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miletが語る、活動5年を経ても尽きないイマジネーション、エヴァン・コールからの刺激

Rolling Stone Japan / 2024年2月4日 18時0分

milet

miletの新曲「Anytime Anywhere」は放送中のアニメ『葬送のフリーレン』のエンディングテーマだ。1000年以上生きているエルフであるフリーレンを中心とした壮大な物語を、アニメの劇判を担当したエヴァン・コールによる流麗なストリングスバラードとして描き切った。

深い孤独と多くの出会いと別れを宿した歌詞は、「I'm whispering our lullaby for you to come back home」(あなたが帰ってくるように、私たちの子守唄をささやく)という願いに帰結する。元々原作の大ファンだったというmiletに、「Anytime Anywhere」が表題曲の新EPのことや初の海外単独公演となった台北でのライブをはじめとする海外活動、そしてデビュー5周年を控えた心境について聞いた。

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ー「Anytime Anywhere」はアニメ『葬送のフリーレン』のエンディングテーマですが、どのようにして曲作りに向き合っていったんですか?

milet:エンディングテーマのお話をいただく前から1ファンとして原作を読んでいたので、曲を書かせていただくことになった時はすぐに頭の中である程度のイメージが膨らんでいました。そこで改めて原作を読み返し、言葉の隅々まで丁寧に見ていくと、読む度に言葉の聞こえ方が違ったんですよね。広い視点を持って深く入っていたことで、より作品を好きになりましたし、どんどん曲ができていきました。



ー歌詞は孤独から始まり、出会いや別れが描かれていますが、どんなことを意識して書きましたか?

milet:フリーレンは自分の感情を語ることが少なく、どんなことを考えているかがわかりやすく描かれていません。彼女の気持ちになってみたり、何百年後にどう思うのかを先回りして考えてみることで歌詞を書きためていきました。彼女が見たいのは、人間の感情が生まれる理由やそれが行きつく先で、その答えを人間の私は持っています。自分の内面を見つめることで少しは答えに近づけるのかなと思い、今の自分と未来の自分に正直に問いかけていきました。

ーフリーレンの物語とmiletさん自身のこの先の物語が交錯していくような印象もありました。

milet:そうですね。フリーレンは長く生きているからこそ、多くの出会いと別れを経験してきました。「死ぬということについてどう考えているのか」とか、フリーレンに会ったら聞きたいことがたくさんあります。私の立場になって考えてみると、死んだら今出会えている人たちとは会えなくなってしまうけど、願わくば来世で形を変えてでもいいから出会いたい。そう思うということは、今の出会いが大切なものだからこそ。そして、大切な人がいなくなっても、その人の存在が消えるわけじゃなくて、ずっと私の中で生きている感覚になるのは私が人間だからこそなのかなと思いました。歌詞も曲も浮かびすぎてて選ぶのが大変だったんですよ(笑)。思いは歌詞にもメロディにもなるので、物語に触発されていろいろな形で溢れ出てきて、同じ伴奏で何バージョンもできました。



ー結果的に涙腺が刺激されるようなミドルテンポのバラードになっています。

milet:ありがとうございます。周りにたくさん人はいるけれど、人生は一人で生きていくものなので、自分の足で歩いている姿を思い描きました。魂になって支えてくれている人の存在があって、一人だけど一人じゃないような曲を作りたかった。オーケストラの壮大さが、孤独感とたくさんの楽器がひとつになって音を紡いでいる様を描いている感じがして、二面性のある曲になったと思います。エヴァンさんの編曲によって命がたくさん集まっている感じがします。

ーその編曲を手がけたのは『葬送のフリーレン』の劇判を手がけているエヴァン・コールさんです。どんなやりとりがあったんでしょう?

milet:アニメの余韻として「Anytime Anywhere」を流していただくということだったので、劇判と統一感があったほうがいいですし、エヴァンさんにほぼお任せする形でした。エヴァンさんの『フリーレン』以外の作品もいくつも聞いていて、絶大な信頼感があったので、私のデモがどう変わっていくかがすごく楽しみでした。ギターと歌と歌詞が入っていたデモからは大きく変わりましたが、「Anytime Anywhere」のあるべき姿にしていただいた気がします。

ーアコギがフィーチャーされたパートがあったり、壮大な物語が1曲に凝縮されてるような展開ですよね。

milet:そうですね。ロードムービー的な曲でもあると思います。オーケストラの使い方がリッチで、同時にとても作りこまれている。私はいつも基本的に打ち込みでオーケストレーションやストリングスを入れて、突拍子もない楽譜を作ってしまうんですが(笑)、エヴァンさんは生で演奏することに重きを置かれていて、生演奏による一番美しい旋律を曲に落とし込んでくださった。すごく勉強になりました。

ーmiletさんはベートーヴェンをリスペクトしていたり、大学で映像の勉強をされていたのでエヴァンさんとの制作はとても刺激が大きかったんじゃないでしょうか?

milet:とても刺激になりました。自分のひとつの夢を間近で見ることができ、「まだまだ勉強が必要だな」と夢から遠ざかった感覚もありました(笑)。私は『フリーレン』を愛し、自分なりの視点で理解した最高のファンアートとして「Anytime Anywhere」を作りましたが、エヴァンさんは『フリーレン』をすごく理解していて、作品に深く入り込んでいらっしゃいます。「作品への見解や視点の広げ方は自由でいいんだな」と思わされ、いろいろな角度を持つことの大切さを学ばせていただきました。「エヴァンさんの音楽の雄大さんや荘厳さはどこから生まれているんだろう?」と思いながら、いろいろとお話させていただいたんですが、エヴァンさんは自然が大好きで、緑がたくさんある場所に住まれていて、ご自分で畑を持っていて野菜を育てているんです。そのお話を聞いて、私も作りたい曲に合わせて環境を変えていくことが大事なのかなと思いました。私はこれまで曲を作る時はイメージ先行で。例えば「Anytime Anywhere」みたいな楽曲を作る時は星空や雄大な大地を想像するんですが、実際に遮るものがない空や人が踏み入れたことのないような場所に行くと、巨大なインスピレーションがもらえると思うんです。スケジュールの問題もあって、なかなかそういったところに行けていないんですが、そうなると視界が狭まってしまう。「Anytime Anywhere」のMV撮影で久々に大自然を見たり、ライブで地方に行った際に東京とは違う空の大きさや空気の違いを感じると、小さなことまで自分の感性に突き刺さってきます。頭で想像するだけじゃなく、五感で感じることをしっかりとやっていきたいと思いました。そこで受け取ったものを鮮明に曲に落とし込む作業に挑戦してみたいです。



ー2曲目の「bliss」は『葬送のフリーレン』の特別EDテーマで、エヴァンさんが作曲とプロデュースを手掛けています。かなり民族音楽の要素が強い楽曲ですよね。

milet:そうですね。オーケストラが入った音源をエヴァンさんからいただいて、歌詞を書いていきました。「フリーレンの世界で歌い継がれているような曲として歌詞を書いてほしい」とご要望いただいたので、普遍性や愛、人が生まれて死んでいく中で命が繋がれていくことにフォーカスしました。エヴァンさんの曲からアジアの要素を感じると同時に、上品なヨーロッパのオーケストレーションの雰囲気も感じて、いろいろな世界観が混ざった懐かしさもある曲という印象を持ちました。一番感じたのは、波のうねりや大地の大きさで、人が大地を踏み締めた時に感じるひんやりとした感触までをも感じ、人間は自然を見て語り継いできた存在でもあると思い、自然の立場になって生まれては死んでいく人間のサイクルを達観した角度で描きました。

ー「Anytime Anywhere」も「bliss」も相当『フリーレン』の世界観に入り込んで制作されたんですね。

milet:そうですね。作品として本当に好きなんです。原作はアベツカサさんと山田鐘人さんによるマンガですが、山田さんの『ぼっち博士とロボット少女の絶望的ユートピア』という作品も博士とロボットの女の子の話でめちゃくちゃ面白いんです。どこか哲学的でコミカルでありつつ、辛辣さもあって、核心を衝いてくる。ロボット少女が人間の欠落や不完全な部分を指摘しているところとかがとても鋭くて、『フリーレン』もそうですが、人間をとても客観的に見ている方なんだなと思いました。私も曲を書く際に人間の感情を探しながら書いているのでとても興味深かった。私、『フリーレン』のアニメをコマ送りで細かく観たりしてるんですよ。何が起きているかを見逃したくなくて。仲間たちと一緒に『フリーレン』を観て、ディベートみたいなこともよくやっているんです。「このシーンのシュタルクの気持ちを述べよ」とか議題を設けて、みんなで延々と議論しているんですよね(笑)。思わず言い合いになって、4時間ぐらいやったこともあります。

ーそれはすごいですね(笑)。「Anytime Anywhere」と「bliss」というオーケストレーションが軸の『フリーレン』の楽曲が収められている一方で、3曲目の「Higher」はビートが効いたダークな楽曲ですよね。

milet:「Anytime Anywhere」も「bliss」も自然と人が作り出す造形美との融合を感じたので、「Higher」はがっつり打ち込みにしました。例えばラストの(Bass!)と歌詞に書いてあるところは人間がプレイできないであろう打ち込みにしたんです。エヴァンさんのオーケストレーションとはアプローチは大きく違いますが、打ち込みだからできることもたくさんあるし、AIが音楽を作る時代でもあるので振り切ってやってみました。あと、2023年はいろいろなところでライブをやらせてもらったからこそ、ライブで演奏したら空気がガラッと変わって、且つみんなで歌いたくなる曲を作ろうと思ったところもありました。アルバム『5am』ツアーに加え、海外でも何公演かライブさせてもらって、声出しありきのライブのノリがだいぶわかってきたんです。

ー初の海外での単独公演となった台北でのライブはチケットが2秒で売り切れたそうですが、どんな体験になりましたか?

milet:コロナ禍により行くことができなかった場所にようやく行くことができて、「待っててもらえたんだな」という感覚を積徳感じました。デビュー以降、ノンストップで歌ってきて、いろいろな作品と携われましたが、2023年は見えていなかったものが見えるようになった年でもありました。続けてきたことの成果を確認することもできましたね。

ー台湾では台湾の人気歌手ジェイ・チョウさんの「菊花台」をカバーされていましたが、反応はいかがでしたか?

milet:感動しました。「菊花台」は15年以上前の曲ですが、昔から好きな曲で、たくさん練習をしました。「歌えたら一緒に歌って」と言ったら、みんなが曲を知っていて大合唱をしてくれて、これまで味わったことのない気持ちになりました。その場所の人たちが昔から聞いてきた曲をカバーすることは、その場所の人たちに認めてもらう儀式のような気持ちがあって、「私は敬意を持ってこの場所にいます」という思いを「菊花台」を歌うことで表したかった。自然と客席でスマホライトが灯るという素敵な景色が広がって、私の気持ちを広い心で温かく受け止めてもらえたことに感激しました。台北は昔から大好きで、よく訪れている場所なので、気持ちが届いたことが何より嬉しかった。「最初の海外でのワンマンがここで良かった」って心から思いました。

ー他にも2023年は香港、マカオ、上海のフェスに出演されましたが、海外での活動についてどんなことを考えていますか?

milet:「海外でもこんなに私の曲を知ってもらえているんだな」って思いました。日本ではそんなに大きな歓声が上がるような曲ではない曲も海外では盛り上がったり、いろいろな発見がありました。コロナ禍を経て、新しい世界に入った感覚が強くありました。2024年もいろいろな場所に行って、私のことを知らない人の前でももっと歌っていきたいです。人が全然いない会場でも楽しんでライブをやってみたいです。



ー3月にはデビュー5周年タイミングの初のアリーナ公演として、大阪城ホール2デイズと横浜アリーナ2デイズがあります。デビュー5周年と聞いて、率直にどう思いますか?

milet:飽きっぽくて諦めが早いタイプの自分にとっては5年って結構長いんですよね。このお仕事って、楽か大変かでいったら大変だと思うんです。

ーすごく大変だと思います(笑)。

milet:そうですよね(笑)。だから、「5年もよく続けられたな」って思います。以前の私は挫折をしたり、すべてを放棄して逃げ出すことも多かったんです。変わりましたね。「音楽の仕事は好きなだけじゃ続けていけないよ」と何度も聞かされて、でも好きな気持ちがないと難しいと思いましたし、本当にこの仕事が好きだとも思いました。音楽を通して感じる人の温かさが何より支えです。音楽をやっていればみんなに会えるし、スタッフの方たちにも会える。このモチベーションはどう考えても一生消えることはないですし、音楽を嫌いになることも絶対にないので、5年目にして「向いてるな」と思いました(笑)。デビュー当初は曲をたくさん作り過ぎて、イマジネーションが尽きるんじゃないかと不安だったんですが、未だに尽きることはなくどんどん沸いてきますし。

ー取材をさせてもらう度に、「たくさん曲を作っています」と言っていますよね。

milet:曲作りがマンネリ化しないんですよね。「フリーレン」をはじめいろいろな作品に出会えることで、様々な発見もありますし。この5年間、すべてに対してベストを尽くしたと思いますが、「まだまだできるな」って思います。音の乗り方とか、リアルタイムで掴んでいるものもありますし、スタッフとの信頼関係も強くなっていますし、もっと突き詰められるものがあると思う。ライブも制限がなくなって、やりたいことが増えていろいろな可能性を感じているので、楽しみがどんどん増えています。この5年で音楽の楽しみ方も、絵の見方も、本の読み方も、食べ物の味わい方も変わりました。自分の考えをシェアできる人も増えて、見解を深めることもできて、解像度や角度が変わっていきました。

ー生活の仕方も変わりましたか?

milet:生活は、飽きっぽいし、だらしないところがあるまま変わってないです(笑)。いろいろなことに挑戦しては失敗してます。2023年はバジルの収穫は成功したんですが、トマトは全滅しました(笑)。育てるのが結構難しくて。でもLEDでトマトを育てられる装置を買ったので、2024年は成功させたいです。でも、私の飽きっぽい性格は曲作りには良い影響を与えている気がするんですよね。次から次へと新しい音やアプローチに興味が湧きます。一緒に曲を作っているドック(Ryosuke”Dr.R”Sakai)や、TomoLowさん、(野村)陽一郎さん、中村(泰輔)くんもいろいろな現場で様々なことを吸収しているので、制作の度に曲が強くなっていると感じるんです。


<リリース情報>

milet
EP『Anytime Anywhere』
2024年1月31日(水)リリース

「Anytime Anywhere」
配信中
https://milet.lnk.to/AnytimeAnywhere



初回盤 2400円(税込)
CD+Blu-ray+「milet 5th anniversary live ”GREEN LIGHTS”」最終先行予約チラシ封入
[Blu-ray収録内容]
・「Hey Song」MUSIC VIDEO
・「December」MUSIC VIDEO
・「Anytime Anywhere」MUSIC VIDEO
・「Anytime Anywhere」Live at Tokyo International Forum Hall A



通常盤初回仕様 1400円(税込)
CD+「milet 5th anniversary live ”GREEN LIGHTS”」最終先行予約チラシ封入
[初回盤・通常盤 収録曲]
1. Anytime Anywhere(TVアニメ「葬送のフリーレン」エンディングテーマ)
2. bliss(TVアニメ「葬送のフリーレン」特別エンディングテーマ)
3. Higher(日産自動車 90周年CMソング)
4. Wings(出光興産「四季」「TSUMUGU」篇 CMソング)



期間生産限定アニメ盤 2200円(税込)
CD+Blu-ray+「milet 5th anniversary live ”GREEN LIGHTS”」最終先行予約チラシ封入
[Blu-ray収録内容]
・「Anytime Anywhere」×「葬送のフリーレン」SPECIAL MUSIC VIDEO
・「葬送のフリーレン」1stクールノンクレジットエンディングムービー
・「葬送のフリーレン」2ndクールノンクレジットエンディングムービー
・「葬送のフリーレン」特別エンディングノンクレジットムービー
[期間生産限定盤 収録曲]
1. Anytime Anywhere
2. bliss
3. Anytime Anywhere TVサイズ 1stクール
4. Anytime Anywhere TVサイズ2ndクール
5. bliss TVサイズ

<ライブ情報>

milet初のアリーナ公演「milet 5th anniversary live ”GREEN LIGHTS”」
■大阪府・大阪城ホール
2024年3月15日(金)開場18:00 開演19:00
2024年3月16日(土)開場15:00 開演16:00
問い合わせ先:キョードーインフォメーション 0570-200-888

■神奈川県・横浜アリーナ
2024年3月19日(火)開場18:00 開演19:00
2024年3月20日(祝・水)開場15:00 開演16:00
問い合わせ先:キョードー東京 0570-550-799 /クリエイティブマンプロダクション 03-3499-6669

チケット料金
・全席指定 ¥8500(税込)
※4才以上チケット必要。3才以下でもお席が必要な場合は有料
※枚数制限:お1人様4枚まで

Official Site https://www.milet.jp/

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