「尻を振れ!」マネスキンのヴィクトリアが語る、超ファンキーなソロデビュー曲の全容
Rolling Stone Japan / 2024年8月30日 17時30分
SUMMER SONIC 2024の余韻冷めやらぬさる8月24日、マネスキンのベーシストとしてヘッドライナーの大役を務め上げるだけでなく、東京会場で開催されたソニックマニアでDJとして日本デビュー・パフォーマンスを行なったヴィクトリア・デ・アンジェリスが、”ヴィクトリア”の名義でソロ・デビュー・シングルをリリースすることを明らかにした。
DJ活動の延長で楽曲制作を始めた彼女のダンス・プロデューサーとしての第一声となる、そのダーティーでファンキーなシングルの名は、「GET UP BITCH! shake ya ass (with Anitta)」。実は、ソニックマニアでのセットで一足早くお披露目していた曲である。先日お届けしたインタビューでダンス・ミュージックとの関わりやDJとしてのスタンスを詳しく聞かせてくれたヴィクトリアは、この曲にも言及し、有無を言わせずに踊らせてやろうという強気なタイトルは、「私のDJのスタイルをずばり言い当ててる」と語っていたものだ。
「GET UP BITCH! shake ya ass (with Anitta)」ミュージックビデオ
サウンド面においても、これまた前掲のインタビューで触れていた、目下ご執心のブラジリアン・ファンク(=バイレファンキ)をベースにしていることから、今の彼女の気分を凝縮した申し分ないイントロダクションだと言えるのだろう。
「そう、これはすごく私らしい曲だと思うし、やっぱりデビュー・シングルとあって象徴的な曲にしたかった。そういう意味で出来には大満足してる。自分らしいアグレッシブさやエネルギーがあって、でも同時にセクシーなエッジがあって、最高にリズミックで、クールなボーカルと一緒に印象に残るんじゃないかな」。
アニッタ、2022年撮影(Photo by Kevin Mazur/Getty Images for Rihanna's Savage X Fenty Show Vol. 4 presented by Prime Video)
ポルトガル語でその「クールなボーカル」を提供したのはほかでもなく、今年4月に発表した6枚目『Funk Generation』でまさに自身の原点であるブラジリアン・ファンクに回帰した、リオデジャネイロ生まれのブラジル最大のスーパースター、アニッタだ。2012年にデビューして間もなく地元で大ブレイクした彼女については、8年前のリオ五輪の開会式でのパフォーマンスを記憶している方がいるのかもしれない。
ブラジルはご存知の通り音楽大国でありながら、スペイン語圏ではないことがアーティストの海外進出を妨げてきた節があるのだが、健全な野心を備えたアニッタは2019年発表の『Kisses』以降のアルバムで、母国語のポルトガル語、スペイン語、英語の楽曲をミックス。ブラジル由来のサウンド以外にR&Bやトラップやレゲトンも取り入れた音楽的多様性、歌い手としての巧みな表現力、パフォーマーとしての圧倒的な華と存在感――過激な衣装を身に付けてのまさしく”shake ya ass”しまくりなダンスがオハコだ――も追い風になって、見事に世界進出を達成。第65回グラミー賞ではマネスキンと並んで新人賞候補に挙がり、マドンナやメジャー・レイザーからTOMORROW×TOGETHERに至る大物とのコラボで話題を提供してきた彼女は、アメリカ大陸はもちろんヨーロッパやアフリカ、はたまた中国を含むアジア諸国でも絶大な人気を誇っている。
ヴィクトリアは以前から交流があったそんなアニッタに、自分がブラジリアン・ファンクにハマっていることを伝え、「あなたのヴァイブで、エネルギー値が高いボーカルをこの曲に乗せてくれたらうれしい」とアプローチし、快諾を得たという。
「当初はインストのトラックに、仮歌としてとあるブラジル人アーティストのボーカルをサンプリングして乗せていたんだけど、やっぱり誰かシンガーに参加してもらいたいなと思った。となるとアニッタしかいないでしょ? 彼女に連絡を取ったら『もちろんやる! このトラックものすごく気に入った!』と言ってくれたっけ」。
ヴィクトリアの公式Instagramより引用
そして1週間後には早速、ボーカル入りの音源が送られてきた。「ちょうどメキシコに向かう飛行機に乗っていた時にアニッタから音源が届いたんだけど、Wi-Fiの調子が悪くてダウンロードするのに1時間くらいかかって、ようやく聞けた時には、機内で踊り出しちゃった(笑)。彼女のエネルギーやヴァイブが私のトラックのエネルギーにぴったりフィットしていて、別次元にまで曲を引き上げてくれた気がする」。
こうして考えうる限り最高のゲストを迎えて「GET UP BITCH! shake ya ass (with Anitta)」を仕上げたヴィクトリアは、ジャケットやミュージック・ビデオからも明らかなように、露出度の高さといい猥雑さといい、ヴィジュアル表現でもかなりハジけている。普段の彼女とアニッタの嗜好を知っていれば想定内ではあるものの、女性スター同士のコラボ企画のヴァイブとしては、そう、レディー・ガガとアリアナ・グランデの「Rain On Me」より、カーディ・Bとミーガン・ザ・スタリオの「WAP」のそれが、圧倒的に近い。
ちなみにこの曲の発表にあたってヴィクトリアは、設立されたばかりのベルリン発のダンス・レーベルnoted.Recordsと、ソロ・アーティストとして契約。そろそろマネスキンも次のアルバムに着手すると見られ、今後もあくまでバンドのスケジュールを優先すると彼女は強調するが、「とにかくどんどん曲を作りたいし、DJも可能な限り続けたいと思ってる」とやる気満々。すでにかなり長い”コラボしたい人リスト”があるそうで、お馴染みのロザリア、或いはドミニカ人ラッパーのトキシャなど、アニッタ然りでラテン文化圏内の女性アーティストたちの名前を挙げつつ、「DJとして大好きだから一緒にやってみたい!」とスクリレックスにも関心を寄せる。
「とにかくソロ・デビューってことで今はめちゃくちゃ興奮してるし、めちゃくちゃ新鮮でクリエイティブな体験だから、ルールとか一切取り払って思い切り楽しんでる(笑)。どんなリアクションが返ってくるのか楽しみだし、全てにおいて新しくて、私が存分に遊べる遊園地を手に入れたような感じなのかも」。
【関連記事】マネスキンのヴィクトリアが語るDJに目覚めた理由、セクシーとハイエナジー、多様性の追求
ヴィクトリア
「GET UP BITCH! shake ya ass (with Anitta)」
再生・購入:https://SonyMusicJapan.lnk.to/Victoria_gubRS
マネスキン
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