIMEZONE」ではとびきり無防備なダミアーノの歌声に、トーマスのギターが優しく寄り添う。
Photo by Fabio Germinario
他方のメイン・ステージでは、一足先に戻ったイーサンの天から轟くドラムビートと、地を這うヴィクトリアのベースラインが待ち受け、ふたりがリードする2曲――「I WANNA BE YOUR SLAVE」と「MAMMAMIA」――を経て、「OFF MY FACE」のファンクや「IN NOME DEL PADRE」のイタリア語の高速ラップが、クライマックスに向けてスピードと熱量をアップ。本編を締め括る「KOOL KIDS」では今ツアーの他の公演と同様、「ラストソングの悲しさをまぎらすために」と、20~30人ほどのオーディエンスをステージに呼び寄せた。モッシュし、踊りまくるクール・キッズにもみちゃくにされながらプレイするバンドは、大きなハコでプレイするようになっても自分たちの本質は変わっていないのだと訴えているようでもあった。
Photo by Fabio Germinario
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続くアンコールもトーマスのソロから始まり、マネスキン流パワー・バラードの骨頂「THE LONELIEST」をじっくり聞かせると、豊洲PITでも2度プレイしやはりフィナーレを飾った「I WANNA BE YOUR SLAVE」で、今宵も幕を閉じる。今や曲数は十分にあるのに同じ曲を2度プレイするのも不思議な話なのだが、もちろん文句はないし、”君らを支配する者でもあり、君らに仕える者でもある”と歌う「I WANNA BE YOUR SLAVE」をバンドのテーマ・ソングと見做すべきなのだろう。そしてこの曲も然り、終始コール&レスポンスでオーディエンスをパフォーマンスに巻き込み、バンドのぶれない軸としてクールに、エレガントに歌い続けたダミアーノは、アリーナの隅々にまで手を振り、キスを投げて、「We f**kin love you!」とシャウトしてステージをあとにした。ならばこちらからも投げキスと共にバンドに伝えたい、「We f**kin love you, too!」と。
※12月25日発売の「Rolling Stone Japan Vol.25」で、マネスキン来日インタビューが実現。詳細は後日発表。
Photo by Fabio Germinario
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【写真ギャラリー】マネスキン来日公演初日・ライブ写真(記事未掲載カットあり)
〈セットリスト〉
1. DON'T WANNA SLEEP
2. GOSSIP
3. ZITTI E BUONI
4. HONEY (ARE U COMING?)
5. SUPERMODEL
6. CORALINE
7. Beggin' (The Four Seasons cover)
8. THE DRIVER
9. FOR YOUR LOVE
10. VALENTINE
11. Intro〜GASOLINE
(アコースティック・セクション)
12. TRASTEVERE
13. TIMEZONE
(メイン・ステージ)
14. Intro (Bass and Drum)
15. I WANNA BE YOUR SLAVE
16. MAMMAMIA
17. OFF MY FACE
18. IN NOME DEL PADRE
19. BLA BLA BLA
20. KOOL KIDS
(アンコール)
21. THE LONELIEST
22. I WANNA BE YOUR SLAVE
セトリプレイリスト:https://maneskinjp.lnk.to/20231202RS
マネスキン「Rush!WORLD TOUR」
2023年12⽉2⽇(⼟)有明アリーナ
2023年12⽉3⽇(⽇)有明アリーナ
2023年12⽉5⽇(⽕)東京ガーデンシアター
2023年12⽉7⽇(⽊)神⼾ワールド記念ホール
*全公演ソールドアウト
公演サイト:https://www.creativeman.co.jp/artist/2023/12maneskin/
マネスキン
『RUSH!(Are U Coming?)』
発売中
再生・購入:https://maneskinjp.lnk.to/RUSHauc
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