Aimerが語る、海外ツアーで受けた「愛」、感情を素直に楽曲で表現できた理由
Rolling Stone Japan / 2024年9月3日 18時0分
シンガーのAimerが、新シングル『Sign』を8月28日にリリースした。今年7月まで海外ツアーを行なっていたAimer。5年ぶりの海外ツアーでの出合いや、現地で受けた刺激を素直に落とし込んだという新シングルに込めた想いや、Aimerに芽生えた新たな感情とは?
関連記事:Aimerが多様な新EPを語る 「コンセプトがないことがコンセプト」の意味
ーニューシングル『Sign』の制作は海外ツアー「Aimer 3 nuits tour 2024」の最中にも行われていたそうですね。
はい。リード曲の「Sign」は割と前から作っていた曲なのですが、カップリング曲の「Wren」と「月影」はちょうどツアー中に作った曲なんです。なので、新シングルには日本だけでなく、上海や台北、香港など、異なる場所で作った曲が収録されています。
ー新シングルを拝聴したところ、まるで「新たなAimer」が立ち上がってくるかのような印象を受けたのですが、海外で制作したことも影響しているのでしょうか?
カップリングの2曲には、海外ツアー中に感じたことが色濃く表れていると思います。今回の海外ツアーは久しぶりだったということもあり、現地でさまざまな刺激を受けて、自分が思っている以上に自分の「感情」や「考え」が良い意味で乱された感じがしました。
ー「乱された」というと?
海外ツアー中、「相反する感情」が自分の中にたくさん生まれたんですよね。例えば、大勢のファンのみなさんの前でステージに立って、たくさんの声援や歓声をいただいてすごくうれしかったと思えば、1人になったとき、それに対して多大な責任を感じたり、1人で街を歩いているときにふと「母国語が違う国でもし今迷子になったら、もうみんなとしばらく会えなくなるのかな?」と不安になったり。あと、漠然と「この大きな世界に比べたら自分ってちっぽけで無力だな」と感じる瞬間もあって。そういうさまざまな感情が、海外ツアー中は自分の中でせめぎ合っていました。
ー新シングルには、そういった感情が素直に表れているということですか?
そうですね。”ごちゃごちゃした気持ち”をまとめすぎず、素直に歌詞にできたと思います。実は長いキャリアの中で、「私はあくまで物語の語り部で、『自分』を前に出しちゃいけない」と思っていたんですが、「Wren」と「月影」では、自分の感情を素直に表現できたと思います。
ーなるほど。ほかにも海外での制作が新シングルに与えた影響は何かありますか?
はい。例えばカップリング曲のタイトルになっている「月影」。これは、実際に台北で見た月にインスパイアされて名付けたものです。台北に滞在していたある夜、月がとてもきれいな夜があって。すごくベタですけどその月を眺めていたら「地球っていう同じ星にいて、みんなが眺められるものって数少ないよな」って実感したんです。「月影」は普遍的な曲だなと感じていたので、みんなが同じように眺められるものをモチーフにしようと思い、「月影」と名付けました。
ー実体験をもとに作られていたんですね。カップリングのもう1曲、「Wren」は日本語でいうと「ミソサザイ」という鳥のことだと思いますが、こちらも海外ツアー中に出会ったのでしょうか?
いえ。実はミソサザイは前からずっと気になっていて、いつか自分の音楽のモチーフにできたらいいなと思っていた鳥で。「Wren」の歌詞を作っていたとき、自然と「鳥」という言葉が出てきたので、「ミソサザイを今使おう」と思って名付けました。ずっと気になっているものの、私も実際には見たことはないんですが……。
ーあまり見かけない鳥ですよね。具体的にはどんなところが気になっているんでしょうか?
ミソサザイは日本の野鳥の中では最も小さい鳥の1つなんですが、冬を越すために秋から越冬地に移動するらしいんですね。それを知って、とても小さな体なのに生きるために飛んでいくのって、とても健気だなと思って。そんなふうに力強く羽ばたいていく存在は、自分の中で1つ大きな象徴になるなと感じて、このタイミングでタイトルにしました。
ー前回のインタビューでは、「『海外にも居場所がある』という感覚を味わって帰ってきたいなと思います」ともおっしゃっていましたが、そこに関してはいかがでしたか?
実は、良い意味で戸惑ってしまうくらいの”愛”をオーディエンスのみなさんからいただきました。海外ツアーは5年ぶりで、さらに海外でのアリーナツアーは初めてだったので、正直ステージに立つまでは半信半疑だったんですが、いざステージに立ったらオーディエンスの方々の声の震えだったり、リアクションだったり、会場の雰囲気だったり、そういった”すべて”を頭で考えるより先に、体で感じることができました。アリーナっていう大きなステージに立つライブにおいては初めてじゃないかっていうくらい、あまり緊張せずにパフォーマンスができましたね。もう、どう返したらいいかわからないくらいの愛をもらったような気がします。
7/9香港・AsiaWorld-Expoでの様子
ーオーディエンスからもらった愛の力も、新シングルで「自分の感情を素直に表現できた」ことにつながっているのかもしれませんね。
まさにそうだと思います。「もらった愛に応えられるように1曲1曲を大切に歌っていかないと/歌っていきたい」という気持ちが改めて芽生えたので、自分の感情を真っ直ぐ言葉や曲にするっていうのを今やっても良いかもしれないと思えたんですよね。あと、海外ツアー中も日本のみなさんがメッセージを届けてくれたりしたお陰で、「ちゃんとホームがある」「守ってくれている」っていう安心感があって。そういう守られている安心感の中で海外でも温かく迎えていただいて、その両方が合わさったことで、歌やパフォーマンスで思い悩んでいた部分を砕くことができた感覚もありました。なんていうか、「穴が開いて光が見えてきた」みたいな感覚というか……。海外ツアーを経て「自分自身に喝を入れて、もっと先へ羽ばたいていきたい」という気持ちもより大きくなったと思います。
ー「喝を入れたい」というのは驚きました。そう思うほど、大きな愛を受け取ったんですね。
はい。今回のツアーでは「1」が「2」になることの意味も、改めて強く感じました。デビュー曲「六等星の夜」で歌い始めたときを思い返すと、正直「誰か聴いてくれる人がいる」とか、そういうイメージはあんまりしないで作ったというか。「自分のために作った」という気持ちが大きかったんですが、たった1人の”誰か”がそれを聴き始めてくれた、その瞬間の感動っていうのは、自分にとってすごく大きくて。たった「1」が「2」になっただけの違いだけど、孤独な「1」が「2」になることって、数字の大きさよりももっと大きな意味があると思うんです。みんなひとりぼっちだけど、だからこそ誰かと手を取ることがすごく大切だなって、そういうことを強く感じたツアーでもありました。
ーリード曲「Sign」でも、「出会い」や「孤独」について歌われていますよね。
そうですね。「Sign」は、TVアニメ『狼と香辛料MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』第2クールオープニングテーマなので、制作前に原作を読ませていただいたんですが、印象的だったのが主人公の行商人クラフト・ロレンスと、女の子ホロのやり取り。元々とても孤独だった2人が出会って共に旅をするんですが、その様子をみていて、「きっと孤独を感じていた2人だったからこそ、旅がよりかけがえのないものになるんだよな」と思ったんです。そういった部分を自分に重ね合わせて楽曲を制作しました。
ーその2人の様子から、Aimerさんの活動にも通じる何かを感じ取ったんですね。
そうです。私も13年くらいの音楽活動の中で音楽を通じて本当にたくさんの方に出会ってきたし、そういう出会いの1つ1つが自分に刻まれているなっていうのを改めて感じることができました。曲1つ取っても、1曲1曲に刻まれた思い出だったり、誰かとの繋がりだったりがありますし。
ー5年ぶりの海外ツアーを通してさまざまな心境の変化があったと思いますが、10月からは日本ツアーも始まります。今のお気持ちはいかがですか?
実は、今年はまだ全然日本でパフォーマンスができていないんです。日本のリスナーのみなさんをすごく待たせちゃっているなっていう気持ちがあるので、日本の方々にも忘れられないように、みんなにちゃんと思い出してもらって、心に印をつけてもらえるようなツアーにしたいと思っています。あと、ホールツアーは2年ぶりくらいなので、純粋にとても楽しみですね。アリーナもすごく好きなんですが、ホールというオーディエンスとより近い距離でのライブは自分に合っているなと常々思っているので、そういう会場で各地でパフォーマンスをできるのが楽しみです。
ー海外ツアーを経て変化を遂げたAimerさんのパフォーマンス、どんなものになるのか楽しみです。
ありがとうございます。ツアータイトルの”lune blanche”はフランス語で、日本語では「白月」というのですが、これは古代インドの暦法で月が満ち始めてから満月に至るまでの15日間の称なんですね。なので、いろんな方法で「満ち欠け」を表せたらなと思っています。今までとは違った新しいツアーにできたいいなと思っているので、ぜひ楽しみにしていてほしいです。
ーでは最後に、今後の活動のビジョンを伺いたいです。「羽ばたきたい」という印象的な言葉も出ましたが、今後の活動はどのようなものになりそうでしょうか。
新シングルを作り終えたばかりなので、まだハッキリとはイメージできていないですが、今回の海外ツアーは「どういうふうに歌を歌ったら、自分が一番自由に広がっていけるんだろう」というのを改めて考える機会にもなりましたし、前まで「『自分』を前に出しちゃいけない」と思っていた気持ちも、ゆっくり変わり始めています。広い目で話すと、私はもうすでに15周年のことを考えているので、まだ具体的にどういうものかっていうのは言えないし内緒にしたいけど、みんなにきっと喜んでもらえるようなものを作りたいなと思っています。
<リリース情報>
Aimer
『Sign』
2024年8月28日(水)リリース
https://aimer.lnk.to/240828SG
発売形態・価格
・初回生産限定盤(CD+BD)/ VVCL 2554-2555:価格 1760円(税込)
★「Sign」Music Video収録DVD同梱
・通常盤(CD)/ VVCL 2556 価格 1320円(税込)
・期間生産限定盤(CD+BD)/ VVCL 2557-2558:価格 1760円(税込)
★TVアニメ『狼と香辛料MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』描きおろしイラスト使用ミニポスター&三方背ケース仕様
★TVアニメ『狼と香辛料MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』ノンクレジットオープニング映像収録BD同梱
<ライブ情報>
Aimer2024年秋全国10都市19公演ホールツアー
2024年
10/25(金)10/26(土)市川市文化会館 大ホール(千葉県)
11/2(土)11/3(日祝)神戸国際会館こくさいホール(兵庫県)
11/30(土)12/1(日)仙台サンプラザホール(宮城県)
12/6(金)12/7(土)愛知県芸術劇場大ホール(愛知県)
12/14(土)12/15(日)パシフィコ横浜 国立大ホール(神奈川県)
2025年
1/12(日)1/13(月祝)福岡サンパレスホテル&ホール(福岡県)
1/25(土)1/26(日)ロームシアター京都 メインホール(京都府)
2/1(土)高崎芸術劇場 大劇場(群馬県)
2/21(金)2/22(土)フェスティバルホール(大阪府)
3/8(土)3/9(日)東京ガーデンシアター(東京都)
チケット価格 【全席指定】8800 円(税込)
ライブ情報詳細 https://www.aimer-web.jp/live/
この記事に関連するニュース
-
BAND-MAIDが語る、世界を目指すバンド哲学と環境の変化
Rolling Stone Japan / 2024年11月20日 20時45分
-
IS:SUE、初ファンコン開催 客席降り・カバー…2時間半でファンと結ばれた“絆”繋げる「次は絶対に4人で」【1ST IS:SUE ASSEMBLE/セットリスト】
モデルプレス / 2024年11月14日 21時0分
-
BALLISTIK BOYZ、念願の初武道館 “NEXTステージ”に向かうための一歩に
ORICON NEWS / 2024年11月6日 21時48分
-
ラッパー#KTちゃんが語る、新曲で描いた20歳の現在地、D.Oからの言葉
Rolling Stone Japan / 2024年11月1日 18時0分
-
お手頃価格なのに飾り映え!タイトーの新物販フィギュアブランド「DRESSTA」より「狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF DRESSTA ホロ」が本日から予約受付開始!
PR TIMES / 2024年10月25日 12時15分
ランキング
-
1「すごくひねくれてる」広瀬すずが大河俳優に“余計なひと言”で批判殺到、蒸し返される“音声さん”炎上
週刊女性PRIME / 2024年11月19日 21時0分
-
2「菅田将暉の弟」として紅白報道される現実…“きょうだい芸能人”が2世以上に過酷なワケ
女子SPA! / 2024年11月23日 15時46分
-
3ムロツヨシ「だれかtoなかい」MC卒業へ 小栗旬&山田孝之が友情出演
モデルプレス / 2024年11月23日 13時38分
-
4「まだ若いのに老害への第一歩」藤田ニコル、後輩への“厳しいグチ”連発に世間は冷ややか
週刊女性PRIME / 2024年11月23日 9時0分
-
5東野幸治「大谷」めぐり「こんなにブーイング出るとは」とニヤニヤ謝罪「求めてるの俺しかいない」
スポニチアネックス / 2024年11月23日 14時52分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください