The Snutsが語るこれまでの歩み、ミレニアル世代のギターバンドとして抱くリアルな感情
Rolling Stone Japan / 2024年2月28日 17時30分
リバティーンズやアークティック・モンキーズから連綿と続く英国インディ王道の系譜――その末席に位置するのがスコットランド出身の4人組、ザ・スナッツ(The Snuts)だ。彼らの最大の魅力は、とことんキャッチーで親しみやすいメロディ。まだ随所に初期アークティックの影響を色濃く滲ませていたデビュー作『W.L.』(2021年)で全英1位、ヒップホップやケミカル・ブラザーズからの影響を咀嚼した野心的な2nd『Burn The Empire』(2022年)で全英3位と、ザ・スナッツはギターバンドに向かい風が吹く2020年代初頭に目を見張るべき成功を収めてきた。そんな快挙を達成できたのも、彼らがどんな曲調でも一発で耳に残る確かなソングライティングの実力を持っているからに違いない。
そしてこのたび送り出される3作目『Millennials』は、これまで以上にポップでダイレクト、かつアンセミックな楽曲が満載だ。様々な音楽的冒険に挑んでいた前作に対し、このアルバムは彼らがもっとも得意とするところ、つまり思わずシンガロングしたくなるメロディとストレートなギターロックサウンドの純度を高めることにフォーカスしている。今回の取材に応えてくれたボーカルのジャック・ コクランが言うように、アルバムのラストを飾る壮大で感動的なバラード「Circles」では、オーディエンスが両手を上げて一緒に歌う様が目に浮かぶようだ。5月30日(木)に大阪のYogibo META VALLEY、31日(金)に東京のKANDA SQUARE HALLで行われる来日公演でも、きっと会場をカタルシスに満ちた合唱が包み込むことになるだろう。
―ネット上に日本語で読めるインタビューが少ないので、基本的なところから順を追って訊かせてください。スナッツは同じ学校の友人同士で結成されたバンドですが、どういった点で意気投合して一緒にバンドをやることになったのでしょうか?
ジャック:僕たちの出身地はあまり選択肢がないんだよね。サッカー選手になるのが夢の人が多いけど、大抵はうまくいかない(笑)。そんな中、10代の頃からライブを観に行くのが娯楽だったんだ。大好きなバンドがステージに立っているのを観て、僕たちもバンドをやろうと思うようになった。何度もメンバーチェンジを経て、最終的にこのパーフェクトなメンバーに落ち着いたんだよ。
―スナッツが結成された2010年代中盤は、イギリスのギターバンドがあまり元気がなかった時代です。そんな中での活動に難しさを感じたところはありましたか?
ジャック:僕たちはイギリスのギターバンドシーンの最後尾をキャッチしたような感じだったんじゃないかな。大好きだったバンドの活動が落ち着き始めた頃で、前ほどは見かけなくなってきていたけど、年上の友だちや、自分たちの兄貴やいとこを通じて、ギターミュージックを知って、自分たちの時代に繋げていった感じだね。この手の音楽が下火になりつつあった分、新しい世代のバンドが入り込む余地があったから、結果的には良かったと思ってる。
―スコットランドはウィットバーン出身であることは、自分たちの音楽性や考え方に何かしらの影響を与えていると思いますか?
ジャック:それは間違いないね! ウィットバーンはワーキングクラスがとても多い町なんだ。工業が発達していた時代もあって、炭鉱の町だった。だけどスコットランドの炭鉱が次々と閉山になって、僕たちの町みたいなところは、みじめで陰鬱な感じになってしまって。だから僕たちにとっては音楽が現実逃避みたいなところがあった。機会が少ないから大きな野心を持っている人は少なかったけど、小さな町に暮らすフラストレーションから逃避するための音楽を作るには、なかなか良い場所だったよ。書く話題がたくさんあるときもあったし。スコットランドはウィットバーンみたいな小さな町の集まりだから、自分たちの経験を曲にすれば、スコットランドじゅうのもっとたくさんの人たちに共感してもらえるのもわかってた。スコットランドを制覇するのが最初のゴールだったよ(笑)。
―スナッツの音楽観を形成する上で欠かすことが出来ない影響を与えたアルバムを3枚挙げるとすれば何になりますか?
ジャック:バンドの初期だったら間違いなくザ・ヴューの『Hats Off To The Buskers』だね。彼らもスコットランドのバンドで、その頃すごく売れていたんだ。僕たちにものすごく大きな影響を与えているよ。それからそうだなあ……リバティーンズの『Up The Bracket(邦題:リバティーンズ宣言)』も僕たちにとっては大きな存在だね。それから…(しばし考える)…アークティック・モンキーズの『Favourite Worst Nightmare』かな。その3つのバンドが、僕たちの初期に特に大きな影響を与えているんだ。歳を重ねるにつれてあの手のスタイルの音楽からは徐々に離れていったけど、なりたいバンドの形としては今でも間違いなくいいお手本だよ。
―デビューアルバム『W.L.』は全英1位を獲得しました。当時、新人バンドのデビュー作がいきなり1位を獲得するのはかなり異例なことだったと思います。自分たちとしてはその成功の理由はどこにあったと考えていますか?
ジャック:僕たちくらいしかこの手のバンドがいなかったから、というのもあるかもしれないけど、僕たちはレコーディングアーティストになろうと決心する前に、ライブバンドになりたかったんだよね。それしか知らなかったんだ。だからあのアルバムを作る前は、とにかくライブをやって、できるだけたくさんの人たちに自分たちの音楽を届けることに集中していたんだ。アルバムを出す前にライブのキャリア、ステージのキャリアがちゃんとあったから本当に助かったよ。
―ステージでのキャリアの蓄積があっての全英1位だと。
ジャック:まあでも究極的には、みんな自分の聴きたい音楽にはオネスティ、誠実さや正直さを求めていると思うんだ。アーティストの語るストーリーを信じて、共感したいんだよね。あのアルバムでの僕たちは自分らしさを出すことができたから、当時の音楽シーンでは新鮮だったのかもしれない。
―先ほどアークティックの名前も出ましたが、『W.L.』はスナッツがアークティック・モンキーズに代表される英国インディの本流に連なる存在であると同時に、そこには留まらない幅広いサウンドを志向するバンドであることも証明していると思います。「Somebody Loves You」や「Elephants」にはスナッツならではのポップな魅力がありますし、モータウンビートを援用した「Maybe California」ではファンキーな側面が強調されています。あなたとしては、『W.L.』はどのようなアルバムだと位置づけているのでしょうか?
ジャック:僕たちのサウンドを発展させていく中で、とても重要なステージを作ってくれたアルバムだね。いわゆるスタンダードなUKインディギターバンドでしかないっていうのは嫌だったんだ。その頃の僕たちはそういう音楽を聴いていなかったし、そういうバンドになりたいと思っていた訳でもなかった。色んなジャンルの新しいスタイルをやってみるくらいの自信を培ってあったのはある意味ラッキーだったよ。ひとつの箱に収まりたくないという気持ちが強かったから。それから、プロデューサー陣が僕たちを新しい方向にプッシュしてくれたのも大きかった。ちょっと居心地の悪い場所に連れていって、そこでバンドとして成長したり発展したりさせてくれた。あのアルバムで色んなスタイルを試すことができたからこそ、次の2作が続いたんだと思う。好きなことをやる自信がついたからね。
最新作『Millennials』のハッピーなヴァイブス
―2ndアルバム『Burn The Empire』は、どこか不穏でアグレッシヴなサウンドになった印象です。そしてそれと呼応するように、歌詞では政治的な不満や怒りが歌われるようになりました。このタイミングで政治的なテーマを取り上げようと思ったのはなぜでしょうか?
ジャック:あのアルバムはとても早く出来上がったんだ。1stが出来上がってからすぐに取り掛かってね。あまり考える時間もなかったから、プロセスの中で生まれた曲のテーマは「いま」を強くとらえていた。当時自分たちの中にあった考えや感情だね。純粋に、その時の自分たちの気持ちから曲を書いていたんだ。最初から最後まで4週間くらいだったかな。
―それはかなり早いですね。
ジャック:曲を書いてレコーディングして……というのを同時進行でやっていたんだ。勢いで書いた感じだったね。あのアルバムではコーヒー(クラレンス・コーヒーJr.)とナット(ナサニエル・レドウィッジ)、2人のプロデューサーに携わってもらったんだけど、彼らのスタイルは僕たちとまったく違った。何せ彼らはバンドと仕事をしたことがなかったからね。ポップやヒップホップ、UKアーバンミュージック畑から来ているんだ。それがクールだったね。1stよりもずっとコラボ的なプロセスだった。ストレートに怒りやフラストレーションを表現しながらも、できたものにはとてもハッピーだったよ。あのアルバムもとても誇りに思っているんだ。
―そのコラボ的プロセスの成果か、「Zuckerpunch」ではヒップホップを想起させるビート、「Cosmic Electronica」では初期ケミカル・ブラザーズのようなブレイクビーツが導入されていましたよね。
ジャック:そうそう、あの頃はケミカル・ブラザーズをよく聴いていたんだ。だから理に適っているね。
―ケミカル・ブラザーズは当時の音楽的インスピレーションのひとつでした?
ジャック:そうだと思うね。アルバムを作るときは自分たちのやっていることをどこかの時点で証明する必要があると思うんだ。デビューアルバムのときは特にね。2作目はどうするのか?という問題で結構雑音が多くて、どんな感じになるのか、どんなサウンドになるのか、予測している人たちもいた。あのアルバムにはそういう人たちへの反抗的な要素があったのは確かだね。「僕たちは今でも自分のことは自分で決めている。まだまだ驚かせてみせる」っていう感じだった。間違いなく実現できたと思うよ(照笑)。
Photo by Gary Williamson
―ええ、その通りだと思います。前作のときは周囲のノイズが多かったということですが、ニューアルバムの『Millennials』はこれまでの所属レーベルであるパーロフォンから離れ、自分たちで設立したHappy Artist Recordsからのリリースです。ディストリビューションはThe Orchardですね。より自由に活動できる、フレキシブルで現代的な契約形態に移行したと思いますが、差し支えなければ今回このような決断をした理由を教えてください。
ジャック:2作目の頃には、レコード会社のビジョンと僕たちのビジョンがかなり大きく離れていることが判ってきたんだ。若手バンドとしてレコード契約を結んだ頃、音楽業界は今と全然違っていた。音楽そのものが前面に出て最重要視されていたし、僕たちとレコード会社とのディスカッションも音楽についてのことがメインだった。それが時が経つにつれて、特に2作目の頃は、あっちのフォーカスが(メンバーの)パーソナリティにシフトしてきて、SNS主導型になってしまったんだ。音楽について話をすることもあまりなくなって、個人のキャラクターについての批評みたいな感じで。
―ああ、なるほど。いまっぽい話ではありますけど。
ジャック:他のアーティスト達もそんな感じになっているのを見てきて、これは自分たちの精神衛生上良くないと思うようになった。幸せやウェルビーイングのためにも、自分たちがバンドとして学んだものを自分たちでやる方向に賭けてみようじゃないか、という話になったんだ。とても気が楽になって、楽しいプロセスだったよ。
―実際、『Millennials』は解放感や抜けの良さを感じさせるアルバムです。これまで以上にキャッチーでアンセミックな楽曲が詰まっているとも感じました。自分たちとしてはどのようなサウンドを目指したのでしょうか?
ジャック:実は、初めは特に何も計画していなかったんだ。とにかく一緒に曲を作ろうという感じで、新しいプロジェクトやアルバムを作り始めようなんてつもりはまったくなかった。とにかく一緒にプレイして、また自由に楽しみたいと思っていただけでね。そんな考えから「Gloria」が割と早く生まれたんだ。あの曲がアルバムのサウンドの方向性をある程度決めたんだと思う。できた曲を聴いてみたら、すごく楽しい感じで。その感触をそれから作る曲にもどう活かすかということを考えるようになったんだ。すごく早い段階でアルバムの雰囲気を決めた、とても重要な曲だと思う。ほんと、あの曲ができたときは早く出したくてたまらなかった。出すからには、これに続く他の曲もちゃんと辻褄が合ったものにしないとな、と思ったよ。
―「Gloria」のサウンドやヴァイブが、アルバム全体に影響を与えたんですね。
ジャック:2作目は当時の自分たちの気持ちを表す作品になったという話をしたけど、このアルバムもそういう意味では同じだったと思う。ハッピーで満たされていて、ワクワクしていて、アップビートで、ポジティヴで。そんなヴァイブがアルバム全体に流れているんだ。
―では、本作にインスピレーションを与えてくれた他のアーティストの作品はありますか?
ジャック:うーん……あの時は色んな音楽を聴いていたからね。でも自分たちのことにものすごく集中していたんだ。過去の作品に対する批判についても振り返っていてね。『Burning Empire』はとても気に入っているけど、もっとうまくやれたことはあっただろうかとか、どうすればもっといいバンドになれるのかとか、曲を聴いてくれる人たちにもっと共感してもらえるようにするには、ちゃんと分析することが大切だと思ったんだ。
―前作の反省を新作に活かそうとしたと。
ジャック:『Burning Empire』は結構変わった感じのアルバムだったし、歌詞的にも掘り下げて聴かないときちんと理解してもらえないと思ったから、今回はすごくポジティヴでダイレクトなものにしたかった。歌詞も入ってきやすくて、サウンドも普遍的な感じにして。そんな感じだったな。だから誰かの影響を受けたというより、自分たちの過去の作品の影響があるかもしれない。
―今回の歌詞は、ロマンティックなラブソングが多いですよね。
ジャック:アルバム全体を『Millennials』と名づけたのは、自分たちが書いている曲が、若い人物の人生の色んなハイライトやステージを表していることに早い段階で気づいたからなんだ。その時自分は人生のどんな場所にいるのか、そういうのがわかるものにしたかった。だから、もっと若い時だったら書かなかったかもしれないことも書いてる。人生の様々なステージでのロマンスや、それでどんな気持ちになるかとか、本当に恋に落ちているのか、単に恋という概念を追いかけているだけなのかとか。「Wunderkind」はロマンスという概念を追いかけているけど、「Gloria」はそれが確かなものになっていて、「Millionaires」はその良さを認めている。自分たちの人生を反映させている部分が大きいね。自分たちの人生の中で起こっていることに光を当てているんだ。
―1曲目の「Gloria」は恋に落ちる瞬間が歌われていて、次の「Millionaires」では金銭的に貧しくても未来への希望に満ちた2人の姿が歌われています。そしてアルバム後半の「Deep Diving」では、ある種の葛藤が歌われているように感じました。アルバム全体でひとつの物語が歌われているのかもしれないと思いましたが、実際のところはどうなのでしょうか?
ジャック:それは確かだね。曲がアルバムの中で時系列に並んでいる訳じゃないし、人生の中でまだ起こっていないことも取り上げているけど、みんな大抵の人に起こりそうな、共感してもらえそうな事柄なんだ。だからこそ「Deep Diving」のような曲を入れることも大事だった。いつかは誰もが受け入れないといけないような困難な状態を取り上げているからね。その状態をどうやって工夫して乗り越えていくかとか。あの曲も、このアルバムで取り上げている様々な感情のひとつなんだ。
―あの曲は、ちょっとミッドライフクライシスに通じるものがあるように思います。
ジャック:そうかも!(笑)
―あなたたちよりちょっと上の世代にも刺さるかもしれませんね。
ジャック:うん(笑)。
―アルバムのラストを飾る「Circles」は、本作の中でも一際壮大で感動的です。どのように生まれた曲なのでしょうか?
ジャック:あの曲にはすごく力を入れたよ。特にコーラス部分は……元々1stができた直後くらいに思いついたものだったんだ。ハードドライブに保存したままになっていて、しばらく忘れていて。でも今回掘り返してみて、「おっ、このコーラスはとてもいいな。でも何を意味しているんだろう?」と思ってね。それで、そのコーラスを中心にストーリーを組み立ててみたんだ。何を目指していたかというと、みんなそれぞれの人生があるけど、最終的には破滅に向かっていて……ほら、地球温暖化とか、核戦争が今にも始まってしまいそうとか。世界が滅亡した後の気持ちを想像してみたんだ。
―なるほど。そういう意味では、現代の社会的不安も反映されているんですね。
ジャック:もし世界が終わることになっているとしても、僕たちが一緒にいることが大事なんだ、カップルとして一緒に得たものが大事なんだ、みたいな気持ちをあの曲では形にしたいと思った。音的にはアルバムを締めくくる蓋になるようなものを作りたくて。最後にみんな手を高々と上げて聴くような。そういうエネルギーを目指して、具体的にどんな曲にするかを考えていった。最初はそんなにクレイジーなほどに色んな音が鳴っていなくても、終わりにはフルバンドで、ストリングスセクションもあって、強い幸福感を覚えるような感じになっているのが気に入っているよ。希望を感じられる形で終わって、僕も両手を上げたくなる。ポジティヴな雰囲気で終わりたかったんだ。
ミレニアル世代のギターバンドとして思うこと、来日公演に向けて
―先ほどアルバムタイトルの説明をしてもらいましたが、言うまでもなく『Millennials』とはスナッツがミレニアル世代であることも指していますよね。最近は良くも悪くもZ世代の動向や考え方にスポットが当たることが多いですが、あなたは自分たちがミレニアル世代であることをどのように捉えているのでしょうか?
ジャック:ミレニアル世代やZ世代は、困惑の時代に育ってこざるを得なかったような気がするんだ。テクノロジーが何なのかわかっていない状態から、それがすべての前面に立っている状態までを見てきたからね。僕が子供の頃は携帯電話を持っている人がほとんどいなくて、その携帯で写真を撮ることもできなくて、インターネットもあまり普及していなかったのを憶えている。でも僕たちは、そんなこれまでとはまったく違う時代を生きていかないといけなくなった。前の時代で通用したものが通用しないような……どの世代にも苦しい面があるのはわかっているけど、僕たち世代の苦しみは困惑から来ているものだと思うね。あまりにも多すぎる情報とどうやって付き合っていけばいいのかとか。だからミレニアル世代は今でも慣れていないというか、足元がおぼつかないんだ。それでいいとは思うけどね。
Photo by Michael Rankin
―最近はラスト・ディナー・パーティ、イングリッシュ・ティーチャー、ピクチャー・パーラーなど、イギリスで新人バンドが脚光を浴びることが多くなってきました。イギリスに暮らすあなたの実感として、ギターバンドに対する風向きが変わってきたような感覚はありますか?
ジャック:そうだね、オルタネイトギターミュージック全体にとって機会が増えてきている気がする。とてもワクワクするよ。ライブではボーイバンドでもガールバンドでもずっとうまくいっているというか、チケットもすごくよく売れているし、大きな会場でプレイするのもこっち(イギリス)ではずっと変わっていないんだ。ただ、ストリーミングサービスとかとは乖離していて、あまりサポートされていない気がする。ギターバンドはフィジカルな商品に頼っているところがあるからね。例えばイングリッシュ・ティーチャーとかラスト・ディナー・パーティみたいに最近成功しているバンドも、アルバムセールスの多くはヴァイナルやCDによるものなんだ。僕たちの1作目がナンバーワン、2作目が3位になったときも、大半がフィジカルの売上だった。ストリーミングサービスがもっとギターミュージックへのサポート体制を強化してくれたら、次の世代はすごく助かると思う。
―業界全体として、もっとやれることがあるんじゃないかと。
ジャック:ギターミュージックがポップスやR&Bなんかと渡り合うためには、もっとやれることがあると思う。でも何よりも僕たちが曲を作り続けて、みんなに伝わるものを作っていくことが大事なんだ。そうすれば僕たちが期待しているような状態になるだろうね。
―オリヴィア・ロドリゴやノア・カーン、ベンソン・ブーンのように、メインストリームのアーティストがロック的なサウンドを取り入れることが多くなったのはどのように感じていますか?
ジャック:全体的にいいことだと思うよ! ただ、それがそのアーティストにレッテルを貼ることになったら良くないなと思う。僕たちもギターバンドとして成長していく中で、その辺りは難しさを感じてきたからね。「君たちはギターバンドなんだから、あれをすべきだ、これをすべきだ」みたいなことを言われ続けてきたんだ。みんなが受けてきた全部の影響を活かすことができれば一番理に適っていると思う。あまりレッテルを貼ったり箱に入れたりしないで、自由な音楽の流れを作っておくのがいいんじゃないかな。
―では、音楽性、もしくはメンタリティの面で、スナッツが何かしらシェアしていると感じる同時代のアーティストを挙げるとすれば?
ジャック:僕たちより出てくるのが早かったと思うけど、クリエイティヴ面とかで共感できて大好きなのはボンベイ・バイシクル・クラブ。日本でどのくらい知られているのかはわからないけど、すごくクールなバンドだよ。メンバーが色々やっているサイドプロジェクトも好きなんだ。初めて見たバンドのひとつで、とても気に入ってる。ギターがヘヴィなバンドが人気だった時代に、もっとポップでオルタナティヴなものもやっていたんだ。だからそうだね、ボンベイ・バイシクル・クラブが答えになるかな。
―東京と大阪での来日公演が5月に決定しました。日本では初の単独公演となりますが、どんなライブを期待していいですか?
ジャック:日本にまた行けることになってすごくワクワクしているんだ。前回のサマーソニックがとても楽しかったからね! 自分たちでもびっくりするくらい大成功のショウだったよ。大阪と東京でやったんだけど、会場が超満員で。オーディエンスもすごくエネルギッシュで、反応が超良かったんだ。そんな風になるとはまったく予想もしていなかったよ。それまで行ったこともなかった場所でそんな経験をすると、早くまた行きたくてウズウズするんだ。またファンと思い出を共有したいね。待ちきれないよ。
―日本でのライブ、楽しみにしています。
ジャック:ありがとう! 僕たちも楽しみだよ!
ザ・スナッツ
『Millennials』
配信:https://thesnuts.orcd.co/millionaires
直輸入盤:2024年3月8日リリース
※直輸入盤のQRコード入り付属ステッカーを来日公演会場にお持ちになると、バンドからの特別プレゼント引換券となります。
ザ・スナッツ来日公演
2024年5月30日(木)大阪・Yogibo META VALLEY
2024年5月31日(金)東京・KANDA SQUARE HALL
詳細:https://www.creativeman.co.jp/event/the-snuts_2024/
◎The Snuts公式Discord 日本用チャンネル開設
最新アルバム『Millennials』のリリースを記念して、ザ・スナッツが公式Discord内に日本用チャンネルを開設。バンド・メンバーも参加し、日本のファンと直接コミュニケーションをとりながら、今後の日本でのバンドのコミュニティを構築していく。
※登録はこちら:https://discord.gg/thesnuts
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