テイト・マクレー、カナダのZ世代スターが語るTikTokセンセーションと次なるヒット
Rolling Stone Japan / 2023年12月27日 17時30分
世界累計再生回数が5億回を記録した「greedy」で一躍ワールドワイド・ポップスターに昇り詰めたテイト・マクレー(Tate McRae)。今年11月にはカナダ人女性アーティストとして初の快挙となるBillboard Global 200チャート1位を獲得し、12月8日に自身2作目となる最新アルバム『Think Later』をリリースしたばかりの彼女が、同作からのシングル「exes」制作の舞台裏やSNSプラットフォームとの付き合い方について語る。
今年9月にリリースされたテイト・マクレーのシングル「greedy」は、9日連続でSpotifyの音楽チャート「トップ50―グローバル」の1位に輝いた。あなたなら、そんなスマッシュヒットの次にどんな手を打つ?
「greedy」と同じくらい共感度の高い楽曲を世に放つこと。それが、テイト・マクレーが出した答えだった。それも、前作のような成功を予感させる、キャッチーなコーラスを添えて。タイトルは「exes」。世界的ヒットメーカーとして知られる、ワンリパブリックのライアン・テダーをプロデューサーに迎えた最新シングルは、2ndアルバム『THINK LATER』への前奏曲として11月に先行配信された。「exes」は、強気で大胆な性格の持ち主——そうした性格が裏目に出ることがあるとしても——に贈られたアンセム的な楽曲である。
「『exes』は、アルバム制作の最終日に書いたものなんです。一か八かの大勝負のような感じで、30分で書き上げ、90分以内にレコーディングを終えました」とマクレーは言った。「頭のなかに残っていたアルバムへの想いをすべて注ぎきった感じです」。
「exes」のメロディは軽快でポップだが、その歌詞は辛辣で、ずうずうしいまでに堂々としている。”元カレたちにキスを、あなたを裏切ったことはわかってる/少しだけ混乱していて、少しだけ自己中心的、私たちは結婚してるわけじゃないし、30歳でもない”と歌う現在20歳(7月1日生まれ)のマクレーは、自身の楽曲の多くがそうであるように、「exes」も数多くの個人的な体験の混合物であると明かした。そのなかには、大ヒットをねらって誇張したり脚色したりしたものもあるのだが。
ブレイク以来、元カレの誰かが連絡してきたことはあるのか?と質問すると、マクレーは「特定の人のことを歌ってるって、いつもみんな憶測するんですよね」と笑いながら答え、次のように続けた。「私は、いろんな経験を歌にしていますから(すべてが元カレに関わることだと思われるのは)変な感じです。私自身の体験と照らし合わせても、すべてが100%事実というわけではないのです」
SNSにおける影響力、自分自身へのプレッシャー
マクレーがTikTokで「exes」のティザー映像を発表して以来、SNSを巧みに使いこなす彼女(7歳で自身のYouTubeチャンネルを立ち上げた)のファンたちは新曲のリリースを心待ちにしてきた。その動画は、TikTok上ではやくも1,390万回再生されている。「greedy」のティザー映像の再生回数は、リリース以来3,000万回を超える(※データは今年11月中旬時点のもの)。
「SNSは、いまの時代のアーティストに大きなメリットをもたらしてくれると思います。曲に対するオーディエンスの反応を直に見て、知ることができるのですから。私自身、こうしたことを13歳の頃からずっとやってきた気がします」とマクレーは言う。
現在マクレーと契約を結んでいるRCAレコードのデジタルマーケティングディレクターは、2020年の本誌の取材で次のように語っている。「マクレーは、いまを生きるひとりのティーンエイジャーとしてSNSプラットフォームをみごとに活用しているだけでなく、ファンの世界を垣間見るためのひとつの手段としてSNSを使いこなしています」。こうした賛辞は、SNSにおけるマクレーの影響力の大きさを裏打ちしていると言えるだろう。
「exes」は、強気でイキリ感満載のように聞えるかもしれないが、そうした態度は日常の自分とは正反対であるとマクレーは語る。この曲の主人公は、マクレーの別人格「タチアーナ」のような女性なのだ。もともとは冗談のつもりで命名したこのキャラクターは、いまでは別人モードに入ったマクレーを表すものとしてファンのあいだですっかり定着している。
「私自身はあまり社交的ではありませんし、典型的なカナダ人という感じです……みんなから好かれたいがために、時折自分を犠牲にしてしまうこともあります。ですから、『greedy』や『exes』といった曲を歌っているときは、他人の体を借りているような気がするんです」と彼女は言った。
「exes」のMVでは、「greedy」の振り付けを手がけたコレオグラファーのショーン・バンクヘッドとふたたびタッグを組んだ。数々のダンスオーディションで入賞したことに加えて、ダンス講師の母親を持つ彼女に振り付けとステージ上でのパフォーマンスのインスピレーション源はなにかと尋ねると、90年代のポップスターという答えが返ってきた。
「本当に、いつもブリトニー(・スピアーズ)のMVを観ています。彼女のようにオーディエンスを魅せられるアーティストは、後にも先にも存在しないと思うからです。MVであれダンスであれ、彼女はいつでも人を虜にしてきました」
「最大のプレッシャーは、私自身です」とマクレーは語る。「自分の曲を聴くときは、どんな批評家よりも厳しくなってしまうからです。あらゆることからプレッシャーを感じているような気がします……考えすぎてしまうと、いっそのこと、なにもしないほうがいいんじゃないかって思えてくるほど」
マクレーがプレッシャーに屈しなかったことに、私たちはただただ感謝するしかない。
『Think Later』ではライアン・テダーがエグゼクティブプロデューサーを担当。作詞/プロデューサーとしてエイミー・アレン(ハリー・スタイルズ、ジャスティン・ビーバー)、ジャスパー・ハリス(ドージャ・キャット、ポスト・マローン)、グレッグ・カースティン(ピンク、アデル)、イライヤ(エリー・ゴールディング、サム・スミス)、サヴァン・コテカ(アリアナ・グランデ、ザ・ウィーケンド)という錚々たるメンバーを交え制作された
From Rolling Stone US.
テイト・マクレー
『Think Later』
配信リンク:https://TateMcRae.lnk.to/ThinkLaterJPN
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