POP YOURS総括、LEXとTohjiがヘッドライナーを務めた3回目の最前線
Rolling Stone Japan / 2024年5月25日 11時47分
国内最大規模のヒップホップフェス『POP YOURS 2024』が5月18、19日に千葉・幕張メッセ国際展示場9-11ホールで行われた。オフィシャルレポートを掲載する。
【画像】『POP YOURS 2024』ライブ写真(全87枚)
昨年BAD HOPが解散発表をしたことで、”何かが起こる”見逃せないフェスというイメージがついたのか、チケットは一般発売で即完売。3回目となる今年は、LEXとTohjiがヘッドライナーを務め、LANA、Watsonといった実力ある若手アーティストを中心に、シークレットで出演したYENTOWNや千葉雄喜のショットライブ、スペシャルアクトのOZROSAURUSなど、日本のヒップホップをリードするヴァラエティー豊かな43組がラインナップされた。会場には2日間合計で35000人が来場、また公演の模様は今年もYouTubeで生配信され、総視聴者数は56万人、視聴回数は160万回を記録した。
DAY1はオープニングDJのMARZYが空気を作り、午前中からKviBaba、Lunv Loyal、Yvng Patraと実力者が目白押しで、開演直後から大きな歓声と合唱で会場が包まれた。毎年スターを輩出している「NEW COMER SHOT LIVE」には、広島のJAKEN、名古屋のクルー・L.O.S.T、Abemaの人気オーディション番組「ラップスタア 2024」への出演で話題のKohjiyaらが登場した。お昼帯には、VTuberとしても人気が高いピーナッツくん、強烈なリズム感とスキルで存在感を放ち続ける鎮座DOPENESSが観客を惹きつけた。MFSはダンサーたちとスタイリッシュなステージを作り、Bonberoは高速ラップで観客を魅了した。Benjazzyが客演した”B2B”ではすさまじい歓声が沸き起こった。Red Eyeは”悪党の詩 Remix”でD.Oを招き、ライブの最後には2025年に自身初の武道館公演の開催を発表した。
ピーナッツくん photo by Yokoyama Masato
Bonbero photo by Jun Yokoyama
JUMADIBAは満員の幕張メッセでも、いつも通りの飄々とクールなフロウを聴かせた。観客ともしっかりとコミュニケーションを取って、内に秘めたエモーションをラップで伝えることを楽しんでいるようにも見えた。続くOZworldは大舞台映えする壮大な世界観を見せた。”ゴジラのテーマ”を公式サンプリングした”RISE TOGETHER”ではAIも呼び込んだ。その後、kZm、PETZ、JNKMN、Awich、Money Horse、U-LeeがYENTOWNとしてシークレットで出演。新曲”不幸中の幸い”やそれぞれの代表曲をメドレーで歌った。STUTSはスチャダラパーをフィーチャーした新曲”Pointless 5 (feat. PUNPEE)”などを披露した。JP THE WAVYはラップとダンスを完全に融合させた、非常に完成度の高いパフォーマンスで、彼が音楽と真摯に向き合っていることが伝わってくる。マイクを握りながら、自身もキレのあるダンスを見せた。LANAは圧巻だった。20歳とは思えない規格外のスケール。借り物ではない完全なオリジナル。日本産のソウルとブルースを体現した。
LANA photo by Yokoyama Masato
JJJは魂がこもったスピットで観客の心を鷲掴みにした。韓国の人気ラッパー・BLASÉ、Bonberoと制作した”YW”をはじめ、MFSとの”Mirror”などを歌った。”Beautiful Mind”ではJJJのラップにフィールした観客たちが自然とスマホライトを点灯させるシーンも見られた。KEIJUはtofubeatsとの”Lonely Nights”からはじまり、BADHOPのG-K.i.d、guca owlとの”Day N Night”などキラーチューンを連発して場内のテンションを上げに上げつくした。OZROSAURUSは日本語ラップクラシックの”Area Area”、そして”Players' Player”といった楽曲で貫禄を見せつけた。長年シーンでリスペクトされ続けるには理由がある。重厚感ある言葉とラップはまさにスペシャルだった。演出は山田健人が行った。
LEX photo by Daiki Miura
DAY1ヘッドライナーのLEXは1曲目の”Gold”で宙吊りになり、LEDモニターに映し出された巨大な蝶の羽とシンクロ。フライングする演出で観客の度肝を抜いた。盟友・JP THE WAVYとの”なんでも言っちゃって”、5lackとの”5xL”、KEIJUとの”Psychedelic”、”Mama's Boy”、そして妹のLANAと”明るい部屋”を届けた。繊細さと大胆さを併せ持つ天才。音楽活動を通じてようやく22歳らしい溌剌さを手にいれることができたと感じさせる感動的なステージだった。
DAY2はnasthugのエネルギッシュなDJで幕開けし、Kaneee、7、Campanellaといったバラエティー豊かな才能たちが躍動した。バイブス満タンで会場にやってきた観客たちは、今日も午前中から大合唱でアーティストたちを迎え、お昼の「NEW COMER SHOT LIVE」にはCFN Malik、taro、swetty、lil soft tennisが登場した。ピンクのウィッグをかぶったElle Teresaはセクシーでスタイリッシュなダンサーたちとパフォーマンス。”Boss Bitch”では7とともにフロアを沸かせた。ラップ好きの男子と女子たちは、続くDADAのダークで攻撃的なドリル”Satsutaba”でも熱狂した。
午後は洗練されたDaichi Yamamotoから。JJJと制作したアルバム『Radiant』からMVが公開されたばかりの”ガラスの京都”などを聴かせた。SIRUPはグルーヴィンな楽曲と共に真摯なメッセージも届けてくれた。次は情熱的なkZmの出番。スマホライトでいっぱいになった幕張メッセに向けて”Dream Chaser Remix”、”DOSHABURI feat. JUMADIBA”、”Forever Young”をぶちかました。さらに『POP YOURS』が企画したKMプロデュースによるKaneee、Kohjiya、Yvng Patraの話題曲”Champions”の初ライブも行われた。
Champions photo by Yokoyama Masato
CreativeDrugStore photo by Miyu Terasawa
CreativeDrugStoreのタイトなマイクリレーは圧巻だった。BIM、VaVa、in-d、JUBEE、dooooとソロで活躍する彼らは、9月に日比谷野外音楽堂公演の開催も発表した。夕方に向かうこの時間帯は、昨日も客演で大活躍したtofubeatsが水星”でダンスさせたかと思えば、Yo-Seaは透き通る歌声で観客を癒しながらも高揚させる。
Watson photo by Daiki Miura
幕張の大舞台が似合う男・Watsonの登場から長いクライマックスがスタートする。徳島出身のワーキングクラスヒーローはもはや全曲で大合唱が起こる。一方で都会のクールネスを突き詰めたIOもMonyHorseとの”City Of Dreams”や”TOKYO KIDS”でぶち上げる。サンプリングされた美空ひばりすらもみんなが歌った。爆発寸前まで高まったテンションでJin Doggが”BLUE feat. PETZ”、そして”街風”を叩きつける。そしてYoung Cocoと”チーム友達Dirty Kansai Remix”に流れ込んで、話題の千葉雄喜が満を持して幕張に。あふれんばかりのチーム友達と契りを交わした。そしてその雰囲気をものともしなかったralphとguca owlに感嘆した人も多いだろう。2人はともに違うスタイルだがそれぞれのストイシズムを発揮したショウを見せてくれた。
Tohji(Photo by Miyu Terasawa)
頂点のさらに上まで高まった状態でDAY 2ヘッドライナーのTohjiへ。前半のダークで硬質な『KUUGA』モードから、Elle Teresaとの”GOKU VIBES”、 kZmとは”TEENAGE VIBE”、Mall Boyz”Higher”といったハイエナジーなラップソングで幕張全体を踊り狂わせた。日本における現在の”ヒップホップ”とは、特定のサウンドやスタイルを表現する言葉ではない。サブスクリプションネイティブ世代にとっては、派生したサブジャンルとカルチャーを包摂した意味合いを持っている。『POP YOURS』はフェスというフォーマットを用いて、ヒップホップの多様化をキュレーションしてみせた。
DAY1のLEXはロック的であり、DAY2のTohjiはレイヴ的だった。だが彼らはともに紛れもなくヒップホップだった。43組すべて異なる個性を持ち、最高のステージを見せてくれた。会場に足を運んだ人たち、YouTubeの生配信を観ていた人たちは、日本のヒップホップの最前線で起こったクリエイティブな事件をエンタメとして目撃した。多くの人が思ったはずだ。来年の開催が今から待ち遠しい、と。
文・宮崎敬太
<開催概要>
POP YOURS 2024
2024年5月18日(土)・5月19日(日)幕張メッセ国際展示場9〜11ホール
時間:開場10:00 / 開演11:00
出演者:
DAY1:5月18日(土)
LEX
Bonbero
鎮座DOPENESS
JJJ
JP THE WAVY
JUMADIBA
KEIJU
Kvi Baba
LANA
Lunv Loyal
MFS
OZworld
ピーナッツくん
Red Eye
STUTS
YENTOWN
Yvng Patra
Special Act: OZROSAURUS
NEW COMER SHOT LIVE
JAKEN
Kohjiya
L.O.S.T
OP DJ MARZY
MC MARZY, SAKURA
(AtoZ)
DAY2:5月19日(日)
Tohji
Campanella
CreativeDrugStore
DADA
Daichi Yamamoto
Elle Teresa
guca owl
IO
Jin Dogg
Kaneee
kZm
7
ralph
SIRUP
tofubeats
Watson
Yo-Sea
千葉雄喜 -チーム友達Shot Live-
NEW COMER SHOT LIVE
CFN Malik
lil soft tennis
swetty
taro
OP DJ
nasthug
MC
MARZY, SAKURA
(A to Z)
主催:株式会社スペースシャワーネットワーク
制作:SMASH / HOT STUFF PROMOTION / WWW
後援 : FNMNL
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
Bonbero、1stアルバムのアートワークとトラックリスト公開
Rolling Stone Japan / 2024年11月15日 18時0分
-
「THE HOPE 2024」から見えた傾向と展望 変わらないものと変わりゆくもの
Rolling Stone Japan / 2024年11月13日 17時30分
-
LANA、自身初の日本武道館公演開催を発表
Rolling Stone Japan / 2024年11月13日 12時0分
-
世田谷の新生NEXT KANDYTOWNとも称される期待の新人ivu鬼を迎え『NEW WAVE NEXT』第3弾が沖縄「JAPAN NO.1 HIP HOP NIGHT CLUB EPICA」にて11月3日(日)開催決定!!
@Press / 2024年10月30日 14時30分
-
先月9月にJJJ氏を迎えた最新シングル「Bro feat. JJJ」を発表したOMSB。新たにVaVaがラップ参加し 「Bro(V-GOD Remix)feat. JJJ & VaVa」の配信が決定。
PR TIMES / 2024年10月26日 10時45分
ランキング
-
1柳葉敏郎「暴れまくっていた」ドラマロケ地で謝罪「ぐちゃぐちゃにして帰ってしまいまして」
スポニチアネックス / 2024年11月24日 16時14分
-
2篠原涼子・市村正親の長男が警察ザタ!三田佳子の二男ら“お騒がせ2世”化を危ぶむ声も
女子SPA! / 2024年11月24日 15時47分
-
3上沼恵美子 PayPayの衝撃のチャージ額明かす スタジオ驚がく「30万でドキドキします!?」
スポニチアネックス / 2024年11月24日 15時57分
-
4水卜ちゃんも神田愛花も、小室瑛莉子も…情報番組MC女子アナ次々ダウンの複雑事情
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月24日 9時26分
-
5黒木メイサ 薄すぎる?メイクで新たな魅力発見「吸い込まれそうな瞳」「10歳は若く見える」と変化に驚きの声続々
スポーツ報知 / 2024年11月24日 19時29分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください