LUSSとMori Calliopeが語る、タイの気鋭サウンドとVTuberが生み出す化学反応
Rolling Stone Japan / 2024年8月19日 17時0分
リードシンガーCOCO(ココ)と、プロデューサー兼ビートメーカーのBEN(ベン)からなるタイの気鋭ハイパー・ポップ/ヒップ・ホップデュオLUSS(ラス)と、日本語と英語を織り交ぜた独特の歌詞と卓越したラップスキルを持つVTuber、Mori Calliopeが、互いの楽曲でコラボをし配信リリースを果たした。それだけにとどまらず、LUSSはMori Calliopeが8月16日(金)にリリースするメジャー2ndアルバム『PHANTOMIME』のトラック「Last Days」のプロデューサーも務めるなど、熱い化学反応を生み出して続けている。そんな2組の対談が実現。オンライン上で実施された2者の対談をお届けする。
ー今回それぞれの楽曲をベースにコラボをされていますが、お会いする前と実際会ったあとでの印象を教えていただけますか?
COCO:元々、LUSSのチームはMori Calliopeさんのファンで、彼女の音楽を聴いていたんです。ロックで、うなり声みたいなヴォーカルもたくさん使われる方なので、ぶっちゃけ、ちょっと怖い人かなとか思っていたんですけど、制作前にZoomで話してみたら、すごく力強い女性だなという印象とともに、思いの他ラブリーな方だなと思って。すごく素敵な時間を一緒に過ごせましたし、曲もすごくいいものに仕上がりました。性格は今言ったみたいにすごく可愛らしい方だったんですけど、いざ制作に取り組むとなった時、Calliopeさんのペルソナや人格がすごく出ていて。メリハリをつけて曲制作に取り組んでいて、すごくプロフェッショナルだなという印象を持ちました。グレートフルで楽しいコラボレーションになりました。
Mori Calliope
ーCalliopeさんはLUSSさんにどんな印象をお持ちになりましたか?
Mori Calliope:LUSSさんの音楽はTikTokで知ったんです。最近よくTikTokでいろいろなカルチャーを見つけているんですけど、アジアの音楽も聴いていて。最初にLUSSさんの音楽に出会った時は、フレッシュでクールな音楽という印象を持ちました。実は、私のタイ人の友達に音楽を聞かせてみたんです。そしたら、「タイの音楽ってこんなすごいんだ!」みたいなリアクションで、いい意味で驚きを見せていました。私もキャッチーで、他とはまた違ったサウンドだなという印象を持って、即座にお仕事を一緒にできたらなと思ったんです。
LUSS:嬉しいです!
Mori Calliope:初めてZoomのコールで会った時、すごく緊張しました。私は音楽を作るときと、誰かと対面で会話をする時のキャラがちょっと違くて。初めて会話する時、LUSSのメンバーさんにいい印象を持ってほしかったから、できる限り頑張ってお話をしました(笑)。最初ちょっと不安はあったんですけど、1、2分ですぐに素敵な方々だなと思って、そういった不安も溶け去っていきました。本当に最高の音楽を作ろうとしている2組の体験になって。実はそういったことって、なかなかないんです。私にプロデューサーの方が曲を提供して、お互いに音を送ったり戻したりってやり取りはよくあるんですけど、LUSSさんは自分たちが生み出す音楽へのケアをすごく持って取り組んでいて。そういったスタイルで一緒に曲制作を取り組めることはなかなかないので、私としてもすごく素晴らしいコラボレーションをできたかなと思います。
LUSS
ーお互いのコラボ楽曲について聞かせてください。LUSSさんの「Pao Ying Chub! drinkin (with Mori Calliope)」ですが、どのようなコンセプトやテーマがあるんでしょう?
COCO:最初はタイのクラブシーンにおけるアンセム曲にしたかったんです。当時、アルバム制作でスタジオに朝から晩までこもっていて。スタジオを出ると外も暗くなっていたので、自分たちの思考をクリアにして翌日のセッションに向かうため、毎晩近所を散歩していたんです。ある日、近所の人が、すごい大きな音で音楽をパーティーをしていて。ベースの音って他の楽器の音よりも通りがいいので、「ちゃちゃちゃ」っていう、タイ特有のベースのリズムが聞こえてきたんです。タイでは伝統的で、誰でも知っているようなリズムなんですけど、その時にフリースタイルで、「ちゃちゃちゃ」を取り入れてみようと思って、スタジオに戻って取り組んだんです。私たちは中国やアジアのいろんなところからのルーツを持っていたりするので、そこから、アジアのインスピレーションも楽曲に取り入れたいよねって話になって、日本の伝統的な琴の音を取り入れて見たんです。他にも日本の要素を加えられたらいいよねって話になって、日本のペンタトニックスケールなものもちょっと取り入れたいという話になり。それで結果的にモダンな仕上がりになっていった感じですね。
ー「Pao Ying Chub! 」というのは、日本語で「じゃんけんぽん」という意味だそうですね。どういうテーマがあるんでしょう?
COCO:テーマとしては、女の子たちがクラブに夜遊びしに行く内容になっていて。クラブって、いざ行ってみると、すごいカオスで。個人的にクラブに行ったとき、私は友達が酔っている中で唯一シラフなメンバーで、酔っている友達をケアする役割を担っているんです。楽曲の最初の方で、女の子たちがトイレに並ぶ場面が表現されているんですけど、みんなお酒を飲みたいとか、トイレに行きたいとか自由に振る舞っていて。じゃあお酒を買ったときのお金は誰が払うんだみたいな話になってくるから、じゃんけんぽんで決めて、そのお金を回収するってストーリー仕立ての楽曲になっています。
ーおもしろいテーマですね。続けて、Calliopeさんの楽曲「Go-Getters plus LUSS」について、LUSSさんとの取り組みでのエピソードを聞かせていただけますか。
Mori Calliope:私がリミックスを誰かにお願いするときは、ディレクションをあまり出したくないんですね。私が素材をちゃんと用意してお渡しして、あとは自由に自分の好きなようにやってねって言った時の方が、いいものが仕上がると思っていて。今回のリミックスも結果的に本当に素晴らしいものに仕上がりました。LUSSのお二人が本当にギャップを感じさせないフローに仕上げてくれたんです。もはや、これがオリジナルバージョンなんじゃないかなと思えるくらい、すごく良いものになったかなと思います。この曲を通して、私がLUSSさんに関して抱いていたその感覚が正しかったんだなと思って。楽曲を出した時、「私の好きな2組のアーティストのコラボだ」ってコメントを見つけて。私とLUSSさん両方を好きと思ってくれる人がいる可能性ってどれだけの確率なんだろうって思ったんですけど、そんな風に思ってくれるファンに対して曲を出してすごくよかったです。私の曲にも参加してくれて、彼らの曲にも参加することができて、お互いにリミックスプロジェクト共有してできて、すごく嬉しかったですし、また今後もそういったことに取り組みたいなと思っています。
ー2組の関係が今回生まれたことによって、この先やってみたいことなど教えてください。
COCO:まさしく、私たちもそれについて考えていて。LUSSとしてのアルバムも完成したので、これから日本含めたアジアでツアーをやりたいと思っているんです。Calliopeさんの都合がつけばぜひお会いしたいです。日本で一緒にスタジオで音楽を1から作れたらきっと楽しいだろうし、それができることを本当に楽しみにしています。ソングキャンプ的な感じで曲を一緒に制作できたらなと思っています。何もプランとか持たずスタジオに入って、その場で自然に出来上がったもの楽しみたいと思っています。
BEN:僕もキャンプをやりたいです。いつもと異なる状況で取り組むと、また違った結果がきっと生まれると思うので、ぜひそういったことをしたいですね。
Mori Calliope:今の話は、すごく楽しそうで、私もぜひやりたいなって思います。私自身、実はそんなにしっかりとジャムセッションをしたことがなくて。オリジナルソングを作るのももちろんやりたいですし、ミュージックビデオを作る時に、彼ら特有のちょっと風変わりば世界観と私のバーチャルの世界が融合するようなことができれば素晴らしいなって。できるかわからないけれども、そういったミュージックビデオをいつの日か一緒に作ることもできたら、きっとすごくクールだと思うし、ぜひやってみたいなと思っています!
<リリース情報>
LUSS
「Pao Ying Chub! drinkin (with Mori Calliope)」
2024年8月2日(金)リリース
https://Japan.lnk.to/PYCdwMC
Mori Calliope
Go-Getters plus LUSS
2024年8月2日(金)リリース
lnk.to/mc_gg_luss
Major 2nd ALBUM『PHANTOMIME』
2024年8月16日リリース
https://lnk.to/mc_pt_ec
=収録曲 / 楽曲提供アーティスト=
1. タイド (Mori Calliope × AI) / 蔦谷好位置 (agehasprings)
2. SNEAKING revenge with Lotus Juice / Chaki Zulu, Nvmbrr
3. Go-Getters / Giga & TeddyLoid
4. Overkill / Yuki Tsujimura, MEG(MEGMETAL)
5. Cult Following / WARGASM
6. DONMAI / Jean-Ken Johnny(MAN WITH A MISSION)
7. Midnight Mayoi (Mori Calliope × Kobo Kanaeru) / Joint Beauty
8. skeletons / Yaffle
9. Last Days / benlussboy from LUSS
10. through the blue / Joint Beauty
Bonus Track
・未来島 ~Future Island~ cruising with 宝鐘マリン / ケンモチヒデフミ ※LIMITED DEAD BOX盤のみ収録
・Go-Getters plus Yoon (STAYC) / Giga & TeddyLoid ※通常盤のみ収録
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