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UMI来日ツアーが開幕 一人ひとりと密に繋がる「ハピネス」と「ヒーリング」に満ちた一夜

Rolling Stone Japan / 2024年4月3日 18時35分

Photo by Coliair

米シアトル出身のシンガーソングライター・UMIが全国4都市を巡る「talking to the wind tour」を開催。東京・京都・大阪・福岡と続く全国ツアーの初日となる4月2日に恵比寿リキッドルームを訪れた。

※以下、セットリスト等ネタバレあり

【写真ギャラリー】UMI来日ツアー ライブ写真

開演時間をしばらく過ぎた頃、パステル調でマーブル模様の衣装に身を包んだUMIが「こんにちは! みんな!」と元気よく登場。バックDJを務めるのはプロデューサーでもありパートナーでもあるV-Ronこと「ヴェロちゃん」である。日本人の母を持つUMIは終始日本語でMCをしてくれた。

まずは「wherever u r [Meditation]」のトラックに合わせ、目を閉じてリラックスした状態で深呼吸を5回ほど行う。吸って、吐いて、吸って、吐いて……。会場全員で呼吸を整えてから始まったのは「why dont we go」だ。「ワッワー!フー! アー!」という調子でコール&レスポンスを駆使して一気にフロアを温めていく。「Love Affair」は一際人気でシンガロングも自然と起こっていた。

UMIはステージを右から左まで忙しなく動き回って満遍なくオーディエンスに声を出させる。一人ひとりと繋がるために全力を尽くすのだ。


Photo by Coliair


Photo by Coliair

曲が終わると「今日お誕生日の人いますか?」と尋ね、手が挙がるとハッピーバースデーの歌を全員で合唱。と、ここまでは色々なライブでたまに起こることだが、UMIはさらにここで調子を上げてもう一曲スティーヴィー・ワンダーの「Happy Birthday」を歌っていた。大きな水色の水筒で水を飲み、早く飲み過ぎてむせてガハハと笑うのもチャーミングだ。天真爛漫とはUMIのことだろう。かと思えば「日本に帰ってくるたびに会場も大きくなって、広まってるんだなぁ」と感慨を口にしたりと、とても感情豊かだ。


Photo by Coliair

この日のUMIは毎回タイトルコールをして、それぞれの楽曲について説明をしてくれた。最新EP『talking to the wind』は、外に出て「ごちゃごちゃ」した頭をクリアにする感覚がテーマだという。そのMC中はヴェロちゃんが背後でギターをしっとりと弾いており、親密なムードが途切れないのも素晴らしい。UMIはオーディエンスと心から通じ合いたいと思っているし、どのようにライブを構成すればその想いが伝わるのかを考え抜いている。

「良いことについて考えすぎない、今が良ければ全て良いって曲です!」と述べると、ドリーミーな「happy im」でフロアに暖かい風を吹かせる。「大事な人とハグしてください!」と伝えたUMIはDJブースに駆け寄り、ヴェロちゃんとハグしてほっぺにキスをした。ステージの上にはハピネス以外存在しないのだ。


Photo by Coliair

ここから3曲はアコースティックセットだ。「Mother」はEarth Day(毎年4月22日、地球環境についてそれぞれのやり方で考えて行動する日のこと)について考えて作ったのだという。深く息を吐いてからヴェロちゃんの演奏に合わせて歌声を響かせる。気分が乗ったUMIは突如「今日のテーマはカラオケ!」と宣言。披露されたのはSZAの「Snooze」で、SZA特有の甘い歌声を的確に捉えた完璧なカバーで、フロアでも多くの人が口ずさんでいた。

UMIは一人ひとりとの交流に熱心だ。挙手した人を当て、一人ひとりの名前を呼びながら「好きな色は?」などの質問をする場面もあった。また、曲を書くときはまずスタジオでフリースタイルをすることが多いというUMIは、「私と一緒にフリースタイルしたい人〜!」と呼びかける。手を挙げた6名がステージに上がると、ヴェロちゃんがビートを流し、一人ずつに8小節のパフォーマンスタイムが与えられた。ラップしたり歌ったりダンスしたりと、まさにフリースタイル。それに合わせてUMIが歌ったり踊ったりとサポートしていたのもハートフルだ。

あらゆる聞き手を肯定する「UMIヴァイブス」

最新曲「wherever u r」はBTS・Vのパートも歌いつつ、全員で深呼吸して締めた。「Butterfly」では握りしめた手を高く挙げ、そこに嫌なことを集めて投げ捨てる!という楽しいアクティビティを全員でやった。

「自分の中の子ども、インナーチャイルドを出してくれますか?」と呼びかけ、その場の全員で「ギャー!」と叫んでから、「whatever u like」が始まる。しゃがんでからのジャンプ、クラップ、ウェーヴ、そしてまた「ギャー!」と叫ぶ。「全身を使って人生を楽しむ」というメッセージを受け取ったように思った。それを示すように「SHOW ME OUT」ではUMIがキレのあるダンスも披露していた。


Photo by Coliair

最後も瞑想タイムだ。全員が目を閉じてステージに向けて手をパーの形に開く。そして、UMIの「ありがとう」を何度も聴いた。「毎朝起きてくれてありがとう、生きててくれてありがとう、UMIの音楽を見つけてくれてありがとう」。このときばかりは筆者もメモの手を休めて集中していたが、思わず涙が出そうになった。

「楽しかったなぁ〜! これがUMIヴァイブスです。UMIの世界に来てくれてありがとう」と言って笑顔で退場するも、期待に応えてすかさず「もう一曲しましょう!」と再登場。アンコール曲は「Pretty Girl hi!」だ。オーディエンスの掲げるレインボーフラッグを受け取って笑顔で振っていたのも印象的だった。

終演後にオーディエンスの表情を見回してみると、そこには清々しい笑顔ばかりだったが、中には涙する人もいた。UMIは終演後もひょっこりステージに出てきて「ありがとー!」と叫んでいた。


Photo by Coliair

この日、UMIから大事なことをたくさん教わったように思う。「Remember Me」のあとには、「今日みんなが来てくれたのはcoincidence(偶然)じゃなくて意味があるものだよ」という力強いメッセージを届けてくれた。口で言うのは簡単だが、UMIは一人ひとりと密に接するためにメジャーレーベルを辞めてインディーで活動している行動で示すアーティストなのだから本気さが伝わってくる。そして、底なしの陽性ヴァイブスも決して単純なものではない。日米のどちらにもルーツを持つがゆえのアイデンティティの揺らぎに葛藤しながら、その両方を受け入れてきた彼女の歌と表現には、あらゆる聞き手を肯定する多様なグラデーションの美しさが感じられた。UMIの音楽活動の原点は「人生の新しいチャプター」への緊張を解きほぐしてくれたメディテーションとの出会いにあるという。会場には新生活を迎えた人々も多くいたことだろう。こわばった身体をしっとりと解きほぐしてくれるような、かけがえのない一夜だった。

【関連記事】UMIがヒーリングと音楽を掛け合わせる思想的背景、BTS・Vや星野源からの学び



UMI日本ツアーセトリプレイリスト
https://umijp.lnk.to/TTTWTOURSETLISTRS


UMI talking to the wind tour Japan 2024
2024年4月2日(火)東京・恵比寿LIQUIDROOM
2024年4月5日(金)梅田クラブクアトロ
2024年4月7日(日)福岡・BEAT STATION

”A Special Meditation Experience with Umi” in KYOTO
※メディテーションイベント+グループ写真撮影
2024年4月4日(水)京都・両足院

ツアー詳細:https://www.creativeman.co.jp/event/umi24/


UMI
『wherever u r 【Versions】』
配信:https://umijp.lnk.to/whereverurremixRS


UMI
『talking to the wind』
配信リンク:https://umijp.lnk.to/TalkingToTheWindRS

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