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オーロラが語るBring Me The Horizonとの共演秘話、最低な世界で「思いやり」を取り戻すために

Rolling Stone Japan / 2024年8月26日 17時30分

Photo by Yukitaka Amemiya

2024年のサマーソニックの出演で、日本でのオーロラ(AURORA)の評価は確かなものとなった。そんな実感がある。これまでに行われたオーロラの日本公演は東京と千葉(2021年のスーパーソニック)だけだったが、今回は初めて大阪でもパフォーマンス。そして今月18日のサマーソニック東京会場では、MARINE STAGEのヘッドライナーを務めるブリング・ミー・ザ・ホライズンのステージにサプライズ出演して大勢の観客を沸かし、そのわずか10数分後にはSONIC STAGEで自身のパフォーマンスを始めるという離れ業をやってのけたのだ。

その内容は素晴らしいものだった。筆者は2019年の初来日公演から観てきたが、間違いなく今回がベスト。凝った映像の導入効果も抜群で、昨年2月の豊洲PIT公演から何もかもがスケールアップしていた。オーロラは6月に4thアルバム『What Happened To The Heart?』を発表したばかりだが、そこから披露された4曲が実に上手く機能し、とりわけ終盤の「Starvation」のトライバルなビートは多くの観客を躍らせながら引き込んだ。曲への入り込み方もこれまでとは比較にならないほどで、ライブアーティストとしての著しい成長を感じさせたものだった。

このインタビューは、SONIC STAGEに出演する2時間半前に行なわれたもので、約10分という短い時間ではあったが、争いの絶えない世界や破壊される地球への思い、それに対して”私たち”はどうあるべきかなど、考えを明確に話してくれた。互いを思いやること。それが何より大事だとオーロラは言う。そういえば、COVID19のパンデミック真っ只中だった2021年、海外アーティストの来日が叶わずにいたそのときにもオーロラはスーパーソニックに出演し、豪雨のなか多くの音楽ファンにパワーと癒しを与えてくれたものだ。「日本が大好きだから、なんだってする」と彼女はそう話していたが、それもまた思いやり。2025年2月には東京と大阪での単独公演も決定したオーロラの今の言葉を聞いてほしい。




Photo by Yukitaka Amemiya

―昨日(8月17日)はサマソニの大阪公演に出演されたんですよね。あなたにとって初めての大阪公演、いかがでしたか?

オーロラ:最高だった!( 日本語で)カンペキデス! オーディエンスのみんなの反応も想像以上で、ちょっとびっくりしちゃった。大阪はすごくいいところだったなぁ。道で会った人もとても親切で、美味しいお店を教えてくれたりして。いい思い出がたくさんできた。

―今夜はここ幕張でSONIC STAGEのトリを務めるわけですが、どんなライブにしたいですか?

オーロラ:たくさんのエモーション。たくさんの……(頬を指でなぞって「涙」のジェスチャー)。たくさんの笑顔。たくさんの自由。それからカオス! それらで満たしたい。




サマーソニック出演時のライブ写真 (C)SUMMER SONIC All Rights Reserved.

―『What Happened To The Heart?』が6月にリリースされました。このアルバムの楽曲は今回のライブでどんなふうに機能していますか?

オーロラ:それは観てのお楽しみ。でもライブで新曲をやるのは、いつもワクワクするんだ。音源通りにそのままやってもつまらないし、毎回毎回その場でしか体験できないライブならではのサウンドにしたいと思っている。何かが溢れてきて、偽りのないもの。生々しさが何より大事なんだよね。ライブパフォーマンスでは、私は剥き出しの感情を表現したい。

―ニューアルバムの曲がセットリストに加わったことで、ライブ全体のあり方やムードが変化しているというふうには感じますか?

オーロラ:その質問は嬉しいな。そう、それまでとまったく違うものになったんだよね。自分でも不思議に感じるくらい、ライブ全体のエネルギーが変わったんだ。オーディエンスの反応も以前と違っていて、より心をオープンにして聴いてくれるようになったというか。歌いながら、私とみんなとの間にスペシャルな何かが生まれているのを感じる。今作には怒りの感情がかなり詰まっているんだけど、その怒りのパワーを糧にステージ上で生々しい表現をすることができたら、いいライブになったと思えるんじゃないかな。う~ん、まだ上手くは説明できないけど、とにかく新曲が加わった今のライブは、以前とは何かが違っていて、それはいい兆しだと感じている。


Photo by Yukitaka Amemiya

―ところで、今夜MARINE STAGEのヘッドライナーを務めるブリング・ミー・ザ・ホライズンと「liMOusIne (feat. AURORA)」でコラボレーションしていましたよね。オリーはRollingStoneJapanのインタビューで「ドリーミーでハスキーでディープな声がほしかった」「新しいものを持ちこんで、この曲をネクストレベルまで持ち上げてくれるアーティストが必要だと思った」と話していました。コラボの経緯を教えてくれますか?

オーロラ:きっかけは私がパレスチナについての発言をしたこと。私は今世界で起きている不平等について、話したいこと、みんなに伝えたいことがたくさんあった。そうしたら彼からSNSにメッセージが送られてきて。私の行動と発言に賛同してくれたみたい。それで「ありがとう」「嬉しい」と返したら、「僕の曲を歌わない?」って返信がきたんだよね。

そのあと申し訳ないことにしばらく返信するのを忘れてしまって、彼は彼で忙しくしていて、で、そのやり取りから数週間後、私がロンドンにいたときに突然「今やろう!」って連絡があったの。それで彼のスタジオに行って、5時間でレコーディングしたってわけ。彼との制作はすごく楽しくて、あっという間にできちゃった。そのあと一緒に出掛けて、ディスコに行って、一晩中踊ったんだ。

live video when? @AURORAmusic
[liMOusIne] pic.twitter.com/C9MfJlJ29Z — Bring Me The Horizon (@bmthofficial) August 23, 2024
―最高ですね。因みにブリング・ミー・ザ・ホライズンにはどんな印象を抱いていましたか?

オーロラ:オリーは特別な声の持ち主で、ボーカルテクニックは最高にクール。もうずっと大好きで、彼のこともバンドのこともすごくリスペクトしている。13歳の頃から彼らの音楽を聴いていたんだ。その頃はメタルにハマっていたから(笑)。オリーはすごく優しくて、メンバーのみんなも親切で、本当に素敵な人たち。

もっと愛を、思いやりを、優しさを

―新作の話をしましょう。2022年の前作『The Gods We Can Touch』には「Cure For Me」のようなダンサブルな曲もありましたし、全体的にもサウンドに遊び心があったように思います。対して今作は、軽快さのある「To Be Alright」や「Your Blood」のような曲も入っていて多彩であるとはいえ、よりシリアスでスケール感を有する曲が多くなった印象です。どんなサウンドにしたいと考えて制作に入ったのですか?

オーロラ:制作はいつもオープンでありたいと思っているので、特にプランはなかった。だから聴く人はいろんな世界観が混ざり合っているように感じるかもしれない。私は特定のジャンルにこだわらず、面白い! いいな! って思ったものはなんでも取り入れちゃうからね。でも自分なりの一貫性はあるんだ。アルバムを作る毎に音楽のコアに近づいている気もしていて、今作ではまたさらに一歩、コアに近づけたと思う。ほとんど計画を立てないまま制作を進めていって、うまくいくときもあればいかないときもあるけど、でも答えはそこにある。そうでしょ?

―答えを探すためのアルバムでもありますもんね。アルバム・タイトルからして『What Happened To The Heart?』で、”心に何が起きたの?”というクエスチョンの答えを探るべく、あなたはいろんなことを調べてこのアルバムを制作したわけで。

オーロラ:うん。



―作り終え、そこからの新しい曲をライブで歌うようになった今、明確な答えは見つかりましたか?

オーロラ:そうだね。そのハッキリした答えは……「the world is in deep shit」。世界はもうどうしようもない!

―え?

オーロラ:あはは。(日本語で)ゴメンナサイ。でも、本当にどうしようもないって思うの。私たち人間はお互いの多様性を尊重することを忘れ、動物や地球に対する敬意も忘れてしまっている。それで互いに殺し合って、人類よりも長い歴史を持った動物を殺したり地球を破壊したりする、そんな生き物になりさがってしまった。みんな肌で感じているはずだよね。何かがおかしいって。若い人たちは日々辛い気持ちを抱え、人生は無意味だと感じて、成功、お金、見た目の美を手にしなきゃというプレッシャーを背負わされて生きている。本当はそんなの必要ないのに。私たちは周りの事や人にきちんと目を向けて共存する術を忘れていった。食事を楽しんだり、音楽やダンスを楽しんだり、愛されるための偽りの自分じゃなくてそのままの自分でいることを楽しんだり……そんなことさえも。何かを取り違えている。だからもう一度ちゃんと考えなきゃいけないと思う。そうしないと、私たちの住むこの惑星は、もう本当にどうしようもなくなっちゃうから。


Photo by Yukitaka Amemiya

―昨年2月の来日公演中のMCで「あなたたちはそのままで完璧です」と言っていたのが心に残っています(今回のサマソニ東京公演でも「Cure For Me」を歌った際にそう言っていた)。また前作『The Gods We Can Touch』のインタビューでは「人間はそもそも不完全なもの。不完全さを私たちはもっと讃えたほうがいい」と話していましたね。それも今話してくれたことと繋がっているように思います。

オーロラ:うん。人間らしさを讃えることで、お互いを思いやることができると私は思う。思いやりの方法を考え直すことで、世界はよくなるとも。私たち人間は、ロジックや権力、成功、お金、そういったものに価値を見出すようになって、その代わりに思いやり、リスペクト、愛、繊細さ、優しさ、包容、寛容といった、スピリチュアルな繋がりを失くしてきた。それって陰陽の関係の崩れた、すごくアンバランスな状態だって思うんだ。バランスを失ったとき、物事はもっと悪い方向に進んでいくでしょ? 今がまさにそうで。だから今回のアルバムにも、もっと愛を、思いやりを、優しさを込めなきゃって思ったんだよね。今の世界はハートを失った状態によって支配されている。だから私はこのクエスチョンを投げかけたんだ。「What Happened To The Heart?」。心に何が起きたの? って。


Photo by Yukitaka Amemiya



オーロラ来日公演
2025年2月17日(月)東京ガーデンシアター
2025年2月18日(火)Zepp Namba
詳細:https://www.creativeman.co.jp/event/aurora25/

オーロラ@サマーソニック セトリプレイリスト
https://umj.lnk.to/AURORA_Setlist2024


『What Happened To The Heart?』
発売中
再生・購入:https://umj.lnk.to/AURORA_WHTTH

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