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チョーキューメイが語るTikTokバズから次へのステップ、ビルボードライブと横浜への想い 

Rolling Stone Japan / 2024年6月27日 17時0分

Photo by Miu Kubotera

Billboard Live YOKOHAMAは2020年のオープン以来、横浜随一の音楽スポットとして愛されてきた。みなとみらい線「馬車道」駅直結の好アクセス、美味しい料理やお酒も楽しめる世界標準のライブレストラン。海外の超一流はもちろん、新進気鋭の邦楽アーティストも独自にブッキングし、若年層のオーディエンスも日々詰めかけている。今回は新企画『Live Heatseekers』でビルボードライブ初出演を果たしたチョーキューメイに密着。「貴方の恋人になりたい」のバイラルヒットで飛躍を遂げた4人組に、ヴェニューと横浜への想いを語ってもらった。


偶然のアイデアが生んだ大ヒット

ビルボードライブとNTT DOCOMO Studio & Liveが共同開催する新企画『Live Heatseekers』。このイベントは、急上昇中の新人アーティストが集まる「Billboard JAPAN Heatseekers Songs」チャートから、まさに次のステップへと駆け上がろうとしている注目アーティストが毎回出演する。今回の第1弾として選ばれ、5月11日にBillboard Live YOKOHAMAでライブを行ったのは、2020年に結成された4人組バンド、チョーキューメイである。

落語の「寿限無」が由来のユニークな名前を持つ彼らは、麗(Vo)、れんぴ(Key)、藤井ごん(Ba)、空閑興一郎(Dr)からなるバンドである。彼らの1stフルアルバム『するどいささくれ』(2022年)に収録された「貴方の恋人になりたい」は、TikTokを中心にバイラルヒットを果たし、日本だけでなくアジア全体にリスナー層を広げた。前述の「Billboard JAPAN Heatseekers Songs」チャートでは通算5回の首位を獲得している。

麗:高校を卒業して、音楽の専門学校に入る予定だった2020年にコロナ禍になってしまい、なかなか学校へも行けない中、とにかく音楽を発信する状況が欲しくてメンバーを集めたのがバンド結成の経緯です。れんぴは高校時代の先輩で、一緒にバンドを組んでいた時期もありました。空閑は、下北沢DaisyBarのブッキング担当に「誰かいい人いませんか?」と相談したところ紹介してもらい、高校時代の同級生で同じ軽音楽部だった藤井ごんは、最初のベーシストが抜けた後に加入して今の編成になったという感じです。


左かられんぴ(Key)、麗(Vo)、藤井ごん(Ba)、空閑興一郎(Dr)

チョーキューメイは、それぞれが異なる音楽的ルーツを持っている。麗はボカロやamazarashiに影響を受け、れんぴはフュージョンやR&B、エレクトロ、メタルなど幅広いジャンルを聴いて育った。藤井はアニソンを中心にボカロなどを好み、空閑は中高時代に吹奏楽部でクラシックを経験した後、さらにフュージョンやファンク、エレクトロなど様々な音楽を吸収してきた。

麗:曲の作り方はいろいろです。例えば「心を照らせ!」は、まずビートを決めてからコードやメロディを考えた曲の一つ。でも、大抵は私がギターの弾き語りで作って(スタジオに)持ち込むパターンが多いですね。

れんぴ:アレンジは、セッションしながら固まっていくこともあります。リハスタで、曲の合間など各々が自由に演奏していたら、それを例えば麗が「それ、いいな」と思って録音して、家に持ち帰ってメロをつけてくるとか。

藤井:自分は専門学校でジャズを一応学んでいたので、セッションのときなどその経験が生かされているのかなと思います。



バイラルヒットを記録した「貴方の恋人になりたい」は、麗が2021年の冬ごろに弾き語りで作っていたアイデアが元になっている。彼らがこの曲に着手したのは、アルバム『するどいささくれ』の制作時期で、曲数を埋めるためにストックから引っ張り出し、シンプルかつリズミカルな方向でリアレンジを施した。サビはBメロを1オクターブ上げただけの潔さが特徴だ。

麗:Bメロがいい感じだったんだけど、サビがなかなか思いつかなくて。だったらそのままオクターブ上げてみよう、という話になって。とにかく急いでいたし、こういうのは難しく考えずにシンプルにやったほうがいいよね、って(笑)。

サビの後、突然リズムがサンバ調に変化するのもユニークで、これもセッション中の遊び心から生まれたアイデアである。

空閑:サビが3回もあって全部一緒なのはくどいなと(笑)。スタジオでの作業もだんだん飽きてきたので、とりあえずサンバキック踏んどけ、みたいな感じでふざけたら、れんぴがそこに乗っかってきて、ジャズを通っているごんだって黙っちゃいないじゃないですか。



こうして生まれた偶然のアイデアを積極的に活かすことで、彼らの音楽性はユニークで独創的なものとなっている。

麗:もし私が1人DTMで音楽を作っていたら、ここでサンバのリズムを入力しようとは思わないでしょうね(笑)。バンドとして4人揃ってスタジオに入って曲を作る意味を見出すためには、メンバーそれぞれの遊び心を積極的に取り入れていきたいですね。

「ヒット曲を生み出そう」と狙ったわけではなく、肩の力を抜いて作った楽曲が世界中で聴かれている現象について、彼らは次のように語る。

れんぴ:リリースしてからTikTokなどで話題になるまで1年ほどかかっているんですよ。なので、まさかここまで話題になるとは正直思っていなかったですね。ありがたいことだなと思いますし、良い曲なら後からでも気に入ってもらえるのだなと感じました。

麗:この曲が話題になったおかげで、フェスなどに呼んでもらう機会も増えたし、今回のビルボードライブ出演もそうです。今までの自分たちの活動範囲を超えて規模が大きくなってきている気がします。

藤井:この曲をきっかけに、ほかの楽曲を聴いてもらえる機会が増えたことも嬉しいです。


2024年5月11日、Billboard Live YOKOHAMAにて(Photo by Kei Iwata)

サブスクやストリーミングが普及した現代において、たとえリリースから時間が経っても良い曲であれば発掘されやすい状況になっている。ネクストブレイク楽曲にフォーカスした「Billboard JAPAN Heatseekers Songs」は、無名のニューカマーをリスナーが見つけ出すのに一役買ってくれる。

れんぴ:サブスクの「おすすめ」に上がってきた楽曲から、全然知らなかったアーティストの曲に出会える機会が増えています。以前は友達にいい曲を教えてもらっても、TSUTAYAへ行って血眼になって探していましたけど(笑)、今はサブスクで検索すればすぐ聴けるのはありがたいです。

麗:私はTikTokを見るのが好きで、無名のアーティストでも「いい曲だな」と思ったらすぐShazamして後でしっかり聴きます。自分がそうやっているように、私たちの曲も誰かに見つけてもらえると思っています。

特別な場所に、特別なセットリストで

チョーキューメイの『Live Heatseekers』出演にあたり、筆者は第1部公演に足を運んだ。神奈川出身の麗にとって「横浜」は特別な場所である。

麗:私は今も神奈川に住んでいて、特別な理由がない限りここから出るつもりはありません。地元の友達がまだたくさんいますし……これは重要なポイントですね(笑)。横浜も思い出がいっぱいです。高校時代には友達とよく遊びに行きました。横浜駅を降りて赤レンガ倉庫まで歩くというお散歩コースは結構遠いんですが、それがまた楽しいんです。


Photo by Kei Iwata

『Live Heatseekers』出演にれんぴは、「じっくり聴き込めるような、『こんなチョーキューメイの表情もあるのか』と思ってもらえるようなセットリストにしたい」と意気込みを語ってくれた。その約束を果たすかのように、この日のライブは普段のそれと一味違う、ディープでマニアックな楽曲を中心としたセットリストが組まれていた。

例えば「湖が見えた!」では、人力ドラムンベースにピアノの高速連打が重なり、パントマイムのような手振りを交えた麗のボーカルを煽りまくっていた。かと思えば「promise you」では、生き急ぐような4つ打ちのキックとつんのめるようなアルペジオが絡み合い、切ないコード進行が延々とループされていた。また、彼らの代表曲「心を照らせ!」では、ギターを背中に背負いながらバイオリンを弾く麗の姿が印象的であった。


Photo by Kei Iwata


Photo by Kei Iwata

麗:私、5歳から15歳までの10年間バイオリンを習っていたことがあって。そのことを、チョーキューメイの初ライブ3日前に思い出したんです。それをメンバーに話したら「ライブで弾いたらいいんじゃない?」って。急遽インストの曲を作って披露したのが最初のきっかけ。でも、それを推したいわけでは全然ないんですよ(笑)。バイオリンを弾くよりも歌うことやギターを弾くことのほうが好きだし、ライブでの「お楽しみ」くらいの感じで思ってもらえたらいいのかなと思っています。

なお、この日は「心を照らせ!」にちなんでチョーキューメイによる同名のオリジナルカクテルも用意されていた。梅酒、オレンジ、パインなどを合わせた爽やかな飲み口で、多くの観客がその味に魅了されていた。


公演限定オリジナルカクテル「心を照らせ!」

「リインカネーション」では、ハチロクのリズムがグルーヴたっぷりに演奏され、後奏のバイオリンソロではクラシカルな要素が加わりシネマティックな雰囲気さえ漂った。曲の後半でバイオリンをエレキギターに持ち替えた麗が、渾身の力を込めてかき鳴らすと会場からはひときわ大きな拍手が巻き起こった。

「snowspring」同様、ケルトやアイリッシュの要素が感じられる壮大な楽曲「白い坂道をくぐったら」で本編は終了。アンコールでは、観客に選んでもらう3択から圧倒的多数で新曲「美しさより」を披露。この曲は6月26日にリリースされる2ndアルバム『銀河ムチェック』からのもので、ミドルテンポのサビでのファルセットや、間奏のドラマティックなピアノソロが印象的だった。


Photo by Kei Iwata


Photo by Kei Iwata

「Billboard Live YOKOHAMAでの初ライブ、とても楽しませてもらいました! 会場に到着した瞬間から、豪華で落ち着いた雰囲気にメンバー全員興奮しっぱなしでした。本番はお客さんとの距離が近くて、より私たちの演奏の空気感を感じていただけていたならと思っていました。スタッフの皆さんもとても優しく、素敵な環境で楽しく演奏させていただき大切な思い出になりました! ぜひ、またビルボードのステージに立てればと思っています」

終演後、このようなコメントを寄せてくれたチョーキューメイ。彼らの高い音楽性と魅力的なパフォーマンスが存分に発揮された今回のスペシャルなステージは、今後の彼らの活動にも大きな影響を与えることだろう。


Photo by Miu Kubotera



チョーキューメイ
『銀河ムチェック』
発売中
CD購入:https://choqmay.lnk.to/ginga-mcheck-CD
アルバム配信:https://cho-q-may.lnk.to/ginghamcheck


2nd Album Release Tour『銀河ムチェック』ツアー
2024年6月29日(土)名古屋・CLUB UPSET
2024年6月30日(日)心斎橋・Music Club Janus
2024年7月2日(火)福岡・LIVE HOUSE OPs
2024年7月12日(金)東京・渋谷CLUB QUATTRO
チケット購入:https://lit.link/choqmaynoticket


Billboard Live TOKYO
〒107-0052 東京都港区赤坂9丁目7番4号 東京ミッドタウン ガーデンテラス4F
日比谷線・都営大江戸線「六本木駅」直結
TEL: 03-3405-1133

Billboard Live YOKOHAMA
〒231-0003 神奈川県横浜市中区北仲通5丁目57番地2 KITANAKA BRICK&WHITE 1F
みなとみらい線「馬車道駅」直結
TEL: 0570-05-6565

Billboard Live OSAKA
〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田2丁目2番22号 ハービスPLAZA ENT B2
阪神「大阪梅田駅」・四つ橋線「西梅田駅」 地下通路直結
TEL:06-6342-7722

公式サイト:http://www.billboard-live.com/

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