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次世代のニューアイコンLiza、7、sheidAが語る、ラップシーンの枠に止まらない連帯

Rolling Stone Japan / 2024年8月5日 18時30分

左から、7、Liza、sheidA(Photo by Yukitaka Amemiya)

ラップシーンは、自然発生的な繋がりによって多くのケミストリーを生み出してきた。フィーチャリング/客演文化は他ジャンルとの交流を育んできたし、コレクティブやクルーといった集合体は地元を起点にした遊びの延長しての音楽表現を可能にしてきた。あるいは、女性同士の連帯など、共通の信条をもとにした結びつきもあるだろう。特に近年では、SNSによって既存の文脈を超えたつながりが多数生まれており、ラップシーンはますます活性化している。

Lizaと7、sheidAは、過ごしてきた街や経験など、全く異なる背景を持った三人だ。Lizaはロシア生まれで、ダークさや高貴さを持ち合わせたミステリアスなアーティスト。7は昨今、突出した才能を続々輩出している和歌山のシーンを代表するラッパー。sheidAはLAで生まれ、NYや北海道などで育ちハイパー・カルチャーとも接続する感性を持つ存在。昨年から今年にかけてABEMA『ラップスタア』に出演し大きな話題を呼んだそれぞれだが、ばらばらの音楽性ながらも、同世代としてお互いの価値観に共鳴し絆を深めているようだ。彼女たちは楽曲でのコラボレーションに始まり、8月22日には東京・渋谷WWW XにてLiza主催イベント「Liza presents Slytic」も開催。「Slytic」は「枠に囚われない洒落たかっこよさ」という意味を込めたLizaによる造語で、まさに三者三様のSlyticが披露される機会になりそうだ。

次世代のニューアイコンとして、この三人はお互いにどのような影響を与え合い、今の社会に対して何を伝えようとしているのか。リラックスした雰囲気での、赤裸々なクロストークをお届けする。

─Lizaさんと7さんはこれまでも楽曲でコラボレーションしていて、ライブでも7さんのステージにLizaさんが出演されたり、同志のような関係を築いてきましたよね。最近はどうですか?

7:変わらず仲良しやんな?

Liza:そうだね。

7:知り合う前のことを考えると、うちらこんなに仲良くなれたんだってびっくりするくらい。通じあう部分が多いから話してて楽しい。一番合うのは、音楽に対する意識の持ち方かな。お互い進む方向は違うしやってるスタイルも違うんだけど、ここぞというちゃんとやらんとあかん時の考えは同じ。



―二人で一緒にいて、意見が対立したりとかはない?

7:ないですね。まだ今のところないだけかもしれんけど(笑)。でも、同世代でこんな存在がおるってことがほんまに嬉しい。Lizaは何の話をしてても、思ったことをハッキリ言うタイプ。

―7さんとSheidAさんは、今日がはじめましてだと聞きました。

7:はじめまして(笑)。

sheidA:いぇ~い! はじめまして! 私、7ちゃんの曲めっちゃ聴いてるんだよね。7ちゃんは、聴いてると「この人めっちゃ音楽好きな人だろうな」っていうのが伝わってくる。アーティストには、有名になりたい人ととにかく音楽めっちゃ好きでやってるっていう人の2種類がいるんだけど(笑)、Lizaちゃんと7ちゃんはとにかく音楽好きっていうのが分かるよね。私もめっちゃ音楽が好きな人だから、シンパシーを感じる。そもそもさ、この世界は女性のアーティスト自体があまりいないし、いたとしても音楽の話ガッツリできないから。マジでこの三人は貴重。出会えてよかった! 神様、マジで感謝!

Liza・7:(笑)

―7さんも、SheidAさんの曲は聴いてましたか?

7:最初『ラップスタア』の動画が流れてきてsheidAちゃんの歌のうまさにめっちゃ驚いたんですよ。自分は英語喋れやんし、sheidAちゃんは聴いてるとやっぱ発音も良いし。

sheidA:いつでもティーチャーするよ? その代わり日本語教えてほしい!

7:関西弁でいいなら教える(笑)。



―sheidAさんは、Lizaさんの曲に対してはどのような印象を持っていますか?

sheidA:Lizaは声の出し方が珍しくて大好き。あと、曲聴いたたらすぐにLizaって分かるオリジナリティがあるじゃないですか。女性のアーティストってやっぱり少ないから、二人の『ラップスタア』を見た時に、皆と違う色を出しててヤバいって思った。だから、今回のライブに私を呼んでくれてすごく嬉しかった。若いジェネレーションの女性の力を見せていきたいよね。



―そもそも、Lizaさんはなぜ今回「Slytic」を開催するにあたってsheidAさんに声をかけたんですか?

Liza:sheidAちゃんは、純粋に音楽が好きな感じが伝わってきたんですよ。sheidAちゃんと話した時に、これまで色々な人と関わってきた上で、音楽が一番大事なものとしてちゃんとある人だなって思った。この業界にいると、「有名になりたい」「誰々と繋がってる」とかいうことで活動してる人がいっぱいいるんですよ。それはそれで別にいいんだけど、そういう人と高め合うことはできないじゃないですか。だけど、sheidAちゃんと7ちゃんは純粋に音楽が好きで、それぞれのビジョンを持っていて、この二人なら高め合えるなって思った。それは、sheidAちゃんの『ラップスタア』の時のスタイルとか、それ以外も含めて普段の動き方とか見てても伝わってくるし。次の世代を引っ張っていけるメンツなんじゃないかなって。ヒップホップは軸としてあるんだけど、それだけじゃなくてさらに広がりを見せていくような、新しい世代の音楽をやる三人。


Liza(Photo by Yukitaka Amemiya)

sheidA:うわぁめっちゃ嬉しいな。マジで私の周りとか男ばっかりでさ、いつ私と気が合う同世代の女の子が現れるの?って思ってたから。ついに来たって感じなんだよね。

7:めっちゃ分かるわ。男しかおらんもんな。

sheidA:ずっと女性のアーティストが周りにいなくて、二年前に一人だけやっと仲いい子ができたことがあったんですよ。そしたらその子が嘘つきで、私の曲を2、3曲くらいパクって出したことがあって。それから怖くなって、なかなか女の子のアーティストと仲良くなれない時期があった。だから、やっと信頼できる人たちに出会えたって思ってる。女の子のアーティスト同士って、ほんとにうまくいくのが難しいんですよ。


7(Photo by Yukitaka Amemiya)

Liza:女の子同士って、たとえば二人で一緒に曲をやった時に、片方が伸びたらそっちに便乗しようとするよね。

7:それはめっちゃあるな! 私もそれで友達とあんまりうまくいかんくなった。自分の名前じゃなくて、誰かの名前を言って上に上がろうとする人たちね。はっきり言うけど、そのタイプの女めっちゃ嫌いなんですよ。

sheidA:まぁ男でもいるけどね。

Liza:二人と一緒に曲をやって思うのは、「いや私の方が上にいくし」ってお互い高め合って上にいけるヴァイブスがあるんですよ。相手の力に頼ってどうこうしようって感覚がうちらには全くない。

sheidA:これは言っておきたいんだけどさ、アーティストの人たちは最初みんな「音楽が好き!」で始まるんだよ。でも、時間が経ったらどうしてもそうじゃなくなってくるというか、もうバズらないとダメだってなってく。それでいつの間にか初心を忘れていって……そういう人、いーっぱい見てきた。だからそういう人たちには、うちら三人を見て!って思う。皆、音楽好きだった自分のことを思い出してほしいんですよ。


sheidA(Photo by Yukitaka Amemiya)

―三人とも、自分の女性性がどのように見られるかということについて、これまでの女性ラッパーの王道のスタイルとはちょっと違うスタンスを持っているように感じられます。

7:そうですね。私はいつもこんな格好してるし。

Liza:女性がセクシーな体を見せつけるっていうのはヒップホップの決まった型としてあるし、別にそういう形で女性らしさは出していってもいいとは思う。自分もそこに対して敬意は示してます。ただ、私はロシアにルーツがあるから向こうのヒップホップもかなり聴くんですけど、ロシアはダークサイドもしっかりと出すんですよ。もちろんセクシーな女性ラッパーもいるけど、そうじゃない影の部分を表現する女性ラッパーも多い。色んなタイプがいるってことですね。

―確かに、Lizaさんの曲には影があります。

Liza:私は何よりも、まず一番に音楽を聴いてほしいんです。肌を露出してセクシーでいても、美しいと思わせるスタイルとただ露出しているだけのスタイルがあるじゃないですか。自分は前者でいたいし、そういった音楽を伝えられるようになりたい。7ちゃんもsheidAちゃんもまず音楽が先にあるし、二人に対して男性は「エロい」よりも「カッコいい」って言いますよね。それは、ちゃんと二人の音楽が評価されてるからだと思う。私は昔から品のある女性アーティストが好きで、宇多田ヒカルさんにしろ安室奈美恵さんにしろ、時代を作ってきた人って露出していたとしても品があるし知的ですよね。まず、音楽をちゃんとやっているから。

7:間違いない。

sheidA:うん、間違いないよね。

7:体とか顔とかの前にメインは曲やから。あと、影がある方がやっぱ女性は魅力的よな。



―この世代がそうなのか分からないですけど、少なくともこの三人は影があって、能天気なだけの明るい曲は歌わないですよね。その暗さは今の時代を反映しているのかもしれないですし、政治や経済状況を見ていてももう希望なんて全然見えないし……そのあたりについてはどう感じていますか?

7:クソっすね。今の若い子らめっちゃ必死に働いてるのに全然お金もらえやんし、税金も(高すぎて)意味わからんし、メガネも頼りにならへんしな。でも、平和よな。ほんま平和。

Liza:平和ボケしてるよね。だからこそ日本の人は凄く冷たいと思う。私はロシアに親がいるからよく向こうに帰るけど、あっちはあっちのひどさがあって、でもひどいからこそ下にいる人たちにも目を向けてる。日本は平和で皆がそこそこ幸せだから、下にいる人たちを見ようとしない。全部が数字で見られてるし、家族とか友達とかに対して心の奥底から愛情をもって接してる人が少ないなって感じる。病んでる人が多いですよね、日本は。

sheidA:日本は、新しいことをやるのがこわいのか、前バズったことを繰り返してばかりですよね。皆マジでそういうの怖がらない方がいいし、そうじゃないとエボリューションが起きない。あと、日本は、皆が日本だけを見ていて凄くもったいないと感じる。全然インターナショナルじゃない。海外からは日本のカルチャーはすごく求められてるし、物凄い人気ですよ。すでにもう、大きすぎるファンベースがある。でも、カッコいいアンダーグラウンドのアーティストがいっぱいいるのにその人たちが全然知られてない状態。だから私は、将来は日本のカルチャーを海外に持っていきたいんですよ。皆、日本のカルチャーを知りたくてたまらないって感じだから。

Liza:ロシアでも日本の漫画がめちゃくちゃ読まれてるし、漢字を使った名前のラッパーとかもたくさんいる。

7:いける気しかしてないけどな。絶対いけるって。今のトップが日本の音楽の頂上だなんて納得いってないし、もっとカマしたろって思ってます。


(Photo by Yukitaka Amemiya)

―三人とも『ラップスタア』に出ていたけど音楽性はバラバラですよね。今後どんなアーティストになっていきたいですか?

Liza:私は自分の音楽の説明が難しくて、メロラップ~R&B~オルタナって言ったりしてるんですけど、だったらLizaがジャンルくらいに思ってるし、とにかくいい曲を作っていきたい。私は自分のこの音楽で上にいけなかったらおかしいって思ってるから。まだまだ上にいきたいです。

sheidA:私は音楽を聴き始めた時にスミノとかリコ・ナスティ、ドージャ・キャットが好きで聴いてて、今一番好きなのはエレクトロニックR&Bをやってる友達のARIA(アライア)、韓国のEffie(エフィ)ちゃん、PIAO、あと北海道の友達のバンドCVLTE、そしてFrost Childrenとか――とにかく新しいジャンルを作りたいっていう夢がある。ボーカロイドやアニソン、エレクトロニックミュージック、ラップミュージックとか色々好きだから、それらをミックス・ジャンルして、新しいサウンドを作りたいです。あとは、グラミーを獲る!

7:まずはラップを極めたい。めちゃくちゃラップうまい奴になりたい。客演で歌うとかはありかも。

―次にこの三人が集うのは、8月22日の『Liza presents Slytic』ですね。どんなライブにしたいですか?

sheidA:私はけっこうオタクなので、いつも自分でキャラクターを決めてコスプレするんですよ。ゲームの世界観とか、ダーク系のビジュアルとか。今度のライブでは、ホラー的な世界観を作っていく!

Liza・7:お~! 楽しみ!

7:三人がバラバラすぎてどんな感じの客層になるんだろうっていうのが気になるけど、自分の色出してカマすから見ててって感じ。記憶に残るステージにしたいな。

Liza:クラブのライブって演出までこだわれないから、私は今までちょっと苦手なところがあったんですよ。でも、今回は初めて自分で演出も作れるライブで、やりたい音楽を表現できる場所。クラブとは違って私たちの音楽を聴くために足を運んでくれる人たちばかりだし、「lizaとは?」というのを見せたいと思う。一回もライブでやったことのない古い曲もやるし、マジで楽しみにしててほしい。

sheidA:いぇ~い、ブチかまそうぜ!

Liza・7:カマそう!


<イベント情報>

『Liza presents Slytic』
日時:2024年8月22日(木)東京・渋谷 WWW X
OPEN 18:00 / START 19:00
料金:ADV. ¥5000(1D代別途)
出演:Liza/7/sheidA
チケット:発売中
https://eplus.jp/sf/detail/4119870001-P0030001?P6=001&P1=0402&P59=1
問い合わせ:WWW X 03(5458)7688

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