LUNA SEA結成35周年ツアーでの挑戦、東京ガーデンシアターで見せたバンドの未来
Rolling Stone Japan / 2024年9月19日 20時0分
LUNA SEA が結成35周年を記念した全国ツアー第2弾「LUNA SEA 35th ANNIVERSARY TOUR 2024 ERA TO ERA -EPISODE 2-」。2024年8月25日に東京ガーデンシアターで開催された東京公演を、ジョー横溝によるレポートでお届けする。
今年35周年を迎えたLUNA SEAのステージを超満員の東京ガーデンシアターで観た。
レポートの前にLUNA SEAが現在行っているツアー『LUNA SEA 35th ANNIVERSARY TOUR 2024 ERA TO ERA』のことを少し説明しておく。
今、音楽業界はアニバーサリーという<物語>に溢れている。サバイバルが大変な音楽業界で、活動が継続し、周年を迎えることはとても喜ばしいことで、それを祝うことになんら違和感はない。
ただ、今回のLUNA SEAのアニバーサリーツアーは単なる祝福の物語と空気がどこか違う。
この日のMCでもRYUICHIも言っていたが、今回のツアーで全国41本のホールを回る。ライブは週末の土日開催だが、土曜と日曜ではメニューが違う。
しかもツアー全体では7つのメニューパターンがあり、被る曲ももちろんあるが、ツアー全体で演奏する曲はのべで90曲に及ぶという。しかも、基本的には過去ツアーの再現なので、普段演奏しない曲がたくさんある。
ここまでハードなツアーメニューは祝いというより挑戦だ。
しかもメンバーは全員が50代半ばで、もはやレジェンド枠のバンドでもあるLUNA SEAなら、ベスト盤的なセットリストで全国をまわればそれで充分に周年ツアーは成立する。
だが思えば、LUNA SEAは音楽業界における異端児で、つねにその枠からはみ出し、常識を超える挑戦を繰り返してきた。今回の結成35周年という大いなる祝いの時でも、安易な物語を紡ぎ出さず、常識を超えた新たな物語の創設に果敢にチャレンジしている。
前置きが長くなったが、筆者がお邪魔したのは「LUNA SEA 35th ANNIVERSARY TOUR 2024 ERA TO ERA -EPISODE 2-」と称した全国ツアー第二弾の東京ガーデンシアター公演。この第二弾ツアーは7月27日の新潟県民会館から始まり、9月1日の札幌文化芸術劇場hitaruまでをLUNA SEAはまわった。このEPISODE2だけでも4パターンのメニューでライブを行っている。この日、8月25日の東京ガーデンシアターでのライブは『SEARCH FOR MY EDEN』で1993年におこなわれたツアーの再現だ(1993年4月にリリースされた3rdアルバム『EDEN』を引きさげてのツアーの再現になる)。
定刻7分過ぎ、客電が消え、大音量のSEが場内になり響くと同時にSEに負けないほどの歓声が満員のガーデンシアターに響き渡る。SUGIZO、真矢、J、INORAN、RYUICHIの順にメンバーがステージに登場。1曲目は「JESUS」。LUNA SEAのライブ定番曲で会場はいきなりボルテージがあがる。長いツアーを感じさせない勢いとパワーと切れが演奏からバシバシと伝わってくる。真矢とJのリズム隊のタイトで重いリズムは93年当時より圧倒的に進化したはずで、1曲目から大きな会場を揺さぶった。ちなみに、「JESUS」はアルバム『EDEN』の1曲で、はやくもアルバムの世界へいざなってゆくという、壮大なロックンロールショーとしての仕掛けでもあるところがこのバンドの深みだ。
2曲目は「Dejavu」。これもライブの定番曲で、INORAN、Jはステージを縦横無尽に駆け巡り、SUGIZOのギターソロではRYUICHIが背中合わせで一体になる。大きな会場だが、メンバーの動きに導かれるように、オーディエンスも自由に首を振り、身体を動かし、そして会場が一体になってゆく。2曲目にしてラストのコール&レスポンスは会場が割れんばかりのものとなった。
ここでRYUICHIが「どこまでも飛んで行こう!」というMCを挟み、さらに煽る。そして、3曲目「ANUBIS」というアルバム曲をぶち込みここからが本格的な『EDEN』ワールドへ突入。4曲目「STEAL」はブギー調の曲でSUGIZOのフレットレスギターによる印象的なリフがかっこよく、そしてJが刻むベースラインもユニークで、LUNA SEAというバンドの引き出しの多さに驚く。つづく、「LAMENTABLE」は普段のライブではあまり耳にすることのない曲で、おそらく演奏されるのは2018年振りのはずで、会場がどよめく。
そして、ライブ前半の山場にしてこの日のライブの真骨頂的だったのが、7曲目「Providence」と8曲目「Claustrophobia」。「Providence」は当時20代前半のバンドが作ったとは思えない曲。ワルツ調でSUGIZOの幻想的なヴァイオリンがこの歌の世界観を物語っている。当時の演奏を生で観ていないのだが、今のLUNA SEAはこの曲で表現しようとした世界観がライブで十分すぎるほど表現されている。このシアトリカルでアートな世界はVirgin PrunesやNina Hagenあたりが好き方には垂涎で、この世界観をこの大きな会場で表現できるLUNA SEAというバンドの力に脱帽した。
そして「Claustrophobia」この曲は『EDEN』の収録曲ではないが、アルバムの先行シングル「BELIVE」のカップリング曲。キングクリムゾンの持つ狂気と、クラウト・ロックが持つ実験性をも内包するプログレ好きにはたまらない曲だが、この曲の作曲者は意外にもINORAN。SUGIZO、INORAN、Jの3人のメインコーポーザーがいるLUNA SEAだが、それぞれの引き出しの多さに改めて驚く。そしてLUNA SEAというバンドがひとつのジャンルに収まらない理由に改めて納得する。
この「Claustrophobia」でのRYUICHIのボーカルは神がかっていた。1曲目の「JESUS」のようなハードロックなナンバーを歌った同じボーカリストとは思えない表現を聴かせてくれた。静かにすこしずつ壊れてゆく…そんなRYUICHIの歌に会場全体がかたずをのんだ。
この「Claustrophobia」で前半が終了。15分ほどのインターミッション挟み、後半へ。
後半は真矢のドラムソロからスタート。武士が戦に向かうかのような空気感でドラムソロが始まる。真矢のドラムはその一打一打が重く、さらにその一打一打に想いを感じる。それにこたえるように会場から真矢コールが起きる。ステージに一人いる真矢と会場全員が同じ幸福な笑顔。LUNA SEAのライブで欠かせない多幸溢れる瞬間だ。ドラムソロのあとは「MECHANICAL DANCE」。そしてRYUICHIのMCを挟み「STAY」が演奏される。ここでまたオーディエンスがわく。この曲は『EDEN』収録の名曲にしてレア演奏曲のひとつで、この曲も2018年以来の演奏だったはずだ。しかしノスタルジーはそこにない。タイトで深みのある演奏は、バンドの進化を示すだけではなく、バンドの未来さえ見せてくれる感じがした。
ここから本編ラストの「BELIVE」では会場はライブハウス状態。
アンコール一発目はアルバム『EDEN』の収録曲「IN MY DREAM」で<SEARCH FOR MY EDEN>という物語はまだ続く。「IN MY DREAM」のあとメンバー紹介での各自のMCがまた素敵だった。 真矢は「LUNA SEAのライブを育ててくれたのはファンのみんなだぜ!」と感謝を口にした。Jは「35年経っても変わらないもの……俺たちの情熱とファンの情熱!」と熱いメッセージを放った。INORANは「2月の東京ドーム、俺たちだけじゃく、必ずみんなで辿り着こうぜ!」と約束をした。SUGIZOは「いつでもここに帰っておいで」と優しい言葉を放った。最後にRYUICHIはノーマイクで「愛してるよ、TOKYO!」と叫んだ。
そして、「WISH」が演奏される。曲が始まった瞬間に会場に飛び出す祝福の銀テープ。それを観て、<SEARCH FOR MY EDEN>という物語は完結=わたしたちは<EDEN>に辿りつけたと感じたはずだ。そして、この日、アニバーサリー、挑戦、SEARCH FOR MY EDEN…といくつもの物語が駆動していたことにはたと気が付かされた。ちなみに、この「WISH」の演奏は#LUNAPICと称され、携帯での静止画撮影OKかつSNSへの投稿もOK。この日の物語が会場の外へ外へと動きだす。
そして、最後は「PRECIOUS...」で公演は終了。この日紡ぎ出されたいくつかの物語たちは、9月14日から始まる「-EPISODE 3-」での物語をくわえ、来年2月23日東京ドームでの『35th ANNIVERSARY TOUR ERA TO ERA -THE FINAL EPISODE- LUNATIC TOKYO 2025 -黒服限定GIG-』でエピローグを迎える。
常に異端であり続けてきたLUNA SEAというバンドは、わたしたちの想像を遥かに超えた、そしてロックバンドがまだ紡いだことがない壮大な物語を2月23日の東京ドームで紡ぎ出すはずだ。その瞬間を目撃しない手はない。
<ライブ情報>
LUNA SEA 35th ANNIVERSARY TOUR ERA TO ERA -THE FINAL EPISODE-
LUNATIC TOKYO 2025
-黒服限定GIG-
2025年2月23日(日祝)東京ドーム
現在各種チケット先行受付中
https://www.lunasea.jp/live/20250223tokyodome
LUNA SEA 35th ANNIVERSARY TOUR 2024
ERA TO ERA
EPISODE 1 / EPISODE 2 / EPISODE 3
https://www.lunasea.jp
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