TAIKINGとYONCEが語る「足跡」をテーマにしたコラボ曲、Suchmos休止以降の3年半
Rolling Stone Japan / 2024年8月24日 20時0分
TAIKINGがフィーチャリングにYONCEを迎えた新曲「Footprint(feat. YONCE)」を配信リリースした。シンガーとのコラボ楽曲シリーズをスタートさせ、6月には元yonawoの荒谷翔大を迎えた「Step By Step(feat. 荒谷翔大)」を発表しているが、第2弾のコラボ相手はSuchmosでともに活動を続けてきた盟友のYONCE。YONCEによる「Footprint」=「足跡」をテーマにした歌詞が2人の関係性を想起させつつ、トラックのアレンジには美空ひばりをサンプリングした「TOKYO KIDS(feat. IO & MonyHorse)」や「POP YOURS」のトレイラー楽曲などを手掛けるビートメーカー・プロデューサーのMETが加わり、新たな化学反応が起きたエポックメイキングな一曲となっている。TAIKINGとYONCEの2人に楽曲制作の裏側と、Suchmos活動休止以降の3年半の足跡について語ってもらった。
―まずはタイキくんがシンガーとのコラボ楽曲シリーズをスタートさせた経緯を教えてください。
TAIKING:バンドを休止して、ソロ活動を始めたタイミングがコロナ禍だったのもあって、まず自分1人でいろんなことをやらないといけない状況だったんですよ。それでまずはアルバム一枚作るところまでやってみて、次はどんなことをしていこうかなと思ったときに、今一度誰かと一緒にやってみようと思ったんです。Suchmosでは基本的にみんなで曲を作っていたので、バンド形態ではなくても、誰かと一緒にやってみることで自分の曲の幅が広がっていく気がして、違う作り方にトライしてみたくて。自分探しというか、自分も知らない自分の魅力を探してみたかった、みたいな感じでスタートしましたね。
―第1弾のコラボ相手は荒谷翔大くんでしたが、もともと繋がりがあったのでしょうか?
TAIKING:ソロのツアーでyonawoと2マンをやったことがあって、彼の存在もそのときに知って、一緒に話したりしている中で、彼は歌声も独特だし、自分の作る曲のタイプにすごくハマるんじゃないかっていうのがあったかな。あと彼がyonawoをやめて、ソロをやり始めるタイミングと重なっていたこともあって、これからどうなっていくんだろう?っていう、ちょっと不安な気持ちもあったとは思うんです。「Step By Step」は「前向きに1個1個やるしかないよね」みたいなテーマ性の曲なので、彼とはこの曲を今一緒にやるのがいいんじゃないかと思いました。
―YONCEくんの名前はコラボ相手の候補に最初から挙がっていたわけですか?
TAIKING:そうですね。ただYONCEの場合は荒谷くんとまた違うなと思ってて、YONCEとやるんだったら何か面白い方向性でやりたいと思ったんですよね。YONCEと一緒にやって、Suchmosダッシュみたいになるのは嫌だなと思ってたから、今回初めてビートメーカーのMETくんに入ってもらい、俺とYONCEがやることで、良くも悪くもSuchmosっぽい匂いが出てしまうものを、より客観的に見て、こねくり回してもらいたかったんです。あと今回の歌詞は丸々YONCEにお願いしていて、それもソロではこれまでやったことがなかったので、僕の中ではめちゃくちゃ新鮮だったし、すごく面白い着地になったなって。
―YONCEくんは最初に依頼を受けて、どう思いましたか?
YONCE:まずは単純に、仲間の誘いはやるっていうことですね。Suchmosの活動休止からは3年経ってて、バキバキに制作してた時期から数えると下手したら4年ぐらい経ってるけど、その間他のメンバーと何かするみたいなのをしてなくて。だからまずタイキが曲を書いて、「こういうメロなんだ、こういうリズムなんだ」みたいなのを聞くとこから入ってはいるけど、もう内容云々以前に、「タイキだから」っていうところですぐにやりたいなと思いました。
ーSuchmosの活動休止からは約3年半が経過していて、その間はそれぞれが個人の活動をしてきたわけですが、YONCEくんはタイキくんの活動をどのように見ていましたか?
YONCE:これはめっちゃ遡った話になっちゃうけど、タイキはもともとギターボーカルで、俺が知った当時は普通にフロントマンだったから、そこの違和感みたいなのは正直あんまりなくて。むしろ昔と変わらず、ピュアさみたいなことを歌っていたり、Brotherhood的なスタンスでやっている感じが僕としてはすごく嬉しいです。あとはやっぱりギタリストとして素晴らしすぎるから、今どんだけ忙しいねんみたいな、やっぱすげえなっていう感じ。でも多分タイキが一番他のメンバーとも交流があって、俺もタイキの主催しているイベント(「CONNECTION FES」)に出てるし、休止後もフラットに、開かれた状態で生きてる感じがします。僕も別に閉じちゃいないけど、タイキはよりそこの物差しがフラットのままやってる気がする。
―タイキくんはYONCEくんの活動をどう見ていましたか?
TAIKING:Hedigansをやる前に、「畑を始める」みたいなことを風の噂で聞き、実際メンバーで何回か会うタイミングがあったときに直接その話を聞いたりして、まずその農業っていうのが面白いところに行ったなと思って。世の中の見方をYONCEなりに勉強しに行ってる感じがすごくして、Hedigansの音楽を聴くと、歌詞とかにそういう経験から得た目線が入ってるような気がして。自分の物差しができたというか、もともとあるんだけど、それがより極まってる感じがするから、やっぱり面白いやつだなって思ってました(笑)。
―実際YONCEくんって今の話を聞いてどう思いますか?
YONCE:その通りですね。「何か持って帰ってくるために」みたいに言っちゃうと、畑を手伝っている師匠たちからしたら「別にそういうつもりでやってもらってるんじゃないんだけど」っていうのもあるかもしれないけど、でもやっぱりそういう部分はあって。音楽とかエンタテイメントの世界で培ったことが農業で生きてることもあるし、タイキが言うように、農業とか田舎での暮らしから持って帰ってきて音楽に落とし込んでることもやっぱりある。そのどちらが正しいとかいいとかっていうことでは全然なくて、むしろこれを両方続けるの超大事だなっていうのが、ここ1年ぐらいの僕の考えですね。「貴重な体験」とか「都会じゃ見れない景色」とかじゃなくて、もっと根本的な、本質的なことを、雑草を刈りながら考えるでもなく考えるような時間って、逆に今まで全然なかったから、それができてるのが個人的にフレッシュだし、今は生活のどの局面においても、すごくバランスが取れている感じがあって。そういう意味で、タイキが見ていた俺の姿は、ホントにその通りなんだろうなと思います。
―では改めて、「Footprint」について聞かせてください。まず曲自体の方向性はタイキくんが決めたわけですか?
TAIKING:これ結構二転三転してる曲で、もともと僕が作ってた、それこそSuchmosダッシュみたいなトラックがあって、それをまずYONCEに送って、「こんな曲にしようと思う」みたいなことをやってたんですけど、でもやっぱりこれだとSuchmosダッシュだから、誰か他の人に入ってもらおうっていうので、METくんに「これ全部崩しちゃっていいから、面白い感じにしてもらっていい?」っていうのをお願いして。
ー元のデモはどんな感じだったのでしょうか?
TAIKING:初期のSuchmosっぽいというか、16ビートがあって、ファンクな感じで、そこにギターの象徴的なリフが乗っかってるみたいな、俺が思うというよりも、世間が思うSuchmosっぽい曲ってこういう曲なのかな、みたいな感じ。でもそれだとやっぱりSuchmosダッシュすぎるから、METくんに全く違う形にしてもらいつつ、それに対して僕がテコ入れもして。で、YONCEが家に来たときに鼻歌を歌ってもらって、それがメロディーになったんですけど、もともとサビのメロディーがBメロだったんですよ。なんだけど、YONCEが帰った後に「こっちの方がサビっぽい」と思って、ひっくり返したりして。だから結構ぐちゃぐちゃな作り方なんですけど、それによって自分の範疇を超えた曲になったなと思います。サビができて、「これ一緒に歌ったらめっちゃいい」みたいなところから広げていくんじゃなくて、パズルみたいな、「ここにこれを配置して」みたいな感じで、バランスだけ僕がとったみたいな、今回の曲はそういう感じですね。
YONCE:〈答えを探し求めるあまり〉のところがサビだったのか。
TAIKING:そうそう、そこがもともとサビ想定だったんだけど、「こっちがBメロじゃない?」みたいなのがあって。もはやどういうふうにそれを崩して、どういうふうに再構築したかは正直あんまり覚えてないけど、でも結構ぐちゃぐちゃにした覚えがある。
―YONCEくんは最初にこの曲のトラックを聴いて、どんな印象でしたか?
YONCE:俺はそのSuchmosダッシュ感みたいなのはそこまで強く感じなかったけど、でもやっぱりタイキのシグネチャが炸裂しているデモだなと思って。あとはやっぱり自分が歌うのがわかった上でもらってるから、「Aメロの部分はリズミカルな感じだな」とか、そういう展開に応じたメロのあり方みたいなのを頭の中で想像しながら聴いてましたね。曲自体は、特にタイキのデモの段階はかなり爽快な感じだったから、歌詞は逆にそんなに爽快すぎない方がいいかなとか、そういうことを考えてました。
―METくんは今回が初顔合わせなんですよね?
TAIKING:そうですね。会社の人を通してご紹介していただいて、打ち合わせもリモートだったので、まだ実際に会ったことがないんですよ。
YONCE:それも面白いね。ナウい曲なんだ、そういう意味では(笑)。
―でもやり取りしていく中で、普段の自分とは違うアウトプットになっていって、それが面白かったと。
TAIKING:そうですね。やりたかったけどテクニック的にやり方がわからない部分が何個かあって、例えば、ボーカルチョップのテクニックとかって、サンプラーがちゃんといじれる人じゃないと、ちゃんとはできなかったりして。もちろん自分でもググったりして勉強はしてたけど、あんまり上手くいかなくて、多分そこを通ってきてないからだと思うんですよね。MPCとかを通ってきてない。でもMETくんはバキバキにヒップホップのシーンでやってるので、彼からのデータをもらうと、すごく勉強になる部分もたくさんあって、本当にいろんな実りのある制作でした。
―スクラッチはもともと入ってたんですか?
TAIKING:もともと入れてました。ただ僕はこれまであんまりサンプルを使ったことがなかったんですよ。バンド上がりなところがあったから、「素材は録るもの」みたいなベクトルだったけど、今の音楽シーンのことを、それこそYaffleとかに「どうやったらこういう発想が出るの?」とかいろいろ聞いたりしてる中で、今ってサンプリングのサービスとかあるじゃないですか?
―スプライスとか。
TAKING:そう、スプライスとかをようやく使い始めて、逆に「演奏を禁止にして作ってみよう」みたいな。
YONCE:あー、そういうことだよな。確かに、未知の体験だよね。
TAIKING:要はさ、演奏しちゃうとどうしてもいい感じにはまってしまって、いい曲になってしまう(笑)。でも今回はそのやり方から抜けたいっていうのがあって、METくんにはすごく世話になったというか、いろんなことを教えてもらったりして。普段だったらある程度ライブを想定して曲を作ることも多くて、自分が歌ってるところはギターをなるべく減らしてとか、ライブパフォーマンスのこともちらつきながらアレンジを考えることもあるんですけど、今回の曲に関しては、どうやってライブでやったらいいかわからない(笑)。ライブはライブで全然違うやり方があるから、それはそれで考えればいいかなと思うけど、ここまでライブのことをがん無視して作ったのは初めて。
―藤井 風さんとかVaundyくんの曲も音源とライブで違ったりするから、そういう影響もあるかもしれないですね。
TAIKING:そう、それはある意味サポートをやって発見したことで、みんな音源は音源として100%素晴らしいものを目指してるんだなと思ったんですよね。だから、どっちかと言ったら下心があったのは俺の方で(笑)、ライブを想定してアレンジを決めちゃってたけど、今回はそういう下心なしで、面白いものにできたなと思います。
―ちなみに、2人の歌割りはどうやって決めていったんですか?
TAIKING:それはわりと独断と偏見で、「YONCEがAメロ、俺が次Bメロ」っていう。
YONCE:最初から「こうだよね」みたいな感じだったよね。俺らの共通の何かが多分あって、共通してピンときてた歌い分けが自動的にこうだった感じがする。だから、逆に言うとあんまり説明はできない(笑)。
―掛け合いになるところも最初から決まってたんですか?
YONCE:俺は最初から掛け合いありきでメロを持っていきました。ブリッジの部分と、掛け合いの前のサビに関してはタイキがメロをつけてて、まだふにゃふにゃしてる状態だったAメロのメロディーを俺がその前につけて、掛け合いのところも「ここは掛け合いだ」って、メロを送った段階から決まってる感じ。歌詞も「この順番で歌うだろうな」と思って書いてるから、俺が言う台詞、タイキが言う台詞のつもりで最初から書いてましたね。
―そこは最初から考えてたんだ。
YONCE:考えたわけでもなく、もうそのようになる。俺とタイキが長年バンドをやってきた感じで、別に決めるとかでもなく、「もともとこうなってる」くらいの感覚だった気がしますね。
―歌詞のテーマに関しては、YONCEくんが一人で決めたわけですか?
YONCE:そうですね。タイキが自分のソロ作でもずっと言及しているテーマとしてBrotherhoodがあって、これはもちろんSuchmosメンバーのことでもありつつ、CONNECTION FESを一緒にやってる横浜の地元の仲間とか、音楽で出会った仲間とか、そういう人たちと過ごしている時間とか思い出、体験みたいな歌をタイキはすごく素直に言葉にして歌にするから、俺もその方向かな、みたいなのはもともと頭の中にありました。その中で、「形はどうあれ人は前進し続けていて、その道のりには必ず足跡がある」っていうことをモチーフとして使いたいというか、書きたいなって。
ーそれで「Footprint」=「足跡」というテーマになったと。
YONCE:曲の流れ通りに、一番のAメロから歌詞に着手したんですけど、僕の中で歩くことの象徴がブーツで。ブーツは持ち主と一緒に過ごした時間を物語るものだから、「あの日、あの山に登ってるときにここに傷がついたよな」とか、ブーツを磨いてるときに、そういう思い出を思い出す時間って、靴と話してるのと一緒、コミュニケーションしてるのと一緒だな、みたいなことから、最初のフレーズが思いついて。
―〈履き込んだブーツのめくれた革と語ろう〉。
YONCE:そこからは俺とタイキが一緒にバンドをやってきた中で見てきたこととか、やってきたこととか、それらが良かったり、さりとて悪かったとしても、でも今は何となく俺らそれを肯定できていて、こうやってまた一緒に何かやってる。それってすごくおかしいけど、最高だね、みたいなことを書きました。
TAIKING:最初YONCEの弾き語りで来たんですよ。「こんな感じになるわ」みたいな。その段階でもう最高で、「これ、めっちゃいいじゃん」「でしょ」みたいな(笑)。
YONCE:ヒップホップ方式じゃないけど、自分のヴァースを自分で書くのか、タイキがほぼほぼ書くのか、俺が書くのか、最初はまだ決まってない感じだったんですけど、俺が思いついちゃったからもう書くわみたいな、「できちゃったわ」みたいな感じで、それをタイキに聴いてもらって、いいねってなったから、それをそのまま録った感じ。
―TAIKINGのソロではあるけど、もともと違った作り方を試したいっていう目的もあったし、YONCEくんが歌詞を書き切るのもそれはそれでアリだったと。
TAIKING:それで全然良かった。歌詞も自分の形みたいなのがなんとなくあるんですよ。それが俺の場合は結構ストレートでポジティブな印象が自分でもあって、でも今回はそこもぶっ壊してみたかったっていうのはあって。だから半分はTAIKINGソロだけど、半分は自分のソロじゃない感覚っていうか。
―YONCEくんが歌詞を書くとある種のカウンターとか反骨精神みたいなものが入ってくる。でもやっぱりTAIKINGソロのこのトラックでやってるから、もちろんSuchmosとも違えばHedigansとも違う、この組み合わせならではの温度感になってるなって。
TAIKING:そうそう。だから今回は「頭をかちこちにしすぎない」っていうことだけ気をつけてましたね。制作をしてると、「これはこっちの方がいい、あっちの方がいい」っていうふうに見えてきちゃうところがあって、それをシカトするのも結構ムズイいんですよ。でも今回はシカトというかスルーみたいな感じで、「目は通すけど、スルーする」っていうことをいろんな尺度でできた。それによって今回の新しいトライとしては、俺はめちゃくちゃ花丸なところに着地したなと思ってるんですよね。
―「こうすれば上手くいく」っていうものをあえてスルーしつつ、でも決して無理をしてるわけではなくて、ナチュラルに向かうべき方向に行った感じがします。
TAIKING:相手がYONCEじゃないとこの力の抜き方はできなかっただろうなって。あうんの呼吸感というか、さっきの歌のパート分けの話みたいに、「これだよね」みたいな共通認識が最初からないと出来なかったかなって思う。他の人だとこうはいかないから、本当にYONCEじゃないと、このスルー感でできなかったっていうか。
YONCE:例えばさ、はじめましてじゃないけど、一緒に作るのは初めてみたいな関係値だと、「お、そう来るか」みたいなさ、お互いの感性の探り合いみたいになるよね。
TAIKING:荒谷くんのときはやりたいことが結構はっきりしてて、ある意味着地が見えた状態で制作してたんだけど、今また別の人とも現在進行形で制作をしてて、それはそれでまたYONCEとも荒谷くんとも全然違って、感性の探り合いするのは小っ恥ずかしいみたいなところがあったり。だから同じコラボでも人によって本当に全然違う。
―この歌詞にしても、広い意味でのBrotherhoodにも受けとめられるし、でもやっぱりSuchmosのこと、2人の関係のことを歌っているとも受け取れて、〈誰も気づかないはずさ こぼれた涙の痕は 背中合わせの旅路で 目印になればいい〉のあたりとかを2人が声を合わせて歌ってるのを聴くと、いろんなことが思い出されたりもして。でもその上で今2人が一緒にやってることがめちゃめちゃいいなと思うし、スペシャルな曲になったなって。
YONCE:そうですよね。別にね、わだかまりがあったから、ここまで一緒に何かやることをしなかったわけではなくて、普通に会って話とかは全然してたし、あえてインタビューでは言いませんけど、その時点での自分たちの境遇の話とかも全然時系列として共有した上での今回の制作だから、やっぱりずっと地続きなんだなって。
TAIKING:そう、地続きなんですよ。このインタビューも、って言ったら変かもしれないけど。
YONCE:でもそうだよね。
―ちなみに、つい先日Suchmosが表紙になってるミュージックマガジンの情報が解禁になったりもしたじゃないですか?
TAIKING:ああ、「STAY TUNE」のミュージックビデオが表紙になってるんでしょ?
YONCE:俺はmaya ongakuのメンバーから一昨日聞きました。「YONCEくん表紙っす!」って、ツイッターの画面を見せられて。
ー「2010年代Jポップ ベストソングス100」っていう企画で、僕もあれに参加していて、そしたらこの取材の話も来たから、ホント地続きだなと思って。
YONCE:何かそういう一つの時代を振り返ろうってなったときに、自分たちが思い出してもらえるっていうか、「やっぱ彼らだよね」みたいなふうに挙がる1個の名前になってるっていうのは、それだけのことをやってきた自負もあるし、嬉しいですね。
―Suchmosが動いてるときは自分たちのことで手一杯だったと思うから、自分たちがどう見られてるかとかは全然わからなかったし、気にもしなかったと思うけど、個人で活動するようになって、下の世代とも会うことがあったりして、「Suchmosってこう見られてたんだ」って、客観的に見れるようになった部分もあるかなと思いますが、どうですか?
YONCE:どうかな……俺はコロナ禍はほぼ現場にいなくて、ライブもしてないし、自分の自前の活動も全くなかったから、家の半径数百メートル以内の往復だけの生活を2年ぐらいしてたので、その期間は超気楽だったんですよ。そこからHedigansが表だって動き出して、今年はすごい数フェスに出させてもらったり、ARABAKIのチバさんの追悼のステージにルースターズの池畑さんに呼ばれて出たんですけど、そのときとかに若いバンドマンに話しかけられて、「高校生のとき聴いてました」とかそういうのが現れたから……ちょっとむかつきましたね(笑)。
―むかついたんだ(笑)。
YONCE:「聴いてましたって、なんだよ。今聴いてねえってことか?」みたいな(笑)。別に自分が老いたとは全然思わないけど、もうこういうふうに、言ったら懐古の対象になり始めてるんだなっていうのは、俺は普通に嬉しいことで、それはやっぱり音楽が愛される理由だから。自分が青春時代に聴いてた音楽って今でも最高だし、誰かにとっての一番大事な時期の一部分を担えてたっていうのは、本当に喜ばしいことで。
TAIKING:俺なとりくんって若いアーティストをサポートしているんだけど、なとりくんSuchmos好きでいてくれてライブのリハのときに、「タイキさん、『Armstrong』の頭弾いてください」とか言って、サウンドチェックをその曲でやるタイミングがあって(笑)、面白いんだよね。
YONCE:かわいいね。甘えてくるんだ。
TAIKING:「ライブ行ってました」みたいな子と今一緒に演奏したりしてるって、不思議だよね。もちろんありがたいし。
YONCE:さっきmaya ongakuの名前を出しましたけど、俺とかケントとかタイキがすごく仲良くしてる地元の古着屋にスタジオスペースみたいのがあって、そこに俺らいっぱい楽器とか機材を寄付して、「みんな好きに使って」みたいな感じにしてあるんですよ。それは当時同世代のやつらに向けたつもりだったけど、当時まだ大学1年2年ぐらいのmaya ongakuの連中がそこのお店にしょっちゅう遊びに来て、「これがエレキギターか、これがシンセサイザーか」みたいな感じで、彼らは俺らの楽器で音楽の入口のドアを叩いてて。でも俺らのことをずっと身近で見てきてたから、「Suchmos大好きだけど、同じことやったら勝てない」っていうので、今のmaya ongakuの音楽性になっていて。
―音楽の継承のされ方としてそれがベストですよね。真似して同じことをするんじゃなくて、刺激だけを受けて、自分なりのやり方を探すっていう。
YONCE:俺はそれがすごく誇らしくて。後輩が俺らとはまた全然違う用法用量で音楽家をやっていて、しかもちゃんと頭角を現してる。ファンじゃないというか、弟みたいな感覚で見てるから、すごい面白い関係だなと思うし、こういうことがどんどん繋がったらいいなって。
TAIKING:下が出てきた方が面白いかもって、最近ちょっと思うようになった。前までは、下が出てくるの嫌だなと思ってたの。ずっと新人でいたいと思ってた。その方が楽だから。そう思ってたんだけど、そしたら下の世代の子たちが現れて、ちょっとずつ歴史ができてきて、来年はSuchmosが10周年とかだったりするわけでしょ? とか思うとさ、下が出てくる面白さってあるなと思って、最近肯定的になってきた。先輩風を吹かせたいわけじゃなくてね(笑)。
YONCE:3年前にフジロックで忌野清志郎さんのトリビュートのステージに出て、そのときチバさんとお酒飲みながら、「YONCEくんいくつになったの?」って言われて、「今度31歳っすよ」って言ったら、「もう中堅だな」みたいに言われて。「おお、そっか。若手の初心者マークもう取れちゃったんだな」みたいな、どうやらそうらしいよ。
TAIKING:最初はそれに迷いもあったけど、最近は中堅に片足突っ込むのも悪くないなと思う。
YONCE:そうだね。嬉しいことが増えるよね。
<リリース情報>
TAIKING
配信シングル「Footprint (feat. YONCE)」
配信中
https://fcls.lnk.to/Footprint
TAIKING SNS
Twitter https://twitter.com/totsukataiki
Instagram https://www.instagram.com/taikitotsuka/?hl=ja
YONCE SNS
Instagram https://www.instagram.com/yosuke_kasai/
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