aespaが東京ドームで見せたサプライズ、立体的かつ多彩な「世界観」を堪能
Rolling Stone Japan / 2024年8月19日 17時15分
K-POP第四世代の中でもずば抜けて独特で美しい世界観を持ち、楽曲やアートワークの個性の強さ、完成度の高さからも世界中で人気を博しているガールズグループ・aespa。5月にリリースされた初となるフルアルバム『Armageddon』は大ヒット。YouTube上でのMV再生回数は2024年8月17日現在で「Armageddon」が7155万回、「Supernova」が1.1億回にのぼり、SNSを中心にバイラルヒットしている。今年7月には待望の日本デビューを果たした彼らが、7月まで開催されていたアリーナツアーを走り終え、去年に引き続き東京ドームに帰ってきた。今回行われた「2024 aespa LIVE TOUR – SYNK : PARALLEL LINE – in TOKYO DOME -SPECIAL EDITION-」。”SPECIAL EDITION”とあるが、それもそのはず、アリーナツアーとは少し違った、ファンには嬉しい仕掛けが数々用意されていた。
【画像】「2024 aespa LIVE TOUR – SYNK : PARALLEL LINE – in TOKYO DOME -SPECIAL EDITION-」ライブ写真(全11枚)
ピンクと白のペンライトで埋め尽くされた会場で観客たちの期待が最高潮に高まった頃、大量のダンサー登場に圧倒されていると「Drama」のイントロとともにメインステージに現れた4人。会場が大きな悲鳴にも近い歓声に包まれた。中でもメンバーのジゼルが金髪になっていたことにファンたちは驚き、一際強い声援を送っていた。ダンスブレイク部分はアレンジがされており、通常のステージとは違ったさらにパワフルな姿を見ることができた。長いチュールスカートを脱ぎ捨ててセンターステージへと向かい、始まったのは「Black Mamba」。ダンサーとの迫力あるパフォーマンスとともに花火が上がり、壮大な物語の始まりを予感させるかのようであった。「Salty & Sweet」に続き、「Girls」と「SAVAGE」のスペシャルRemixを披露。2曲間をナチュラルに行き来し、「Girls」最後の「We Them Girls, We Them Girls, We Them Girls」の後に「SAVAGE」の「Ha ha, What?」を持ってきたのは天才だと思った。こちらのヴァージョンは東京ドームが初披露だったよう。
コンセプトムービーを挟み、凄まじい重低音と目が眩むほどのレーザーとともに始まったのが「Supernova」。先ほどまでのオールホワイトの妖精のような衣装とは打って変わり、メンバーごとにポイントカラーの違う(カリナ:ホワイト、ニンニン:黄色、ウィンター:ブルー、ジゼル:ピンク)ギャラクシーな衣装へとチェンジ。
Photo by Seitaro Tanaka
その後「Mine」を披露し、MCではカリナの「みなさん盛り上がってますか?」に対してファンたちが大きな歓声で答え、ジゼルの「ただいまでーす!」には会場が温かい空気に包まれた。メンバーの立っているステージがセンターステージへと動くと、日本デビューシングルに収録されている「Sun and Moon」、「Prologue」「Long Chat (#♥)」を続けて披露。まるでプリクラのようなポップなVJの中に映されたメンバーたちが互いにハートを作る様子にファンは歓喜した。
映像が流れたあとは、ソロパフォーマンスのコーナー。ワインレッドのドレスで現れたジゼルが「Dopamine」を披露。力が抜けてリラックスしているように見えるのにも関わらず表現力豊かなダンスには目を奪われた。続いてブラックとデニムがメインのストリートな衣装を身に纏ったカリナが登場。「UP」ではヒップホップダンスをサラッとこなし、いつもとは少し違う雰囲気を見せた。中でも光る階段にカリナとダンサーのシルエットが浮かび上がるシーンは美しく、印象に強く残った。次に登場したのはニンニン。「Bored」は彼女らしい上品で少しゴシックな世界観のあるトラップ楽曲で、ビートが切り替わって激しいダンスブレイクが始まると、彼女のパワフルな動きに圧倒された。最後はウィンターのソロ曲「Spark」。まるで妖精のような彼女の雰囲気とマッチする幻想的な雰囲気を持つ四つ打ちの楽曲で、パステルパープルの衣装と花嫁のようなベールが映える美しいパフォーマンスだった。
ソロステージを終えるとコンセプト映像が流れ、再び4人でステージに登場。y2kらしいポップな衣装とともに、ウィンター、ニンニンの2人がツインテールに、カリナはハーフアップに、ジゼルは前髪のセットをチェンジしていた。日本語楽曲の「Hot Mess」、「Licorice」はポップにメンバーも楽しみながらパフォーマンス。続く、映画『テトリス』のOSTに収録された楽曲である「Hold On Tight」では、スクリーンにダウンロード画面が表示され、サイバーな世界観の中で観客をパーティーのごとく盛り上げた。さらに東京ドームが初披露となる日本語楽曲「ZOOM ZOOM」を披露し会場をロック。2曲続けてこの日最高の盛り上がりを見せた。
MCでは「ソロステージをさらに発展させたんですが、いつもより歓声も大きかったので自信を持ってできました」とカリナ、「ZOOM ZOOMは東京ドームが初披露で、短い時間で頑張ってステージを作ったので、楽しんでもらえて嬉しかったです」とニンニン。(中略)さらに「みなさんに”宿題”がありますよね?」と話し、この後のブロックで披露する「We Go」のコールアンドレスポンスを練習した。「こんな大きい東京ドームでこれしかできないんですか?(ジゼル)」「声が小さいっ!(カリナ)」と、メンバーからの厳し目なコメントに会場が笑いに包まれた。
MCの盛り上がりからすぐ「Spicy」が始まり、トロッコに乗ると「YOLO」「Live My Life」を続けて披露。アリーナから上の階までファンの声援に細かく反応していた。「We Go」では先ほど練習したコールアンドレスポンスが完璧に行われ、メンバーとファンたちの心が一つになった瞬間だった。
aespaの現実と非現実を繋ぐ力
コンセプトムービーもクライマックスを迎え、ここからラストに向けての盛り上がりが凄まじかった。会場の照明とペンライトが連動し、世界観を一気に作り上げていく。aespaのMVにも度々登場するアバターnævis(ナビス)がスクリーンに登場し、メンバーのae(アバター)と一緒に踊るシーンも。彼女たちが大きくなったり、ほぼ人間と原寸大の小ささになったりと、不思議な世界が広がった。「Trick Or Trick」にて全身ブラックの衣装でメンバーが再び登場すると、続く「Set The Tone」ではダンサーと連携し激しいダンスを披露、花火も上がって会場の熱気も高まる。さらにロック調にアレンジされた「Next Level」が始まり、「Neavis, calling」の部分をジゼルが「Tokyo, calling!」へとチェンジし、大きな歓声が上がった。物語の締めくくりに相応しい壮大な楽曲「Armageddon」とともに本編が終了。アンコールへの時間にはダンスチャレンジのコーナーが設けられ、スクリーンに映し出されたランダムなファンたちがaespaの楽曲を踊り、会場を盛り上げた。
飽きる暇なくアンコールの幕が上がり、「BAHAMA」のイントロとともにトロッコに乗った4人が現れた。ピンクとホワイトのブタのジャージを身に纏い、リラックスしたメンバーのギャップある姿にファンが沸いた。「YOU」を披露した後のMCでは、「東京ドームでこのブタの衣装を着たのは初めてだと思います」とカリナ。各々がポーズを決めたりわちゃわちゃと自由に過ごす時間は本編とは違う魅力でいっぱいだった。最後に「東京ドームでの公演は久しぶり。光栄です。また来てね!(ニンニン)」「ライブ中は緊張よりも楽しかったです! みんなのおかげ。本当にありがとうございます。(カリナ)」「みなさんがこうして私たちのエネルギーをいっぱいにしてくださったので、楽しめました。怪我した人たちはいないですよね? 大好きだよ〜!(ウィンター)」「本当に感謝してます!いつもMYJ(日本のファンダム名)の人たちが応援してくれてるの知ってる。本当に大好きだよんっ!(ジゼル)」(中略)と感謝の言葉を残し、「Melody」を披露。感動と愛に包まれたライブは幕を閉じた。
今回のライブを通して改めて感じさせられたのがaespaの世界観を作り上げる力だ。コンセプトムービーのストーリーや演出も抜かりなく、VJや照明、さらにはペンライトの動きまで全て計算し尽くされ、aespaの現実と非現実を繋ぐ、独特な世界観を表現していた。さらにはスクリーンに映し出される彼女たちも、影やダンサー、小物、VJを上手く使った構図を採用しており、大きい会場だからこそ堪能できる魅力を引き出していた。飽きることなくあっという間に終わった2時間半。これから彼女たちがどのように進化していくのか、目が離せない。
Photo by Seitaro Tanaka
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