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SKY-HIが語る、いまメッセージソングを歌う理由、 「人間的なもの」への希求

Rolling Stone Japan / 2024年2月16日 19時15分

SKY-HI(Photo by Takuya Maeda)

SKY-HIが5月からスタートする全国ツアーに先駆けて、新曲「ヒッピー」を発表した。昨年開催されたアリーナツアー「BOSSDOM」や、Nissyとのコラボレーションによる「SUPER IDOL」が、自分も含めた表現者へのラベリングに対するある種のカウンターだったとするなら、台湾のOZIとコラボした「Dream Out Loud」に続いて、ホーンセクションとともに〈やっぱ愛だって キレイゴトがいいよ 夢に花束を〉と「夢」について歌う「ヒッピー」は、SNSにおいて心を痛めるような出来事が相次ぐ現代に対する、とても真摯なメッセージソングだと言えるだろう。「BMSG創業5年目に、40歳までに次のアルバムを作りたい」というSKY-HIに、現在のモードについて語ってもらった。

【撮り下ろし写真を見る】SKY-HI

ー「ヒッピー」を聴いてまず印象的だったのが、昨年リリースした「Dream Out Loud(feat. OZI)」に続いて「夢」についてストレートに歌っていることで。1月17日にNovel Coreの武道館公演があって、ひとつの夢を叶えたわけじゃないですか。Xでも感想をつぶやいてたと思うんですけど、あの日Novel Coreが武道館公演を成功させたこと、夢を叶えたことが、今の日高さんにとってはどんな意味があったのか、改めて話してもらえますか。

SKY-HI:かねてから夢には叶う叶わないの前にまず叶え方があると思ってて、要は「適性×努力×運」じゃないですか。運は運でしかないから、どんなダメなバッターでも100打席あったら1回は打つわけで、「適性 ×努力」の分量上げていけば上げていくほど、運がよっぽど悪い人でも、割と夢は叶う可能性があるっていうこと自体はわかってて。で、Coreは一番得難い適性の部分はもうクリアしてたから、マネジメントがする作業は正しい方向の努力と、打席数をただ増やすだけだったので、あんまり大変なことには感じなかったんですよね。Coreが「武道館やりたい」って言ったときに、「よし、武道館に向けて行くぞ!」というよりは、「なるほど、なるほど」みたいな。





ーはじめから夢を叶えるための道筋は見えていたと。

SKY-HI:そうなんです。でもやっぱり、盲信は人を壊すので夢っていう言葉そのものを危険に思う一方で、人間の抱える問題の多くの部分を夢(という概念)が解消する可能性があるとも思うんですよね。卑屈になったり、攻撃的になったり、自虐的になったりすることも夢が解消する可能性があるし、特にメンタルヘルス面において、現代人が抱える闇の大半を夢はクリアにする可能性があると思う。少し雑な物言いになりましたが本当にそう思います。だからこそ、夢の叶え方を訴えていったり、実際に夢が叶う瞬間を増やしていったり、BMSGを起業したときに言ってることが口だけにならないように、フロックにならないようにしたい。その根拠をコアが担っちゃってたところがだいぶあるし、担わせちゃってたから、そのプレッシャーで大変だった時期も知ってるし、それに対する申し訳なさも含め、様々な感情がある中で、Core自身が自分の夢を叶えられるアーティストだということを証明して、さらには世の中に対して、夢を見ることの尊さを提示してくれた。自分にとってもCoreにとってもBMSGにとってもそうだけど、現代社会においても意義深い一夜だったなと思いますね。



ー今世の中で問題になってる誹謗中傷でありその類いのものって、その人自身が自己実現できていないからこそ、大きく言えば夢を叶えられていないからこそ、自分の中で解消されない不満が外側に向いてしまうという構造があると思うから、夢を叶えることの素晴らしさを体現することの社会的な意味はすごく大きいと思います。

SKY-HI:おっしゃる通り、自分が言ってる夢って究極の自己実現というか……いや、もっとちっちゃい自己実現でもある気がするな。3キロ痩せるとか、それも夢じゃないですか(笑)。理想の自分を追うという作業だったり、理想の自分を追ってる人を応援する気持ちだったり、そういったものをもってして夢と呼んでいて、これはすごく人を人たらしめる要素だと思ってるというか、文化的な生命体として必要なマインドセットに「夢を見る」みたいなことがすごく大事だなと思っていて。

ーXではNovel Coreの武道館公演に対して、「あの日の少年に、僕のこれまでの人生全てを肯定してもらった気すらしている」と書かれていましたね。

SKY-HI:そういう大仰な言葉を使い過ぎるのも嫌なんですけど、あの日に関しては運命というか必然性を感じましたね。Coreがうちに来てくれたこと、出会う必然性を強く感じる時間でもありました。〈お前の夢は俺の夢〉って「SOBER ROCK(Remix)」で言ってましたけど、その1個の夢が叶ったのは本当に嬉しかったし、Coreとのアーティスト的距離感の近さを考えるとひとしおですね。自分が知ってるCoreって、大人びた高校生というか……「大人びた」っていうのは綺麗に言ってる気もして、ませた高校生というかね。で、俺は俺で小学生のとき、自分が日本で一番頭がいいと思ってましたもんね(笑)。



ーそれはだいぶませた小学生ですね(笑)。

SKY-HI:でも「ませる」と「誠実じゃない」はまた違うわけで、まっすぐともまた違うけど、ゆがんでるわけでもないし、良い具合にひずんでるくらいじゃないですか(笑)。とにかくCoreは一筋縄じゃいかない高校生ではあって、ビッグマウスみたいなこともよく言われてたし、でも特有の青臭さみたいなのはシンパシーを感じる部分でもあって……最終的に武道館のステージでも綺麗事を言うんですよ。その綺麗事を言ってるときのCoreがあんまりにも綺麗だったので、人間があそこまでになったっていうのはすごく……来ちゃったなあ。人生に責任を持った人の姿になってたもんなあ。一笑に付される綺麗事と、今自分が話している絶対必要だなと思っている綺麗事の一番の差は、そこに責任があるかどうか。武道館のときはまだ22歳だったわけですけど、あの年齢でよくそこまでの人になったなと思うし、本当に嬉しかったですね。


Photo by Takuya Maeda



最近Shotaに「早く人間になりたい」ってあんまり言わなくなった

ー「Dream Out Loud」の取材で「今の日本のヒット曲にはペシミスティックなものが多いから、そこには抗いたい」ということを話してくれたじゃないですか。

SKY-HI:まだその感じ続いてますもんね。

ーそのモードが「ヒッピー」にも続いてるなと感じたんですけど、実際そのモードが続いているのか、そこから変化があるのか、そのあたりはいかがですか?

SKY-HI:ちょっと違うのが、より楽曲において荷物を下ろしてる感じはありますね。「Dream Out Loud」のときも意識はしてたけど、よりそれが加速されてる気はします。人間っぽい。ホモサピエンスとして生きる上で、そこからより人間らしくなるためのビジョンとか哲学として、夢とか綺麗事があるっていうこと。最近Shotaに「早く人間になりたい」ってあんまり言わなくなったんですよ。前までずっと言ってたんですけど(笑)、最近あんまり言わなくなったから、ひょっとしたら人間に近づいてるのかもしれないです。

ーそれは意識的にそっちに向かってる?それとも、自然とそうなってきてる?

SKY-HI:どっちなんでしょうね。『八面六臂』くらいから日記というか、フリースタイルというか、そういうのの延長で曲を作ってたけど、「ヒッピー」に関しては完全に反射神経で作ってて。『THE DEBUT』の時点で「初期衝動」まで行った上で、去年のツアーの名前が「BOSSDOM」だったのは提示というか、「切り分けないで欲しいな」みたいなことだったんですよ。皮肉なもんで、「アイドルとかラッパーとか切り分けないで欲しい」って言ってずっとやってきて、最近切り分けないでもらうこと増えたなと思ったら、今度は社長とアーティストで切り分けようとしてくるんですよね。なぜ世間はこんなに俺にラベルを付けるんだと思いながら生きている毎日。本当にね、ラベル貼られすぎですよ。閉店直前のスーパーの肉かって(笑)。



ー「BOSSDOM」だったり、Nissyさんとの「SUPER IDOL」だったりは、あえて自分からラベルを貼ることで、もっと本質に目を向けてほしいという提示の部分があったわけですよね。

SKY-HI:アイドルかラッパーかとかも本当にどうでもいいから、「だったらNissyを呼んで俺たちスーパーアイドルって定義でどうかな?」とか、そういう提示を良くしてきたと思うんですけど、「ヒッピー」に関しては「提示」というよりも、自分が求める方向に近いかな。ヒッピーライフを今心が求めてる。流浪的な意味もそうだけど、どっちかっていうと、ピースとかラブとかユニティみたいなものが今の世の中にあってほしいし、自分にも必要だったりしたので、それで条件反射で出てきたのかなって。



ーコンセプチュアルな提示ではなく、ナチュラルな希求だと。

SKY-HI:正直好きなのは前者のほうなんですよ。「BOSSDOM」にしろ「SUPER IDOL」にしろ、コンセプトやギミックを考えるのめちゃくちゃ好きだし、今までの作品の多くだったり、BE:FIRSTの作品だったりも、そういう性癖の詰め合わせみたいなところがあるんです(笑)。でも「ヒッピー」はスタッフから「ひさびさに明るいの聴きたいですね」っていう意見が出て、やってみようと思ったんだけど、すぐにはアイデアが浮かばなくて。それでBE:FIRSTの他の曲を作ったあとのスタジオの残り1時間で、Sakaiさんの部屋の真ん中にマイク立てて作ったんですよ。今回作曲クレジットにやたら人が多いのはそういう理由で、BE:FIRSTの曲をみんなで作った後の残りの時間で、カルロがギター弾いて、鼻歌で俺とDaisukeが歌って、まとめてSakaiさんがビートを作るみたいな、森の音楽家ですよ、マジで。

ーマイクをキャンプファイアー代わりにみんなで囲んで、みたいな。

SKY-HI:そうそう、ゼルダの伝説のオカリナのあの切り株を囲んでみたいな、本当そんなノリで作って、それもヒッピー的ですね(笑)。

ー「ヒッピー」というキーワードが先にあって、それがコーラスの〈Hip-pi-pop-pi-Hippie〉に繋がったのか、先にこのフレーズが生まれて、そこから「ヒッピー」というタイトルを取ったのか、順番的にはどっちが先だったんですか?

SKY-HI:わかんない、同時進行です。曲のほうが順番としては先だったかもしれないけど、とにかくそのぐらい瞬発力でした。今もうすぐ2月でしょ(取材は1月28日)。ぶっちゃけ今年のツアーで何やりたいとか、このタイミングで何もないんですよ。

ー僕も5月からツアーがあるっていうことだけ聞いてて、詳細はまだ知らないんですけど、実際にまだ未定のことが多いと。

SKY-HI:まだ何もないんですよ。「BOSSDOM」は演出面でやりたいことがいろいろあったんですけど、今はマジでなくて。チャリンコに乗って登場しようかなとか、キックボードがいいかなとか、ホントにそれくらい。

ーBMSGとしての様々な動きに対する、ある種の反作用じゃないけど、他は一つ一つをコンセプチュアルに進めてるからこそ、自分の活動に関してはもっと条件反射的に動きたいということだったりもするのかなと。

SKY-HI:そういうことでもあると思います。よりただの人間になろうとしてるというか、そこに抵抗がなくなってきてる感じ。BE:FIRSTの次のドームタイトルは「Mainstream」からのアナグラムみたいな感じで「Masterplan」で、それは実はデビュー前から決まってて、3年越しのコンセプトライブを完結させるっていう、くっそ痺れるなと思いながら作ってるんです。だからそういうのは大好きなんですけど、そういうのだけにもなりたくないっていうか……これは感覚的な話になっちゃうんですけど、なんかあるんですよ、自分の中で。コンセプトに寄り過ぎるとそれはそれで違うというか、人間であるがゆえに、そういうコンセプトが効いてくるんだと思うんですよね。それが映画に勝てる唯一の方法というか、ドキュメントをファンタスティックにしていくことにしか興味がなくて、そのドキュメント性の担保を自分で勝手にやってるのはあるかもしれない。

—言ってみれば、人間であるっていうこと自体が壮大なコンセプトというか。

SKY-HI:そうなんですよ。結局頑張ってるとドラマが生まれるんで、Coreも俺ももちろんドラマチックな出来事いっぱいあるけど、それは頑張ってたら勝手に生まれたことで、Coreが頑張ってて、俺が頑張ってたから出会っただけ、みたいな。そもそも人間であることに対してのプライドはすごくあるので、何々星人とかでもないし、そこはすごく大事にしたいんだと思う。だからより人間であるとか、もうちょっと駄目な感じを意識的に出そうとしてるところもあって、今日も撮影のときの格好はスウェットだし、起業時と一番違うのはそこかもしれない。起業時は本気度を示すためにスーツを着続ける必要があって、今もTPOだから、バチンコかっこいいスーツは複数着あったり、「ヒッピー」のビデオでも自前のスーツを着てたりするんですけど、社長としての認知とか、正論を言う機会がどうしても増えたがゆえに、ちゃらんぽらんな感じを担保していきたい。人間味がなくなるのが嫌というよりは、人間であることをちゃんとアピールしていきたいっていうのはすごいありそうですね。

ーたぶん今話してくれた感覚は『THE DEBUT』にもあった気がするけど、それがさらに進んでるのかもしれないですね。「ヒッピー」っていうのも、いろんなラベルであり、物質的なものを削ぎ落として、人間回帰する感覚を表している気がするし。

SKY-HI:このままだと幼児化までいきます。おしゃぶりをくわえますよ(笑)。



ー「ヒッピー」では最初のヴァースで過去を振り返っていて、次のヴァースだと痛みや孤独は消えないっていうことを歌ってると思うんですけど、こういうリリックも条件反射的に出てきたもの?

SKY-HI:周りの人に言ってることの気もするし、愚痴の気もするし、一筆書きの悪いところで、混ざっちゃったんですよ。今までは混ざると「ビリジアンじゃないとダメだ」みたいな、「藍色でもスカイブルーでもなくて」みたいな書き方をしてて、改行ひとつとっても5万回チェックするみたいなことをやってたんだけど、「混ざっちゃったけど、まあいいか」みたいなことをだいぶ許容してます。それがこの先どういうふうに転ぶのかはマジでわかんない。ちょっと先に構築性高いアルバムを作りたいなっていうのはずっと思ってて、おりに触れ言ってしまってる気がするんですけど、2年後とかに、40歳になる前に、そういうアルバムを作りたくて、その前にいろいろやっておきたいんですよね。今回明るい曲が書けたから、次あたりラブソングをひさしぶりに作りたいなとか、珍しく思いました。edhiii boiの「青い春」が良すぎて、キュンキュンきちゃって、ラブソングを書きたい気持ちになっちゃったんですよね。


Photo by Takuya Maeda



音楽表現の可能性

ー「BOSSDOM」でアリーナ規模のライブを成功させて、BMSGのアーティストもそれぞれの形で成功を掴んでいて、そこから生まれる自信があるからこそ、何でもやってみようというモードになれてるのかもしれないですね。

SKY-HI:わかった、いま承認欲求がてんでないんだ。

ー逆に言うと、割と最近まではあった?

SKY-HI:あったはずだと思うんです。それが自分に向いてないっていうだけ。BE:FIRSTとかBMSGに対してはあったんだけど、今はそういう意味での承認欲求はあんまり……それって承認欲求なのかな。マズローの三角形あるじゃないですか?あの社会的な認知のなんちゃら、みたいなやつですよね。それは多分あったんですけど、今はあんまりないかも。それが作品に表れてる気がしますね。BE:FIRSTもちゃんと評価をされていると思うし、会社にしても、もちろん向上心とか成長欲は変わらずあるけど、欲求というか、いやしさがどんどん抜けていってる。

ーそうやってあんまりよくない意味での自我みたいなものが抜け落ちてるっていうのは、アーティストSKY-HIとしてはとても健康的な状態かもしれないですね。

SKY-HI:そうだと思います。この先コンセプチュアルなアルバムを作ろうとしたときには、またいくつかやりたいことが出てくる気がするんですよ。会社もまだ4期目で、創業期から抜けたばかりだと思うので、5期満了くらいのとき、違うフェイズに会社が入ったときに、成長欲はずっと持ち続けたいけど、向上心は違うベクトルに向く気がしてて、マジな意味で「社会を良くしたい」とかがまた強くなってくる気がするんですよね。そのときに歌うことを歌える人になるための準備を今してるんじゃないですかね。

ー5月からのツアーに関してはまだ具体的なことは決まっていないというお話でしたが、現時点での構想があれば聞かせてください。

SKY-HI:1回健康を取り戻したいなとは思ってますね。ありがたいことに、どうしようもない大きな悩みみたいなものが1年継続してる年っていうのは今のところなくて、ただ割と人生を揺るがす大きな悩みみたいなやつが半年ごとに変わってるっていう状態なんです。それはパフォーマンスアーティストとしてあるべき生活みたいなものからはちょっと遠い気がして、でも一方ではアーティストとしての成熟も感じてるっていう、このジレンマ。なので、ホールツアーをちゃんとやって、1回フィジカルを戻さないとやばいなと思ってて。あとはまあ、1回ショーダウンした方がいいのかな、とかね。

ー「BOSSDOM」はコンセプトがしっかりあって、演出的にもショーアップしたものだったから、今日話してくれた「人間的」という意味でも、わりと日高さんそのままでポンって出て行くライブをやることも、2024年のSKY-HIにとっては意味があるのかも。

SKY-HI:ある気がする。無音でさ、チャリで出てくるとか。

ーやっぱりチャリで出たいんだ(笑)。

SKY-HI:チャリって放蕩者のイメージないですか? 古畑任三郎的な。そういうふざけたい気持ちはやっぱあるなあ(笑)。

ーツアーにコンセプトを掲げるとするなら、「ヒッピー」という言葉の意味をどう現代で再定義するのか、みたいなことですよね。そのひとつの方法が、チャリで現れることなのかもしれない(笑)。

SKY-HI:いや本当にね、みんな幸せになろうとした方がいいっていうか、結局ヒットチャートもそうですけど、幸せになろうとすることが全然トレンドじゃないじゃないですか。それはやっぱ良くないなと思って。

ー途中でも話したように、ペシミスティックだったり、悲劇的だったり、そういう方がもてはやされる。

SKY-HI:自虐的だったりもするし、他虐的なものもあるし、それを合わせて露悪的って言ってると思うんですけど、そういうムードを変えないとなって。Xとかだとそういうので人気の人がいっぱいいるでしょ?

ースキャンダルや炎上案件に関わるコンテンツで人気を得る、ダークヒーロー的な人がもてはやされる時代になってますよね。

SKY-HI:別にそういうのがあることに関してはどうとも思わないんですけど、メインストリームじゃないだろうっていうのは思います。単純にそういうコンテンツに触れてても幸せにはならないから。それはすごいね、見落としがちな気がするんですよ。絶対幸せな方がいいはずなのに、これ結構深刻な社会問題だと思ってるんです。幸せになろうとしない症候群。バッドエンドシンドローム。ボカロの曲でありそう(笑)。

ーありそう(笑)。

SKY-HI:今って日本を取り巻く不幸合戦が、より不幸なものを生み出そうとしてて、ペシミスティックとかってレベルじゃなくなってきてる。それに対して解決し得ないストレスがすごくあって、ジャニーズ崩壊以降の世の中の殺伐の仕方とかもそうじゃないですか。今所属している方々もそうですが、ファンの方の気持ちが荒んでしまうのは凄く理解できるし、そこから悲劇が連鎖していて見ていて本当に哀しい気持ちになる。BMSG起業当時に一番自分が救いたかったのって、今のBE:FIRSTになる前の少年たちみたいな方々ですから、今も所属にかかわらず夢を追う皆に幸せになって欲しいですし、それこそ「D.U.N.K.」とかを通して、IMP.とかTravis Japanもそうだし、ATEEZみたいな素晴らしいグループが日本で更に活躍するきっかけが作れたらとか、日本のダンス&ボーカルシーンにおいては端くれながら、そして烏滸がましくも貢献度を感じられてるところもすごくあるんだけど、それでもどうやったって全てのファンの気持ちまでは救えないので。件の事件に関しては、長い目で見たら、もうああいう悲劇を起こさないためには「架空のものを作り上げることに人間そのものを投じることの業の深さを考え直していこうよ」ということなんだけど、理と心は別という人はいるというか、今この瞬間に救われない人の多さに自分もちょっとくらっちゃってるんですよね。この話も自分の都合の為に切り取って使用する人がいるかもしれませんが、アーティストはそれで発信をやめるべきでは無いと思いますし。

ーそういう状況を変える意味でも、やはり今日最初に話したような「夢を叶えること、その姿を見せることの社会的な意味」はすごく大きくて、それぞれが自分にとっての「幸せ」を見つめ直すきっかけにもなるはずだと思います。

SKY-HI:それは思いますね。システム的なところでどうこうは無理じゃないですか。Xの構造を変えようみたいなことはどうしたって難しい。直接的なデモとかを行ってる人は基本的に応援したいけど、それを先導するようなリソースは今の自分にはないし。それよりは、音楽表現としての何かを作りたい。「アーティストなら音楽で言え」とか言うタイプじゃ全然ないですけど、今の自分は音楽表現でもっと何かできることがあるんじゃないかっていう、そういう気持ちは強くあります。


Photo by Takuya Maeda

<INFORMATION>


「ヒッピー」
SKY-HI
配信中
https://SKY-HI.lnk.to/20240212_HPY

SKY-HI TOUR 2024 -HPY LIFE-

5月4日(土)宮城・仙台サンプラザホール
5月6日(月)静岡・アクトシティ浜松 大ホール
5月10日(金)大阪・フェスティバルホール
5月11日(土)大阪・フェスティバルホール
5月17日(金)福岡・福岡サンパレス
5月19日(日)広島・広島上野学園ホール
5月22日(水)北海道・カナモトホール(札幌市民ホール)
6月2日(日)愛知・名古屋国際会議場センチュリーホール
6月8日(土)新潟・新潟テルサ
6月14日(金)埼玉・大宮ソニックシティ 大ホール
6月16日(日)千葉・市川市文化会館 大ホール

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