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aikoが語る、最新シングル「相思相愛」とカップリング曲への想い、レコード体験

Rolling Stone Japan / 2024年5月15日 21時0分

aiko

昨年3月にアルバム『今の二人をお互いが見てる』を発表、全国ホールツアーを開催。今年1月から3月にかけてアリーナツアーを行うなど、デビュー25周年を経て、さらに精力的な活動を続けているaikoからニューシングル「相思相愛」が届けられた。表題曲「相思相愛」(劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』主題歌)、そして「まさか夢」「あなたは優しい」を含む本作のクリエイティブについてaiko自身に語ってもらった。

―ニューシングル「相思相愛」のタイトル曲は、劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』主題歌。オファーがあったときはどう感じましたか?

aiko:びっくりしましたし、とっても嬉しかったです。初めてお話を聞いたときは「え、ホンマに私?」って何度も確認して(笑)。私でいいのかなというプレッシャーもあったんですが、その何倍もすごく嬉しかったです。「名探偵コナン」のファンの皆さんって、すごく愛が深くて。私のアリーナツアーにコナンくんのコスプレで来てくれた方がいたり、映画のスタッフの皆さんも作品に対する愛が強くて、(制作陣とファンの間で)愛が愛で返ってきている感じがしてとっても素敵だなと思いました。



―「相思相愛」は〈あたしはあなたにはなれない なれない/ずっと遠くから見てる 見てるだけで〉というフレーズではじまります。

aiko:この曲が出来たのは家で昨年11月にリリースしたシングル「星の降る日に」を作っているときだったんですよ。家でデモ音源を録っていて、弾き語りのピアノを何度も間違えてなかなか上手くいかなくて。休憩でリビングにお水を取りに行ってピアノがある部屋に戻ろうと廊下を歩いていたら、「あたしはあなたにはなれない」という歌い出しのメロディと歌詞が浮かんできて。歌詞のままなのですが、大好きな人を想うことはできても、自分はその人にはなれないという憧れの気持ちが曲になりました。

―フレーズが降りてきた、と。そういうことは多いんですか?

aiko:どうだろう? でも、いつも「曲が思い浮かびますように」と思ってるんです。新しい曲を作ったら、すぐに(次の曲に向けて)スタートを切らないと焦っちゃうので。「相思相愛」もそういう感じでした。最初にフレーズが出来て、「これを歌い出しにしたいな」と思って。そこから全体を作っていきました。

―アレンジはトオミヨウさん。デモが出来た時点で、トオミさんにお願いしようと決めていたんですか?

aiko:その時点ではまだ考えてなかったです。まずはスタッフの方に聴いてもらって、話し合ってその後トオミさんにお願いしました。シンプルな曲なので、いろんなアレンジの方向性を考えてくださったと思います。トオミさんも普段より時間をかけて考えてくれて。デモのときはバラードだったんですが、トオミさんが「少しテンポを上げてみませんか?」と提案してくれたんです。そのことによって楽曲の印象が変わったし、前向きな曲になったのかな、と思います。

―アレンジャーの方の発想によって曲の雰囲気が変化することもあるんですね。

aiko:ありますね! 島田昌典さんもそうなんですけど、私が頭のなかで想像していたものとは違うアレンジを上げてきてくれて、「めっちゃ好き!」みたいな。凝りかまったイメージを解いてくれるというのかな。テンポはもちろんですけど、ちょっとした音色やフレーズによって、和食がイタリアンになるくらいの変化が生まれるんです。……例え方が下手くそなんですけど(笑)。「相思相愛」はまさにそういう曲というか、思ってもみないアレンジになって。ドラムロールで始まるのもすごく好きです。


カップリング曲の制作舞台裏

―カップリング曲についても聞かせてください。まずは「まさか夢」。

aiko:”正夢”と”逆夢”を合わせて「まさか夢」です(笑)。夢って、そのときに気にしていることや寝る直前に目にしていたものが出てきたりするじゃないですか。夢に出てくると「やっぱり気になってるのかな」「ということは好きってことかな」って思ったり、起きてからも引っ張られることがあって。現実なのか夢なのかわからなくなる瞬間もあって、「なんやろう、この感じは?」っていう。モヤモヤしてたらまた変な夢を見ちゃうし……みたいなことを歌詞にしてみました。歌詞は自分の頭のなかをグルグル巡ってるような曲なんですけど、歌うと気持ちいいんですよね。とぐろを巻いているのではなくて、ハムスターが回し車のなかを走ってるような感じです。



―アレンジも個性的ですよね。オルタナロック的なギターだったり、裏打ちのリズムが挿入されたり、いろいろなギミックが散りばめられていて。アレンジは川嶋可能さん(aikoの「恋をしたのは」「58cm」などの編曲を手がけたクリエイター)ですね。

aiko:今年のツアー(5年ぶりのアリーナツアー「Love Like Pop vol.24」)で川嶋さんがアレンジしてくださった曲をやるにあたって、久しぶりに連絡を取らせてもらったんです。いろいろと確認した後、川嶋さんが「ライブに行ってもいいですか?」と言ってくださって。ライブ終わりに久しぶりにお会いしたら、ぜんぜん変わってなくてお元気そうで。そのあとに「まさか夢」のアレンジをお願いしたんですけど、まさに川嶋サウンドという感じの曲になりましたね。

―演奏するのも楽しそうですね。

aiko:すごく楽しかったです! レコーディングに参加してくれたミュージシャンの皆さんも「ライブでも楽しめそうですね」って言っていただいて。ライブをイメージしながら演奏してくれたのもうれしかったですね。

―「あなたは優しい」の制作はどんなふうに進んでいったのでしょうか?

aiko:この曲は少し前からあって、前に出したアルバムに入れようと思ってたんです。アレンジはトオミさんにお願いしてたんですけど、アルバム全体のバランスを考えたときに「アップテンポの曲を入れたいな」と思って、(「あなたは優しい」は)温めていたんです。今回「もう1曲のカップリング、どうしようか?」という話になったときに「『あなたは優しい』がいいよね」ってことになって。改めてトオミさんにお伝えしたら、「僕、こんな攻めたアレンジしてたんですね。ブラッシュアップします」ってさらに手を加えてくださったんです。基本は変わってないんですけど、いろんな音色が加わって、キラキラしたものが増えた感じがします。レコーディングのときは「スタジオの部屋鳴りも入れたいね」ということになって。普段はそれぞれ別のブースに入って演奏するんですけど、この曲のイントロはバンドメンバーの皆さんが同じ部屋で録ってます。



―〈そして泣けてくるほどあなたは優しい〉という歌詞も印象的でした。すごくストレートですね。

aiko:そうですね。何て言うか、私はフィルターをかけて人を見てしまうところがあって。若いときは「男の人は最後には裏切るんやろ?」なんて思ってたし(笑)。でも、本当に優しい人っているんですよね。恋愛に限らず、ちゃんと向き合ってくれる人っているんだなって。

―リスナーそれぞれの経験とも重なる、素晴らしい曲だと思います。いつも思いますけど、aikoさんのシングルのカップリング曲は本当にいい曲ぞろいだなと。

aiko:やった! ありがとうございます!ずっと聴いてくださる皆さんが(カップリング曲を)楽しみにしてくれていて。「いい曲を入れたい」って当たり前なんやけどいつも思っているし、逆に力みすぎずに作れるのもカップリング曲で。アルバムを作るときはまた違う感覚だし、制作してて楽しいんです。どの曲もそうなんですけど、レコーディングの雰囲気もすごく良くて幸せです。

―最後に、昨年7月からはじまったアナログレコード化企画について。同時購入特典のアナログBOXはしっかりとした作りで、BOXに付いていた【ご使用上の注意】もaikoさんらしくて笑ってしまいました。aikoさん、チームaikoのものづくりへのこだわりが感じられる企画だったと思いますが、この企画の発端やエピソード、aikoさんの思いなどがあればぜひ聞かせていただきたいです。

aiko:以前から「レコード出したいね」という話はしてたんですよ。「聴いてくれる人いるかな?」って少し不安だったんですけど、最初のアルバム(1stアルバム『小さな丸い好日』)がレコードになったときに、めっちゃ嬉しくて。「アナログBOXも作りたいね」と以前から話してたんですけど、レコード4枚入れるとけっこうな重さになるんですよ。

―しかも180g重量盤ですからね。

aiko:そうなんです。重さに耐えられて、形が崩れないものを作ろうと思ったら、ごにょごにょなんですが、かなり予算もかかって。でも、レコードが好きな方って、レコードを大切にされるじゃないですか。なので「しっかり収納できて、それを見るだけでいろんなことを思い出してもらえるようなボックスにしよう」ってみんなでがんばって作りました。”注意書き”については、今までも全部のグッズにひとつひとつ違う注意書きの文章を書いてきたんです。たとえばタオルだったら「あなたのことを包む気満々なので、ボロボロになっても大切にしてやってくださいね」とか。なので(注意書きは)通常営業ですね。スタッフの皆さんと「こんな文章どう?」って楽しく書いてます(笑)。

―グッズを手にしたファンの方はすごくうれしいですよね。aikoさんのレコード体験についても教えてもらえますか?

aiko:初めて買ってもらったレコードはワム!の「フリーダム」ですね。小学校2年か3年だったんですけど、カセットテープのCMで流れていて、親にねだって買ってもらいました。光GENJIのレコードも持ってましたね。もっと小さいときはコロムビアのテントウ虫レコードプレイヤーでピンクレディや聖子ちゃんのレコードを聴いてました。アニメソングのソノシートも集めてました。

―今のレコードを聴くことはありますか?

aiko:普段はCDを聴くことが多いですが、せっかくアナログ盤を作っていただいたので、自分のレコードを聴いてます! いつでも聴けるサブスクも好きだけどレコードも素敵です。CDはもちろん大好きです。

<INFORMATION>


『相思相愛』
aiko
ポニーキャニオン
発売中

01.相思相愛
02.まさか夢
03.あなたは優しい
04.相思相愛(instrumental)

配信サイト
https://aiko.lnk.to/soushisouai58

CDのご購入
https://aiko.lnk.to/45thSG

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