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上原ひろみ×石若駿 ジャズ界のトップランナーが語り合う使命感、歴史的共演の舞台裏

Rolling Stone Japan / 2024年7月23日 17時30分

Photo by Maho Korogi

ジャズドラマー石若駿率いる「The Shun Ishiwaka Septet」が上原ひろみ、アイナ・ジ・エンド、大橋トリオ、田島貴男、PUNPEE、堀込泰行とセッションを行なうイベント『JAZZ NOT ONLY JAZZ』が、6月21日にNHKホールで開催された。その当日に実現した、上原と石若の対談をお届けする。聞き手は当日、オープニングDJを務めたジャズ評論家・柳樂光隆(構成・最込舜一)。イベントの模様は8月に有料配信、9月にWOWOWで出演者による貴重なインタビューなどを加えたスペシャルエディションを放送・配信されるのでお見逃しなく(詳細は記事末尾にて)。

『JAZZ NOT ONLY JAZZ』はただ単に豪華な顔ぶれが揃っただけでなく、歴史的な一夜になった。とりわけインパクトが大きかったのは、上原ひろみと石若駿が初めて人前で一緒に演奏したこと。日本中のジャズファン、音楽リスナーが夢見た共演がついに実現したのだ。

この二人が一緒に演奏したのは、過去に映画『BLUE GIANT』劇中音楽のレコーディングのみ。ジャンルの垣根を超えて活躍する「日本一忙しいドラマー」で、国内のジャズレジェンドとも多数共演してきた石若だが、上原とのライブはこれまで一度もなかった。かたや上原は、これまで自身のグループでの活動が中心にあり、J-POPアーティストとは多くコラボしているものの、イレギュラーなセッションを日本人のジャズミュージシャンと行なう機会はほとんどなかった。

今回、貴重な共演ステージを迎える直前の二人の対談が実現した。お互いへの印象や日本のロック・ポップスへの思い、そして日本のジャズを牽引してきたトップランナーとしての使命感まで。この両者が並んだからこその貴重なエピソードばかりが語られ、ここから何かが始まる予感さえ感じさせるものになった。おそらく将来、日本のジャズ史を振り返ったとき、特別な一日と記録されるのは間違いないだろう。


Photo by Maho Korogi

―お二人がそれぞれを認識したときの話から聞かせてください。

石若:僕は「XYZ」が入ってる『Another Mind』(2003年)ですね。札幌時代というか、僕が馬場(智章)とかと一緒にビッグバンドを始めた頃だったと思うんですけど、新譜をチェックしにCD屋に行くのがとにかく好きだったんです。ひろみさんのアルバムはジャズ好きな親父が先に買っていたので、それを車でずっと聴いてました。演奏してる姿を初めて見たのは「東京JAZZ 2004」のライブをテレビでやってたときです。ジャズってこんなに自由で楽しいんだと思い始めた時期に身近にあったのがひろみさんの音楽でした。



―実際に聴いて、どう思いましたか?

石若:すげえ!って思いました。50〜60年代の古いジャズとか、アート・ブレイキーとかは聴いていたんですが、ジャズがリアルタイムで進んでるのを感じました。

―そのときは何歳?

石若:9歳とか、小学校4年生くらいですね。あと、ひろみさんのドキュメンタリーも見たことあります。テレビとかでジャズに関係する番組は全部録画してて、その頃に日本人アーティストとして世界で活躍するひろみさんをすげえって思ってました。あと、キタラ(札幌)にオスカー・ピーターソンが来たとき、前座がひろみさんのトリオで、それも観に行ったんです(2004年)。だからもう札幌時代の青春っていうか、僕の中でのジャズの始まり、爆発の時期でした。

―デビュー作からずっと聴いてるんですね。

石若:そうです。まさか共演できるとは思ってなかったですし、『BLUE GIANT』で最初にお会いした時は本当に緊張しました。それで今回は(『JAZZ NOT ONLY JAZZ』で)僕にとっての初期衝動を象徴する曲「XYZ」をぜひ一緒にやらせてくださいとお願いしました。最初にリハをやった時は当時のことを思い出しましたね。しかも、本人が目の前で音を出してるのもやばい(笑)。これがセットの最後に待ち構えてるのはプレッシャーなんですけど、本当に特別です。


上原ひろみ 『JAZZ NOT ONLY JAZZ』にて(Photo by Maho Korogi)


石若駿 『JAZZ NOT ONLY JAZZ』にて(Photo by Maho Korogi)

―上原さんが最初に石若さんを認識したのはいつですか。

上原:『BLUE GIANT』の仕事が2020年ぐらいから始まって、私も曲を色々書いてました。サックスはオーディションで決めることになっていたんですけど、ドラムを誰に頼むかは自分で決めなきゃいけなくて。でも私は日本のドラマーとは片手で足りるくらいしかやったことがなかったので、とにかくいろんな人を聴きました。『BLUE GIANT』のドラマーは初心者という設定なんですけど、それでも最後にお客さんの心を震わせる演奏シーンがあるので、ドラムの経験が全くない人には難しい。様々な視点からドラマーを聴いていく中で、駿くんの音色に惹かれたんです。私にとって音色は非常に重要で、(Rolling Stone Japanのインタビューで)いつもそのことばかり話してる気がしますが(笑)、キャラクターには大地というか自然を感じる音を求めていて。駿くんの演奏はどんな状況でも大自然を感じさせるような音色があります。野生味というか。

―なるほど。

上原:駿くんは野生味がありながらも、しっかりとコントロールされたタイトな演奏もできる。野性味がありすぎるとリズムの「ポケット」が弱くなりがちですが、それをしっかり支えるコアもあります。それで「私は石若くんがいいです」って提案してお願いしたら引き受けてくださった。でも、せっかく受けてくださったのに「上手すぎる」だなんだ言われ続けて(笑)。

石若:でも面白かったですね。

上原:映画ではとにかく「ヘタに叩いてくれ」と言われ続けてましたね。私と馬場くんからしたら十分ヘタに聴こえても、監督や原作チーム、音楽の現場に普段身を置いてない人からすると、それがヘタに見えない。だから「もっとヘタに」ばっかり言われてました(笑)。それに私が務めたピアニストの役は事故に遭っちゃうので、結局本気で演奏する機会があまりなかったんです。最後のライブシーンは本気の演奏に近づけたけど、それでも1年半の練習期間という設定なので限界がありました。あと役を演じているところもあって、あれだけの時間を過ごしたにしてはちゃんと突き交わして演奏することなく終わったかな。私も駿くんとやったのは左手だけなので、今回初めて両手で、本気で一緒に演奏します(笑)。

―『BLUE GIANT』以前は面識もなかった?

石若:はい、セッションもなかったです。でも、映画を撮る前に1回飲もうみたいな機会はあって。斉藤さん(ユニバーサルミュージックのジャズ担当プロデューサー・斉藤嘉久)の番号から電話がかかってきたので出たら、ひろみさんに「今から来れる?」って言われて。「すいません、ちょっと今お風呂入ったばっかりで……」って伝えたら、10分後にまた電話がきて。「やっぱ来て!」みたいな(笑)。

上原:「ユキちゃん(BIGYUKI)や馬場くんも来たよ!」ってね(笑)。

石若:そうそう。結局その時は会えなかったんですけど。


Photo by Maho Korogi

音楽を通じて「気合い」を感じたい

―上原さんが石若さんとしっかり一緒に演奏したのは、昨日のリハーサルが初めて?

上原:そうですね。『BLUE GIANT』のときはエンドロールの曲は自由にできたけど、それでも普段と全然違うタイプの曲でした。「BLUE GIANT」という曲ではキャラクターから少し離れた自分たち自身の演奏でしたが、映画はサックスプレイヤーの話なので私はソロもなかったですし。ちゃんとセッションしたのは今回が初めてです。

―初めて演奏してみてどうでした?

石若:リハが終わってマーティ(・ホロウベック)と、「俺たち上手くなってね?」みたいな話をしました。一緒に演奏するだけで、自分のタイムや頭の中で鳴ってる音符が具体的になる感じがあった。ひろみさんの音楽には変拍子を羅列した曲もあって、普段僕らはそういう曲を演奏する機会があまりありません。その中で、どうはみ出たりキープしたりコミュニケーションを取ったりするのか、 その瞬間がどうやって思い出深いものになっていくのか。リハの段階から120%の力でできたのは、貴重な音楽体験でした。

あと、学生時代にオーケストラとか現代音楽のアンサンブルのリハをやってたのを少し思い出しました。ちょっとした拍の取り方や、音色、響きの部分をひろみさんが細かく聴き取って調整しているような印象がありましたね。


『JAZZ NOT ONLY JAZZ』で実現した上原ひろみ×石若駿の共演、ベースはマーティ・ホロウベック(Photo by Maho Korogi)

―上原さんの音楽をこんな短期間で演奏する機会も珍しいですよね。いつもパーマネントなバンドでやってきたじゃないですか。普段やらない彼らとやってみてどうでしたか?

上原:曲を身体に入れてから臨んでくれてるのがわかったので、メンバー全員からすごい気合いを感じました。私が音楽をやる上で一番感じたいことってそれなんです。

―気合いを感じたい。

一同:(爆笑)

上原:「やる気」っていうのかな、「パッション」かな? 「パッション」と「気合い」って違う? 「気合い」って英語で何て言うんだろう。

石若:たぶん同じ種類だと思います。

上原:日本語の「情熱」って、英語の「パッション」とは少し違う気がします。「情熱」は少し柔らかいイメージだけど、英語の「パッション」は「気合い」に近いイメージ。そういう意味で、私が翻訳するとそうなる。とにかくそういうのをみんなから感じました。

やっぱり1回目は全員が持ってる揺らぎの調整っていうか、フィールを合わせていくのに少し時間はかかるけど、安心感は最初からありましたね。音の1つ1つが本当に意味を持つと言いますか。惰性が一切ない演奏だと思ったので嬉しかったし、本番が楽しみになりました。


左からマーティ・ホロウベック、石若駿、西田修大 『JAZZ NOT ONLY JAZZ』にて(Photo by Maho Korogi)

―ちなみに一昨日、たまたま西田修大くんにブルーノート東京で会ったんですけど、「帰ってすぐ練習します、超難しいっす」と言って帰っていきました。

上原:マーティは『BLUE GIANT』の劇伴で演奏してもらったので、西田くんだけ今回初めて会ったんですけど、リハの時から「私どう思われてるんだろう」っていうくらい彼は緊張でガチガチで(笑)。普段はサポートの仕事が多いと言ってたから、このバンドにサポートはいないっていうことから伝えました。歌の人たちがいるときはバックバンドという形になるわけで、きっといろんな決まり事があるじゃないですか。ソロとかも小節の数が決まってるだろうし。でも私との演奏に関しては、サポートメンバーは1人もいなくて、私も名義上はゲストだけどバンドとして出るつもりだと言ったんです。こういうことを良かれと思って伝えたのもきつかったのかもしれない(笑)。

石若:そんなことないと思いますよ。彼は燃えるタイプなので。

―「駿と出会ってなかったら、上原さんと一緒に演奏する機会なんてなかったと思います」とも言ってましたよ。

石若:最初のリハの後に、めっちゃ熱いLINEが来て。「駿と出会えてよかった!」みたいな。

―そうそう、西田くんはそういう人(笑)。


上原ひろみ×西田修大 『JAZZ NOT ONLY JAZZ』にて(Photo by Maho Korogi)

上原:やっぱり私も含めて、自分の限界を超えた先を見ることがあるんですよね。それをみんなでサポートするのがバンドだと思うし、その瞬間を見たくてやっているんです。

本番では2曲目(「Return of Kung-Fu World Champion」)で西田くんが加わるんだけど、私がイントロを弾いているときにステージに入ってほしいと、リハの時にお願いしたんです。ギターとピアノが向かい合う配置なので、本来彼は(上手から)すぐにステージに入れるんですが、(下手から)真打ち登場みたいな感じで現れてほしかった。会場に期待感を生む登場を演出するなら、やっぱり動線は長い方がいい。それで私側から出てきてほしいって言ったら、「ひろみさんの前を横切っていいんですか?」って言われて。だから、もう、そういうことじゃないんだよって(笑)。もっと「俺、俺、俺だよ!」ぐらいの気持ちで。彼がソロを弾く時も、私たち3人が「まだ帰ってこないな」となるくらい遠くに行ってほしいと伝えて。今日、会場全体が西田くんに恋すると思います。

石若:たしかに。

上原:かっこいいよね。もう最後、全部持ってくんだろうなって。昨日リハしながら思ったから。



西田修大 『JAZZ NOT ONLY JAZZ』にて(Photo by Maho Korogi)

―石若駿とマーティは今の国内で最高のリズムセクションだと思いますが、彼らについてはどう思いますか。

上原:すごくやりやすいし、わくわくする。1つ1つの音に気持ちが乗っていて惰性がないんです。一緒に演奏できる楽しみって自分が弾くことでもあるけど、聴くことでもある。相手から飛んでくる音の情報を1つでも多く身体に入れて、そこから自分がインスパイアされて返すっていう相乗効果がずっと続いていくことだと思うんです。

J-POPと繋がる意味、トップランナーとしての使命感

―今回の『JAZZ NOT ONLY JAZZ』にはいろんなシンガーが登場するわけですが、お二人ともJ-POPの仕事もかなりされてますよね。J-POPの人たちと演奏することについて、どういう面白さがあるのか聞かせてください。

石若:面白がってくれてる感じがすごくあります。それが良い方に作用していく過程が僕は楽しいですね。あと、ポップスをやっている人でも、実はジャズが好きでよく聴いている人が多いんだなっていろんなところで思いますね。みんなも見たことのない新しい景色を見たいんだろうし、実際にそれが感じられる瞬間があって。そういう違うエッセンスやスパイスみたいなものが自分の役割だと思って関わっています。

―サマーソニックで上原さんのステージにハナレグミが出てきたとき(2016年)、ビーチステージのトリで本当に素晴らしかったですけど、「歌の伴奏」とはまた違う関わり方にも映りました。上原さんが歌モノの演奏をするときはどんなことを考えているんでしょうか?

上原:私が一緒に演奏したいと思う歌手の方は、音楽をしっかりと突き合わせられる人ですね。永積(タカシ=ハナレグミ)くんのときは、タップダンサーの熊谷(和徳)くんとのセッションだったからライブっていう感じでもなかったけど、彼も音楽が大好きで自由にやらせてくれるのは重要だったかな。受け幅というか余白がちゃんとあるのが大切だけど、自分もただ好きにやるのではなくて、その人の歌と自分が合わさった時の音像を客観的に見て良いものにしたいし、そう思える人とやりたい。私はそういう点では両思いな人とずっとやれてる感じがします。


Photo by Maho Korogi

―上原さんはJ-POPで、どんな人が好きなんですか。

上原:自分が一緒に演奏したことがある人はもちろん好きですね。矢野顕子さんや吉田美和さん(DREAMS COME TRUE)、中村佳穂ちゃんとか。それ以外だと……例えば、ザ・クロマニヨンズが好きです。でも、実は(甲本)ヒロトさんとは一度RISING SUNでピストルズの曲を一緒にセッションしたことがあるんです。あと、宇多田ヒカルさんも聴きます。宇多田さんのアルバム作りを見てると、一緒に演奏するミュージシャンに対して強いこだわりを持っているのがわかりますよね。そのときに目指してる音像が明確にあって、必要なミュージシャンをいつも抜擢している感じ。音楽を本当に愛していて、音楽ファンであることが伝わってくるのがとても素敵だなと思います。

石若:ザ・クロマニヨンズは、僕がサポートで叩いてるくるりとの対バンがあったときに初めて見たんですけど、生で見る甲本さんやばいっすね。本当にすごかった。

上原:私、ザ・クロマニヨンズのライブにはよく行ってるんだけど、ヒロトさんとは演奏経験もあっても、ライブに行くとただの1ファンになっちゃう。「ヒロトー!」って叫んでるし、マーシーにも手を振ってる(笑)。彼らはスタジオに入って、アルバムを作って、ツアーして、 またスタジオに入って……というのを何十年も続けていて、 理想だなってすごく思います。素敵。

―石若さんは自分が好きな人と大体共演してると思うけど、まだ共演したことがない人で、好きなJ-POPのアーティストはいますか。

石若:ユーミン(松任谷由実)さんとか一緒に演奏してみたらどんな気持ちになるんだろうって想像したりしますね。母が好きで、ちっちゃい頃に家でよくかかってました。

上原:親の影響もあるよね。私も母が小田和正さんをよく聴いてた。それこそ彼のライブも気合いの塊ですよね。お会いしたことはないですけど。


石若駿 『JAZZ NOT ONLY JAZZ』にて(Photo by Maho Korogi)


上原ひろみ 『JAZZ NOT ONLY JAZZ』にて(Photo by Maho Korogi)

―最後に『JAZZ NOT ONLY JAZZ』の楽しみなポイントを改めて教えてください。

石若:今回総じて楽しみなのが、普段サポートに回ってるイメージがない人たちと名曲のコラボですね。今回のセプテット(The Shun Ishiwaka Septet)のメンバーのうち、(渡辺)翔太くんはCharaさんとかと最近やってるけど、特に松丸契と徳ちゃん(細井徳太郎)はサポーティブなことをあまりやってこなかった。そんな彼らが、曲の枠の中で自由なアプローチをするのが面白くて。堀込(泰行)さんが「エイリアンズ」を歌うんですけど、「徳ちゃん、そのボイシング何?」みたいな(笑)。リハをやりながら驚くことが多かったです。感覚としては普段、即興的なことをやってるのとあまり変わらない形で今回できてる気がします。ジャズどっぷりの人たちが有名なポップ音楽に関わることって最近増えてますよね。

―それは石若さんの貢献がすごく大きいと思いますよ。

石若:もっと具体的な感じで増えてるっていうか……例えばコーチェラで、ラナ・デル・レイのライブにジョン・バティステが参加していたじゃないですか。 あの「ガチさ」がふつふつと最近日本でも行われてるような気がして。これまでより踏み込んだ形の共演が増え始めている。今回もひとつのきっかけになりそうな気がしてます。


The Shun Ishiwaka Septet 左から渡辺翔太、細井徳太郎、マーティ・ホロベック、松丸契、石若駿、山田丈造、西田修大(Photo by Maho Korogi)


『JAZZ NOT ONLY JAZZ』で実現した夢の共演 前列左から堀込泰行、PUNPEE、アイナ・ジ・エンド、田島貴男(Photo by Maho Korogi)

上原:こういういろんな人が出るイベントは、それぞれのファンの人たちに自分のことを知ってもらうきっかけになる場ですよね。駿くんはそこを全部繋いでくれている。今回のイベントは彼自身が日本の音楽業界でやってることの縮図のようなものだと思う。駿くんの世代やもっと若い10代、20代の人たちが普段聴いてる音楽には生楽器が使われていないことが多いかもしれませんが、こうしたイベントを通じて「やっぱり生の音はいいな」って感じられると思います。

それって簡単そうでとても難しい。でも、韓国の音楽シーンはそれが自然にできている感じがしました。先日、Seoul Jazz Festivalに出たとき、お客さんがほとんど10代、20代で驚いたんです。一応、ジャズフェスと謳っているけど、ブッキングは若者が興味を持ちそうな人たちをメインに持ってきつつ、そこにジョシュア・レッドマンやクリスチャン・マクブライドといったジャズの人たちを入れていくスタイルで。客席からジョシュア・レッドマン・グループを見ていたとき、若い子がジャズフェスを埋め尽くす光景にびっくりしたんです。

日本のジャズフェスに来る人たちは自分よりもっと上の世代、若くても30代くらいが多い印象です。日本と何が違うんだろう、どうやって韓国は若い世代を引き込んだんだろうと考えると、BTSのような爆発的な影響力を持つK-POPの大スターたちが、ちゃんと自国の素晴らしいリズム隊を使っている事実も大きい気がします。だからといって、「こんなに素晴らしい人たちがいるから聴きましょう」みたいなことは言わず、その音が自然と10代、20代の身体に入っているんですよね。それがリスナーの栄養として重要なんだなって、Seoul Jazz Festivalで改めて感じました。

―めちゃくちゃ大切な話ですね。

上原:日本もそうなっていったらいいなと思いますね。駿くんよりもっと若い世代に、自然と生の音楽が染み込んでいくといいなと。もちろん私も今回参加できて嬉しいですし、そういうことの足掛かりになるといいなと密かに思っています。

※『JAZZ NOT ONLY JAZZ』ライブレポートはこちら


Photo by Maho Korogi



(配信チケット情報)
JAZZ NOT ONLY JAZZ
配信期間:2024年8月16日(金)19:00~8月23日(金)23:59
配信チケット販売期間:2024年6月7日(金)16:00~8月23日(金)20:00
Streaming+ 3,500円 (ステレオ配信) https://eplus.jp/JAZZ_NOT_ONLY_JAZZ/st/
Live Extreme 4,500円 (ハイレゾ AURO‐3D配信 イマーシブ/ステレオ) https://teket.jp/10343/35750
・必ず配信プラットフォームごとのガイドラインを読んだうえ、チケットをご購入ください。
・配信バージョンでは一部映像がカットになる場合がございます。

(番組情報)
JAZZ NOT ONLY JAZZ スペシャルエディション
2024年9月23日(月・祝)放送・配信予定
※放送・配信終了後~WOWOWオンデマンドにて1カ月のアーカイブ配信あり
ステージの模様に加えて、出演者による貴重なインタビューなども収録
収録日:2024年6月21日/収録場所:東京 NHKホール
【番組サイト】 https://www.wowow.co.jp/music/jnoj/

JAZZ NOT ONLY JAZZ公式HP:https://jnoj.jp
■公式X(旧:Twitter): https://twitter.com/jnoj_tokyo
■公式Instagram: https://www.instagram.com/jnoj_tokyo

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