1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 音楽

Novel Coreが語る、期待と後悔を経て手にした「本当の自分」と武道館ライブ、『HERO』の真意

Rolling Stone Japan / 2024年1月26日 21時0分

Novel Core(Photo by Kentaro Kambe、Hair and Make-up by Megumi Kuji (L & Co.))

1月17日、Novel Coreは初の日本武道館公演『ONEMAN LIVE -I AM THE HERO- at BUDOKAN』を成功させた。そして翌日、ニューアルバム『HERO』をサプライズリリース。本作はBillboard JAPAN発表のチャート「Download Albums」で首位を獲得した。

【撮り下ろし写真を見る】Novel Core

Rolling Stone Japanでは、Novel Coreがアルバムを発表することを事前に聞きつけて、武道館公演の10日程前に時間をもらってインタビューを敢行した。『HERO』を聴けば、Novel Coreは「初の日本武道館公演」という長年の夢を達成した喜びに浸る間もなく、すでに次のフェーズに突入していることがわかる。だからこのインタビューでは、Novel Coreの未来へのビジョンを語ってもらった。Rolling Stone Japanでは『ONEMAN LIVE -I AM THE HERO- at BUDOKAN』のライブレポートも後日お届けする。

―2ndアルバム『No Pressure』(2022年8月3日発売)をリリースするタイミングの取材で、「次のアルバムのタイトルは決まってる」という話をしてくれましたよね。『HERO』というアルバムを作るイメージはいつから持っていたのでしょう。

Novel Core:2年強前くらいから考えてはいて。というのも、メジャーデビュータイミングから「3年以内に武道館」というマークを立てていて、そこでコンセプトになるのが「ヒーロー」という言葉で。それは、SKY-HIという存在が自分にとってすごく大きいから。2017年の日高さん(SKY-HI)の武道館単独公演2デイズを映像越しに見たときに衝撃を受けたし、その時期にリリースがあった「Over the Moon」に救われたんですよね。日高さんは、自分とすごく似ているけど、自分よりも勇敢で、新たな場所を開拓していった先人で。自分が武道館に立つタイミングで、当時の自分にとってのSKY-HIのような存在にならないといけないという目標を自分に課していたので、むしろこのタイミングで『HERO』という名前をつけたアルバムを出せないと自分的には違う、という感覚でこの3年を生きていました。



―武道館公演の演出自体も、今言ってくれたようなことがテーマになりそうですか(※取材は1月上旬に実施)。

Novel Core:完全にそうですね。「これまで」と「これから」を二分することがコンセプトで。日高さんをはじめ自分より先に走っていた人たちに希望をもらいながら背中を追いかけてきた「これまで」の自分と、自分がそういう影響を与えるかもしれないという責任感や使命感を持ち合わせながら歩いていく「これから」の自分。このタイミングからは自分も追われる立場になるんだという意識を持たないと、というのが自分の中にありました。もう言い訳ができないじゃないですか。「22、23歳です」「アーティストキャリアがまだそこまで長くないです」とかが、言い訳にならない場所が「日本武道館」だと思っていて。「お前、武道館でやったじゃん」って言われたら何も言い返せなくなるから。その変化を公演の中で見せられたらと思ってます。

―そして武道館公演が終わった翌日にアルバムをサプライズリリースする、というところも「やっぱりNovel Coreは面白いことをやってくるな」と思わせてくるポイントで。なぜ「翌日」に出すことが必然だったといえますか?

Novel Core:武道館の公演の内容と、このアルバム自体が持つカラーやコンセプトが完全に被っているというか、2つで1つなので、武道館公演と合わせて楽しんでもらいたいというのがあって。日付が変わってちょうど23歳になる誕生日に、「これまで」をまとめたものと「これから」の指針、その両方を併せ持ったアルバムが出る。しかも前日に武道館を成功させている。それが一番素敵だなと思って組んだ感じですね。





Novel Coreの「これまで」と「これから」

―アルバム『HERO』は、これまでのNovel Coreのストーリーの最後の章であり、次は何をやるのかの提示でもある、という内容になっていますよね。

Novel Core:そうなんです。Aile The Shota語で話すと、「Epilogue」だし「Prologue」(笑)。

―そういうことですよね(笑)。「これまで」と「これから」でメインコンセプトが具体的にどう変わってくるのか、アルバムを聴いて私の中で仮説みたいなものはあるんですけど、先にそれを言うのはアレだから……。

Novel Core:気になります。聞きたいです! 当たってそうで怖い(笑)。

―(笑)。これまでは、「Metafiction」(インディーズ1stシングル)からNovel Coreとしての人生を映画の脚本を書くように描いてきて、音楽に人生を連れられるかのごとく、「A GREAT FOOL」「TROUBLE」「iCoN」「HERO」と、曲の中で歌った通りにアーティストストーリーを動かしてきた。何者でもないところからヒーローにまで上り詰めたのが「これまで」。「これから」は、自分の人生を映画のように動かしていくための音楽以外も歌っていく、というのが私の仮説で。

Novel Core:それは本当にそうですね。武道館公演も全部「HERO」に直結させるためのストーリーの組み方だったので、セットリストの中の「Metafiction」の位置はすごく意味を持たせました。「これまで」が、自分だったんですよ。自分の内側、自分自身がどうありたいか、どういう方向に行きたいか、こういうことがやりたいんだ、こういうアーティストになりたいんだ、とか。武道館を終えたあとは、それこそ「追われる側になる意識」ということと重なってくるんですけど、みんなにとって僕がどうであるかということを、余裕を持って考えられるフェーズに入ると思います。極端な話、ブレイクスルーを作ってヒットアーティストになりたいということがコンセプトになってくる。自分のストーリーで完結している曲を愛してくれるファンがいて、それが武道館がパンパンになる規模にまで膨れ上がった事実は何よりも愛しいし尊いんですけど、それと同時に、ここまでは良くも悪くもヒットアーティストになる必要がなかったというか。トップチャートのトップに居続ける必要もないし、「最近テレビでめっちゃ見るよね」という存在になる必要もなかった。



―それなのに武道館が満員になるほど深く愛してくれているファンがいる、ということはなかなか成し遂げられることではないし、立派な成功ですよね。

Novel Core:ここからは、自分のルーツを日本の音楽シーンのど真ん中に持っていくぞというフェーズに切り替わるんじゃないかなと思ってます。だから、ここからが勝負なんですよ。今までは他と戦ってなくて、自分の中で完結していたので。

―これまでは昔の自分と昔の自分みたいな子を救うために音楽をやってきた期間で、ここからは本格的にポップアーティストのトップを目指していく、という言い方もできるのかな。

Novel Core:そうですね。そうなりたい、そうならないといけない、という意識が自分の中にありますね。

―でもその2つは、まったく違うものでもないじゃないですか。自分を救うための歌が、ヒットアーティストにとっては必要のない要素なのかいうと、決してそうではない。Coreさんとしては、今までやってきたことを引き連れて、この先どういう武器を増やしていこうと考えているのでしょう。これは、アルバム『HERO』では「ヒーロー」というテーマ以外にも提示しているものが色々あって、それについての質問にもなってくると思うんですけど。

Novel Core:極端な言い方になっちゃうんですけど、「ここからが勝負になる」となったときに、「武器を増やそう」ってなる必要がなかったんですよ。まだ見せてない武器がたくさんあった、というのが事実で。正直、まだ見せてない音楽ルーツがたくさんあって。別にこれまで制限をかけていたわけじゃないんですけど、自分的にハマりが悪くてできてなかったものがいっぱいある。たとえばボーカロイド。ボカロPを通ってきているルーツが、今の日本の音楽シーンの面白さと意外と被るんじゃないかなと思ったり。


Photo by Kentaro Kambe、Hair and Make-up by Megumi Kuji (L & Co.)



自分の中にあるボカロのルーツ=武器を大胆に使う

―ボカロの文脈は日本の音楽シーンでどんどん広がっていて、米津玄師、YOASOBI、Ado、キタニタツヤ、なとりとかを筆頭に、今の10-20代前半あたりに愛されてトップチャートに入ってくる音楽において「ボカロの要素をいかに面白く新しくやるか」というところは大きいですよね。

Novel Core:ずっと真夜中でいいのに。、ヨルシカ、対バンさせてもらったyamaさんとかもそうだし。初めて買ったCDはぐるたみんで、中学生の時期にkemuさん、じんさんとかの世代のボカロPを総ナメにして聴いていたので、もともとそういうものが自分のルーツにあるんですよね。Ayaseさんと食事会で一緒になったとき、AyaseさんのボカロPとしての活動もそれ以前のバンドマン時代も好きだったので、その話を本人にして、「この世代のこのボカロの曲が好きで」みたいな話をしていたら「俺よりボカロ詳しいよ」って言ってくださって(笑)。邦楽ヒッツを聴いてると、どこかしらにあの時代のボカロの色が混ざっているんですよね。今まではその色を一切出さずに、「ラップをする人」「ロックテイストのもの」というくらいのところで落ち着いていたけれど、もっと鮮明になるだけで破壊力が増すと思う。なので、むしろ今まで使ってなかった武器を大胆に使います、というのがここからかなと思ってます。

―今回のアルバムで、特にそういうことが大胆にできたと思っている曲は?

Novel Core:それはもう明確にあって、「カミサマキドリ feat. Takuya Yamanaka (from THE ORAL CIGARETTES)」なんです。これ、めっちゃボカロなんですよ。これはTHE WILL RABBITS(Novel Coreのハウスバンド)と作ったんですけど、デモを作る段階からクマさん(バンマスであるギターのYuya Kumagai)に曲の構成からメインのギターリフの雰囲気、コード進行、トップライン、掛け合いの量、お客さんが歌えるところの作り方とか、全部僕がめちゃくちゃ細かく指示しながら、メンバーともたくさんアイデアを出しあって。今まではプロデューサーさんと1対1でセッションさせてもらって、その化学反応を楽しむような制作が続いていたので、「僕の頭の中に当初あったものとは違うけど、これもかっこいいよね」みたいなものが数多く世に出ていたんですけど、「カミサマキドリ」に関しては、解像度的に僕の頭の中にあったものをそのまま作った感じです。そこに誤差が1ミリもない曲は、実は初めてなんですよね。しかもそこにヤマタクさんと、コーラスで花譜ちゃんが入ってくれているという。今まで絶対的になかったアプローチだけど、今まで僕がやってきたロックの色、ラップ、皮肉めいた風刺的な歌詞とかを全部詰め合わせているこの曲が、今回のアルバムに入っていることは僕的にすごくデカいですね。



―この曲に山中拓也さんを呼んだのは、どういう想いや考えからでしたか?

Novel Core:まずはストーリー回収。「SOBER ROCK」(メジャーデビューシングル)のギターをヤマタクさんが弾いているんですよ。「SOBER ROCK」を日高さんの家で作っていたときに「生のギターを入れたい」ってなって、日高さんが電話したのがヤマタクさんで。俺はもうただのファンだったので「嘘でしょ」みたいな(笑)。そのあとも1stアルバムのタイトル曲(「A GREAT FOOL」)をプロデュースしていただいたりして、『HERO』というアルバムを作るときに欠かせない人だと思ったので、作詞と歌唱で参加してもらいました。あと、これは個人的になんですけど、THE ORAL CIGARETTESの楽曲って、僕が当時大好きで聴いていたボカロの楽曲とテンションが近くて。メインのリフがサビのあとにもう1回戻ってくる構成だったり、ヤマタクさんの歌のメロディとかもボカロPっぽかったりして、だからTHE ORAL CIGARETTESが好きだったというのもあって。そういう意味でも、ヤマタクさんだなって。かつ、ロックフェスを狙ってる曲でもあるので。全部の要素を回収する1曲になっているかなと思います。



―こうやって何度もインタビューさせてもらってるけど、ボカロのルーツがCoreさんの中でそこまで濃いとは知らなかったです。そして今のシーンを見渡して、そこに目を向けるのはさすがだなと思います。

Novel Core:みんなはそこまで気づかずに聴いてるけど、やっぱり日本人がすごく反応する要素がいっぱい詰まってる音楽だなと思います。日本人が日本の音楽にもっと誇りを持っていいと思っていて、海外の流れを日本語でなぞり描く以上に面白いことが、まだまだみんなの知らないところに残されている気がする。そういう感覚がこの2年くらいあったので、このタイミングで好き勝手めちゃくちゃやりたいなと思って、その試験作みたいな感じですね。これでもまだ行き切ってないほうなので。

―これまで見せていなかった武器をこれから出していく、というところでいうと、「ex feat. Ayumu Imazu」も大事ですよね。USのティーンポップみたいだなと思って。

Novel Core:そうですね。「ど真ん中アヴリル(・ラヴィーン)」みたいなコード進行でやらせてもらいました。A.G.Oさん(「ex」のサウンドプロデューサー)は(Aile The)Shotaが大阪でイベントをやったときにプライベートで遊びにいって、打ち上げでShotaがつないでくれて、3人で会話しているとすごくフィールして盛り上がって。「シンプルバカになれる音楽ってやっぱり大事だよね」「考えずに聴ける曲って、意外と日本の音楽シーンに少ないよね」みたいな話になったんですよ。作り手側は色々考えていいと思うんですけど、受け取り手が何も考えずにタオルをぶん回したりできるものを、という方向性で作っていきました。自分じゃない目線で曲を書くことも、今までそんなにやってこなかった気がするので、女の子目線で歌うのは新鮮で楽しかったです。自分以外の人に曲を書いて提供することも視野に入れたいという感覚は去年くらいからありますね。「TYPHOON」もまさにそう。ダンス&ボーカルに曲を提供したすぎて(笑)。





―ああ、なるほど!

Novel Core:ボーイズグループ、ガールズグループに曲を提供したい、ラップを書きたいという想いがあって。Number_iの新曲(「GOAT」)を聴いたときも「うわあ、こういうのを人に書きたい!」と思いました。「TYPHOON」は「Novel Coreがダンス&ボーカルだった世界線の曲をやりたいんですよね」「フルコレオで踊ります」ってSunnyさんに伝えて作りました。この曲はボーイズグループとかカバーとかしてくれるとすごく嬉しいですね。


Photo by Kentaro Kambe、Hair and Make-up by Megumi Kuji (L & Co.)



”本当のことは僕しか知らない”の真意

―そうやって新しいこともやる一方で、1曲目「I AM THE」のようにこれまで見せてきたルーツと自分のストーリーを今一度ここで歌う、しかもそれを武道館公演のタイトル(『ONEMAN LIVE -I AM THE- at BUDOKAN』)に掲げる、というのも大事なポイントですよね。

Novel Core:2024年はヒップホップシーンに対するアプローチの再開の年でもあると思っていて。今だからできるんですよね。ラップバトルから出てきて、ジブさん(Zeebra)の事務所にいて、最初はヒップホップのアプローチをやっていて、でも「自分はこの中だけで完結しちゃダメだ」「もっと外を見なきゃ」という意識でロックやポップスの文脈のルーツを外に出して、もっと広いジャンルの音楽を作ってきて、それがこの規模まで拡大した。だからこそ「じゃあ俺の出自って何だったっけ」ということを、今やるべきだと思っていて。それを去年やるのと今年やるのとでは説得力に大きな差が出ると思ったので。ヒップホップシーンの外も見てきた上で、もう一回ラップという自分の一番の武器を使って扉を叩きにいくフェーズは、2024、25年の中で絶対にあると思います。このインタビューを見てもらって、「あれ? もうラップはしなくなっちゃうのかな?」とか思われる可能性もあると思うんですけど逆で、「めちゃくちゃラップします」という感じです。バトルもどこかで一回くらい、遊びで出ようかなと思ったりもしますね。だから武道館の1曲目は絶対にこれである必要があったんです。「Back to the basic」をやるよ、そのためにこの3年間いろんなことを外でやってきたよ、って。メジャーもインディもアンダーもオーバーも全部経験してきたけど、「結局、自分次第じゃね?っていうのが俺の答えだよ」ということをラップでやりたかったから。



―それはNovel Coreにしか言えないことですね。話のテーマを「ヒーロー」に戻しちゃうけど、最後の曲でありタイトル曲の「HERO」は、まさに武道館のコンセプトを曲にしたような一曲で。

Novel Core:これ、レコーディング、マジやばかったんですよね。めちゃくちゃ泣いて。号泣、嗚咽でした。



―それは、どういう感情が込み上げてきたんですか?

Novel Core:胸の内にしかなかった言葉を全部出したので。武道館を終えたあと、これが世に出ることを想像したときに、今までやってきたこととか言ってきたことが相馬灯みたいにフラッシュバックして。「こんな時期があったな」「しんどかったな」「こんな嬉しいことがあったな」「あれ楽しかったな」とか全部蘇ってきたときに、もう涙が止まらなくなっちゃって。今後は、自分と同じような景色を現在進行形で見てる子たちに光を与えられる人にならなきゃいけないんだという使命感も、曲を歌いながらすごく芽生えて。その両方があまりに自分的にエモーショナルすぎて、「まずい、歌えない」というくらい号泣してました。

―今までいろんな曲で歌ってきたことを集約したような一曲でもありますよね。

Novel Core:”本当のことは僕しか知らない”という1行目にもう全部が詰まっているというか。僕としてはこの1行をずっと歌いたかったんです。この1行を公で歌うためだけに3年間やってきたと言っても過言じゃないくらい。悔しかったことも、悔しいと言わずに飲み込んだことも、後悔も、全部僕しか知らなくて。どんなに綺麗な言葉で歌っても、結局僕の感情とかその時々の心の動きは僕しか知らないし、誰かに伝わるときにはどこかに誤差があって。100人が100通りの受け取り方をすることが音楽の面白さでもあると思うんですけど、それが原因で苦しんだこともあって、「真意なんか伝わりっこないよな」という時期もあった。どれだけ周りにスタッフさんや愛してくれるファンがいても、自分の手で守ってきた夢とか希望がたくさんあったんだよなっていうことを、どうしてもここで歌いたかったんです。

―そういった内容を歌ってから、最後を締め括る2行がまたいいですね。”ヒーローも同じ場所で/ずっと泣いていたんだよ”。

Novel Core:そうですね、もうこれが答えですよね。当時の自分にとってキラキラ輝いていて無敵に見えた、先を走っていたアーティスト――SKY-HIであったり、フラワーカンパニーズとかもそうですけど――なんでこの人たちはこんなに強いんだろう、こんなに前向きに歌えているんだろう、こんなにたくさんファンがいるんだろうって、疑問しかなかったんです。その目線を目指してひたすら走って、いろんなことで躓いたり、逆に楽しいことや嬉しいこともたくさんあったりして、武道館というステージを踏んだ結果、見えたものは「あれ?」っていう。俺がめちゃくちゃ強いと思っていた人たちは全然強くないかも、何だったら当時の俺より弱いんじゃないか、みたいな。だからこそああいった曲を歌っていたし、それがいろんな人の支えになっていたという気づきがあって。だから、それを歌う必要があったんです。

―それを次に武道館に立つ下の世代の子たちに、Novel Coreから伝えてあげたいということでもありますよね。

Novel Core:本当にそうなんですよ。登り詰めたところで、特に何もないんですよね。それは悲しいことでもあるのかもしれないですけど、僕としては気づきだったというか。山の頂上に何かがあると信じてみんな登るけど、登った先から見えるのは、結局自分がもともといた場所が上から見えるだけで。でも、そこにすべてが詰まっているなという感覚がある。

―うわあ、それはそこに立った人にしか言えない言葉だ。2017年の日高さんの武道館公演を見て、武道館に立つときは人間としてもちゃんと幸せでなきゃいけないと思ったと前に話してくれましたけど、それは叶えられていますか?

Novel Core:完全にクリアだと思います。それがマジで誇らしい。周りに感謝しなきゃいけないなと思います。めちゃくちゃ幸せですよね。さっきも言ったみたいに、本当のことは僕しか知り得ないんですけど、本当のことを想像、理解しようとしてくれるファンがこれだけの数いるということがすごく誇りなんですよね。理解できる必要はなくて、理解しようと歩み寄ってくれる人の数がすごく大事だから。それはとても嬉しいことですね。

―「カミサマキドリ」で歌ってるような人間ばかりじゃないと。

Novel Core:逆に今後、今みたいに信頼関係が築けていて絆みたいなものがある人たち以外もNovel Coreの曲を聴く状態になると思うので。ブレイクスルーってそういうことだと思うので。Novel Coreのバックグラウンドとかストーリーは知らないけど、単純に「この曲めっちゃよくて、最近プレイリストに入れて聴いてるんだよね、カラオケで歌ってるんだよね」という人が急にドカンと増える瞬間が来るということは、言いたがりの人たちも絶対に増えるし、ストーリーを知っていたら言わないようなことを言ってくる人たちも一定数出てくると思う。だからこの曲で先に釘刺しとく、みたいな。そういうことをここで曲にしておく必要があったし、このスタイルを地でいってるTHE ORAL CIGARETTESのヤマタクさんがフィーチャリングにいることに意味があると思ってますね。


Photo by Kentaro Kambe、Hair and Make-up by Megumi Kuji (L & Co.)



BMSGを牽引するソロアーティストに

―少し質問の角度を変えますが、「今年は今一度BMSG(Novel Coreが所属する、SKY-HI主宰のマネジメント事務所)を強く意識しながら動きます」と年明けに宣言していました。それはどういう想いからですか?

Novel Core:それこそ「ブレイクスルー」という話とつながってくるんですけど、ソロアーティスト勢のヒットが今のBMSGに与える影響は大きいと個人的に思っていて。設立当初からいる身として今のBMSGに必要なものは何だろうと考えたときに、ソロアーティスト勢の活躍だなと思って。BE:FIRSTやMAZZELといったグループの活躍が看板になっている状態ではあるんですけど、ここで(Aile The)Shotaとか俺がドカンって何かしらの爆発を起こすと、事務所としての説得力がもっと増す気がする。そこを意識せずにただ自分の好きなことをやるフェーズも必要だと思っていたので、去年1年は好き勝手に、ロックフェス方面に対するアプローチを始めたり、BMSGの文脈にないものをやっていたりしたんですけど、その結果、新しいことをやってBMSGにない色を出したときにそれがBMSGに対してどういう視線が集まるのか、どういう盛り上がり方をするのかを予測しながら歩き方を考えたいという想いが強まった感じです。

―それがある意味、ここまで連れてきてくれたヒーロー・SKY-HIへの恩返しでもあるし。

Novel Core:本当にそうですね。うちは「ファミリー」なので。BMSGという日高さんにとっての一番大きいプロジェクトの成功が、自分にとっての幸せにも直結しているので。BMSGが「カルチャーを作る」というところを最終目標にしている以上、自分の動きがBMSGに還元されて、その結果、日本の音楽シーンに何かが起きるというところまでいかないと満足できないなっていうのはすごくあります。

―1年前に武道館に向けたインタビューをさせてもらったときは、「まだ自分が武道館に立つにふさわしい力を持ってないと思う」という話でしたけど、1年を経て、その気持ちは完全に乗り越えました?

Novel Core:そこはもう自信ありますね。この1年がデカかったです。THE WILL RABBITSも含めて、「武道館をやったチームだ」と外に出して何も恥ずかしくない状態に、この1年で間違いなく持ってこられた自信があるし、何だったらもうアリーナのことを想像している段階だなっていう感じはしてます。でもアリーナを終えたときにドームが見えていないといけないと考えたときに、そのハードルはマジで高いなと思って。ドームが見えている状態でアリーナに立つアーティストって少ないじゃないですか。そういうことを考えたときに……震える! だから24、25年の2年間がマジで大事だなと思ってます。


Photo by Kentaro Kambe、Hair and Make-up by Megumi Kuji (L & Co.)

<INFORMATION>


Major 3rd Album
『HERO』
Novel Core
配信中
https://NovelCore.lnk.to/20240118_3rdAL_HERO

1. I AM THE
2. No Way Back
3. カミサマキドリ feat. Takuya Yamanaka (from THE ORAL CIGARETTES)
4. RULERS
5. TYPHOON
6. ex feat. Ayumu Imazu
7. Hey, Rainy
8. HERO


BMSG MUSIC SHOP限定盤 ジャケット

LIVE DVD & Blu-ray
『ONEMAN LIVE -I AM THE HERO- at BUDOKAN』
Novel Core
2024年3月27日(水) 発売
https://NovelCore.lnk.to/at_BUDOKAN_LIVEBOX

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください