INIファンコンツアー「FLIP THE CIRCLE」考察 INIとMINIがお互いを想い合う「場」
Rolling Stone Japan / 2024年9月30日 11時55分
――夢に見ていた景色が目の前にあって感動しているんですけど、こういう景色が見られるのもMINIの皆さんのおかげです。そんな言葉が西洸人の口から語られた『INI 1ST FAN MEETING』から、2年10カ月。全国11都市20公演を行うファンコンサート『2024 INI FAN-CON TOUR [FLIP THE CIRCLE]』の開催により、INIは再びぴあアリーナMMのステージに舞い戻った。
あの頃は、コロナが収束していないなかでのイベント実施とのことで、観客数は収容人数の半分である約6000人。声援こそOKだったもののマスクは必須という状態だった。あれから時が経ち、今はMINIの表情だって見えるし、マスクを通さない声だって聴こえる。あのときとは違う環境が広がるステージを、一回りも二回りも成長した11人で踏んだのだった。本稿では、9月23日公演の様子をレポートする。
【写真ギャラリー】2024 INI FAN-CON TOUR [FLIP THE CIRCLE]
開演時刻になると、場内には「LOUD」が流れ始めた。一体感が増したサイリウムの動きからは、オーディエンスがグッと前のめりになったのが伝わってくる。稲妻のような光が落下し、紐に捉えられているような姿でメンバーが登場。”とっくに僕の虜”と歌う「DILEMMA」でオープニングを飾ったのは、「この時間でよりINIに”ハマっていくのさ”」と焚きつけるよう。そのまま流れるように、「MORE」「Dramatic」「LEGIT」からなるメドレーへ。舞台を上下左右に広く使うだけでなく、カメラワークや照明も駆使し『INI 1ST FAN MEETING』と一味違う、何倍も成長した彼らを魅せつけていく。藤牧京介が「そんなもんじゃないだろ、横浜!」と煽り、導かれたのは「FANFARE」。ステージに漲る、勢い、熱、パワー。ステージから炎が立ち上っているというだけでは説明がつかない熱量が、INIから溢れていた。
©LAPONE Entertainment
コインや指輪、バスケットボールなど、円(Circle)をモチーフとしたVTRを経て、「Busterz」「CALL 119」と続けざまにパフォーマンス。この日、初となるMCで、一人ひとり自己紹介を行った際には、佐野雄大が「ダークエンジェル、佐野雄大です。なんで、ダークエンジェルかというと」とシャツをずらして、首筋につけた黒い天使の羽をアピールし、客席から黄色い歓声が沸き起こる場面も。また、コンセプトの『FLIP THE CIRCLE』については、許豊凡が「INIからMINI、こうやってパフォーマンスして、MINIに楽しんでもらうこと。MINIからINI、こうやって日々応援していただいて、ループを作って円になります。その縁をこの場でひっくり返します。今までと違うパフォーマンスを観ることができるということです」と説明。池﨑理人も「ってことは、楽しもうってことだ」と便乗し、会場をさらに盛り上げた。
ヘッドマイクからハンドマイクへチェンジしたメンバーは、ステージの両端に現れたトロッコに乗車。「10 THINGS」「TELEVISION」と歌いながら、サインボールを投げたり、MINIへレスを送ったり。ファンの存在を身近に感じている11人は心底嬉しそうで、一人ひとりをしっかりと目に焼き付けていた。
再びステージへ戻ってくると、爽やかなサウンドの「Moment」をドロップ。そのまま初披露となる「Whatever Happens」を導き、MINIを感動の渦へと巻き込んでいった。あまりにも粋な曲の始まりは、オーディエンスが息を飲んで聴き入ってしまうほど。真っすぐに立ち、言葉に感情を乗せ、ただただ歌を届ける。シンプルでありながらストレートに、胸に届くエモーショナルな歌を紡ぎあげた。そして、その想いを爆発させるかのように、久しぶりの披露となる「Brighter」へ。曲が終わる頃には、会場の至るところで涙する人が現れ、INIの想いがMINIへしっかりと伝わっていることを物語っていた。
続いては、2つのユニットに分かれて、ファンコンのためのオリジナル楽曲をステージング。先攻のSUNは、太陽の煌めきをまぶしたポップナンバーの「BREATH」を繰り広げる。爽やかなサウンドとポジティブなリリックは、INIにまた新しい風を吹きこむよう。後攻のMOONはダークな色気が香る「Howlin」で、鋭さと柔らかさの両面を魅せる。ダンスパートでもバチバチにかまし、オーディエンスを圧倒した。
太陽と月が重なり、新しい命が爆誕するような映像を挟み、繋がれたのは”月に着地する”「Rocketeer」。ユニットではハンドマイクだったメンバーも、ヘッドセットにチェンジして、パワフルなダンスを展開していく。MINIのコールも華やかに轟き、ファンとアーティストが一体となってひとつの曲を作り上げていた。勢いそのままに「LOUD」へ繋ぎ、後半戦へ向けてギアを一気に踏みこんだ。
MCではラジオ番組『From INI』を再現し、会場に集ったMINIが投函したお便りをもとにトーク。「これだけは譲れないこだわり」をテーマに、和気あいあいとした交流が繰り広げられていった。「Dirty Shoes Swag」では松田迅が堂々たるソロダンスをぶちかまし、少女時代「MR. TAXI」のカバーではグループで上品な色気を放出。スワッグにもエレガントにもなれる、INIのふり幅の広さを魅せつけた。
©LAPONE Entertainment
おもちゃの兵隊を彷彿とさせる振り付けの「Walkie Talkie」では、キリングパートが炸裂。木村柾哉がウインクを放ち、MINIの心を打ち抜いたかと思えば、西も負けじとウインクをショット。勝気なパフォーマンスで、ラストスパートをかけていく。最後には「BOMBARDA」を投下し、本編を締めくくった。
これまでのメンバーのオフショット写真を詰めこんだVTRを経て、アンコールへ。メンバーはトロッコに乗って登場すると、一人ひとりのファンにアイコンタクトを送りながら「KILLING PART」を歌っていく。オープニングでは”とっくに僕の虜”と唱えておきながら、このタイミングで”もう僕は君の虜なんだ”と伝える曲をもってくることの小粋さよ。INIとMINIは相思相愛だと描くようなセットリストには脱帽だ。尾崎匠海が「みんな、あの言葉いってね。いくよ!」と呼びかけ、連れて来られたのは「Yummy!!」。自然体な笑顔を浮かべながら、アリーナを回っていく11人は幸福感に満ちていた。
©LAPONE Entertainment
ラストのMCでは、MINIへ伝えたい想いを各々が語っていく。後藤威尊が「[FLIP THE CIRCLE]は、どうやったらMINIが喜んでくれるかなってたくさん考えて意見を出し合ったMINIのためのコンサートなので、喜んでくれてたらよかったです」と頬を緩めたかと思えば、髙塚大夢は「最近、ありがたいことに忙しい生活がたくさんあって嬉しいけど、あまり振り返るっていうのをしていなかったと思って。それをみんなで共有できたのが、すごく幸せでした」と感慨深そうな表情を浮かべる。田島将吾は「俺もめちゃめちゃ楽しかったし、みんなに会えて本当に嬉しいです。これは本当の気持ちです」と強く念を押し、その無邪気さで笑いを誘った。ラストにはヒップホップナンバーの「T-Shirt」でオーディエンスを最高潮まで沸かせ、INIとMINIの縁を強くする時間を結んだのだった。
INIとMINIがお互いを想い合う気持ちを改めて確認することのできた『2024 INI FAN-CON TOUR [FLIP THE CIRCLE]』。全国11都市20公演を回るなかで、彼らはその絆をより強めていくのだろう。強固な団結力を胸に、さらなるパワーアップを重ねていくであろう彼らが楽しみだ。
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